週刊文春の魂は、親しき仲にもスキャンダル、長いものには巻かれない、王様は裸だと言い続ける、そこにネタがあれば斬り込むことである
(株)文藝春秋取締役・総局長の新谷学さんの講演を聴きました。
週刊文春や文藝春秋の編集長をされていた人です。
タイトルは、週刊文春「危機突破」激動の時代のリーダー論~リスクを引き受ける覚悟はあるか~でした。
私の父が文藝春秋が大好きで、私もパラパラとみることがありますが、新谷さんは毎月インタビュー記事に写真付きで登場されていたので、興味が湧き聞きに行きました。
心に残ったのは、次のような話です。

激動の時代になった。
そのような中で、大切なもの、絶対に守り抜かないとだめなもの。
「背骨」とか「魂」と呼ばれるもの。
こうしたものは守り抜かないと絶対に駄目。
文春の魂は「親しき仲にもスキャンダル」。
書くべきことを書くことが責任だ。
文春の存在価値は、長いものには巻かれない。王様は裸だと言い続けること。そこにネタがあれば斬り込む。
これが文春が文春である存在意義。レゾンデートル。

河井克行法務大臣が、公職選挙法違反をしているというネタが文春に届いた。
現職の法務大臣で、最強の捜査組織の東京地検特捜部を配下に持つ大臣の法違反。
記事として報道するためには、しっかりとした証拠を集めないといけない。
妻の河井案里氏の選挙のウグイス嬢に、法定で決められた倍の額の報酬を支払っていたということだった。
ウグイス嬢は12人。個別に時間差で取材をすると口裏を合わせられることから、朝8時に同時直撃取材をすることにした。
寄せ集めた12人の記者を広島に送った。
同時直撃取材の結果、数人が別の名目でお金をもらったという証言をした。
他は、目が泳いだり、口ごもっていた。これらの証言から本ネタだと確信して、報道した。
しかし、記事を載せた週刊文春はまったく売れなかった。政治家の公職選挙法違反は地味で、芸能人のスキャンダルの方が人々の関心が高くて売れる。
取材費はむちゃくちゃかかった。商業的には失敗だった。
しかし、記事のインパクトは大きかった。
文春の記事を信頼して、他社が大きく報道をした。
河井法務大臣は、記事がでたその日に辞表を出した。
妻の案里氏は参議院議員に当選したが、辞任した。後に、東京地検特捜部も動き、夫妻は逮捕された。
激動の時代、ここだけは変わってはいけない、ゆずってはいけないことは、変えてはならない。
会場の人から、河井案里氏は、延岡市北方町の出身だと発言がありました。
すごいオチだと感心しましたが、新谷さんはご存じなかったようでした。

医療も激動の時代です。
医は仁術。利他の精神。地域医療を守ること。
どんなことがあっても、地域医療は守り抜かないといけません。
地域枠が直美になってはだめです。
医師には哲学・フィロソフィーが必要です。
2000年前のヒポクラテスも言っています。
宮崎大学医学部にも自治医大にもヒポクラテスの木があります。
先人たちが植えたのです。守るべきものを守ることが、後に続くもののつとめです。
新谷さんの話は、若山牧水の歌のように、私の「背骨」と「魂」に響きました。
けふもまた心の鉦を打ち鳴らし打ち鳴らしつつあくがれていく
若山牧水も新谷学氏も早稲田大学出身です。
