無礼よりも礼節。無礼な輩はスルーする「ブレイスルー思考」で行くべし
ずいぶん前に羽田空港の書店で買ったのですが、そのままにしておいた本があり、読んでみました。
シンク・シビリフィ「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
クリスティーン・ポラス(著)・夏目大(訳)
東洋経済新報社
これは驚くべき本でした。
筆者は、アメリカのジョージタウン大学のスクール・オブ・ビジネス校の准教授をしている研究者です。
活気ある職場を作ることを目的として、グーグル社やピクサー社といったグローバル企業、国際連合、世界銀行、国際通貨基金といった国際機関、米国の労働省、財務省、司法省、国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行っています。
その仕事は、CNN、BBC、タイム、ウォール・ストリート・ジャーナル、ファイナンシャル・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどのメディアで取り上げられているそうです。
ポラスさんは、20年間にわたる研究成果やコンサルティングの実務を通じて得られた経験をもとに、職場における礼節の大事さを解いています。
「無礼な人は同僚の健康を害する」と言っています。
無礼な態度は、人の免疫システムを害することがあり、そのせいで循環器系の病気、がん、糖尿病などにかかる恐れがある
また職場に友好的でない人がいると、死亡リスクが高まる
さらに、職場に無礼な人がいると、そこで働く人たちの心の健康にも悪影響があることも指摘しております。
アメリカの企業をはじめとする組織は、こうした職場のストレスのせいの代償として、大金を負担せざるを得なくなっていると言っており、
アメリカ心理学会の試算を紹介しています。
職場のストレスでアメリカ経済にかかるコストが1年で5000億ドル(およそ75兆円)
職場のストレスが原因で毎年5500億日もの就業日が失われる
無礼な人間のせいで、企業が利益や社員を失ったとしても、その多くは目に見えず、誰にも気付かれない可能性があります。
無礼な態度の人が職場にいると、管理職の時間もそれによって奪われることになります。
米国のトップ1000企業の管理職は、社員間の人間関係の修復、無礼な人間による悪影響への対応のため、職場で時間の13%を奪われているそうです。
これは、1年のうち7週間をそれに費やしている計算となります。
こうした事態の打開のため、コンサルタントや弁護士の力を借りたりすれば、コストは莫大なものになります。
人や企業が無礼な態度によって被る損失は、一般に思われているよりはるかに大きい。
理不尽な扱いを受けた人は、精神状態を正常に戻すのに力を使うため、集中力、注意力を削がれる。
企業内に無礼な人がいるとわかると、顧客はたとえそれを直接、見ていなくてもその企業との取引を避けるようになる。
理不尽な態度は人の思考力を奪う。
思考力を奪われた人は目の前にある情報にも気づけなくなる。
無礼な人が近くにいると、その影響を受けて自分も無意識のうちに破壊的、攻撃的な思考をしやすくなる。

礼節のもたらすメリットを5つ指摘しています。
個人編が3つ、組織編が2つです。
①礼節のある人は、声がかかりやすく仕事を得やすい
②礼節のある人は、幅広い人脈が築ける
③礼節のある人は、出世の可能性が高まる
もちろん、出世は、仕事で成果を上げることが一番役に立ちますが、礼節のある態度がその後押しとなる、と言っています。
礼節のある態度とは、具体的には、
人に感謝する、
人の話をよく聞く、
わからないことは謙虚に人に尋ねる、
他人の良さを認める、
成果を独り占めせずに分かち合う、
笑顔を絶やさない、
ということです。
これとは真逆の無礼な態度は、仕事で成果をあげる上で足かせになることは間違いありません。
医療過誤で訴えられるのは、医師の無礼な態度が原因であることも多いそうです。
④礼節のある上司のチームは、高い業績をあげる
⑤礼節のある経営者は従業員に安心感を与える
世界のトップ企業は礼節を重んじているそうです。
リーダーにとって礼節が不利になることはない、と断言しています。
失敗するリーダーの多くは、
無神経、
人を不快にさせる、
弱い物いじめをする、
という共通の性質があることが分かっています。
次に多くみられるのが、
よそよそしい、
傲慢
といった性質だそうです。
日頃から無神経な、敬意のない態度で接していると、特に重要な場面で従業員は助けになってくれないおそれがある、
従業員は情報の共有を渋るかもしれないし、
できるはずの努力を怠り、使えるはずの資源を使わない可能性がある。
しっぺ返しは意外に早く、しかもまったく油断している時にやってくるかもしれない。

うん、うん。ある、ある。
アクション映画でよくあるシーン!
主人公にとって敵役だったのが、突然「組織」を裏切って、主人公に有利な情報を教えたり、手錠を外したり、命を助けたりします。
日頃から、無神経な、敬意のない態度が満ちた「組織」ではそういうことがあるのだ、と映画は教えてくれます。
「愛されるよりも恐れられる方がはるかに安全だ」というマキャベリの主張は、今の時代には当てはまらくなりました。
無礼よりも礼節です。
無礼な輩はスルーする、「ブレイスルー思考」で行きましょう。
「無礼する指向」ではないので、念のため申し添えます。
記事とはまったく関係ありませんが、椎葉村の日本酒「仙人の棚田」が発売されました。
月見て一杯、花見て二杯。花より団子。
無礼について考えてのみはじめたる、一杯二杯の夏の夕暮れ。
酒はしずかにのむべかりけり。
若山牧水の歌は酒呑みに優しいと改めて感じました。
無礼講にさよなら。こんにちは礼節講です。
