経団連の絵は、ダイナマイトが不発で現場に放置され、新たに仕掛けたダイナマイトに誘爆して19人が生き埋めにあったダムだった
安全衛生部長のときには、経団連には何回か行きました。
経団連ビルのエレベーターの横に絵が飾られておりました。
ダムの絵でしたので、ダムの好きな私としては大変気になりました。
昭和30年代の高度経済成長を支えたのは、電力でした。
当初は、水力発電が主流で、全国にダムが造られました。
海に囲まれ、山が多い日本には、雨や雪が降り、川となって海に注ぎます。
この循環する無限の水をダムに集めて、発電するというエネルギー・サイクルはまさに持続可能で、ダムはSDGs。
ダムは、循環型で持続可能性のあるエネルギーを産出し続けるツールです。

ダムは一つとして同じ形のものはありません。
すべてがオリジナルです。
ダムカードが作られているダムもあり、全国のダムを訪れてダムカードを収集する愛好家(ダムマニア)も増えているようです。
ダムが好きな女子をダム・ガールと呼び、「ダム・ガール」という漫画もあります。
地球の歩き方ならぬ、「ダムの歩き方」というガイドブックも刊行されています。
ご当地のダムを素材にした「ダムカレー」もあります。

さて、経団連にあった謎のダムの絵の写真を添付して、安全衛生部の職員に「どこのダムか判ったら教えて」と朝メールしました。
するとさすがは、安全のプロです。すぐに返事が返ってきました。
静岡県浜松市の天竜川にある「秋葉ダム」であることが判明しました。
しかも、絵のタイトルと画家の名前もわかりました。
画家は小山敬三氏。長野県出身の洋画家で、文化勲章受章者でした。
絵のタイトルは「雨後の秋葉ダム」でした。
秋葉ダムは、建設中の1955年に爆発事故を起こしていました。
前にしかけられていたダイナマイトが不発のままで現場に放置されたままになっていたところ、新たに仕掛けたダイナマイトに誘爆して、19人が生き埋めとなり、うち16人が死亡していたのです。
経団連は、この事故のことを知って展示しているのかは不明です。
もし知っていたならば、安全のことを理解し再発防止を徹底するという、経団連としての強い意志の現れだと思いますが……。
最初に絵を飾った経団連の幹部は、十分理解していたと思いますが、年月が経つにつれて、事故が風化していき、単に美しい絵が飾られているという状況になることは多く見受けられます。
なにはともあれ、一度は訪れて見たいダムです。
