宮崎県公衆浴場条例は、日本一厳しい
1976年7月21日から24日まで、米国のペンシルベニア州のフィラデルフィア市の由緒あるベルビー・ストラトフォード・ホテルで米国在郷軍人会(the Legion)の支部総会が開催されました。
このホテルで原因不明の集団肺炎が発生しました。
当初は「フィラデルフィア新型肺炎」と呼ばれましたが、当時の市長の強い要望があり、この呼び名は使われなくなりました。
ホテルの宿泊者、従業員、ホテルの前の通りを歩いていた人で、221名が肺炎となり、29名が死亡しました。
在郷軍人会出席者の発病は、7月22日から8月3日までだったので、潜伏期は2日~10日と考えられました。
米国とソ連が冷戦中の時期だったので、生物テロも疑われました。
米国のCDCが徹底的な調査を行い、新型の細菌が特定され、レジオネラと命名されます。
このホテルでは、一年前にも原因不明の肺炎が発生していました。
テトラサイクリンとエリスロマイシンで治療された症例の救命率は90%と高く、ベータラクタム系の抗生物質では死亡率が20~40%にもなりました。
使用された抗生物質により治療効果に違いがあったのです。
クーリングタワーの冷却水が感染源と疑われたのですが、このときは最終決定には至りませんでした。
CDCはこのフィラデルフィアの新型肺炎の原因を特定したことで、その名前が世界中にとどろきます。
一方、感染を起こした老舗のホテルは、客足が遠のき、一年後には廃業となりました。
レジオネラは、細胞の外でも内でも発育することができます。
レジオネラの好物はアメーバで、自然界ではアメーバの細胞の中で盛んに増殖します。
増殖したレジオネラは、アメーバを破裂させて殺し、放出されたレジオネラは新しいアメーバに感染していきます。
人の体に入ると、好中球やマクロファージといった食細胞に食べられてしまいますが、殺菌作用に抵抗して食細胞内で増殖することができるという特殊な能力を持っています。
このため食細胞内に少ししか入ることができないベータラクタム系の抗生物質を投与しても、効果がありません。
おそるべきレジオネラ。
レジオネラの生育温度は25℃~42℃で、風呂温度とドストライク。
風呂好きな日本人の真の敵は、レジオネラなのです。
日本一厳しい公衆浴場の条例を有する宮崎県は、レジオネラ軍団にとっては日本最強の師団といえます。
これからも引き続き、最強師団の伝統を続けていきましょう。
なぜ宮崎県が最強師団となったのか。
それは、いつか触れたいと思います。

