【物語】イベントで感じた「家族」の雰囲気
彩子からカードリーディングを受けた後、私はもう少し、イベントを見て回った。
マッサージやファッション診断などを受けて、イベントを楽しんでいた。
そんなとき、屋敷の部屋で、スミレ校長と魔法の学校の在籍者が話をしているのが見えた。
2~3分くらいだろうか、スミレ校長がアドバイスをして、在籍者が神妙に聞いている。
1人が終わると、また次の在籍者がスミレ校長の前にやってきて、アドバイスを受ける。
そうか、
スミレ校長は、在籍者を1人ずつを呼んで、直接アドバイスをしているのか。
さっきまでは大きな声を出して、テキパキ動いていたかと思えば、今度は1人1人へのアドバイス。
スミレ校長のきめ細かさを感じた。
全員と話終わったあと、私もスミレ校長の前に呼ばれた。
私の場合は、アドバイスというより、お話がしたかったみたいだ。
「今日は、どうしてイベントに来てくださったの?」
スミレ校長は素朴な疑問をぶつけてきた。
それはそうだ、不思議に思われても仕方ない。
「私は広く一般の方々に心理学を伝えていきたいと思っています。それでセミナー活動をしているうちに、アメジストさんと出会いました。そんなご縁で今日はイベントに参加させていただきました」
私は背景を説明した。
「そういうことだったのね!」
スミレ校長は納得してくださった。
「スミレ校長のことは、アメジストさんから聞いています。数字に強いのですよね?」
「いや、強いというわけではなく、数字が頭に浮かぶの」
「0が浮かぶとアメジストさんから聞きました」
「そうね。空気中のいたるところに 0 が浮いているように見えるの。ここにも、そこにも、あっちにも……」
不思議な話だが、私は納得した。
なぜなら、空気ではなくて「真空」と解釈して、真空を「無」と考えると、0 というのはもっともなイメージだからだ。
ただ、現代の物理学では真空は単なる「無」ではなくて、いろいろなエネルギーで満ちあふれていると考えるが、
そんな堅い話はおいておいて、純粋に「空気中のあちこちに 0 が見える」 というのは、興味深い発想だと感じた。
「フランシス、またいつでも来てくださいね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
さっきは、彩子も交えて3人で楽しく話していたが、スミレ校長と2人だけで話していると、また違った意味で穏やかな空気が流れるのを感じた。

イベントはもう終わりを迎え、後片付けに入っていた。
魔法の学校の在籍者たちはテキパキと会場全体を片付けていた。
私も片付けを手伝った。 やがて、片付けが終わった若い在籍者たちが集まってきた。
小学生から高校生くらいだろうか、坂道に集まってダッシュで競争をしていた。 坂道を上がったり、下ったり。
周りに少しずつ、大人の五次元生たちが集まってきて、若者たちを応援している。
「わー、きゃー」
賑やかになってきた。 そこにはスミレの姿もあった。
在籍者たちに交ざって、一緒に応援をした。
ダッシュで競争をしている若者たちを、周りの大人たちが一体となって、和気あいあいと応援をしている。
そんな姿に「暖かさ」を感じた。
なんていえばいいだろう。
もう私が、ずいぶん長い年月、感じたことのない失った感覚。
家族
そんな感覚かもしれない。

若者たちのダッシュの競争も終わり、イベントを締めるときがやってきた。
最後に、ダッシュをしていた若者たちも、周りで応援していた大人たちも、全員で大きな輪を作った。
輪となって、みんなで一斉にかけ声をかけた。
「魔法の学校、オーー!!」
気づいたら、私も加わっていた。
この場の空気感が心地よかった。

そろそろ私の帰る時間が近づいてきた。
私は彩子のところへ行き、声をかけた。
「イベント、お疲れさまでした」
「フランシス、今日は楽しんでくれたかな?」
「うん、あやちゃんの頑張っている姿を見て、安心した」
「スミレ校長ともお話になられて良かったね」
「偶然、お会いできてビックリした! おかげさまでお話ができました」
「私もうれしい。フランシス、また参加してね」
「うん。じゃあ、最後にスミレ校長にご挨拶してから帰るね」
「フランシス、遠いところ、今日は本当にありがとうございました」
彩子は深々と頭を下げた。
ときどき、ズバズバ言われて困ることもあるが、このような礼儀正しい彩子の姿を見ると、清々しい気持ちになる。
今日はイベントに来て本当に良かった。
私は最後に、スミレ校長のところにご挨拶にいった。
「今日はありがとうございました。これから前向きに頑張れそうです。高みを目指します」
私の言葉を聞いたスミレ校長は、ハイテンションで、
「高みを目指そう!」
と、右手のこぶしを握って、空に向かって大きくつきあげた。
その元気いっぱいで、生き生きとした様子は、私の心に強いインパクトを与えた。
さすが魔法の学校の校長、スミレ校長だ。
私は駅まで送迎してもらい、また電車で3時間かけてアパートまで帰ってきた。
部屋には引っ越したばかりの段ボール箱があちこちに置かれていた。
いよいよ私の新生活が始まる。
そんなスタートの日に、不思議な出会いをした。
・スミレ校長との出会い
・彩子から引いた「高みを目指す」のカード
・家族のような暖かさ
彩子の応援に行こうと思って、何気なくおもむいたイベントだったが、
私にとって、ひとつのターニングポイントとなるような印象的な出来事だった。
■ 執筆者 : フランシス
■ スミレ校長と彩子とフランシスの物語
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