痛みを止める薬は、薬の基本であり、痛みを少なくするケアは、ケアの基本である
「がん患者と家族の苦痛に対する緩和ケア」の研修会に出席しました。
講師は、県立延岡病院のがん看護専門看護師の吉田希美さんです。
患者さんの「痛み」のアセスメントが、いかに大事かを教わりました。
痛風の発作があり、左足の親指の付け根が痛くて歩くのがやっとだったので、「自分事」として理解することができました。
痛みの感じ方を強める因子には、
不眠、不安、抑うつ、せん妄、孤独感、倦怠感、悪天候
があるとのこと。
痛みの感じ方を弱める因子としては、
他症状の緩和、睡眠、周囲の理解、気晴らしとなる行為、気分の高揚、安静、保温、冷却、マッサージ
などがあります。
この弱める因子が、ケアになるそうです。
痛みは人を苦しめる。
人に恐怖を与えます。
そのため早く痛みを止めてあげることが大切です。
遅れないようにしないといけない。

ヒドロモルフォン(商品名:ナルサス)という麻薬性の鎮痛剤の紹介がありました。
海外では八〇年以上使用されているもので、WHOのがん性疼痛治療薬のガイドラインで標準薬に位置づけられています。
我が国では二〇一七年から承認されたそうです。
十分に知られていないことから、県立延岡病院でもまだあまり使われていないとのこと。
ナルサスの特徴は、錠剤で、一日一回朝飲めば、二四時間効くことです。
鎮痛効果はモルヒネの五倍。
高齢者、腎疾患のある患者、多剤併用患者にいいそうです。
うーむ。こういう鎮痛薬が使用できるようになったのですね。

昔、モルヒネの経口薬の話を、塩野義の人から聞いたことがあります。
日本では、モルヒネは注射薬しかなく、がんの痛みに苦しむ患者さんから経口剤を作ってほしいという要望が厚生省に対してありました。
厚生省の課長が、経口モルヒネの製薬メーカーに製造のお願いに回ったそうです。
大手の製薬メーカーは、尻込みしました。
医療用麻薬なので取扱いが面倒で、製造しても採算にあうかどうか判りませんでした。
そんな中で、塩野義製薬が手をあげます。
「そもそも塩野義は痛みを取る薬を作る会社である。我が社が作らなくてどうする!」
と社長判断でした。
ちなみに鎮痛薬セデスは塩野義の薬です。
塩野義が開発した経口モルヒネ剤「MSコンチン」はこうして誕生したそうです。
薬価は、会社が予想したよりも高く設定されました。
それを知った他の製薬メーカーが、これを最初に言ってくれれば、自社で作ったのにと歯ぎしりしたそうです。
私が研修医をしていたときに、新たに登場したモルヒネの経口薬を受け持ちの患者さんに処方したことがあります。
口渇や便秘などの副作用はありましたが、注射による痛みがなくて画期的でした。

塩野義製薬の手代木功社長にお会いしたときに、スポンサーとなっている音楽番組「ミュージック・フェアー」を続けている理由を聞いたことがあります。
「薬は人を癒すものですが、
音楽もまた人を癒すからです」
という答えが返ってきました。
社名の「SHIONOGI」から
「SONG」を取り出して
「SONG For You」
を宣伝に使っています。

ナルサスについて調べてみたら、第一三共の薬です。
樹木希林さんからもらった若山牧水の歌を見て、第一三共の社長が決断したのかも。
痛みを止める薬は、薬の基本です。
また、痛みを少なくするケアは、ケアの基本でしょう。
基本に返って、病院でも在宅でも痛みを少なくするケアが提供できる地域にしたいものです。

それにしても、痛風発作は痛かったです(涙)。
風が吹いても痛いのは、本当でした。
「痛風」という病名は、盛っていないと断言できます。
医学部の2年で生化学の試験があり、
「痛風gout とは何か」という記述式の問題が出たことがあります。
私の同級生が、まったく分からず、
「痛い風、つまり皮膚炎である」と回答して、留年になりました。
4年となり内科学を学んだときに、とんでもない回答で、留年してもしかたがないと、皆で大笑いしました。
彼は今、元気にしてるかしら。
まさかハベレオ痛風、もとい、ハベレオ通信をみていたら、その節はすいませんでした。
実は、私もよくわかっていませんでした。
私は、回答をスルーしたことを告白します。
2年のときの生化学は、紙一重で進級することができたと思っております。
