リサウンドという会社、デンマークから来た自然な音のメーカーです
お客様から「リサウンドって、どこの会社なの」と聞かれること
お客様から「リサウンドって、どこの会社なの」と聞かれること
訪問先で補聴器の話をしていますと、ときどきお客様からこう聞かれます。
「これ、どこの国の会社が作ってるの」
これまでフォナックの話を書いてきましたが、フォナックはスイスの会社です。今回ご紹介するリサウンドは、デンマークの会社になります。デンマークと言われてもピンとこない方が多いと思いますが、実はデンマークは、補聴器メーカーが多く集まっている国なのです。
世界の補聴器メーカーの上位を見ますと、デンマークに本社を置く会社が、いくつもあります。オーティコン、ワイデックス、そしてリサウンド。北欧の小さな国に、補聴器のメーカーがこれだけ集まっているのは、聞こえに関する研究と技術が、この国に長く蓄積されてきた歴史によるものなのです。
1869年、海底ケーブルを引いた電信会社が母体です
リサウンドというブランドの母体になっているのは、GNグループという会社です。
このGNグループ、創業はずいぶんと古いのです。1869年、デンマークで電信会社として始まりました。「Det Store Nordiske Telegrafselskab」、訳しますと「大北電信会社」、英名で「Great Northern Telegraph Company」と呼ばれた会社です。
当時のヨーロッパで、新しい通信手段として電信網を世界に張りめぐらせていく。そういう事業を担っていた会社でした。1872年には、ヨーロッパからロシアを経由して、極東、つまり中国や日本にまで電信線をつなげています。世界をつなぐ海底ケーブルを引いた、その先駆けの一つだったのです。
明治初期の日本に届いていた海外電報の、その向こう側にいた会社の一つが、後のリサウンドの母体だったわけです。
このGNグループは、150年を超える歴史の中で、いくつもの事業に手を広げてきました。電信から始まって、無線機器、ヘッドセット、そして補聴器。今では、補聴器ブランド「リサウンド」と、業務用ヘッドホンの「ジャブラ」という、二つの大きなブランドを擁する音響技術の会社になっています。
補聴器事業は、1970年代から始まりました
そのGNグループが、補聴器の世界に入ってきたのは、戦後しばらく経ってからのことでした。
1977年、デンマークの「ダナヴォックス」という補聴器メーカーを買収します。ダナヴォックス社は、1943年創業の、これも歴史のある補聴器メーカーでした。GNグループは、この買収によって、補聴器事業の最初の一歩を踏み出したのです。
その後、1999年に、米国の「ReSound社」を買収します。これによって、現在の補聴器ブランド「リサウンド」の名前と技術が、GNグループに合流しました。
つまり、リサウンドというブランドの裏には、150年の電信会社の歴史と、戦後の補聴器メーカーの蓄積、そして音響技術の合流、こういう積み重ねがあるわけです。
日本ではGNヒアリングジャパンが扱っています
日本での販売は、GNグループの日本法人「GNヒアリングジャパン株式会社」が担っています。
本社は、神奈川県横浜市みなとみらい。横浜美術館やランドマークタワー、パシフィコ横浜が立ち並ぶ、あの未来的なウォーターフロントの一角に、リサウンドの日本拠点があります。代表取締役社長はマーティン・アームストロング氏。2022年からこの役に就いています。
GNヒアリングジャパンは、リサウンドブランドの補聴器について、輸入、製造、卸販売、そして修理サービスまでを担っています。日本国内の補聴器販売店に、リサウンドの製品を届けているのは、この会社です。
オーガニックヒアリングという考え方
そのリサウンドが、自社の補聴器づくりの哲学として掲げているのが「オーガニックヒアリング」という考え方です。直訳すれば「自然な聞こえ」ということになります。
リサウンドジャパンの公式によりますと、この「オーガニックヒアリング」は、補聴器をしていることを忘れるほど自然であることを目指しているのだそうです。それは単に「自然な聞き心地」だけではなく、装用感の良い「自然な着け心地」であり、周囲と自然に繋がれるような「自然な使い心地」までも含まれる、と書かれています。
機械が音を作って耳に届けるのではなく、補聴器は脳の本来の聞き取り能力を助ける道具に徹する。これがリサウンドの基本姿勢です。
「自然」を補聴器でどう実現するか
人間の聞こえというのは、耳だけで成り立っているわけではありません。耳に入ってきた音の中から、本人にとって意味のある音を選び取り、それ以外をうまく背景に流す、という作業を、脳が常にやっています。雑踏の中で家族の声だけが耳に入ってくるのも、テレビの音と人の話を聞き分けられるのも、脳の働きです。
補聴器によっては、この脳の仕事を機械が全部肩代わりしようとするものもあります。雑音を機械が判定して抑え、聞きたい音を機械が判定して強める。そういう方向の作り込みが、ここ十年ほどの補聴器の主流でもありました。
リサウンドは、そこからやや一歩引いた立ち位置を取っています。機械の判断で音を作りすぎず、もとの音の質感をなるべく保ったまま耳に届ける。あとは脳に任せる、という思想です。
デンマークから来た、150年の歴史を持つこの会社が、現在どんな補聴器を作っているのか。次回から、その思想や個別の機種について、一つずつご紹介していこうと思います。
