ようやく声が届いた日— 指導員中心の支援が決まった話し合い(第30話)
恩師は私の話を聞くと、はっきりと言ってくださった。
「それは辞めてもらいなさい。人権を守るべきだし、それは生徒に見せるものではなく、先生たちが見て認識すべきことだ。」
その言葉に背中を押され、私はこれ以上振り回されるのは限界だと思い、校長先生と教育委員会の先生を交えて話し合いの場を持った。
私は率直な思いを伝えた。
「担任の先生に悪気がないことは分かっています。
でも先生は、息子の特徴に対して“今どんなサポートが必要なのか”“それは今すべきことなのか、後でもいいことなのか”が本当に分からないんだと思うんです。
分からない先生に息子を預けることが不安なんです。
それから人権学習の紹介案の件ですが、うちの子は出さないでください。」
教育委員会の先生は静かに頷きながら言われた。
「これまでのお話を聞いていても、担任の先生は一生懸命されていると思います。
ただ、認識や知識の面で追いついていないように感じます。
紹介案の内容も、本来は先生方が把握しておくべきことだと思います。」
校長先生も続けて頭を下げられた。
「ご両親には不安な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません。
紹介案は中止します。
担任も(息子)君のために何かできないかと一生懸命やっていることだけはご理解いただきたいのですが、正直、知識不足は認めざるを得ません。」
そして校長先生はこう提案された。
「指導員の先生と(息子)君は、とても良い関係ができているように見えます。お母さんから見ていかがですか?」
「指導員の先生は、息子の状態に合わせて動いてくださっています。」
「では今後は、指導員の先生と(息子)君を中心に学べる形にしていくのはいかがでしょうか。」
「そうしていただけると助かります。」
その言葉を聞いたとき、学校側から初めて前向きな提案が出たこと、そしてあの噛み合わない会話のストレスが減ると思えたことだけで、気持ちが随分軽くなった。
翌日から約束通り、息子は指導員の先生と過ごす時間が中心になった。
✳︎第31話は6月30日に続きます。
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくださりありがとうございます。
もしこの物語が心に残ったら、応援としてチップをいただけると嬉しいです。
これからも言葉を紡いでいく力になります。