病気になってからの投薬や治療では救えない、本当に必要なのは、病気になる前の正しい運動習慣と食事の管理である
会員の性別を女性だけに絞ることで大ヒットしたアメリカ発祥のフィットネスクラブが「カーブス」です。
創業者のゲイリーは、13歳のときに母親を亡くしました。
彼女は、まだ40歳の若さでしたが、肥満体で高血圧と糖尿病を発症していたのです。
そんなこともあり、ゲイリーは医学の道を志します。
やがて、薬と治療だけで、自分の母親のような人は救えないと気がつきます。
母のような人を救うには、正しい運動の習慣が不可欠だと思うようになりました。
運動する場所さえあれば、母のような人も生きていたはずだと、ゲイリーはフィットネスクラブを立ち上げますが、失敗します。
そもそも、昔の母のように運動が苦手で体型にコンプレックスがある中年女性は、フィットネスクラブには来てくれないことがわかりました。
その理由を調べてみると、3つのものに行き当たりました。

Men(男性)、Make-up(化粧)、Mirror(鏡)です。
男性の目がイヤ。
運動しに行くのにメイクする必要があるのがイヤ。
鏡で自分の姿を見るのがイヤ。
それがフィットネスクラブに来ない原因だったのです。
そこでゲイリーは、「No MAN」「NO MAKE-UP」「NO MIRROR]というコンセプトを打ち立て、会員もすべて女性のフィットネスジム「カーブス」を立ち上げました。
カーブスには、一般的なスポーツジムにあるようなロッカーやシャワー室もありません。
スタジオもないので鏡もありません。
筋力トレーニング・軽めの有酸素運動・ストレッチを組み合わせ、わずか30分でワークアウトできる、でも健康効果のあるフィットネスにしました。
カーブスではフレンドリーなコーチがいつもやさしく声をかけてサポートしてくれます。
この斬新なコンセプトは瞬く間に大ヒットします。
わずか6年で全米500店以上に増えました。
さらにアメリカだけでなく、世界中に広がったのです。
日本では特に受けて、全国47都道府県に1900以上の店舗があるといいます。

特徴は以下の4点。
男性の目を気にせず、運動に集中できる。
予約不要で、30分、ぱっと行ってサッと帰れる。
短時間でも効率よく脂肪燃焼や筋力維持が目指せるプログラム。
運動が苦手な人や、シニア世代でも、体力に合わせて自分のペースで無理なく続けられる環境。
ちなみに、創始者のゲーリーは医師ではありません。
医学部進学課程に進み、医学を学び始めましたが、母のような人は、病気になってからの投薬や治療だけでは救えない、本当に必要なのは、病気になる前の正しい運動習慣と食事の管理だと確信しました。
そうして大学を中退してフィットネス業界に進むことになります。
試行錯誤や倒産などの苦難を乗り越え、1992年に妻のダイアンさんとともにテキサス州で開いたのがカーブス1号店です。
病院に通う前の予防医療としての運動の大切さを身を以て知っていたからこそ、運動が苦手な女性やシニア層でも無理なく続けられる、独自の30分プログラムが生まれました。

日本でも1990年代に、レオタード、レッグウオーマー、トレッドミルなど、フィットネスがはやりましたね。
私は、カーブスのコンセプトには全く気づいておりませんでした。
労働省に勤務した頃に、職場における労働者の健康の保持増進事業「トータル・ヘルス・プロモーション・プラン(THP)」の立ち上げに関与しました。
医師の処方に基づき作成されたプログラムに従って、ヘルスケアリーダー、ヘルスケアトレーナー、産業保健師、心理相談員、産業栄養指導士らが心と体の健康指導を行うというものでした。
それに比べると、カーブスの身軽さが目立ちます。しかも女性に絞ったところが凄い。
これが、世界に広がった理由ですね。昔を振り返えると勉強になります。
こうしたことが学べる川上徹也さんの「ストーリーブランディング100の法則」は公衆衛生のネタ本です。
