【創作大賞2026│オールカテゴリ部門】【JACK】第一部 ― 静かな崩壊― はじめに(1)
この物語は、派手な英雄譚ではない。
夜の片隅で、誰にも気づかれずに、ただ静かに立ち続ける男たちの記録だ。
舞台は、繁華街の裏路地にひっそりと佇むバー「JACK」。
そこで働く神宮寺と、彼を取り巻く者たち——五島、陽子、美咲、沙織。
彼らは皆、何かを深く失っていた。
正しさに救われなかった者。
役割を剥ぎ取られた者。
赦されない過去を背負い続けた者。
それでも、夜は終わらない。
グラスの中の氷は溶け、煙草の灰は落ち、時計の針は容赦なく回り続ける。
第一部では、神宮寺という男の原点と、
彼が生きる世界の静かな歪みが、淡々と描かれていく。
猟奇的な事件は起こらない。
派手な救済もない。
ただ、誰かの人生が、
確かに、音を立てずに崩れていく。
光は、闇の中でしか輝けない。
だからこそ、彼らは夜に立つ。

誰にも気づかれずに立ち続ける。
グラスを拭く手は静かで、
その瞳は、すでに何かを失っている。
※Murekaで制作したオリジナルのイメージ音源です。読後の余韻としてお楽しみください。
──静かな崩壊
灰が落ち、氷が溶け、針が回る。
誰も、止めない。
(JACK 第一部 ― 静かな崩壊 ―)
