保険者からの「医療費のお知らせ」を確認することは、我が国の健全な保険診療体制を守っていくことにつながる
医療費のお知らせが届きました。
お知らせには、この「医療費のお知らせ」の発行の目的が書かれています。
①皆様に受診時の医療費の実情を理解していただくこと
②ご自身の健康に対する認識を深めていただくこと
③共済組合の健全な運営を図ること
この医療費のお知らせが何の役に立つのか、疑問に思っている方もいるかもしれません。
確定申告の医療費控除に使えるとあるので、その程度かと思う方もいるでしょう。
実は、上記の③の共済組合の健全な運営を図ることにおいて、かなり重要な役割を果たしているのです。
医療機関の診療報酬の不正受給は、この医療費のお知らせにより発覚することがほとんどといっても過言ではありません。
健保組合や共済組合などの保険者から届いた医療費のお知らせを見て、身に覚えのない医療機関が記載されていたり、受診した日数や金額が異なっている場合があります。
これらの場合は、被保険者や組合員や被扶養者の方の医療費が不正に請求されている可能性があります。
そこで、「医療費のお知らせに記載されている問い合わせ先まで、その旨をご連絡くださいますようお願いいたします。」と書かれているのです。
ここでいう医療機関とは、病院、診療所、歯科診療所、薬局、柔道整復施術所などの医療保険が使える機関です。

私が厚生局にいたときに、いくつかのパターンがありました。
海外出張の多いある会社の役員に医療費のお知らせが届きました。
見ると、ときおり通っている診療所の名前があったのですが、受診日が多いことに気がつきました。
秘書に確認したところ、その受診日には外国に出張していたので、絶対に受診していないと確信が持てました。
そこで、医療費のお知らせにある連絡先に電話をして、その診療所の医療費の不正が発覚しました。
子どもを小児科に受診させていた母親の自宅に、保険者からの医療費のお知らせ通知が届きました。
地方自治体の医療費助成制度があり窓口負担はないので普段は、医療費のお知らせの通知には気にもとめていませんでしたが、どんなことが書いてあるのかと開けてみました。
すると、クリニックに行っていない日が受診日となっているので、不安になって医療費のお知らせにある連絡先に電話をして、発覚しました。
厚生局の調査では、小児の医療費は窓口負担がないことから、ばれないだろうと思ってやったということでした。
医療機関の不正は必ずばれます。
従業員とグルになって不正をしても、いつかはバレます。最終的に仲間割れが生じて、当局に通報します。
保険医療機関の医師の診療報酬の不正が発覚すれば、厚生局により調査されて、不正額は返還させられ、保険医取消し処分となります。
5年間は保険医となることができません。併せて、医師法に基づく行政処分が行われます。

厚生局の調査の際に、すぐに分かるのは歯科医の不正です。
患者の歯を診れば、請求した内容にふさわしい治療をおこなったかどうか直ぐに判断できます。
不正が起こりやすいのは、医療機関の管理者が親から子に変わるときです。
親には患者が多くついているのですが、後を継いだ子に患者が円滑に引き継がれるとは限りません。
外来に来る患者数が減って、不正請求をしてしまうということがあります。
薬剤師の場合は、医師の処方がないま又は偽造して、医薬品を販売してしまうことがあります。
医薬品の場合は、同業者からの通報により発覚することがあります。
ノルマを達成するために、不正をすることに良心が耐えられないのです。
いずれにしろ、診療報酬の不正は必ず発覚します。
そのために、「医療費のお知らせ」は大事な役割を果たしているので、必ず確認して下さい。
こうした行為が、我が国の健全な保険診療体制を守っていくことにつながります。
