中東料理の楽しみ方
はじめに
なめらかにしたひよこ豆を皿の中央へ広げ、スプーンの背でゆるやかな渦を作る。くぼみへオリーブオイルを落とし、クミンやパプリカをほんの少し振ると、淡い色のペーストに香りと陰影が加わります。
パンをちぎってすくえば、豆のやさしい甘み、ごまのコク、レモンの酸味が一口の中で重なります。使っているのは身近な材料でも、組み合わせ方を変えると、普段の豆料理とは違う一皿が生まれます。
中東料理という言葉は、広い地域にある多様な食文化をまとめた呼び方です。レバント地方の豆や野菜を使った小皿料理、アラビア半島の香り高い米料理、イランのハーブや果実を生かした煮込み、トルコのパンや肉料理など、国や地域によって材料も食べ方も異なります。
「珍しい香辛料を何種類も集めなければならないのではないか」「羊肉や大きな平焼きパンがないと作れないのではないか」と感じる人もいるかもしれません。けれど、最初はひよこ豆、練りごま、レモン、トマト、玉ねぎ、ヨーグルトなど、日本の家庭でも手に入りやすい材料から始められます。
この記事では、自宅で月2回ほど中東料理を楽しむ場合を中心に、基本情報、費用、おすすめする理由、地域ごとの料理、最初に作りやすい献立、材料と香辛料の選び方、味の整え方、食文化への配慮、安全な調理、続けるほど変わる楽しみ方を紹介します。
中東料理の基本情報
主な楽しみ方 豆、穀物、野菜、肉、魚、乳製品、香辛料などを使い、各地の料理を一皿ずつ家庭で試す
おすすめの頻度 月2回前後
一度に楽しむ時間 約90〜120分
短時間で取り組む場合 約35分から
準備と片付けを含む時間 約120〜140分
最初に作りやすいもの フムス、レンズ豆のスープ、焼き野菜とヨーグルトの一皿、ひよこ豆のサラダ
主な材料 ひよこ豆、レンズ豆、なす、トマト、玉ねぎ、にんにく、レモン、ごま、ヨーグルト、米、パン、鶏肉
最初に試しやすい香辛料 クミン、コリアンダー、パプリカパウダー
主な道具 包丁、まな板、鍋、フライパン、ボウル、ざる、計量用品、必要に応じてミキサーやフードプロセッサー
主な制作場所 自宅の台所
始めやすさ 身近な豆や野菜から始められるが、料理名が同じでも地域や家庭によって作り方が異なることを理解する必要がある
天候の影響 室内で年間を通して作れる。暑い日は冷たい小皿やサラダ、寒い日は豆や肉のスープ、米料理を楽しめる
難しく感じやすいところ 香辛料を強くしすぎず、酸味、塩味、油分、香草のバランスを整えること
中東という範囲には一つの明確な料理体系があるわけではありません。国境を越えて親しまれている料理もあれば、同じ名前でも材料や仕上げ方が違う料理もあります。
家庭で楽しむときは、「中東ではすべてこの味」と決めず、今日はヨルダンやレバント地方の小皿、次は湾岸地域の米料理というように、地域を一つ選ぶと背景まで見えやすくなります。
中東料理にかかる費用
中東料理の費用は、普段の食事にも使える材料と、趣味として新しく買う香辛料や調味料を分けて考えます。玉ねぎ、トマト、米、鶏肉、ヨーグルトなどは日常の献立にも使えるため、購入額のすべてを趣味だけの費用にする必要はありません。
手持ちの調理器具で始める場合 初期費用はほぼなし
ひよこ豆、練りごま、クミンをそろえる場合 約1,500〜3,500円
コリアンダーやパプリカなども追加する場合 約2,500〜5,000円
ザータル、スマック、タヒニなどの専門材料まで増やす場合 約4,000〜8,000円
二人分のフムスとサラダ、パン 約700〜1,500円
二人分のレンズ豆スープと鶏肉料理 約1,000〜2,000円
肉やナッツを多く使う米料理 約1,500〜3,500円
月2回、普段の食事との差額 年間約10,000〜30,000円
費用を抑えやすいのは、ひよこ豆、レンズ豆、なす、トマト、じゃがいもなどを中心にした料理です。豆は乾燥品のほか水煮缶やパウチもあり、初回は下ゆで済みのものを使えば時間も短くできます。
タヒニは、ごまをペースト状にした調味料です。専門店で購入できるほか、家庭では白練りごまを入口として使う方法もあります。ただし、ごまの煎り方、濃度、風味は製品によって違うため、完全に同じものとは考えず、家庭向けの代用として扱います。
香辛料は、最初から十種類そろえる必要はありません。クミン、コリアンダー、パプリカパウダーのうち、作りたい料理に必要な二、三種類から始めれば、豆、肉、スープ、焼き野菜へ使い回せます。
費用が増えやすいのは、ピスタチオや松の実などのナッツ、輸入チーズ、ラム肉、ザクロの濃縮調味料、複数のミックススパイスを一度にそろえる場合です。初めは一つだけ追加し、残りは手に入りやすい材料で一食を組み立てます。
専用の食器や調理器具も必要ありません。フムスは普段の皿へ盛り、米料理はふた付きの鍋やフライパンで作れます。大皿や小皿を新しく買うより、料理を温かいうちに出せる段取りを優先します。
中東料理をおすすめする3つの理由
1.豆や野菜を、香りと酸味で主役へ変えられる
中東各地の料理には、ひよこ豆、レンズ豆、なす、トマト、きゅうり、玉ねぎなど、身近な植物性の材料が多く使われています。豆を単なる付け合わせにせず、ペースト、揚げ物、スープ、米料理の中心へ置けることが魅力です。
ひよこ豆へごま、レモン、にんにくを合わせればフムスになり、レンズ豆を玉ねぎやクミンと煮れば温かなスープになります。なすは焼いて香ばしさを出し、ヨーグルトやごまのソースと合わせると、肉がなくても食べ応えのある一皿になります。
味を濃くするだけでなく、レモンの酸味、香草の青い香り、オリーブオイルのコクを重ねるところがポイントです。普段使っている豆や野菜の違う表情を見つけられます。
2.小さな料理を取り分け、味を比べられる
レバント地方やトルコなどでは、豆のペースト、焼いた野菜、サラダ、ヨーグルトを使った料理などを小皿へ盛り、パンと一緒に取り分ける食べ方があります。このような小皿料理は、広く「メゼ」と呼ばれます。
家庭では何十種類も用意する必要はなく、フムス、トマトときゅうりのサラダ、焼いた鶏肉という三皿ほどでも形になります。一つの皿だけを食べ続けるのではなく、酸味のあるもの、香ばしいもの、滑らかなものを少しずつ行き来できます。
一人分を作る場合も、小さな皿へ分けることで味の違いが分かりやすくなります。家族や友人と食べる日は中央へ並べ、それぞれが好きな量を取る食卓へ広げられます。
3.料理を通して、地域と暮らしの違いを知ることができる
中東料理という大きな名前の中には、地中海沿岸の野菜やオリーブオイル、砂漠や交易路と結びついた香辛料と米、山間部の乳製品、海沿いの魚料理など、異なる食文化があります。
料理を一つ作り、その背景を少し調べると、なぜ米と肉を大皿へ盛るのか、なぜ乾燥した豆や果実が使われるのか、なぜパンで料理をすくうのかが見えてきます。
異文化の料理を珍しいものとして消費するのではなく、現地の家庭や行事、宗教、季節と結びついた食事として知ることができます。一皿から土地へ関心を広げられるところも、中東料理を続ける楽しさです。
中東料理を一つの味へまとめない
レバント地方
レバントと呼ばれる東地中海沿岸の地域では、ひよこ豆、ごま、なす、ヨーグルト、オリーブオイル、レモン、香草などを使った料理が見られます。フムス、焼きなすのペースト、タブーリ、ファラフェルなどは国境を越えて親しまれ、地域や家庭ごとに配合や食べ方が異なります。
ヨルダンでは、米やパン、羊肉、ヨーグルトなどを組み合わせた料理も大切にされています。小皿料理だけがレバントの食卓ではなく、家族や客人と囲む大きな料理もあります。
アラビア半島と湾岸地域
アラビア半島や湾岸地域では、米、肉、魚介、豆、デーツなどに、カルダモン、シナモン、クローブ、乾燥ライムなどの香りを重ねた料理があります。
マチブースのような米料理では、肉や魚介の煮汁と香辛料を米へ吸わせます。家庭で試すなら、鶏肉と米を使い、香辛料を二、三種類へ絞った炊き込み料理から始められます。
イラン
イランの料理では、米を粒立ちよく炊くこと、ハーブをたっぷり使うこと、豆や肉を煮込むこと、果実や酸味を料理へ加えることなどが特徴として見られます。
香草の煮込み、なすやトマトを使った料理、肉と果実を組み合わせる料理など、甘みと酸味を行き来する味もあります。初めは乾燥ライムやザクロ濃縮液を一度にそろえず、米、豆、ハーブを使った身近な一皿から試します。
トルコ
トルコ料理には、ケバブや甘い菓子だけでなく、オリーブオイルで煮た野菜、豆料理、ヨーグルトを使った料理、パン、スープ、魚介、小皿料理があります。地域によっても、地中海沿岸、黒海沿岸、内陸、南東部で食材と味は異なります。
中東料理の一部として触れることもできますが、トルコ料理だけでも非常に広い世界があります。興味が深まったら、地域を分けて一つずつ作ると違いが見えてきます。
エジプト
エジプトはアフリカ大陸に位置しますが、中東の歴史や食文化を語る場面でも扱われる地域です。そら豆を煮たフール、米や豆、パスタなどを重ねるコシャリ、モロヘイヤを使う料理などがあります。
豆や穀物を組み合わせた料理は、日本の家庭でも材料をそろえやすく、肉を使わない一食としても楽しめます。ただし、現地の料理を一つのレシピだけで決めつけず、家庭や店による違いも含めて知ることが大切です。
初めてなら、フムスと焼き野菜の食卓を作る
最初の一食には、フムス、焼き野菜、パンを組み合わせる方法が向いています。ひよこ豆のペーストを中心にしながら、野菜の香ばしさとパンの食べ応えを加えられます。
二人分なら、次のような材料を用意します。
フムス ひよこ豆の水煮、タヒニまたは白練りごま、レモン、にんにく、オリーブオイル、塩
焼き野菜 なす、パプリカ、玉ねぎ、ズッキーニなどから二、三種類
香り クミンまたはパプリカパウダーを少量
主食 ピタパン、平焼きパン、食べやすく切った普段のパン
添えるもの きゅうり、トマト、ヨーグルトなどから一つ
専門材料をすべてそろえなくても、基本の構成を体験できます。ピタパンが手に入らない日は、薄めのパンやトーストを添え、現地と同じものではない家庭向けの組み合わせとして楽しみます。
なめらかなフムスを作る
ひよこ豆を準備する
最初は水煮缶やパウチを使うと、豆を戻して煮る時間を省けます。ざるへあけ、製品の表示に従って水気を切るか、必要に応じて軽く洗います。
乾燥ひよこ豆を使う場合は、十分に吸水させてから中までやわらかく煮ます。硬い豆をそのままペーストにせず、指で簡単につぶせる状態を目安にします。
調味料と一緒にかくはんする
ひよこ豆、タヒニ、レモン汁、にんにく、塩をミキサーやフードプロセッサーへ入れます。水や豆の煮汁を少しずつ加え、好みのやわらかさへ整えます。
一度に多くの水を加えると戻せないため、少量ずつ様子を見ます。ミキサーがない場合は、やわらかな豆をマッシャーやすり鉢でつぶし、粒の残る家庭的な仕上がりとして楽しめます。
酸味と塩味を最後に整える
フムスの味が重く感じる場合は、塩を増やす前にレモンを少し足します。ごまのコクが弱い場合はタヒニを、香りを加えたい場合はクミンをほんの少し使います。
にんにくは時間がたつと強く感じることがあります。初回は小さな一片の一部から始め、ほかの材料を隠さない量へ抑えます。
皿へ広げて仕上げる
完成したフムスを皿へ広げ、スプーンで浅い溝を作ります。オリーブオイルとパプリカパウダーを少量添えれば、色と香りが加わります。
油を多く注がなくても、皿全体へ薄く広がる程度で十分です。作ったあとは長く室温へ置かず、食べるまで冷蔵します。
焼き野菜と小さなサラダを添える
なすやパプリカ、玉ねぎは食べやすい大きさへ切り、少量の油と塩を絡めて焼きます。オーブンがなければ、フライパンで表面へ焼き色を付け、ふたをして中まで火を通せます。
焼き野菜へクミンやパプリカパウダーを加える場合は、最初から多く振りません。野菜の甘みと香ばしさを確かめてから、仕上げに少し足します。
生のトマトやきゅうりを添えるなら、流水でよく洗い、水気を切ってから切ります。レモン、塩、オリーブオイルを少量合わせれば、温かな野菜とは違う食感が加わります。
フムス、焼き野菜、サラダ、パンを一つの皿へ盛りすぎず、それぞれの場所を少し空けます。食べるときにパンでフムスをすくい、野菜と合わせながら味を変えられます。
最初にそろえたい材料
ひよこ豆とレンズ豆
ひよこ豆はフムス、サラダ、煮込みに、レンズ豆はスープや米料理に使えます。初めから両方の乾燥豆を大量に買わず、水煮や少量包装から試します。
レンズ豆には皮のあるもの、皮を除いた赤や黄のものなどがあり、煮崩れ方が違います。スープには短時間でやわらかくなる赤レンズ豆が使いやすく、形を残したい料理では別の種類を選びます。
タヒニとごま
タヒニはフムスやソースにコクを与えます。開封後の保存方法は製品によって異なるため、表示に従います。
ごまはアレルギーの原因になる食品です。人へ料理を出す場合は、見た目では分かりにくいペーストやソースにも使用していることを伝えます。
レモン
レモンは豆、肉、魚、サラダの味を引き締めます。香辛料を増やす前に酸味を加えると、料理が軽く感じられる場合があります。
果汁を絞る前に表面をよく洗い、皮を使う場合は用途に合うものを選びます。市販のレモン果汁を使う場合も、開封後の保存方法を確認します。
ヨーグルト
ヨーグルトはソース、肉の下味、スープ、サラダなどへ使われます。無糖のプレーンタイプを使い、必要に応じて水切りします。
肉を漬けたヨーグルトを、そのまま加熱後のソースとして使い回しません。生肉へ触れたものは十分に加熱するか、別に取り分けた清潔なものを添えます。
クミン、コリアンダー、パプリカ
クミンは温かく土を思わせる香りがあり、豆、肉、根菜などに合います。コリアンダーは少し明るい香りを加え、パプリカパウダーは赤い色と穏やかな風味を料理へ添えます。
三種類すべてを毎回使う必要はありません。フムスにはクミン、鶏肉にはコリアンダーとパプリカというように、一皿へ一、二種類から試します。
香草
パセリ、ミント、ディル、コリアンダーの葉などが料理へ使われます。地域と料理によって組み合わせは異なり、すべてを「中東風の香草」として一緒に入れるわけではありません。
初めはパセリかミントを一つ選び、サラダやヨーグルトソースへ少量使います。余った香草を使い切れる料理も考えてから購入します。
香辛料を強くしすぎない使い方
中東料理を作ろうとして、複数の香辛料を大量に入れると、それぞれの違いが分からなくなります。初めはレシピの分量を守り、完成後に必要なら少量を足します。
粉末の香辛料を油へ入れる場合は、焦げやすいため火を弱めます。クミンシードなどの粒を使うときは、油で香りを出す方法もありますが、黒く焦がすと苦みが残ります。
料理の途中で味が弱いと感じても、香辛料だけを増やさず、塩、酸味、油分、水分を確認します。塩が足りないだけの場合もあれば、レモンを少し加えることで香りがはっきりする場合もあります。
香辛料は開封後に少しずつ香りが弱くなります。大袋を安く購入するより、小瓶や少量袋を使い切り、商品名と期限が分かる元の容器で保管します。
米料理と肉料理へ広げる
豆や野菜の料理に慣れたら、鶏肉と米を使った一皿へ進めます。羊肉は地域の料理で大切な食材ですが、日本では価格や入手性に差があるため、最初は鶏肉で火加減と香りを試せます。
鶏肉をヨーグルト、レモン、にんにく、クミンなどで漬け、フライパンやオーブンで中心まで加熱します。生肉へ触れた漬け汁は、そのまま食卓用のソースにせず、必要なら別に作ります。
米には、玉ねぎ、少量の香辛料、レーズンやナッツを加える料理もあります。初めから甘みのある材料を多く入れず、米と肉の味を確かめてから少量を試します。
炊き上がった米へ肉をのせ、大皿から取り分ければ、小皿中心の食卓とは違う楽しみ方になります。家族で食べる場合も、各自の皿へ清潔な取り分け用具で分けます。
食文化と宗教を一つの決まりにしない
中東には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教をはじめ、さまざまな宗教、宗派、民族、生活習慣があります。中東料理だからすべてハラールである、肉を使わなければ誰でも食べられるということではありません。
ハラールに配慮する場合も、豚肉と酒を避けるだけで十分とは限りません。肉の処理方法、調味料、ゼラチン、調理器具の共用など、必要な範囲は人によって異なります。
ユダヤ教の食規定、宗派による断食、菜食の習慣、食物アレルギーなどもあります。誰かへ料理を出す場合は、こちらで判断せず、食べられないものと必要な配慮を具体的に尋ねます。
ラマダンなどの宗教行事を、夜に豪華な料理を食べるイベントとしてだけ扱わないことも大切です。料理の背景にある信仰や共同体の時間を尊重し、自宅では文化を学ぶ入口として丁寧に向き合います。
安全に調理するために大切なこと
中東料理では、豆、肉、乳製品、生野菜、米などを使います。料理の種類にかかわらず、調理前の手洗い、交差汚染の防止、十分な加熱、適切な冷却と保存が基本です。
生の鶏肉や羊肉を切った包丁、まな板、トングは、加熱済みの料理、パン、サラダへそのまま使いません。肉は中心まで十分に加熱し、厚みのあるものは食品用温度計を利用する方法もあります。
フムスやヨーグルトソースは、完成後に長く室温へ置きません。食卓へ出す分だけを小皿へ取り、残りは清潔な容器で冷蔵します。
豆の煮込みや米料理を保存する場合は、鍋のままゆっくり冷まさず、浅い容器へ小分けします。再び食べるときは全体をよく混ぜ、十分に加熱します。
乾燥豆は、製品に合う時間で吸水と加熱を行います。十分にやわらかくなっていない豆を無理に食べず、豆の種類ごとの下ごしらえを確認します。
サラダや香草は流水で洗い、水気をよく切ります。生野菜へ使う器具や皿も、肉の下ごしらえとは分けます。
ごま、ナッツ、乳、小麦、豆類など、中東料理にはアレルギーの原因となる材料も多く使われます。料理名だけでは判断できないため、人へ出す場合は調味料とソースを含めて伝えます。
余った材料を普段の料理へつなげる
中東料理のために買った材料は、ほかの家庭料理にも使えます。ひよこ豆はサラダやスープへ、練りごまは和え物やたれへ、クミンは炒めたにんじんやじゃがいもへ使えます。
ヨーグルトは朝食やドレッシングに、レモンは魚料理や飲み物へ回せます。専門料理の一回だけで使い切ろうとせず、普段の食事へ少しずつ取り入れると費用を無駄にしません。
余ったフムスは清潔な容器へ入れて冷蔵し、早めに食べます。保存期間を長くするために大量の油で覆うなど、自己流の方法へ頼らず、材料と作り方に合う範囲で管理します。
香草は傷みやすいため、購入した日にサラダだけでなく、スープ、ヨーグルトソース、卵料理へ使う予定を考えます。使い切れない量を毎回買うより、少量包装や乾燥品から始める方法もあります。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
中東料理を続けると、最初はひよこ豆と香辛料を使うことに集中していた時間が、地域、食卓、宗教、季節、食べ方まで考える時間へ広がっていきます。
五つの段階は、珍しい材料を多く使えるようになる順位ではありません。フムスへ戻る日も、豆のスープだけを作る日も含め、自分が理解したい地域や料理を選べます。
第1段階 豆と野菜で一食を作る
最初はフムス、焼き野菜、サラダ、パンを用意します。香辛料を増やさず、豆、ごま、レモンが重なる味を確かめます。
少ない料理でも、滑らかなもの、香ばしいもの、生の食感を組み合わせれば、一食として変化が生まれます。
第2段階 酸味と香りを安定させる
同じフムスやスープを繰り返し、レモン、塩、クミン、オリーブオイルの量を記録します。香辛料だけに頼らず、酸味と油分で味が変わることを覚えます。
クミン、コリアンダー、パプリカを一つずつ別の料理へ使い、自分が感じる香りの違いを確かめます。
第3段階 一つの地域に焦点を当てる
レバント地方の小皿、湾岸地域の米料理、イランのハーブ料理というように、地域を一つ選びます。料理名だけでなく、食べ方や使われる主食も調べます。
同じひよこ豆や米が、地域によってどのように使われるかを比べると、「中東料理」という大きなくくりの中にある違いが見えてきます。
第4段階 小皿と大皿を組み合わせる
フムスやサラダなどの小皿へ、鶏肉料理や米料理を加え、複数人で取り分ける食卓を作ります。すべてを一人分ずつ盛りつけず、中央の料理と個人の皿を使い分けます。
温かい料理を最後に仕上げ、冷たい料理は適切に保冷するなど、品数だけでなく作業順も整えます。
第5段階 料理の背景と人々の暮らしへ近づく
各国の公式な食文化紹介や料理書を読み、地域の歴史、宗教行事、市場、家庭料理へ関心を広げます。飲食店を訪れるときも、一つの料理を地域全体の代表と決めず、店の背景や料理名を確かめます。
販売や指導を目指さなくても、月に一地域ずつ料理を作り、材料と味を記録することは十分に深い続け方です。食卓に並べた一皿が、地図の上の土地と少しずつ結びついていきます。
あわせて楽しみたい関連する趣味
スパイスブレンド
スパイスブレンドは、クミン、コリアンダー、パプリカなどの比率を変え、自分の料理に合う香りを作る趣味です。中東料理で基本の香辛料に慣れたあと、同じ配合を豆のスープ、焼き野菜、鶏肉で試すと、加熱と材料による違いが分かります。
地域名の付いたブレンドも配合は一つではありません。まずは少量を混ぜ、自分が再現できる記録を残しながら楽しめます。
スープ作り
スープ作りでは、豆、野菜、肉、香辛料を一つの鍋でまとめ、煮る時間と水分量を整えます。レンズ豆のスープや、鶏肉と穀物を使った温かな料理に興味が広がったときに、自然につながる趣味です。
季節の野菜へクミンやレモンを少し加えれば、専門食材を増やさず、中東の料理から学んだ味を普段の一杯へ生かせます。
パン作り
パン作りでは、小麦粉、水、酵母などから生地を作り、発酵と焼成によって主食を仕上げます。フムスや肉料理をすくう平焼きパンに興味が湧いたとき、自分で生地を焼く楽しみへ広げられます。
最初から伝統的な窯の焼き上がりを再現するのではなく、家庭のフライパンやオーブンで作れる平たいパンから始められます。
豆とレモンの一皿から、広い地域の食卓をたどる
中東料理を始めるために、棚いっぱいの香辛料や珍しい肉をそろえる必要はありません。
ひよこ豆をつぶし、ごまとレモンを加える。なすや玉ねぎへ焼き色を付け、パンと一緒に皿へ並べる。身近な材料でも、酸味、香り、食感の組み合わせを変えれば、いつもの食卓とは違う一食になります。
その一皿を「中東の味」と一つにまとめず、どの地域で、どのように食べられているのかを少し調べてみる。次はレバント地方の小皿にするのか、湾岸地域の米料理にするのかを選ぶことで、料理の向こうにある土地の違いが見えてきます。
次の休日には、ひよこ豆の水煮、白練りごま、レモンを用意し、小さな一皿のフムスから試してみてください。滑らかさが足りなくても、にんにくが少し強くても、パンですくって味わえば、次に変えたいところが分かります。
皿に残ったオリーブオイルの筋までパンですくい終えたとき、豆から始まった一食は、次に知りたい地域と料理へ続く入口になっています。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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