医療法では、医療は生命の尊重と個人の尊厳を旨とすると規定している。矢田恵梨子さんの「ディグニティ」は医療法の漫画である
医療漫画の進化はすごいです。
矢田恵梨子さんの「ディグニテフィ 旅行医の処方箋」という漫画があります。
終末期を迎えた患者が最期に行きたい所に旅につれていく旅行会社の話です。
旅行会社の名前は、MEDICAL CARAVAN。
医師が同行する旅行会社だとうたっています。
社長は医師で、PTのスタッフが1人勤務しています。
起業して2年に満たない超零細旅行会社です。
この会社のうりは、医療に特化した旅行で、諦めていた患者の願いを叶えること。
旅行先の医療機関や他業種とも連携して、医療機器などの環境も整えます。
病気のことだけではなく、あらゆる事態を徹底的にシュミレートして、医療に特化した最善の旅行を提供します。
万が一、旅先で心肺停止した場合に、蘇生措置をするかどうかも本人に確認して、署名を求めます。
蘇生を希望する場合は、旅先の病院に緊急搬送することになりますが、そこで入院となると帰ってこれない恐れもあり、助かるとも限らないからです。
何か起きてからだと、本人の意思表示ができない可能性があります。
そうしたことを防ぐために、旅に出る前に本人に確認するのです。
患者さんが行きたい食事場所などは、事前に下調べしており、何一つ不自由はさせない、究極のホスピタリティを提供します。

最初の患者さんは、乳がんで余命半年。夫と出会った思い出のある京都に行きたいと、メディカルキャラバンをオーダーします。
患者さんが入院している緩和ケア病棟のベテラン看護師は、危険なので旅行を止めようとします。
すると、「そんなに心配なら貴方も同行しますか?」と言われて、一緒に京都に行くことになりました。
患者さんの状態から、京都までは車で行くことになりました。
残された時間を、夫婦の思い出の京都に行くことができて、患者さんは満足します。
病院に帰って一週間後に、患者さんは息を引き取りました。
夫からは、「ずっと介護にとらわれていたけど、最期に夫婦の関係に戻れてよかった」と言われました。
この京都旅行に同行した看護師は言います。
「私は、いままで患者の本当の願いを見て、見ぬふりすることしかできなかった」
医師に、「どうしてこのような旅行を始めたのか」、その理由を尋ねました。
医師の答えです。
現代は、病気を治せない人の生き方の選択肢が少なすぎます。
旅行は新たな選択肢のひとつ。病院や自宅でもない場所で、「生き方を支える医療」としての第3の道です。
自分の心と体で、人生の意味を取り戻す。
命を全うできる。
旅先で「患者」から「ひとりの人間」に戻った時、心につっかえていた本音が聞ける。
だから旅行医をやっている。
緩和ケア病棟勤務15年で40歳の看護師は、病院を辞めてこの旅行会社に、転職して看護師として勤務することになりました。

ディグニティは、日本語では「尊厳」です。
医療法第一条の二に、医療の定義があります。
医療は、生命の尊重と個人の尊厳を旨とし、
医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と
医療を受ける者との信頼関係に基づき、
及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、
その内容は、
単に治療のみならず、
疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む
良質かつ適切なものでなければならない。
この漫画は、医療法の漫画であると認定します。
なんて、上から目線で書いてしまいました。
ごめんなさい。でも、いつかテレビでドラマ化されると思います。
