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ヨーロッパで集めた美術品に「松方コレクション」と名前をつけられた人物は、日本の八時間労働制の創始者である

松方幸次郎という人がいます。

美術に詳しい方ならば、美術収集家だとピンとくるかもしれません。

松方幸次郎は、明治時代の薩摩藩の元勲で首相を務めた松方正義の三男です。

ヨーロッパで集めた美術品は、「松方コレクション」と言われるほどの圧倒的な数と質を誇っておりました。

戦争中にフランス政府が、敵国資産ということで差し押さえしました。

戦後、吉田茂総理がフランス政府に対して、日本への返還を要求しました。

フランス政府は、松方コレクションを収蔵できるにふさわしい美術館をつくることを条件に、引き渡すことを約束しました。

こうして作られたのが、東京の上野にある国立西洋美術館です。

ル・コルビュジエの建築で、世界遺産にも登録されております。

パリジャンの皮肉たっぷりの条件を、「てやんでい、上等じゃねーか!」と江戸っ子の心意気で対応したという感じでしょうか。

実は、松方幸次郎は、労働の世界でも有名です。

1919年9月に神戸の川崎造船所で労働争議が勃発しました。

労働者によるサボタージュが行われ、これが今も使われる「サボる」の語源となりました。

川崎造船所の社長の松方幸次郎は、争議団に対して、労働時間を10時間から8時間にして、同額の賃金の支給を行うことを提示しました。

いわゆる8時間労働制の提示により、急転直下して労働争議は解決されました。

この争議がきっかけとなり、1919年中に8時間制を採用した工場は、全国で200カ所以上に達したそうです。

川崎造船所があった神戸のハーバーランドには、「八時間労働発祥之地」という碑が建てられています。

宮崎からフェリーで神戸に行ったときに確かめていただければ幸いです。

また、東京に行った際には、上野の西洋美術館にも足を運ぶと、松方コレクションに会えます。

松方幸次郎が争議団に8時間労働制を示したのには、理由がありました。

1919年の国際労働機関(ILO)第一回総会で、「1日8時間、週48時間」という国際ルールが定められたのです。

松方幸次郎は、米国イェール大学に留学した国際派でした。

欧米諸国の労働環境についても研究しており、なによりも1919年のILO総会に出席していました。

争議団に示したのは、ILOで提唱されたばかりの8時間労働制だったのです。

会社の就業規則に盛り込みました。

美術と労働は実は、密接な関連があります。

有名な画家は、労働者の姿をたびたび描いていております。

仕事に疲れて、美術館に行ったりすると、疲れがとれたりします。

現在、宮崎県立美術館に、ダリのコレクションが来ているとのこと。

月末までなので、ぜひぜひ見に行こうと思います。

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