一青窈さんは百年続きますようにと歌ったが、大友家持は千年続くように詠った
「万葉集」を編纂した人は、大伴家持です。
大伴家持は、越中の国司をしています。
今で言えば、富山県知事兼富山県警本部長兼富山地方裁判所長兼陸上自衛隊富山駐屯地司令というイメージです。
越中の国司として正月を迎えたときの歌があります。
地元の役人たちを前に、
山の梢から採ってきたやどりぎを
頭にかざして踊りました。
あしひきの 山の木来のほよ取りて かざしつらくは千年寿くとそ
(山の梢にあるやどりぎを採って、髪に飾るのは千年の長寿をお祝いしてのことだ)
歌手の一青窈さんが、
「ハナミズキ」で百年続きますように
と歌っていますが、
大友家持は千年です。
話がでかい。
「ほよ」とは、やどりぎの古語で、
漫画家の鳥山明さんの「ドクタースランプ」の
アラレちゃんが驚いたときの言葉
ではありません。
やどりぎは寄生植物です。
冬でも葉が青々と茂って枯れないことから、
健康長寿の象徴とされ、
大変縁起がいいものだとされていました。
これは日本だけでなく、
遠く離れた欧州のケルト人も、
やどりぎを生命や幸運の象徴としていました。
冬至のときに、
やどりぎを部屋に飾るという
ケルト人の風習が、今も残っています。
やどりぎには実があり、
のりとしても使えるそうです。
実の色は、
白や薄い橙もあって、
生け花としても人気があります。
寄生植物なので、
悪い奴だと思ったら、真逆でした。
やはり、予断はだめですね。
寄生植物という知識から入ると、
生命の力というよりは、
ずるい植物と思ってしまいます。
知識より歴史が大事です。
頭でっかちの地頭役人は、
やどりぎを頭に飾ったダンシング知事を見て、
凍りつくことでしょう。
私ならば、知事サイコーと片栗粉を撒くでしょう。その理由は最後まで読むとわかります。

さて、やどりぎは冬になるとすぐ判ります。
葉っぱが残っていますので、人目に付きます。
実を食べた鳥の糞の中に種があり、鳥の糞が枝の上に落ちて繁殖します。

富山県庁にいたときに、
茶花に詳しい人から、ヤドリギをいただいて、
部長室に飾ったところ、かなり受けました。
しかも、
大伴家持の歌を説明したら、
一発で尊敬されました!
実は、
富山県における大友家持は、
宮崎県における神武天皇と同じくらい
の存在です。
越中の国司が勤務する役所は、
富山県の高岡市にあったので、
高岡市には巨大な大伴家持の像があります。
また、高岡市では、万葉集に載っている
約4000歌を、
徹夜で何日もかけてリレーで
朗読するイベントもやっています。
高岡市の市長をされていた自民党の国会議員は、
大伴家持の歌を一首朗読してから、
国会質問をされておりました。
万葉集の中に、
大友家持の歌は約200首あります。
そのほとんどは、越中の国司時代のものです。
よほど、越中が気に入ったのでしょうね。

私が富山県にいたときの
富山医科薬科大学の学長さんで、
若山牧水をこよなく愛する先生がおられました。
私が宮崎県出身だと知って、
いきなり若山牧水の話をしてきました。
白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに飲むべかりけり

しかし、悲しそうな顔をしたのです。
若山牧水の歌には、富山県をうたった歌がない
と言っておられました。
「もしかして富山に来たことがないからでは。
富山に来たら必ずや牧水は詠んだはずです!」
と私は学長を慰めました。
東京若山牧水会の幹部に質問したところ、
牧水が富山県を訪れたときの新聞記事のコピーが無慈悲に送られてきました。
牧水は富山県に来ておりますが、富山を謳った歌は、一首もありません。
学長さんには、
今もなお、この衝撃の事実は伝えておりません。
死ぬまで墓場に持っていきたい
と思っておりましたが、
ハベレオ通信のネタにしてしまいました。
たぶん見ていないので、大丈夫だと思います。
大伴家持がカタクリの花を詠んだ歌があります。
もののふの八十娘子らが汲みまがふ
寺井の上の堅香子の花
おおぜいの乙女たちが入り乱れて水を汲む、寺井のほとりのカタクリの花よ
これを見ると、
日向坂48が、
カタクリの花を手にして
踊っている姿が目に浮かびます。
大伴家持は、現在の秋元康さんかも?
ちなみに、カタクリの花は春の使者ギフチョウが大好きです。
