28歳最終日。古本でつながる縁
28歳を自称できる最後の日。今日の過ごし方は、5日前くらいから決めてた。
まず朝、できる範囲で仕事を済ましてから、10時開幕の神田古本
まつりに参戦。そのまま神保町でお昼を食べてから、新宿に移動してジャズ喫茶『DUG』で買った本を嗜む。その後、紀伊国屋書店を一周して帰宅。28歳364日に相応しい、大人の一人休日プランを立てていた。
古本まつりは初参加、DUGは友達と一緒に3回ほど行ったことがあるけど、一人で行くのは今日がはじめてだった。
朝起きて、一通りの仕事を済ましてから、愛犬への外出許可交渉。限界まで吸い尽くしたところで、無事に外出許可、というか「はやく行ってくれ」の顔をされたので、予定通りの電車に乗って出発した。途中で恒例のトイレ休憩を挟みながら、10時10分から古本散策開始。
想像の1.5倍ほどの規模感と、想像の3倍ほどの参加者数に若干ながら驚きつつ、1時間かけて2周。3冊もビッと来る本を買えた。そろそろお昼行こうと思って、最後に覗き直した本棚で、とある一冊に狙い撃ちをされてしまった。それが『ジャズ喫茶マスター、こだわりの名盤』という本。
僕が生まれる1年ほど前に出版された本で、ジャズ喫茶の店主が書き下ろしたエッセイや、ジャズの歴史的名盤について書かれている本だった。ジャズ喫茶に行く直前、図ったように本棚から手渡されてしまった。
驚いたの理由はもう一つ。実は、前々からジャズについて、少しずつでも知りたいなと思っていたところだった。僕の中にあるジャズの情報の九分九厘が『BLUE GIANT』から得たもの。最高の入り口から足を踏み入れた自信はある。けれど、せっかくならいろんなことを知りたいと思いつつ、それを何から得ればいいのかしばらくわからないままにしていた。そのタイミングで、この本に出会えた。古本だからこそ、繋がった縁だったと思う。
そのままお昼ご飯へ。路地裏で発見した居酒屋のアジフライ定食を食べてから、朝より少し重くなったリュックと、かなり重くなったお腹を抱えながら都営新宿線に乗って新宿に向かった。
いつも通り、新宿の地下迷路で迷子になりながら、店の前に到着。前回来た時よりも緊張しながら入店すると、まだ早い時間だったこともあって空いてた。お店の隅、スピーカーの真下にあるテーブル席に座って、最近飲めるようになったブレンドコーヒーを注文。相当な音量で流れる曲名を知らないかっこいいジャズを聴きながら、さっきの本を取り出して開く。
冒頭16ページほどは、とある写真家が撮影したジャズミュージシャンの白黒写真が掲載されていた。その1ページ目には、写真家のプロフィールが載っていた。名前は中平穂積氏。そして紹介文の一文目が、下の文章。
東京・新宿にジャズ喫茶「New DUG」とライブ・ジャズスポット「DUG」を経営する。
今、自分がいる場所を造り上げた人だった。さっき繋がった縁が、思っていた以上に太かったらしい。それからの1時間、誠に勝手ながら、とてつもなく特別な時間が過ごせた気分になった。
DUGを出てからは、紀伊国屋書店をざらっと回り、最寄り駅のスーパーで噂の酒蒸しハンバーグを作るための材料を買って帰宅。ぶっきらぼうに送り出した割に強烈なおかえりをもらったところで、無事にプラン完遂。
28歳、最後の最後で特別な1日を過ごせた。多分、29歳は相当にいいスタートが切れるはず。明日が楽しみ。
