人生の扉を開けるのはいつも他人である
中山祐次郎さんの「医師の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵」(あさま社)を読みました。
この本は大変ユニークな本です。
ちなみに、中山先生のことを申し上げると、小説「泣くな研修医」(幻冬舎)はシリーズ55万部を超えるベストセラーになりました。
テレビ朝日系列でドラマ化もされています。医学の教科書も手がけておられます。
このように医師と作家で現在活躍中の中山先生の自伝的エッセイと、息子への手紙が組み合わされた構成となっています。
エッセイは、鹿児島県の新聞である南日本新聞に連載されていたものです。
2浪して二十歳で失意のなか鹿児島に行ってから、鹿児島大学の医学生として過ごし、医師となり東京の病院に勤務して、やむにやまれず福島県の病院に赴任した時代までが書かれています。
「鹿児島の新聞なのだから、全国区のネット記事と比べて鹿児島県以外では広まらない。
だから、あったことをすべて本当に書いてしまえ」、と事実を思い切って書いたそうです。
振り切った内容だったから、面白かったのでしょう。
大変好評で、医師国家試験の緊張を書いた回は、「ベスト・エッセイ2023」(日本文芸家協会編/光村図書)に選出されたそうです。

この本の対象は、以下のとおりと書いております。
まだこの世界のことを学んでいる途中の小学生
親兄弟・友人との関係に悩む中学生
将来の進路という悩みが加わった高校生
半分社会に出たが荒波に溺れそうな大学生
そういったお子さんを持つ親御さん
中山先生は、「これは息子への手紙であるとともに、私の遺書である」と言っておられます。
「これさえ伝えきれたなら、私は思い残すことは何もありません」とも。
ただし、この本を読む若い人に向けた注意事項が示されております。
「人生の鍵」の本は、あくまでもただの「鍵」で、自分は渡すことしかできない。
この鍵を鍵穴に入れ、扉を開き、次のステージに歩みを進めるのは、他でもないあなただと。
こうした素敵な前書きから始まる本書は、まさに宮崎県で医師を目指す中高生、医学生に読んでもらいたい一冊です。

この中に「チャンスの神様はハゲている」という息子への手紙がありました。
中山先生は、父から言われていたそうです。
「いいか、チャンスの神様の後頭部はハゲている。来たときにさっさとつかまなければ、通りすぎてからつかまえることはできないんだ」
中山先生はお父上の意見には賛成していません。
「たしかにチャンスの神様は前髪しかない。でも、回転寿司みたいにぐるぐる回るので、何回かはつかむことができる。ずっと地道に人の何倍もやっていると、まれに回ってきてくれる」
うーむ。深いです。
「人の何倍もやる」というのは、中山先生は、「人の3倍は必要」だと言っておられます。
人の3倍努力を続けていたらそれなりの結果がほぼ必ず出る。
出たら誰かが人生の扉を開ける鍵を渡し、新しいステージに引っ張っていってくれる。
僕の物書きデビューもまた、そのようだった。

中山先生の経歴を見ると、京都大学大学院で公衆衛生修士を取得しています。
このときの恩師の公衆衛生の教授から言われた言葉です。
「人生の扉を開けるのはいつも他人です」
ハベレオ通信を書いていて恥ずかしくなりました。
私は、人の3分の1しかやっていないような気が……。
今のままでは物書きにはなれないと感じました。
よし!明日からは頑張るぞ、と日記には書いておこう。 ←(昔、こういうCMがありましたなあ)
