植物は動物に食べられないように毒を持つように進化する。人間はその毒を利用して薬を開発してきた
今年3月に宮崎県内で、グロリオサによる食中毒が発生しました。
グロリオサの球根(地下茎)を食べた2名のうち、1名が亡くなりました。
残った食事から、原因がグロリオサと推定されました。
グロリオサの地下茎は、山芋とそっくりです。
グロリオサは、すべての草の部分に毒があり、とりわけ地下茎部分には多く含まれています。
コルヒチンという有毒物質が多く含まれており、これを食すると口腔・咽頭灼熱感、発熱、嘔吐、下痢、背部痛などの症状が起こり、臓器の機能不全により、死亡することもあります。
体重50kgの成人の場合の致死量は4.3mgです。
コルヒチンは、痛風の劇痛を鎮静させるときに服用する薬で、劇薬です。

グロリオサの花は美しく、生け花などに使用されます。
グロリオサによる食中毒の発生にはある種の傾向があります。
発生年月 発生場所 患者数 死者数
2020年1月 鹿児島県 2名 1名
2021年3月 高知県 1名 0名
2022年9月 鹿児島県 2名 0名
2022年4月 宮崎県 1名 1名
2024年12月 高知県 2名 0名
2026年3月 宮崎県 2名 1名
グロリオサはアフリカ原産の植物で、寒冷地では越冬が困難です。
一方、宮崎、鹿児島、高知などの温暖な地域では越冬します。
花が咲いていない秋から春にかけて、園芸で庭に植えたことを忘れ、山芋と間違えて喫食することがあるのです。
患者像は想像できます。
庭付きの一戸建ての家に、夫婦二人暮らし、もしくは一人暮らしで、園芸好きな人が浮かび上がります。
花の苗や球根を植えることが好きで、その近くに畑もあって野菜を栽培している人です。
山芋はすりおろすと「とろろ」状になりますが、グラリオサの球根をすりおろせば「大根おろし」状態となり、これが生死をわける最終鑑別ポイントです。
綺麗なバラには棘があるという諺がありますが、きれいな花には毒があることが多いのです。
スイセン、シャクナゲ、彼岸花などがそうです。
ちなみに、椎葉村では、藤の花の天ぷらを食べます。また、菜豆腐に藤の花を使うこともあります。

椎葉村の向山の奥にある白鳥山にはヤマシャクヤクの群生地がありますが、最近、鹿がヤマシャクヤクの花を食べるようになっています。
花に毒がないことを学習したようです。
せっかく花を見に来たのに、鹿が花びらだけを食べているのです。
いずれ、花にも毒の成分が届くように進化するのではないかと思います。

都井岬に行ったときに、馬が食べない草があり、それは毒のある草だと教えていただきました。
植物は動物に食べられないように毒を持つように進化することがあります。
人間はその毒を利用して薬を開発してきました。
歴史は面白いです。
