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地銀は県境を越え生き残るために統合の道を選んでいる。病床規制が始まる前は病院に融資し増床を促した時代があった

森光医政局長の講演の第二弾です。

その前に新しい地域医療構想について紹介させていただきます。

地域医療構想の考え方

医療機関機能に着目して、地域の実情に応じて、「治す医療」を担う医療機関と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、医療機関の連携・再編・集約化が推進されるよう、医療機関から都道府県に、地域で求められる役割を担う「医療機関機能」を報告。

地域の医療提供体制の確保に向けて地域で協議を行うとともに、国民・患者に共有する。

二次医療圏等を基礎とした地域ごとに求められる医療提供機能、より広域な観点から医療提供体制の維持のために必要な機能を設定。

これについて、個人的な解釈を加えます。

これまでは病床機能だったものが、「病院」機能となり、医療機関の連携だったのが、「再編・集約化」が銘記されました。

都道府県が、報告された各病院の機能に応じて、地域の病院の再編・集約化ができるスキームができたということになります。

病院は銀行と同様に、再編・集約化がしやすいサービス提供体だと思います。

いろいろと「違う」と言っていますが、利用者(住民・患者)にとってみれば、銀行間・病院間の違いはよく分かりません。

外から見て分かるのは、場所の違いだけです。

預金しても銀行の金利は同じで、また病院は、全国一律の診療報酬です。

土日は、銀行も病院も窓口は休みです。これはちょっと違うかも。

少子高齢化が進むと、必ず人口が減少します。

人口減少は、患者の減少に直結します。子どもが少なくなると、医療従事者の確保が困難になります。

入院患者のベッド数に応じて必要な看護師の数は決まっているので、ベッド数を維持するためには患者が入院していなくても一定数の看護師を確保しなければなりません。

看護師確保が困難な病院は、看護師数に応じてベッド数を縮小しています。

人口が増加する時代は、同じ地域に同じ規模の病院があっても、やっていけましたが、人口減少の波は病院経営を直撃します。

病院収入は、外来患者数と入院患者数で決まります。

人口減少地域では、病院間で患者の取り合いとなります。

同じ「病院機能」で「違いが無」ければ、共倒れになります。

診療所では医師数は1人で大丈夫ですが、病院となると最低3人の医師が必要となります。

医師が確保できない病院は、「標欠病院」といわれます。

これは人員配置基準を満たしていない病院をことを指す業界用語です。

「標準数欠員病院」の略です。

診療報酬の入院基本料などがカットされ、病院経営的にも危うくなります。

かつて、医師が勤務したことにするという「名義貸し」が行われたことがあり、そうした不正のあった標欠病院では診療報酬の返還がなされました。

人口減少地域の病院で、患者の数が減り、医師や看護師が集まらない病院は致命的です。

医療法による病床規制が行われる前の1970年代に創設された病院は、生き残るために戦略を立てる必要があります。

孫子も言っています。「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」

彼(地域)を知り、己(病院機能)を知ることです。

「百選(百人の患者が選ぶ)して殆うからず」の方策の一つが再編・統合です。

かつては銀行は倒産しないといっていましたが、現在では県境を越えて地方銀行同士が生き残るために再編・統合の道を選んでいます。

医療計画による病床規制が始まる前に、地方銀行は地域の病院に積極的に融資し増床を促した時代がありました。

隔世の感があります。

県の医療政策課の調査によると、宮崎県内全ての病院及び有床診療所の令和7年6月1日時点の入院患者の数は、1万3130人です。

許可病床数は、1万9057床です。約6千床が使われていません。

1999年の推計入院患者数は2万100人でしたが、2023年には1万3800人となっています。

24年間で6千人が減少しています。

森光医政局長の講演に戻ります。

厚労省が示した地域ごとの医療機関機能には4つあります。

①高齢者救急・地域急性期機能

高齢者をはじめとした救急搬送を受け入れるとともに、必要に応じて専門病院や施設等と協力・連携しながら、入院早期からのリハビリ・退院調整等を行い、早期の退院につなげ、退院後のリハビリ等の提供を確保する。

②在宅医療等連携機能

地域での在宅医療の実施、多の医療機関や介護施設、訪問看護、訪問介護等と連携した24時間の対応や入院態様を行う。

③急性期拠点機能

地域での持続可能な医療従事者の働き方や医療の質を確保に資するよう、手術や救急医療等の医療支援を多く要する症例を集約化した利用提供を行う。

④専門等機能

上記の機能に当てはまらない、集中的なリハビリテーション、高齢者等の中長期にわたる入院医療機能、有床診療所の担う地域に根ざした診療機能、一部の診療科に特化した地域ニーズに応じた医療を行う。

高齢者医療においては、あらゆる段階において、マルチモビディティ(他疾患併存状態)患者へのリハビリを含む、治し支える医療の観点が重要
だとしています。


厚労省が示した広域な観点の医療機関機能はつぎのとおりです。

医育及び広域診療機能

大学病院本院が担う、広域な観点で担う常勤医師や代診医の派遣、医師の卒前・卒後教育をはじめとして医療従事者の育成、広域な観点が求められる診療を総合的に担い、また、これらの機能が地域全体で確保されるよう都道府県と必要な連携を行う。

現在、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会をはじめ、在宅医療及び医療・介護連携ワーキンググループ、救急医療等に関するワーキンググループ、小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ、災害医療・新興感染症医療に関するワーキンググループの外、がん、循環器疾患、精神医療に関する検討体制と連携して、鋭意検討を行っています。

今年3月末に、地域医療構想ガイドラインと、地域医療計画指針(外来・在宅、医師確保)を発出する予定です。

地域医療構想ガイドラインは、日本全体としての高齢化や生産年齢人口の減少等の課題や、地域ごとの異なる課題を踏まえながら、整理していくことにしています。

大都市型、地方都市型、人口の少ない地域型、の3とおりのガイドラインを示す予定だそうです。

医療法等の一部を改正する法律が成立しました。

医療法等の一部を改正する法律の改正の趣旨

高齢化に伴う医療ニーズの変化や人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するため、地域医療構想の見直し等、医師偏在是正に向けた総合的な対策の実施、これらの基盤となる医療DXの推進のために必要な措置を講じる。

改正の概要

1 地域医療構想の見直し等【医療法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律等】

①地域医療構想について、2040年を見据えた医療提供体制を確保するため、以下の見直しを行う。

・病床のみならず、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む従来の医療提供体制全体の構想とする。

・地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確化し、在宅医療や介護との連携等を議題とする場合の参画を求める。

・医療機関機能(高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等)報告制度を設ける。

厚労大臣は、医療計画で定める都道府県において達成すべき五疾病・六事業及び在宅医療の確保の目標の設定並びに当該目標の達成のための実効性のある取組及び当該取組の効果に係る評価が総合的に推進されるよう、都道府県に対し、必要な助言を行うものとする。

都道府県は、その地域の実情を踏まえ、医療機関がその経営の安定を図るために緊急に病床数を削減することを支援する事業を行うことができるようにするとともに、医療機関が当該事業に基づき病床数を削減したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、医療計画において定める基準病床数を削減するものとする。

また、国は、医療保険の保険料にかかる国民の負担の抑制を図りつつ持続可能な医療保険制度を構築するため、予算の範囲内において、当該事業に要する費用を負担するものとする。

②「オンライン診療」を医療法に定義し、手続き規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に係る規定を整備する。

③美容医療を行う医療機関における定期報告義務等を設ける。

2 医師偏在是正に向けた総合的な対策【医療法、健康保険法、総確法等】


①都道府県知事が、医療計画において「重点的に医師を確保すべき区域」を定めることができることとする。

保険者からの拠出による当該区域の医師の手当の支給に関する事業を設ける。

②外来医師過多区域の無性診療所への対応を強化(新規開設の事前届出制、要請勧告公表、保険医療機関の指定期間の短縮等)する。

③保険医療機関の管理者について、保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等を要件とし、責務を課すこととする。

3 医療DXの推進【総確法、社会保険診療報酬支払基金法、感染症の予防及び患者に対する医療に関する法律等】

①必要な電子診療録等情報(電子カルテ情報)の医療機関での共有等や、感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由の提出を可能とする。

政府は、医療情報の共有を通じた効率的な医療提供体制の構築を促進するため、電子診療録情報の電磁的方法による提供を実現しなければならない。

政府は、令和12年12月31日までに、電子カルテの普及率が約100%となることを達成するよう、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の先端的な技術の活用を含め、医療機関の業務における情報の電子化を実現しなければならない。

②医療情報の二次利用の推進のため、厚労大臣が保有する医療・介護情報のデータベースの仮名化情報の利用・提供を可能とする。

③社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営に係る母体として名称、法人の目的、組織体制等の見直しを行う。

また、厚労大臣は、医療DXを推進するための「医療情報か推進方針」を策定する。その他公費負担医療等に係る規定を整備する。

(その他)

政府は、令和8年4月1日に施行される外来医師過多地域等に関する規定の施行後3年を目途として、外来医師過多区域において、新たに開設された診療所の数が廃止された診療所の数を超える区域がある場合には、当該区域における新たな診療所の開設の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

政府は、都道府県が医師手当事業を行うに当たり、保険者協議会その他の医療保険者等が意見を述べることができる仕組みの構築について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

政府は、この法律の公布後速やかに、介護・障害福祉従事者の賃金が他の業種に属する事業に従事する者と比較して低い水準にあること、介護・障害福祉従事者が従事する業務が身体的及び精神的な負担の大きいものであること、介護又は障害福祉に関するサービスを担う優れた人材の確保が要介護者等並びに障害者及び障害児に対するサービスの水準の向上に資すること等に鑑み、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を図りつつ介護・障害福祉従事者の人材の確保を図るため、介護・障害福祉従事者の適切な処遇の確保について、その処遇の状況等を踏まえて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を機動的に講ずるものとする。

数字が入っていないもの(黒字部分)は、衆議院での修正部分です。

医療法等の施行日

1 地域医療構想等

・5疾病・6事業・在宅医療に関するロジックモデル
 公布日

・病床数削減支援事業
 公布日(~令和9年4月廃止)


・医療機関機能報告制度の創設
 令和8年10月

・新たな地域医療構想の策定
 令和9年4月

・地域医療構想への精神医療の追加
 令和10年4月等

・オンライン診療の法定化等
 令和8年4月

・美容医療を行う医療機関による定期報告等
 公布後2年以内

2 医師偏在是正に向けた総合的な対策

・重点医師偏在対策支援区域の設定
 令和8年4月

・医師手当事業
 公布後3年以内

・外来医師過多区域の無床診療所への対応強化、保険医療機関の管理者要件
 令和8年4月            

3 医療DXの推進

・電子カルテ情報の共有、発生届の経由提出
 公布後1年以内・3年以内

・政府による電子カルテ情報の提供の実現
 公布後1年以内


・2030年までの電子カルテ普及率約100%を達成するよう、クラウド技術等の活用も含む、医療機関の業務における情報の電子化の実現
 公布後1年以内


・仮名化情報の利用・提供 
 公布後3年以内等

・支払基金の組織見直し・医療DX方針の策定 、公費負担医療等の規定整備      
 交付後1年6月以内・2年以内等

4 その他(検討規定)

・外来医師過多区域での新たな診療所開設の在り方【施行後3年目途】
 令和8年4月


・医師手当事業に関して保険者等が意見を述べる仕組みの構築
 公布日


・介護・福祉従事者の適切な処遇の確保【速やかに】
 公布日

黒字は、衆議院の修正によるものです。

医療法改正は大変だったと思います。

しかも、衆議院で修正されたのでさらに大変だったと思います。

書くだけでも大変でした……。

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