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mioarty
【600字の綴りごと(社会)】権威・権力・暴力ーそして女性のこと
花曇りの朝に霧のような雨が降り出した。
本郷通りは土曜日の静けさだ。
地下鉄で新宿に出て「決断するとき」を観る。
アイルランドの作家クレア・キーガンの小説"Small things like these"が原作の映画だ。
舞台はアイルランドに実在したマグダレン修道院である。
別名マグダレン洗濯所とも言われ、未婚の母となった少女などを強制収容し、「非行」の矯正のために無償の洗濯作業に従事させ続けた。
多くの女性が収容されたまま亡くなり、敷地内に秘密裏に埋葬された。
施設が閉鎖されたのは1996年になってからのことで、その後の調査によって国家的関与が明らかとなり、2013年に政府が公式に謝罪している。
立憲主義にたつ現代国家では、暴力は国家が管理し、厳格なルールのもとで国家によってのみ発動される。
個人の収容という暴力は、罪を犯した者に対して司法手続により発動される法治国家の仕組みであり、いかなる宗教的権威によってもその発動は許されない。
とは言え、法と教義の境は時に曖昧だ。
アイルランド憲法は、カトリックの価値観を色濃く反映しているとされる。
「国は、女性が家庭内での生活により共通善の達成に欠くことのできない支持を国に与えていることを承認する。」(41条2項1号)
21世紀の今日にあっても、性別役割分業が憲法にはっきりと書き込まれている。
僕にとっては小さくない衝撃だ。
国家は謝罪した。未婚の母が修道院に収容されることは、もうない。
けれども、女性は自由になったのだろうか。
