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「微少な昆虫を識別できる目」を持つ研究者は、8万7319匹の識別法をAIに学習させシステムを構築した

私の父は92歳ですが、元気で椎葉村に暮らしております。

畑があり、いろんな作物の苗を植えて、収穫した野菜を自分で食べたり、近所の人に配るのが生きがいとなっております。

NHKの教育テレビの野菜作りの番組を見るなど研究をしております。

最近は、へべすの苗を植えたり、ミツバチを飼おうかと、多角的な作戦を練っております。

毎月の文藝春秋を読むのも趣味で、私が買って椎葉に帰るときに持って行ったり、レターパックで送ったりしております。

毎月10日が発売日で、昨日今月号を購入しました。

農研機構植物防疫研究部門に勤務する矢代敏久さんの記事が面白かったので、ハベレオ通信で概要を紹介します。

岡山大学で、10年以上にわたってシロアリを研究していた研究者です。

シロアリの卵6000個を観察し、9171匹の雌雄判別をされました。

こうしたアナログな研究を積み重ねてきたことが、コメの安定供給を守るためのAIの開発につながったという話には、感銘を受けました。

矢代さんは、農研機構が2022年にリリースした「イネウンカAI自動カウントシステム」の開発に関わっています。

画像データを読み込むと、イネの害虫三種が検出されます。

イネの害虫の王様はウンカで、代表的なものにトビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカの三種類がいます。

それぞれの種の成虫と幼虫、翅(はね)の短長、雄と雌など、特徴に応じて18のカテゴリーに分類し、個体数がカウントされるすぐれものです。

読み込みからカウントされるまでにかかる時間は、約5分。識別制度は90%以上。

2025年には国際学術誌のサイエンティフィック・リポーツに掲載されています。

歴史的に、稲作の最大の宿敵はウンカの大量発生です。

ウンカの大きさは、成虫でもわずか5ミリ。

大発生すると「坪枯れ」の名前がつくほどの坪単位の稲の枯死現象を引き起こします。

最悪の場合は、水田内の稲が全滅します。

また、縞葉枯病をはじめとする恐ろしい植物病原ウイルスの媒介者でもあります。

江戸時代の享保の大飢饉の一因が、このウンカだと言われています。

近年でも数十億円規模の被害を稲作にもたらしています。

こうした被害を未然に食い止めるため、現在は全国の約三千地点について月2回以上の頻度で、ウンカの個体数が調べられています

看過できないレベルに達すれば、直ちに農薬による駆除を農家にアラートします。

これは「発生予察事業」と呼ばれています。

これはまさに、全国の定点医療機関で毎週行われている感染症サーベイランスの「お米版」だと感じました。

発生予察事業の個体数の観察を専門家が目視で実施していたのです。

具体的には、稲から叩き落としたウンカをB5サイズの粘着版で捕獲し、1匹ずつ数えあげる作業をしておりました。

個体数が多いと、1地点あたり1時間以上かかります。

そこで、観察の自動化を図るために、農研機構がAIシステムの開発に乗り出したのです。

矢代さんは、ウンカの専門家でもAIの専門家でもなく、全くの門外漢でした。

しかしシロアリの研究で培われた「微少な昆虫を識別できる目」を持っていたことから、農研機構からヘッドハンティングされました。

矢代さんは、膨大な数のウンカを18カテゴリーに識別し、その画像を高速物体検出AIモデルに学習させる作業を担当しました。

この作業を矢代さんは、一人でやったのです。

学習データに個人差が紛れ込むと、AIの識別制度が落ちるという理由からでした。

矢代さんが最終的に識別したウンカの総数は、8万7319匹にものぼりました。

ウンカは米粒よりも小さいのです。

こうした物体を識別するためには、顕微鏡を覗く必要がありました。とても疲れる作業でした。

辛かったのは、顕微鏡を覗いて識別する作業ではなく、妻子と離れ、非正規の研究員のまま独り、赴任先で暮らさなければならないことでした。

幼子を残したままで、その成長を見ることができない。

心は嵐のように荒ぶりますが、その結果、業務に没頭できました。

このプロジェクトが成功すれば、正規の研究員になれる。

家族と共に暮らせる」と必死でした。

こうした鬼神にもまさる努力で、40歳を目前にして初めて正規の研究員として採用され、家族を呼び寄せることができたのです。

矢代さんは言っています。

諦めずに続けていれば、未来は拓ける

昆虫ファンの私としては、映画にしてほしいです。

日本人の米に対する想いは天に届くほど。

主役は当然、吉沢亮さんでしょう。

このキャストなら映画「国宝」を超える大ヒットは間違いなしです。違うか


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