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自治医科大は、アニメ「タイガーマスク」に登場する悪役レスラーを養成する「虎の穴」の善役医者バージョンだと感じた

日本家族計画協会の研修では、県立宮崎病院の産婦人科県地域医療科医長の髙村一紘先生の講演がありました。

タイトルは、「今だからこそ手を緩めてはいけないSRHRの諸課題」です。

SHHRは、「性と生殖に関する健康と権利」です。

昨日のハベレオ通信に登場した北村邦夫先生に負けず劣らず、パワフルな70分間でしたので、ご紹介をさせていただきます。

北村邦夫先生も髙村先生も、自治医科大学の出身です。

自治医科大は、アニメ「タイガーマスク」に登場する悪役レスラーを養成する「虎の穴」の善役医者バージョンのような感じに思えました。

恐縮です。話を戻します。

髙村先生は、産婦人科医です。県立宮崎病院の産科・婦人科の医療を担当するとともに、小林市立病院で産婦人科の外来診療支援も行っています。

自治医大出身なので、私の地元の椎葉村や西米良村でへき地医療を行っていました。

現在は、医療安全や災害医療にも取り組んでいます。

ライフワークは、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の普及と人権に本づいた包括的性教育だとおっしゃっておりました。

最初に性教育の講義をしたのが、椎葉村の松尾小学校のPTAで、デビューはさんざんだったそうです。

「包括的」という言葉には愛着があるとおっしゃっていました。

最初に赴任した椎葉村立国保病院とその後の西米良診療所のトータル5年間は、365日、24時間で地域の患者を診ていました。

さらに、この二つの村には救急車がありません。

そんな村で医療をやるには、予防が大事です。

病気にならせないために、役場と組んで、積極的にワクチン接種を展開しました。

寝たきりにさせないように、保健センターの保健師さんと組んで、ケア会議を開催したり、予防活動に力をいれました。

知らず知らずに、いわゆる包括的ケアを実践していたのです。

産婦人科医になって感じたことは、産婦人科医というものは、産む女性も産まない女性も、生涯にわたって女性の健康を診るのが役目だとういうことです。

女性の一生を一言でいえば、ホルモンの減少と加齢による変化の組み合わせです。

つまり、ホルモン減少と加齢性変化の二つが大きな影響を与えており、予防と治療の包括的ケアが大事です。

SRSHは、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス(健康)とライツ(権利)の二つがあります。

ヘルスは、性や子どもを産むことに関わるすべてにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態であること。

ライツは、自分の意思が尊重され、自分の身体に関することを自分自身で決められる権利のことです。

SHSRで大切なこととして、髙村先生は次を指摘しておりました。

・自分のセクシャリティ

・子どもを持つか持たないか、いつ持つかに関して、すべての人が自分で決められること

・セックスをすべての人が安心して楽しめること

・そのために避妊の方法や不妊治療について全員がちゃんと知っている世の中であること

・生殖器が知らない間に病気に侵されていたら、選択肢が狭くなってしまうので生殖器のがんや感染症の予防や治療ができること

・子どもを産んだら苦労する世の中だったら、選択肢を狭めてしまうので母子保健や育児支援

性と生殖に関する健康についてのサービスは以下のものがあります。

・科学的根拠に基づいた包括的性教育など、性と生殖の健康に関する正しい情報やカウンセリング

・性の仕組みとその満足についての情報カウンセリング

・ジェンダーに基づく暴力や強制の予防・発見・マネジメント

・安全で効果的な避妊法の選択

・安全で効果的な妊娠、出産、産後ケア

・安全で効果的な中絶の提供とケア

・不妊の予防・マネジメント・治療

・HIVや生殖器の感染を含む性感染症の予防・発見・治療

・生殖器のがんの予防・発見・治療

SHSRの課題には次のものがあるとおっしゃっておりました。

・若い世代の望まぬ妊娠のための人工妊娠中絶

・避妊(低用量ピルや緊急避妊薬)へのアクセス

・ドメスチックバイオレンス(DV)、性暴力

・児童虐待の増加

・結婚や妊娠を望まない若者の増加による少子化問題

・妊娠高齢化に伴う不妊治療数の増加

2023年度の人工妊娠中絶数は、12万6734件で、前年度(12万2725件)より、約4000件増加しています。

内訳を見ると、20歳未満が1万53件、15歳未満が153件となっています。

15歳は、301件で、前年度が256件で、17.6%増加しています。

16歳は、807件で、前年度が733件で、10.1%増加しています。

つまり中学生の妊娠・中絶・出産があるにも関わらず、妊娠の仕組みや避妊、性感染症対策を含む教育をすべての学校で平等に学ぶ機会がないのが日本の現状です。

令和5年6月16日の法改正で、性交同意年齢が、13歳未満から16歳未満に引き上げられました。

性交をした場合は、不同意性交罪で5年以上の有期懲役、

わいせつな行為をした場合は、不同意わいせつ罪で、6月以上10年以下の懲役となります。

「同意しない意思を形成、表明又は全うすることが困難な状態にさせること、あるいは相手がそのような状態にあることに乗じること」は、次が該当します。

・暴行又は脅迫

・心身の障害

・アルコール又は薬物の影響

・睡眠その他の意識不明瞭

・同意しない意思を形成、表明又は全うするいとまの不存在
 例:不意打ち

・予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕
 例:フリーズ

・虐待に起因する心理的反応
 例:虐待による無力感・恐怖心

・経済的又は社会的関係性上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮  例:祖父母、孫、上司・部下、教師・生徒などの立場ゆえの影響力によって、不利益が生じることを不安に思うこと

わいせつな行為でないと誤信させたり、人違いをさせること、又は,相手がそのような誤信をしていることに乗じること。

このようなことにあたらない場合でも

相手が13歳未満の子どもである場合、又は、相手が13歳以上16歳未満の子どもで、行為者が5歳以上年長である場合にも、不同意性交罪や不同意わいせつ罪が成立します。

遅くとも中学生には、妊娠の仕組み、避妊と人工妊娠中絶、性感染症の予防などの知識が必要ですが、これらを扱った授業が学習指導要領に記載された内容を超えているといった理由で、過去に問題視されるような報道もありました。

しかし、若者たちの実態にあった包括的性教育の必要性は高まりつつあり、「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の認知度とともに、その重要性に対する認識も高まっています。

包括的性教育とは次のようなものです。

セクシュアリティの認知的、感情的、身体的、社会的諸側面についての、カリキュラムをベースにした教育と学習のプロセスです。

子どもや若者たちに、次のようなことをエンパワーメントしうる知識やスキル、態度や価値観を身につけさせることを目的としています。

かれらの健康とウェルビーイング(幸福)、尊厳を実現することであり、尊重された社会的、性的関係を育てることであり、かれらの選択が、自分自身と他社のウェルビーイング(幸福)にどのように影響するかを考えることであり、そして、かれらの生涯を通じて、かれらの権利を守ることを理解し励ますことである。

包括的性教育の特徴です。

・正確な科学的知識に基づいていること

・幼少期からはじまり継続的に段階を経ながら進むカリキュラムに基づいていること

・年齢・成長に即していること

・カリキュラムを基盤にしていること

・包括的であること

・基本的人権を基盤にしていること

・その国や地域の文化と関連させること

・学習者を変容させること

・健康的な選択のためのライフスキルを発達させること。

身体や生殖の仕組みに主眼を置く性教育から、ジェンダー平等や性の多様性を含む人権重視の包括的性教育を独自に実戦する自治体が増えています。

宮崎県日南市は、市独自に作成した命・性に関する教育のカリキュラム「レインボープラン」があります。

宮崎県宮崎市は、本年度から10年間の教育ビジョン「包括的性教育の視点も含めた生命を守る教育の充実を図る」を開始する予定です。

髙村先生も検討会の委員として参加しているそうです。

包括的性教育については、2026年度には、5~6のモデル校で実施し、2027年度からは宮崎市内の全小中学校で開始する予定です。

きっかけは、女性の市会議員の質問だったそうです。その議員さんも講習会に出席されていました。

宮崎市長は医師で、宮崎市で梅毒が増加しているので対策を実施していました。

議員は、議会での質問時間50分中40分をつかって、「市長は梅毒の予防対策を熱心にされておりますが、梅毒の罹患防止対策として小中学校いおける性教育が必要ですよね?」と質問をしたそうです。

その結果、市長の「しっかりとした性教育が必要である」という答弁を引き出しました。

ちょうど、宮崎市の総合計画の見直しの時期で、この総合計画の中に盛り込むことができたと議員がおっしゃっていました。


包括的性教育については、必要性は皆分かっていると、髙村先生はおっしゃっておりました。

誰がやるのか。何を教えるのか。が大事で、「みんなでやっていこうという空気」が大切だと強調されていました。

自分自身と他者の健康とウェルビーイング(幸福)を考えること。

他者の健康とウェルビーイングを考えることは、最終的に自分自身にかえってきます。

情けは人の為ならず。利他の精神に通じるものがあります。

青島太平洋マラソンを走って、いつも後悔する。

30キロを越えると、「なんで金払ってこげん苦労せねばならんとか」と思う。

でも、街道の励ます人の声を聞くと元気が出てくる。他者からの応援で元気になる。

人は他人を応援する。応援すると気持ちがよくなる。

今こそ包括的性教育が必要だ。小中学校の9年間はものすごく大事な時期。

3つのポイントがあると思う。

①発達段階に応じたものにすること(内容・時期)

②学校全体の共通認識とすること(委員会をつくる)

③保護者の理解を得ること(地域の理解が不可欠)

単発で外部講師を呼んで、1回ですませるようなものは駄目。

学校が年間計画をつくって、授業は保護者に公開して行う。

いろんな価値観があり、みんなで議論することにより、何が悪かったか、どこを修正すべきかが分かる。

ゴールは15歳までに、人権を理解した大人になること。

熱血漢の髙村先生の講演をうまくまとめられていませんが、何かを感じていただければ幸いです。

包括という言葉は、いいですね。

介護でも「地域包括ケア」という言葉が使われています。

包括的公衆衛生という言葉はまだないですが、包括的に公衆衛生を考えることは大事だと思いました。


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