「マイケル」は公衆衛生の映画であり、マイケルの母はアマテラスである
映画「マイケル」を見ました。
およそ2時間にわたって、
同じ時代を生きてきたビッグスターの半生を食い入るように見つめました。
結論からいえば、これは公衆衛生の映画だと確信しました。
マイケルの子供時代は、児童虐待が描かれています。
インディアナ州の製鉄工場に勤めている父は、さながら「巨人の星」の星一徹です。
当時は子だくさんでした。
兄弟5人で「ジャクソン5」を結成し、毎晩のように演奏の練習を繰り返します。
最年少のマイケルは、ボーカルを担当します。
歌の練習が嫌いなマイケルは、父からベルトでぶたれます。
身体的虐待の典型で、時代を感じました。
しかしマイケルの才能は、父からの児童虐待によって磨かれ、レコード会社のスカウトの眼にとまります。
スカウトの女性は、常にタバコをくわえていました。
1960年代のアメリカは、まだタバコ規制が緩かったことが分かります。
小さい頃からテレビに出ていたマイケルには、学校での友達がいません。
町から町へと演奏旅行で、移動中はいつもピーターパンの絵本を見ていました。
片手の海賊やネバーランドが登場します。ピーターパンが戦う海賊の船長は、おそらく父です。
ネバーランドは、理想の家。人間の友達がいないマイケルは、きりんやラマ、巨大な蛇、チンパンジーが友達でした。
映画には「悪人」は一切登場しません。
父以外は……。
母は常にマイケルの味方をしました。
あなたには才能がある。光を放つ人になりなさいと言われました。
このシーンは、アマテラスを感じました。
マイケルは、ポップコーンをほうばりながら、母とチャップリンなどの古い映画を見るのが、好きでした。
またマイケルは、おもちゃが好きで、子どもが好きでした。
マイケルは、小児病棟に入院している子どもたちに動物のぬいぐるみをプレゼントして、優しく語りかけます。
話はピーターパンのことと、飼っている動物の話、チャップリンの話。
自分が一番好きなものを話していました。
大人になったマイケルは、父から独立して、ソロで歌いたいと思うようになります。
父に似て大きかった鼻を整形手術をして顔を変えました。
有能な弁護士を雇って、父をクビにします。
ロサンゼルスでは、貧困層の若者は、薬物の運び屋になるかギャングになるしかないといったテレビのニュースを見て、作詞やダンスなど曲作りに邁進します。
こうしてできた曲はスリラーです。
ミュージック・ビデオは、全世界に衝撃を与えました。

父の「ジャクソン5」のメンバーか、ソロか。
生涯にわたり、ピーターパン(マイケル)と海賊の船長(父)との闘いが繰り広げられます。
ジャクソンズの一員としてペプシコーラのCM撮影中に、火が頭に燃え移り、救急車で運ばれて病院に入院します。
三度の熱傷で死にかけました。
マイケルは痛みに苦しみます。
このときに治療で使用したのが、デメロールです。
オピオイドと呼ばれる医療用麻薬性鎮痛剤で、映画では描かれませんが、これ以降、長年にわたる依存症に苦しむことになりました。
マイケルは、生命保険会社からの補償金をすべて熱傷センターに寄付しました。
地元ロスアンゼルスのドジャーズ・スタジアムでの公演の最終日、父にむかって宣告します。
マイケルが子どもの頃に、父に雇われたマイケルのボディガード兼運転手のセリフが心に沁みました。
悪人は父だけ。
しかし、マイケルの才能を最初に見ぬいたのは父です。
父の言葉です。
人生には勝者と敗者がいる。
お前たちはどっちになりたいのか。
マイケルが亡くなったのは50歳です。
若すぎる死でした。
しかし、織田信長の「本能寺の変」と同じく、スーパースターの伝説は、これによって完成したともいえます。
公衆衛生を目指す皆さん、映画は必見です!
