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ギリシャ神話のケンタウロスは上半身が人間で下半身が馬だが、椎葉村に生まれたクダンは頭は人間で身体が牛の妖怪である

椎葉村の図書館KATERIE(かてりえ)で、昭和女子大歴史文化学科椎葉巡見プロジェクト・椎葉村教育委員会共催の「特別講座 椎葉の民族と文化」を受講しました。

椎葉に帰ったところ、父からこういうのがあると知らされたので、父を連れて行ってみました。

昭和女子大学は、平成24年度から、椎葉巡検プロジェクトを実施しており、今回で13回目だということでした。

昭和女子大学の学生さんのための講演でしたが、せっかくなので一般講演にして椎葉村内外の人にも参加してもらおうということになり、今回が2回目でした。

宮崎の妖怪と神楽の音楽について、宮崎民俗学会前会長の前田博仁先生、神楽音楽研究家の丸山妙子先生が講演をされました。

どちらも興味深い講演で、得をした感じです。

たまたま椎葉に帰ってきたときに、こうした貴重な講演を聴くことができて、本当にありがたいと感謝しております。

私は音楽はまるでダメで、楽譜も読めず楽器も弾けませんので、恐縮ですが、妖怪の話を紹介させていただきます。

私は、大学生の頃に幽霊(のようなもの)を見たことがあるので、妖怪の方に軍配が上がったことをご報告させていただきます。

前田先生は、宮崎大学を卒業されて最初の赴任地が、椎葉村立不土野小学校だったそうです。

昭和41年1月6日に、上椎葉から尾前行きのバスに乗り、不土野橋の停留所で降りました。

そこから不土野小学校の教員住宅までは8キロあり、徒歩で山道を歩き始めました。

夕方の6時頃でした。

歩き始めてしばらくしたときに、チッチッという声がしました。

チッチッという声は、自分が歩くのについてきます。

だんだん鳴く声が大きくなるので、石を投げるといったん静かになりますが、また鳴き始めます。

結局、古枝尾という集落があるところまでついて来ました。

後で、PTAの会合で、地元の父兄にこの話をしたところ、まとわりついてきた妖怪だと言われました。

不土野では、「ヨイヨイ、ホイホイ」と言ってくる妖怪が有名だとのこと。

ヨイヨイ、ホイホイは、子どもには姿が見えるそうです。

人間の子どもくらいの大きさだそうです。

ヨイヨイ、ホイホイは瞬時に移動することができるとのこと。

いたずら好きで、人にまとわって、前後左右から声をかけてきます。

ヨイヨイ・ホイホイと呼びかけられても、決して答えてはいけない。安全な答え方があるそうです。

犬や馬には見えるようで、犬はヨイヨイホイホイに会うと尻尾を丸めて、馬は突然動かなくなるそうです。

こうした妖怪は、椎葉村では一般に「ガンゴー」と呼ばれました。

子どもを脅すのに、「いうこと聞かんとガンゴーが来るぞ」と言えば、静かになりました。

宮崎では「ガジモン」、延岡では「オジモン」、佐賀県では「ガンコウ」、長崎・大分では「ガンコ」と呼ばれたそうです。

また、河童のことを、高鍋では「ヒョースンボ」といいます。

米良には「カリコボウス」という妖怪がおり、おなじような妖怪を、日之影では「セコ」と呼ぶそうです。

「カリコ」と「セコ」は、狩猟をするときの役目の名前から来ているのではないかとおっしゃっていました。

カリコは「狩子」、セコは「勢子」です。

狩子と勢子は、獣を追い立てる役目があります。

待ち構えて獲物を射止める役は、マブシと言うそうです。

狩りのときに追い立てるときの声は、「ヒューヒュー、ヒョーヒョー、ヨイヨイ、ホイホイ」という言葉を使うとのこと。

カリコボウズや、ヒョースンボ、ヨイヨイ・ホイホイなどは、こうした狩りの言葉から来ているそうです。

ゴキブリホイホイは、ゴキブリを追い立てて一網打尽にする素晴らしいネーミングだと思います。

名前を付けた人は、民俗学の知識があったのだと感心しました。

椎葉村にはいろんな妖怪がいるとのことでした。

「山おなご」は、かぶっている帽子を飛ばして山道から崖におとす恐ろしい妖怪で、白い服を着て、髪の毛が長いそうです。

昔、傘をとばされて拾いに行って谷に落ちた女の子がいたそうで、これは山おなごの仕業だと言われていたとのこと。

「ムキ」という蛇の妖怪がおり、これは不倫相手に化けるらしいです。

実際にある地域の炭焼き小屋に出ました。

ムキが出るのを防ぐには、3月3日の桃の節句のときに桃酒を飲むといいそうです。

椎葉村の不土野に生まれた「クダン」という妖怪は、頭は人間、身体が牛です。

絶対に嘘は言わない妖怪で、また、クダンが言ったことを3日以内に実行すれば命は助かるとのこと。

この話は、江戸時代末期に日本中ではやった話のようです。

「日本沈没」で有名な作家の小松左京さんの短編に「くだんのはは」があるそうです。

時代は昭和20年の夏の神戸、空襲で家を失った旧制中学3年生の主人公が、以前家政婦をしていた女の好意で、屋敷の離れに住むことになった。

3日以内にあずき飯を食べれば、空襲を逃れることができる、そう告げたのは、顔が人間で身体は牛だった。

このくだんは、佐世保出身だった。


ううう。クダンはどこにでも現れるのか。

なにやら恐ろしい展開で、読んでみたいと思います。

クダンという言葉は、漢字で書くと、「件」になります。

この漢字は、にんべんと牛です。

つまり人と牛。

この漢字からつくられた妖怪ではないか、とおっしゃっていました。

まじかー! 

一瞬、信じてしまったわーい。

昔、宮崎県内の林業従事者は、人吉市で作られたのこぎりを愛用していたそうです。

そののこぎりの商標は、クダン印だったとのこと。

顔が人で身体が牛の絵があり、
それに、「極上」、「保険」、「如件」の文字が入っていたそうです。

如件は、「くだんのごとし」と呼んで、
「前に述べたとおり」と言う意味
です。

やられたー!

しかし、妖怪の由来は、なかなか面白いと思いました。

頭が人間で、身体が牛の妖怪クダンは、ギリシャ神話の胸から上が人間で、下半身が馬のケンタウロスに似ています。

私は、クダンは、ギリシャ神話から来たのかと推理したのですが、まさか「件(くだん)」という漢字からできたとは!

漢字を使う中国や過去に使っていた朝鮮、ベトナムにも、クダンは生息しているのか?

夢は世界を駆け巡ります。

さてさて、ここまで読んで、
くだんない話だと感じる貴方には、
感じる力が足りないかも。

いや、妖怪は「漢字る」ものかも。

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