お金に関する知識を得ることは公衆衛生である
キングコングの西野亮廣さんの「夢と金」(幻冬舎)を読みました。
冒頭に、「知識不足で命を落とすな」とありました。
読み進むうちに、お金に関する知識を得ることは公衆衛生だと感じるようになりましたので、ハベレオ通信で紹介させていただきます。
日本の「自殺率」は、OECD調べで世界8位。G7サミット国で見ると、自殺死亡率ランキングでは、日本ばブッちぎりの第1位。
自殺の動機は年齢によって違いますが、大人の場合は1位が「健康問題」で、その次あたりに「経済・生活問題」がきます。
すなわち「生活の困窮」です。
犯罪の動機で見ると、「生活困窮等」が第2位で、全体の4分の1。
これはどういうことを意味するのかというと、お金がまわらなくなったら、自殺を選び、犯罪を選ぶ、ということになると西野さんは言っています。

このような「結果」が出ているのに、日本の大人は、子供達に「お金」の話をしない。
お金の「守り方」の話も、お金の「作り方」の話も何もしない。
それどころか、「お金」について真面目に語る人間を「銭ゲバ」と嘲笑し、「はしたない」と侮辱し、お金オンチを量産し、日本の自殺率と犯罪率の向上に貢献している。
残忍極まりない行為だが、残念ながら彼らにその自覚はない。
何の悪意もなく自殺と犯罪の後押しをしている。
キミの親や、学校の先生はどうだ?
あなたはどうだ?
あなたの子だろ?
ちゃんと勉強して、ちゃんと守ってやれ。
知識不足で失われる命があることを知った方がいい。
申し訳ございません。
私は、お金の知識が皆無で、子供達に教えることはありませんでした。
栄養や運動や睡眠やたばこなどの嗜好品といった生活習慣のことばかり考えており、生活困窮を予防するための稼ぐ方法については、考えが及びませんでした。
「公衆衛生」は、公衆の生(いのち)を衛るためのサイエンスとアートです。「厚生」は、生を厚くすること。
疾病や困窮を予防して自殺を予防することは公衆衛生のど真ん中。
犯罪を予防することは犯罪による被害者が発生しなくなることになり、これもまた公衆衛生です。

西野さんは、知床観光船沈没事故の例をあげて説明しています。
2022年4月23日に知床観光の船が知床半島沖で沈没し、乗客・乗員合わせて26名中、20名が死亡、6人が行方不明となりました。
メディアは、「整備不良」や「無理な運行」を、事故の「原因」としました。
西野さんは、それらは「過程」に過ぎず、原因は違うところにあると言っています。
知床観光は、「なぜ、観光船の整備ができなかったのか」、「なぜ、無理な運行をせざるを得なかったのか」
こういう問いを重ねると、最後は、「お金」という「原因」にたどり着くと言っています。
原因は「お金がなかったから」です。
知床は、2005年7月に「世界自然遺産」に登録され、そこから年間平均100万人の観光客で賑わっていました。
しかし、コロナ禍で観光業は大打撃を受けます。
追い込まれた観光船の運行会社は、他の会社と共同で2020年7月にクラウドファンディングを立ち上げ、支援を募ります。
クラウドファンディングで支援のお金が集まれば、船の整備ができて、無理な運行を減らすことができたかもしれません。
それにより事故は防げたかもしれません。命が救えたかもしれません。

しかし、クラウドファンディングを立ち上げた会社の人たちは、クラウドファンディングの知識を知らなかったと、西野さんは指摘しています。
クラウドファンディングが日本に導入されたのが2011年で、10年も経過しているのに、なぜ知識を仕入れていないのかと、言っております。
クラウドファンディング初心者がまず最初に手を出して失敗するのが、リターン(返礼品)の選定で、中でもオリジナルTシャツは失敗の定番だとのこと。
オリジナルTシャツという誰も要らないリターンを作ることにお金と時間をかけて、お金を集めることになっていたのです。
今回の目的は、Tシャツを売ることではなく、支援金を集めることでした。
クラウドファンディングを仕掛けるときの鉄則です。
リターンで無駄弾を撃つな。
リターンのラインナップで「お金について考え抜いている姿」を見せよ。
お金は「お金を上手に使ってくれる人」のところに集まる。
ニーズのないものを販売することにコストを割いてお金を作っている姿を見せたら、「この人はお金の計算ができない人だな。支援したところで、お金を溶かしそうだから支援するのはやめておこう」と思われるのだそうです。
支援金を集めるクラウドファンディングにおいては、「お金をかけて返礼品を用意する」ということは、「支援者のお金を無駄に使っている」「支援者の満足度を下げている」ということを理解した方がいいと言っています。
「3000円を受け取ったのだから、3000円の商品を返さないとダメだ」と考えてしまうように、つまり「支援金を溶かしてしまう人間」にお金を託すような真似は絶対にしない。

西野さんは、2013年にニューヨークでの個展開催を目指して、人生初のクラウドファンディングに挑戦しました。
なんとか個展開催費用を集めることができました。
しかし、この頃は、まだ日本人はクラウドファンディングのことを知りませんでした。
「ネット乞食」「ネット泥棒」「信者ビジネス」「詐欺師」という声が1日に何百件も届きます。
西野さんと親しいスタッフは、周囲の人から「距離をとった方がいい」と言われ、西野さんの母親は、「詐欺師の母」と言われました。
西野さんを応援していた人たちからも「そういうことはやめておいた方がいい」と言われました。
西野さんは言っています。
ニューヨークでの個展をキッカケに、「資金調達」と「世界」を知り、僕の人生の扉が開いた。今はその延長線上にいる。
世界中の貧しい地域をたくさん見てきたが、彼らにはお金がなく、あまりにも少ない選択肢の中から将来を選ばなければいけない環境にあった。
この文章にははっとさせられます。
世界の最貧国で生まれた子供は、少年は犯罪に手を染めるか麻薬の密売人となり、少女は売春婦となるしか生きる手段がないとも言われています。

西野さんの言葉が私の心の鐘を打ち鳴らします。
「お金がない」「お金の知識がない」「お金を作る選択肢が少ない」
これらがもたらすダメージの大きさを知れ。
時間を作って、お金の話をしろ。家族で。チームで。
お金に対して誤った知識を持った人間が集まるコミュニティーの中で生きる限り、未来の扉は開かない。
そのコミュニティーの中で生きる限り、キミは大切な人を守り抜くことができない。
お金の知識を得ることは、公衆衛生です!

