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靴屋で17年働いてわかった、靴の試着で見るべき7つのポイント

「お店で履いたときは大丈夫だったのに、家で歩いたらなんとなく合わない」

「いつものサイズを選んだのに、かかとが浮く」

靴の販売とフィッティングを17年続ける中で感じてきたのは、試着が短いことよりも、座ったままの第一印象だけで決めてしまうことのほうが失敗につながりやすい、ということです。

試着で確かめたいのは、足を入れた瞬間に痛くないかだけではありません。

立ったときに足がどう収まるか。歩いたときに、かかとや指先がどう動くか。そこまで見て、初めて分かることがあります。

この記事では、次に靴を買うとき、そのまま使える7つの確認ポイントをまとめます。特定の商品は紹介しません。

結論|試着は「履く、締める、立つ、歩く」の順番で見る

確認したいのは、次の7つです。

  1. 履く場面に近い靴下で試す

  2. 両足を履き、かかとを合わせて締め直す

  3. 座った感覚だけで決めず、立って確かめる

  4. つま先は長さだけでなく、指が動くかを見る

  5. 幅・甲・曲がる位置の違和感を分ける

  6. 歩いて、かかとの浮きと前滑りを見る

  7. 小さな違和感を「そのうち慣れる」で無視しない

全部を細かく覚えなくても大丈夫です。

まずは、両足を履く、きちんと締める、少し歩く。

この3つだけでも、座ったままサイズを決めるより分かることが増えます。

1|履く場面に近い靴下で試す

試着前に決めておきたいのが、その靴を何に使うかです。

仕事用の革靴なのか、休日のスニーカーなのか、旅行で長く歩く靴なのか。使い方によって、合わせたい靴下も変わります。

薄い靴下で試着して、実際には厚手の靴下で履けば、甲や指まわりが窮屈になることがあります。反対に、厚い靴下で合わせた靴を薄い靴下で履くと、足が靴の中で動きやすくなることがあります。

私の接客経験では、靴下の厚さが変わるだけで、選ぶサイズや幅の感じ方が大きく変わることがあります。 「靴下くらい」と考えず、仕事用、スポーツ用、冬用など、実際に履く厚さへできるだけ近づけてください。

試着用の靴下が店にある場合も、自分が普段使うものと厚みが近いか見てください。

「何cmを履くか」の前に、「何を履いた足で合わせるか」をそろえる。

地味ですが、ここは大切です。

2|両足を履き、かかとを合わせて締め直す

左右の足は、必ずしも同じ形ではありません。

足長が少し違う人もいれば、片方だけ甲が高い、幅が広い、かかとが細いという人もいます。片足だけでちょうどよくても、もう片方では当たることがあります。

私自身、足長の左右差はほとんどありませんが、右足のほうが甲は高いです。長さが同じだから大丈夫だと思って選び、右足の甲だけが当たって失敗したことが何度もあります。左右差は、足の長さだけを見ても分かりません。

試着では両足を履きましょう。

ひも靴なら、一度ひもをゆるめて足を入れ、かかとを靴の後ろへ合わせてから締め直します。ベルトや面ファスナーも、普段履く強さで留めます。

足を入れたあと、つま先側を床へ「トントン」とする方をよく見かけますが、合わせたい方向は逆です。つま先をトントンすると、足が靴の前へ寄り、指先の余裕やかかとの収まりを正しく見にくくなります。

椅子に座った状態で、靴のかかと側を床へ軽くトントンと当て、足のかかとを靴の後ろへ収めてから、ひもやベルトを締めてください。

店頭に並んでいる靴のひもは、見た目を整えるために結ばれているだけで、自分の足に合っているわけではありません。

ゆるいまま歩けば足が前へ動きやすくなります。反対に、甲だけを強く締めすぎると、本来のサイズ感が分かりにくくなります。

正しく履く前に、「この靴は大きい」「これは甲が痛い」と決めないことです。

3|座った感覚だけで決めず、立って確かめる

靴へ足を入れた直後は、まだ体重が十分にかかっていません。

研究では、足は体重がかかるにつれて、長さや幅が増え、高さが低くなる方向へ変化することが報告されています。変化の大きさには個人差がありますが、座った状態と立った状態がまったく同じではないことは知っておいてよいと思います。

だから、座ったまま「当たらないから大丈夫」で終わらせず、一度立ってください。

  • 指先の余裕が急になくならないか

  • 親指や小指の付け根が押されないか

  • 甲へ強い圧迫が出ないか

  • 土踏まずや履き口が一点だけ当たらないか

両足へ自然に体重を乗せた状態で確かめます。

そのあと、支えのある安全な場所で、短く片足立ちをしてみるのもおすすめです。片方の足へ体重が集まったときに、指の付け根、幅、甲などの圧迫が急に気にならないかを見ます。両足で立ったときには分からなかった当たりが、片足へ荷重すると見えることがあります。

ふらつく方は無理に行わず、壁や椅子へ手を添えるか、店員さんへ相談してください。

4|つま先は長さだけでなく、指が動くかを見る

つま先の確認というと、靴の先を指で押して余りを見る方法がよく知られています。

ただ、それだけでは十分ではありません。

まず確認したいのは、一番長い指が靴の先へ当たっていないかです。親指が一番長いとは限りません。

次に、指を軽く動かせるかを見ます。

長さに余裕があっても、つま先の形が足と合わず、親指や小指が横から押されていることがあります。反対に、先が余っていても、足が前へ滑って指先が当たっているなら、単純にサイズを上げるだけでは解決しないことがあります。

ランニングシューズでは、メーカーや専門機関が約1cm前後の余裕を目安として案内することがあります。

ただし、革靴、パンプス、スニーカーでは、靴の設計や固定方法が違います。どんな靴でも一律に1cmあれば正解、という意味ではありません。

数字は入口です。

最後は、立って歩いたときに指が当たらず、必要な動きができるかで判断します。

5|幅・甲・曲がる位置の違和感を分ける

「横がきついから、もっと幅広を」と考える前に、どこが当たっているかを分けて見てみてください。

  • 親指の付け根

  • 小指の付け根

  • 甲の中央

  • 履き口やくるぶし

  • 土踏まず

同じ「きつい」でも、原因は同じではありません。

甲が低い靴へ足が入りきらず、前側に圧迫が出ていることもあります。かかとが収まらず、足が前へ押し出されていることもあります。単純に幅を広げると、今度はかかとが浮いたり、足が前へ滑ったりする場合があります。

私がもう一つ見るのは、歩いたときに足が曲がる位置と、靴底が曲がる位置です。

指の付け根より大きく前や後ろで靴が曲がると、歩くたびに足と靴の動きがずれます。厳密に測る必要はありません。数歩歩いて、足の付け根で自然に曲がるかを見るだけでも参考になります。

「幅広かどうか」だけで終わらせず、どの場所が、どの動きで気になるのかを店員さんへ伝えると、別の幅だけでなく、別の靴型も提案してもらいやすくなります。

6|歩いて、かかとの浮きと前滑りを見る

靴は立つためだけのものではありません。

店内で許される範囲を、少し歩いてみてください。

見るのは、クッションの柔らかさより先に、足が靴の中でどう動いているかです。

  • 一歩ごとに、かかとが大きく抜けないか

  • 足が前へ滑り、指先が当たらないか

  • 脱げないように指へ力を入れていないか

  • 甲やくるぶしへ同じ場所が繰り返し当たらないか

  • 左右で歩きやすさが違わないか

かかとは、一切動かなければよいとは限りません。靴の種類や素材によって、許容される動きは変わります。

ただ、かかとのフィット感は、サイズ選びで見落としたくないポイントです。 私は、前足部に比べてかかとが細く、靴の後ろ側だけ余りやすい方を多く見てきました。つま先や幅が合っていても、かかと周りががばつく靴は、歩くたびに足が動き、失敗につながる可能性が高くなります。

ひもを適切に締めてもかかとが大きく抜けるなら、サイズだけでなく、靴型そのものが足に合っているかも確認してください。

ただ、歩くたびに大きく抜ける、足が前へ滑る、指で靴をつかむように力が入るなら、その理由を確認したほうがよいでしょう。

階段をよく使う靴なら、店員さんへ確認したうえで、段差に近い場所で感覚を見ます。仕事でしゃがむことが多いなら、軽く膝を曲げたときの甲や指先も確認します。

実際の用途に近い動きを一つ入れると、ただ往復するだけでは気づかなかった当たりが見つかることがあります。

7|小さな違和感を「そのうち慣れる」で無視しない

新品の靴は、素材に張りや硬さがあります。特に革靴は、履くうちに足当たりが変わることもあります。

ただし、何でも履けば解決するわけではありません。

  • 立った時点で指先が当たる

  • 一点だけ強く圧迫される

  • 数歩で痛みやしびれが出る

  • かかとが大きく抜け続ける

  • 足が前へ滑り続ける

こうした違和感を、「高い靴だから」「革だから」「店員さんにすすめられたから」という理由だけで無視しないでください。

迷ったら、同じ靴の前後サイズ、幅違い、似た用途の別モデルを履き比べます。

一方で、サイズを変えるほどではないわずかなゆるさなら、中敷きなどで靴の中の空間を微調整する方法もあります。ただし、中敷きは合わない靴を何でも直せるものではありません。明らかにつま先が当たる、かかとが大きく抜ける、強い圧迫や痛みがある場合は、中敷きで我慢せず、サイズや靴型を見直してください。

中敷きを使う場合も、入れた状態で両足を履き、立って歩いて、甲や指先が新たに圧迫されないかを確認します。

比べるときは「どちらがふわふわしているか」だけでなく、どちらが歩いたときに足の位置を保ちやすいかを見ます。

合わない理由を自分の足のせいにする必要はありません。

その靴の形と、自分の足や使い方が合わなかっただけかもしれません。

店頭で使える3分チェック

最後に、試着の順番を短くまとめます。

1分目|正しく履く

  • 実際に使う靴下に近づける

  • 両足を履く

  • つま先ではなく、かかと側を軽くトントンして合わせる

  • ひもやベルトを締め直す

2分目|立って見る

  • 一番長い指が当たらないか

  • 指が軽く動くか

  • 親指・小指の付け根、甲、くるぶしに強い当たりがないか

  • 左右で違いがないか

  • 安全にできる人は、片足へ体重をかけても圧迫がないか

3分目|歩いて見る

  • かかとが大きく抜けないか

  • かかと周りががばつかないか

  • 足が前へ滑らないか

  • 足の付け根で自然に曲がるか

  • 脱げないように指へ力を入れていないか

全部を一度で判断できなくても構いません。

「右の小指だけ当たる」「歩くと左のかかとが浮く」のように、場所と動きを言葉にできれば、次に何を試すかが見えやすくなります。

ネットで買うときも、室内で同じ順番を試す

ネットで靴を買う場合は、注文前に返品・交換条件を確認してください。

届いたら、屋外で使う前に、汚れていない室内で両足を履きます。普段の靴下、正しい締め方、立位、歩行という順番は店頭と同じです。

サイズ表と口コミだけでは、自分の足との相性までは分かりません。

返品できる状態を保ちながら確認し、明らかな圧迫や痛みがあれば無理に履き始めないほうがよいでしょう。

痛みやしびれがあるときは、靴だけで判断しない

この記事は、一般的な試着の考え方をまとめたものです。

強い痛み、しびれ、腫れ、傷、左右差の急な変化がある場合や、靴を替えても症状が続く場合は、靴選びだけで解決しようとせず、医療機関へ相談してください。

まとめ|サイズを当てるより、歩いたときの変化を見る

靴の試着で大切なのは、「いつものサイズだから大丈夫」と決めることではありません。

履く場面に近い靴下で、両足を履く。つま先ではなく、かかと側を軽くトントンして合わせ、締め直す。まず両足で立ち、安全にできる人は片足へも体重をかけてから、歩く。そして、どこにどんな違和感があるかを言葉にする。

試着は、正解のサイズを一発で当てる作業ではなく、自分の足と靴の相性を少しずつ確かめる作業です。

次に靴を試すときは、まず「両足を履く、締める、歩く」の3つだけでも思い出してみてください。

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参考情報

著者プロフィール

HAYAさん@シューフィッター。靴の販売・フィッティング17年、メーカー勤務を含め靴業界約20年。紳士靴、スニーカー、婦人靴、子ども靴の販売・フィッティングを経験し、現在はシューズメーカーで営業、商品企画、商品開発、営業戦略に関わっています。

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