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「じん肺」という職業病は新宿ムーランルージュの演劇から日本中に知れ渡った

NHKの朝ドラで「なつぞら」がありました。

アニメーターの話で、主役は広瀬すずさんでした。

自然豊かな北海道が舞台で、スピッツの主題歌やうっちゃんのナレーションがさわやかでした。

映画「国宝」に出演した吉沢亮さんも出ています。

主人公のなつが、戦後に離ればなれになった兄を探しに東京に出て来ました。

「新宿ムーランルージュ」という劇場で、兄が働いていたことがあるという情報を入手します。

創作だと思ったら、新宿に実在した有名な劇場でした。

中央労働災害防止協会が作成した「安全衛生運動史 安全専一から100年」を読んでいたら、なんとこの劇場が!

昭和23年に、足尾鉱山のよろけ(じん肺)をテーマにした鉱山劇「山神祭」が上演されたのです。

よろけに倒れた鉱夫とその未亡人を巡る哀歓のストーリーは、ムーランルージュの看板スターだった小柳ナナ子の主演により、当時大いに評判を呼んで話題となった、と記載されています。シナリオがあれば、見てみたい気がします。

なつぞらでは、なつの母親役で松嶋菜々子さんが出ていました。

こ、これは、時代を超えた二人のナナコが結ぶ安全衛生ドラマ……。

んなことはないか。

よろけ(じん肺/けい肺)の悲惨さをテーマにした芝居をつくって欲しいと新宿ムーランルージュの演出家にもちかけたのは、鉱夫で足尾労働組合同盟会の蘇原末次郎さんです。

末次郎さんは、昭和21年6月8日に栃木県足尾の古河鉱業足尾鉱業所の広場で開催された「鉱山復興町民大会」で訴えました。

日本の再建にはまず、地下資源を開発することだ。

そのためには、第一によろけのない職場をつくることだ。

第二には、罹患者や家族に対し、完全な国家保障をして鉱山に働く労働者が安全して力いっぱい働ける社会をつくることが、敗戦から立ち直る近道である

声を大にして、よろけの撲滅を訴えました。

当時はテレビはありませんでしたが、ニュース映画が取材に来ておりました。

よろけ撲滅の訴えがニュース映画で、「明るみに出たけい肺」と題して取り上げられ、日本全国の映画館で繰り返し放映されることになりました。

末次郎氏さんは、昭和23年に足尾から東京に出てきて、新宿ムーランルージュの演劇を通じてよろけの悲惨さをPRしようとしました。

ニュース映画の取材は、偶然ではなく彼が呼んだのかもしれません。

映画や演劇を企画するとは、もしかしてAKBをプロデュースした秋元康さん並の企画力の持ち主だったのかも。


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