外為特会のFBが1年以内である経緯であることのメモ
こちらも簡単なメモです。下記の通り外為特会が発行するFB(為券)は1年以内に償還されなければらないとされています。したがって、為券は年度を跨ぐといえます。
特会法
(外国為替資金における一時借入金等)
第八十三条 外国為替資金に属する現金に不足がある場合には、外国為替資金特別会計の負担において、一時借入金をし、融通証券を発行し、又は国庫余裕金を繰り替えて使用することができる。
2 前項及び第四項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替金の限度額については、予算をもって、国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定により、一時借入金をし、又は融通証券を発行している場合においては、国庫余裕金を繰り替えて使用して、支払期限の到来していない一時借入金又は融通証券を償還することができる。
4 第一項の規定によるほか、外国為替資金に属する現金に不足がある場合には、外国為替資金特別会計の余裕金を繰り替えて使用することができる。
5 第一項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替金並びに第三項の規定による繰替金は、一年内に償還し、又は返還しなければならない。
6 第四項の規定による繰替金は、当該年度の出納の完結までに返還しなければならない。
なお、外為特会の歴史を紐解くと、戦後、GHQによる外貨管理が敷かれ、1ドル360円の固定相場制が敷かれる過程で、特別会計がたびたび改正されており、1年以内としたり、年度跨ぎができない形にたびたび修正されています。この点を渡瀬義男(2006)「外国為替資金特別会計の現状と課題」が言及いているので該当部分を引用します。
昭和24(1949)年、来日した米国公使ジョセフ・ドッジの下で矢継ぎ早に改革が進行した。 1ドル=360円の単一為替レートが設定され、 財政収支の厳格な均衡が目指された。 同年4月、 貿易資金と貿易資金特別会計も廃止され、 両者 を引き継ぐべく貿易特別会計が設置された(このとき、 一時借入金・融通証券の限度額を200億円とし、 償還も1年以内から年度内へと改められてい る)。(中略)
昭和26 (1951) 年3月、 外国為替特別会計に代わり現行の外国為替資金特別会計(外為特会)が設置された。 外貨取引に伴う円貨の受払いを三たび歳入歳出外としたこと、 借入金の償還期限を年度内から1年以内へと戻したこと、 外貨運用益を従来の外貨表示から円貨表示として歳入に加えたことが、 大きな変更点であった。
須田美矢子 「外国為替資金特別会計と外国為替政策」 『学習院大学経済論集』をみると、下記のように記載されています。
外国為替資金特別会計における大きな変更は、借入金については予算上の制約が置かれた。外国為替資金特別会計における大きな変更は、借入金の償還が年度内から一年以内の償還と変わったことである。前会計については、「本会計の運転資金はいうまでもなく確実な外貨資産に見合うものであり、これを借入金によって調達するのが常道であるのみならず、一般会計によれば輸出を伸張するほど、租税負担がかかさむという奇異な結果に陥るのである。・・・年度越しの借入金を認めこれによって必要な運転資金を賄うことが必ずしも否定されるべきではないとみられる」とあり、その考えが受け入れられたものと思われる(p.191)。
このようにしてみると、FBはふつうは年度を跨げないところ、外為特会は為替介入の結果の外貨資金を管理するという性質上、年度跨ぎができないのは実態にあってなく、FBの年限を1年以内にした、ということだとおもいます。
さらに、大蔵省財政史室編 『昭和財政史―終戦から講和まで―第15巻 国際金融・貿易』あたりにはさらなる手がかりがありそうなので、(自分への宿題という意味で)備忘録として記載しておきます(その意味で、ここは後々アップデイトいます)。なお、須田論文には外為特会の設立までの年表もあります。

なお、外為特会は、FBで短期調達して借り換えるということを繰り返していますが、そもそも外為特会は国債を発行できないため、1年以内の年限であるFBを発行して借り換えているということです(筆者の理解では、特例国債や建設国債を発行できるのは一般会計です)。
上記が簡単なメモですが、必要に応じて今後、加筆・修正します。
