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悪事を己に向かえ、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり

瀬戸内寂聴さんシリーズ第2弾です。

瀬戸内さんは、51歳で出家して以来、仏教徒として「忘己利他」を理想としてかかげる生活を心がけてきました。

日本天台宗の宗祖、伝教大師「最澄」の言葉に「悪事を己に向かえ、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」という教えがあります。

出家した瀬戸内さんには、僧侶としての義務があり、それが人のために尽くす「忘己利他」です。

仏教には十戒があります。

1  生き物を殺してはならない
2  人のものを盗んではならない
3  淫らな行為(性行為)をしてはならない
4  嘘をついてはならない
5  お酒を飲んでのませてはならない
6  身を飾り立てたり、歌舞音曲を楽しんだりしてはならない
7  立派なベッドや高い足つきの寝台で寝てはならない
8  正午を過ぎてから食事をしてはならない

9  金銀財宝を手で触れたり所有してはならない
10 出家者の身につける3枚の衣から離れてはならない

瀬戸内さんは、十戒のほとんどは守れないと困ってしまいました。

そして決意します。

人間が一番守りがたいことを一つだけでも守ろうと決めました。

それは「色戒」です。
セックスをしないことです。

瀬戸内さんは、出家した51歳から、それだけは守り抜きました。

出家前の瀬戸内さんの行動が、世間からはふしだらだとみられていたので、
人は出家以来、色戒を守っていると言っても信じないそうですが、「天地神明に誓って守り抜いた」とおっしゃられております。

お釈迦さまは恋愛をするから悩みが生じる、孤独に生きる方が良いと仰っておりますが、瀬戸内さんはこう反論をしております。

お釈迦さまは、若い頃は王子様で、女をたくさん与えられて、女の美しさや愛も、恐ろしさや醜さも、絶望するほど味わい尽くしたのでしょう。

私は今でも男に絶望なんかしていません。

男運が良かったと今も思いますし、一人残らずみんな亡くなりましたけれど、思い出の中では今も生きています。

うーん。深い!

大人のセリフだと思います。

中島みゆきさんの「涙ーMade in tesrs-」を思い出しました。

男運は 悪くなかった
あんないい人 いやしないもの
男運は 悪くなかった
Made in tears

私は、医学生に対して、「医師は利他の心が大事だ」と講義で言ってきました。

さらに、自治医大の初代学長の中尾喜久先生が書かれた「忘己利他」の書が、自治医大の寮にあると紹介してきました。

その由来が最澄だったとは知りませんでした。

自治医大の銅像

椎葉村の山奥にこもり、深く反省して涙しております。

さらに、女運は悪くなかったと、自覚しております。


医学生に忘己利他を講義したときの講義録です。




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