スイングダンスの楽しみ方
はじめに
軽やかなジャズが流れ始めると、向かい合った二人が小さく膝をゆるめます。
後ろへ一歩、前へ戻り、三つの足音を弾ませるようにつなぐ。手を強く引かなくても、互いの重心が変わる気配から、次に進む方向が少しずつ伝わっていきます。
「昔の映画のような服を着なければならないのだろうか」
「一緒に踊る相手を連れていないと参加できないのではないか」
「速い曲で何度も回ったり、相手を持ち上げたりするのは難しそう」
スイングダンスには華やかな場面もありますが、初心者の入口はとても素朴です。音楽に合わせてその場で足踏みをし、少し後ろへ下がり、左右へ重心を移すところから始まります。
多くの初心者向けクラスでは、一人で参加し、レッスンの途中で相手を替えながら練習できます。特別な衣装や高価な道具も必要ありません。
今回は、月に2回ほど教室へ通い、週に1回ほど自主練習をする場合を想定して、スイングダンスの種類と文化、必要な時間と費用、教室の選び方、最初に覚える動き、服装、ソーシャルでのマナー、安全面、続けるほど変わる楽しみ方をまとめます。
スイングダンスの基本情報
主な楽しみ方 教室で基本ステップとリード・フォローを学び、ジャズに合わせてペアや一人で即興的に踊る
おすすめの頻度 教室は月2回、自主練習は週1回ほど
レッスン時間 1回60〜90分ほど
短時間で練習する場合 30〜35分ほどから
移動や着替えを含む総所要時間 教室の日は2〜2時間30分ほど
主な練習場所 ダンス教室、レンタルスタジオ、公民館、イベント会場、自宅の安全なスペース
最初の目標 一定のリズムで基本ステップを踏み、相手と無理のない力で簡単な方向転換を行う
始めるときの特徴 大きな道具は不要だが、ペアのつながり方や床に合う足運びは教室で学ぶ方が分かりやすい
天候の影響 屋内で踊ることが多く、季節を問わず続けやすい
スイングダンスという言葉は、一つの決まった踊りだけを指すものではありません。リンディホップ、チャールストン、バルボア、ブギウギなど、ジャズやスイング音楽とともに育った複数の踊りを含む呼び方です。
日本の初心者向けクラスでは、代表的なペアダンスであるリンディホップを中心に扱うことが多くあります。教室によっては、ソロジャズやチャールストンも一緒に学びます。
ハーレムの音楽とダンスフロアから育った踊り
スイングダンスの中心的な存在であるリンディホップは、1920年代後半、ニューヨークのハーレムに暮らすアフリカ系アメリカ人のコミュニティーから生まれました。
当時のハーレムでは、ビッグバンドによるジャズが演奏され、人々が広いダンスホールへ集まっていました。なかでもサヴォイ・ボールルームは、リンディホップの発展と多くのダンサーの交流に深く関わった場所として知られています。
リンディホップは、あらかじめ決められた振り付けだけを正確に再現する踊りではありません。流れている曲、相手の動き、その場の空気を受け取りながら、一歩ずつ組み立てます。
基本的な形はあっても、同じ曲で全員が同じ順番を踊るとは限りません。
音が強くなった場所で大きく方向を変える。
静かな一拍では、あえて動きを止める。
管楽器の細かなフレーズに合わせて、足元だけを変える。
こうした即興性が、ジャズとスイングダンスを結びつけています。
現在は世界各地に教室やコミュニティーがあり、趣味のソーシャルダンス、舞台、競技、ライブ演奏付きのイベントなど、さまざまな形で踊られています。
楽しむときには、古い服装や映像の雰囲気だけを切り取るのではなく、アフリカ系アメリカ人の音楽と身体表現から育った文化であることにも目を向けたいところです。
最初に知っておきたい主な種類
スイングダンスには複数の種類があります。最初からすべてを選び分ける必要はありませんが、教室名やイベント案内を読むときに、違いを少し知っておくと安心です。
リンディホップ
リンディホップは、スイングダンスを代表するペアダンスです。
6カウントや8カウントの動きを使い、近い位置と離れた位置を行き来しながら踊ります。代表的な動きには、二人の位置が大きく入れ替わるスイングアウトがあります。
ゆったりした曲では一歩ずつ間を味わい、速い曲では小さなステップへ変えられます。ペアでの即興と、一人ずつの表現をどちらも楽しめることが特徴です。
チャールストン
チャールストンは、膝を柔らかく使い、脚を前後へ振るような動きが印象的なダンスです。
一人でもペアでも踊れ、リンディホップの中へチャールストンの足運びを取り入れることもあります。速い曲で華やかに見えますが、初心者は小さなキックと体重移動から始めます。
バルボア
バルボアは、比較的近い位置で組み、小さな足運びを使って踊るスイングダンスです。
大きく移動しないため、混み合ったフロアや速い曲にも対応しやすい特徴があります。一方で、相手との距離が近くなるため、姿勢やつながり方を丁寧に学ぶ必要があります。
ソロジャズ
ソロジャズは、パートナーと組まず、一人でジャズに合わせて踊ります。ヴァナキュラー・ジャズやオーセンティック・ジャズと呼ばれることもあります。
一人でリズムや身体の使い方を練習できるため、ペアダンスの自主練習にもつながります。相手がいない日でも、音の取り方や足運びを深められるところが魅力です。
ウエストコーストスウィング
ウエストコーストスウィングは、リンディホップをルーツの一つとしながら、現在ではポップス、R&B、ブルースなど、幅広い曲で踊られています。
二人が主に細長い範囲を行き来し、伸び縮みするようなつながりを使うところが特徴です。リンディホップとは音楽や身体の見せ方が異なるため、教室を探すときは、どちらを扱っているか確認します。
スイングダンスにかかる費用
スイングダンスには、最初から買わなければならない専用道具がほとんどありません。
手持ちの服と室内用の靴を使えれば、体験レッスンの料金だけで始められます。継続する場合は、レッスン代と、希望に応じて参加するソーシャルやイベントの費用が中心になります。
体験レッスンの費用
国内の教室では、初回体験が500〜2,000円ほどの例があります。
通常クラスへそのまま参加する体験、未経験者だけを対象にした短いレッスン、ソーシャルの前に行われる入門講座など、形式はさまざまです。
体験料が安いかどうかだけでなく、基本のリズム、ペアの組み方、相手の替わり方まで教えてもらえるかを確認します。
通常レッスンの費用
初心者向けのグループレッスンは、1回1,500〜3,500円ほどを目安に考えられます。
月に2回通う場合は、月3,000〜7,000円ほど、年間では約36,000〜84,000円です。月謝、回数券、単発参加のどれを採用しているかは教室によって異なります。
決まった曜日へ毎週通えない場合は、回数券の有効期限や欠席時の振替を確認します。入会金がかからず、単発で参加できるコミュニティークラスもあります。
入会金や登録料
入会金は無料のところもあれば、5,000〜11,000円ほどかかる教室もあります。
体験当日の入会で割引になる場合がありますが、すぐに決める必要はありません。通いやすい曜日か、初心者クラスが継続して開かれるか、休会や退会の条件はどうなっているかを確認してから選びます。
ソーシャルの参加費
レッスン後や週末に開かれる、自由に相手を替えて踊る時間は「ソーシャル」と呼ばれます。
国内では、短い入門レッスンとダンスタイムを合わせて1,500〜3,000円ほど、ダンスタイムだけなら1,000〜2,000円ほどの例があります。生演奏が入るイベントや大きな会場では、料金が高くなることもあります。
ソーシャルへの参加は任意です。まずは教室だけへ通い、基本ステップに慣れてから参加しても構いません。
服と靴の費用
手持ちのTシャツやパンツ、室内用スニーカーを使えば、初期費用は0円です。
新しく練習着と靴をそろえる場合は、合わせて7,000〜20,000円ほどが目安になります。革底やスエード底のダンスシューズを購入すると、さらに費用がかかることがあります。
最初は靴を買わず、教室の床と自分の踊り方を知ってから選ぶ方が無駄を減らせます。
自主練習の場所代
一人でリズムや足運びを確認するだけなら、自宅でも練習できます。
数人でレンタルスタジオを借りる場合は、会場費を人数で分けられます。地域の公民館や、レッスン後の練習時間を利用できれば、一人あたり数百円ほどで済むこともあります。
毎週必ず有料スタジオを借りる必要はありません。自主練習の多くは、広く動かず、基本ステップを小さく繰り返すだけでも成立します。
年間費用の目安
月2回の教室と、自宅を中心にした自主練習を組み合わせる場合は、年間約45,000〜95,000円ほどが一つの目安です。
靴や服を新調し、月に1回ほどソーシャルへ参加する場合は、初年度に約70,000〜130,000円ほどかかることがあります。生演奏イベント、遠方のワークショップ、ダンスキャンプ、個人レッスンなどを加えると、年間150,000円を超えることもあります。
最初の数か月は、単発レッスンや小さな回数券を選びます。通いたい頻度と参加したいイベントの数が分かってから、年間の予算を整えると続けやすくなります。
スイングダンスをおすすめする3つの理由
1.ジャズの音が、足を動かすための合図に変わる
ジャズを聴いていると、ドラム、ベース、ピアノ、管楽器など、いくつもの音が重なって聞こえます。
スイングダンスを始めると、その中から自分が動きたい音を選ぶようになります。
ベースの一定した流れに合わせて歩く。
ドラムの強い一音で方向を変える。
管楽器が短く音を切ったところで、身体も一瞬止める。
曲を最初から最後まで理解しなくても、一つの音へ身体で返事をできます。
同じ曲を後から聞き直したとき、それまで背景にあった音がはっきり聞こえることもあります。踊ることによって音楽の聞き方が変わり、聞くことによって次の踊り方が増えていきます。
2.二人で踊りながら、一人ずつの選択も残せる
ペアダンスでは、一方が進む方向を提案するリーダー、もう一方がその合図を受け取るフォロワーになります。
リーダーは、相手の腕を引っ張って形を作るのではありません。身体の向き、重心、手を通じた穏やかな圧力の変化によって、次の動きを伝えます。
フォロワーも、用意された順番を受け身でなぞるだけではありません。自分の姿勢を保ち、音を聞き、動きの中へ足運びや間を加えられます。
互いにつながりながら、それぞれが音楽を感じて動けることが、スイングダンスの面白いところです。
同じ基本ステップを使っても、相手が変われば歩幅、間、動きの柔らかさが変わります。一曲ごとに、小さな会話を作り直せます。
3.教室の外に、生演奏とソーシャルの時間が広がる
スイングダンスは、教室で振り付けを完成させるだけの趣味ではありません。
基本を覚えると、ソーシャルで初めて会う人と踊ったり、ジャズバンドの生演奏に合わせたりできます。録音された曲とは違い、生演奏ではテンポや音の強さがその場で変わります。
演奏者が長く音を伸ばしたので、歩幅をゆるめる。
ドラムが勢いを増したので、少し弾む。
曲が終わりへ向かう気配を感じ、二人で動きを収める。
客席で聞いていた音楽の中へ、自分の足で入っていく感覚があります。
人前で踊ることが苦手なら、教室と一人練習だけでも続けられます。参加する場所を自分で選べることも、長く付き合いやすい理由です。
初めての教室では、ここを確認する
スイングダンスの教室は、大きなダンススクールだけでなく、地域のコミュニティーやイベント主催者が開いていることもあります。
料金の仕組みや雰囲気が異なるため、初回は上級者の技よりも、未経験者への教え方を見ます。
リンディホップの入門クラスがあるか
「スイングダンス初心者歓迎」と書かれていても、教室によって想定する経験が異なります。
まったく初めてなら、リズムの取り方、6カウントや8カウントの基礎、手の取り方から扱うクラスを選びます。継続クラスの途中へ参加する場合は、初回用の説明があるかを確認します。
一人で参加できるか
多くのグループレッスンでは、一人で参加し、途中でパートナーを替えながら練習します。
ただし、固定ペアを前提にした講座もあります。申し込む前に、一人参加が可能か、相手の交代がどのように行われるかを確認しておくと安心です。
リーダーとフォロワーを選べるか
リーダーとフォロワーは、性別で決まるものではありません。
希望する役割を選べる教室、両方を順番に学べる教室、人数のバランスに応じて相談する教室があります。自分が試したい役割がある場合は、申し込み時に伝えます。
エアステップを初心者へ求めていないか
相手を持ち上げたり、空中で回転させたりする動きは、エアステップやエアリアルと呼ばれます。
スイングダンスを象徴する華やかな動きですが、通常のソーシャルで初対面の相手へ使うものではありません。初心者クラスでは、床から両足が離れない基本を丁寧に教える場所を選びます。
ソーシャルへの参加が必須ではないか
レッスンとソーシャルが一続きになったイベントもあります。
見学だけでもよいか、レッスン後に帰れるか、ダンスタイムだけ参加できるかを確認します。初回から多くの人と踊ることに負担を感じるなら、教室だけへ参加して構いません。
最初に覚える動き
スイングダンスでは、足の順番だけでなく、音楽の中で身体を弾ませる感覚と、どちらの足へ体重が乗っているかが大切です。
初回からスイングアウトを完成させようとせず、小さな要素に分けて練習します。
パルスとバウンス
音楽に合わせ、膝を固めずに身体を小さく上下させます。
大きく跳ねる必要はありません。歩いているときの自然な沈み込みを、曲の拍へ合わせるような感覚です。
膝だけで屈伸すると疲れやすいため、足首、膝、股関節を柔らかく使います。まずはその場で足踏みをしながら、一定の流れを保ちます。
ロックステップ
片足を少し後ろへ置き、すぐに前の足へ体重を戻す動きです。
後ろへ大きく踏み込むのではなく、自分の身体の下へ足を置きます。相手と組んでいるときも、腕で距離を広げず、自分の足で体重を受け止めます。
トリプルステップ
「1・2・3」と三つの足音を、二拍の中へ入れるステップです。
最初は速く動こうとせず、歩幅を小さくします。足を大きく横へ広げるより、身体の真下で細かく踏む方が、音楽から遅れにくくなります。
6カウントの基本
ロックステップと二つのトリプルステップを組み合わせ、6カウントの動きを作ります。
相手と少し離れる、横へ移動する、場所を入れ替わるといった簡単な動きへつなげられます。初心者向けのソーシャルでは、この基本だけでも一曲を踊れます。
8カウントとスイングアウト
リンディホップを代表するスイングアウトは、二人が近い位置から離れ、手のつながりを保ちながら場所を入れ替える動きです。
見た目よりも多くの体重移動が含まれるため、最初は一人で足順を確認し、その後ゆっくりペアで練習します。相手の腕を引いて回すのではなく、自分の進む方向と身体の向きから流れを伝えます。
初めての90分はどのように進むか
教室によって内容は異なりますが、入門レッスンは、準備運動、リズム練習、一人での基本ステップ、ペア練習、曲に合わせる時間という順に進むことが多くあります。
10〜15分前に到着する
受付を済ませ、室内用の靴へ履き替えます。
荷物、飲み物、上着が踊る範囲へはみ出さないように置きます。腕時計、大きな指輪、長いアクセサリーなど、相手へ当たりそうな物は外しておくと安心です。
足首と膝を温める
その場で歩き、足首、膝、股関節、肩を軽く動かします。
スイングダンスでは、細かな方向転換や弾む動きが続きます。深く伸ばすストレッチより、少しずつ体温を上げ、足元が動く状態を作ります。
一人でリズムを取る
最初は相手と組まず、その場でパルスやトリプルステップを練習します。
鏡に映る形を整えるより、曲が流れている間に同じ拍へ戻れることを大切にします。足が分からなくなったら、止まって数え続けるより、普通の足踏みへ戻ります。
手の取り方を覚える
ペアになったら、手を強く握らず、相手が自分で動けるつながりを作ります。
腕を完全に固めるのでも、力をすべて抜くのでもありません。互いの重心が変わったことを感じられる程度の穏やかな張りを保ちます。
簡単な方向転換を行う
ロックステップとトリプルステップを使い、位置を入れ替えたり、手の下を通ったりします。
分からなくなったときは、力で相手を正しい場所へ動かさず、基本へ戻ります。ペアが替わると感覚も変わるため、特定の人にしか伝わらない強い合図を減らせます。
最後は少ない動きで一曲を踊る
習った動きを全部入れる必要はありません。
基本ステップだけを続け、曲の始まりと終わりを相手と共有できれば十分です。初回は技の数より、音楽から外れても落ち着いて戻れたことが、次につながります。
35分の自主練習で基礎を残す
ペアダンスであっても、自主練習のすべてに相手が必要なわけではありません。
一人では、リズム、足運び、姿勢、方向転換を確認できます。週1回の自主練習では、新しい技を増やすより、教室で迷った一か所をほどきます。
最初の5分 身体を温める
その場で歩き、肩と足首を軽く動かします。
すぐに速い曲を流さず、会話できる程度の余裕を残します。足元に物や滑りやすい場所がないかも確認します。
次の10分 足順をゆっくり確認する
音楽を止めたまま、ロックステップとトリプルステップを行います。
足を置く場所より、どちらの足へ体重が乗っているかを意識します。次の足が自由に動かせない場合は、体重が両足へ残っている可能性があります。
次の10分 曲へ合わせる
ゆっくりした曲を流し、同じ基本を繰り返します。
音から遅れたら、足を速めて追いつこうとせず、普通の足踏みへ戻ります。再び拍を見つけてから、トリプルステップを始めます。
最後の10分 一つの動きだけ練習する
方向転換、チャールストンのキック、ソロジャズの短い動きなど、一つに絞ります。
動画を撮る場合は、上手に見えるかではなく、歩幅が大きすぎないか、膝が内側へ入っていないか、リズムが途中で速くなっていないかを確認します。
最初に必要な服装と靴
スイングダンスには、ラケットや楽器のような主用具はありません。
動きやすい服、床に合う靴、飲み物があれば始められます。昔の映画を思わせるヴィンテージファッションは、イベントを楽しむ選択肢の一つであり、初心者の必需品ではありません。
最初に必要なもの
・腕と膝を動かしやすい服
・裾を踏みにくいパンツやスカート
・清潔な室内用シューズ
・飲み物
・タオル
・必要に応じた着替え
大きく広がる袖や、相手の手へ絡みやすい飾りは避けます。スカートを選ぶ場合は、回ったときの広がりや透け方も確認しておくと安心です。
靴は床との相性で選ぶ
初回は、かかとが安定した室内用スニーカーで参加できることが多くあります。
ランニングシューズのように靴底が厚く、床へ強く引っかかるものは、ターンの際に膝へねじれが加わることがあります。反対に、靴底がすり減りすぎたものは滑りやすくなります。
足に合い、歩幅を小さく変えられ、適度に方向転換できる靴を選びます。購入前に、通う教室の床と推奨する靴を確認します。
続けるならダンスシューズも選択肢になる
練習を続けると、革底やスエード底のダンスシューズが欲しくなることがあります。
方向転換がしやすい一方で、濡れた床や屋外では滑りやすく、底材の手入れが必要な製品もあります。室内専用として持ち歩き、会場で履き替えます。
高いヒールは必要ありません。ヒールを選ぶ場合も、足首が不安定にならず、長く踊っても前足部へ痛みが集中しない高さを優先します。
最初は買わなくてよいもの
・ヴィンテージ風の衣装一式
・高価なダンスシューズ
・大型スピーカー
・発表用の小物
・ヘルメットや一般的なスポーツ用保護具
・エアステップ練習用の器具
通常の入門レッスンで、ヘルメットや化学防護用品は必要ありません。安全は道具を増やすことではなく、床から足が離れない基本を丁寧に学ぶことから整えます。
ソーシャルで気持ちよく踊るために
スイングダンスのソーシャルでは、曲ごとに相手を誘い、一曲が終わるとお礼を伝えて離れることが一般的です。
技術が高いことより、相手が安心して一曲を過ごせることが大切です。
踊る前に相手の返事を待つ
「踊りませんか」と声をかけ、相手が応じてからフロアへ入ります。
断られた場合は、理由を求めたり、続けて誘ったりしません。自分も疲れているときや気が進まないときは、無理をせず断れます。
初対面の相手へ難しい技を使わない
相手ができるか分からない速いターン、深い傾き、エアステップなどは行いません。
一曲目は基本を中心にし、相手の歩幅やつながりの強さを確かめます。相手の反応が遅いと感じても、腕を強く引いて補いません。
リードとフォローは上下関係ではない
リーダーは命令する人、フォロワーは従う人という関係ではありません。
リーダーは動きの方向を提案し、フォロワーはその情報を受け取って自分の身体で動きます。どちらにも音楽を聞き、表現を選ぶ余地があります。
うまく伝わらなかったときは、相手の失敗と決めつけず、合図を小さくして基本へ戻ります。
頼まれていない指導を続けない
ソーシャルは練習会とは限りません。
踊っている最中に何度も相手の足順を直したり、身体へ触れて姿勢を変えたりしません。危険がある場合は動きを止め、必要なら講師や主催者へ相談します。
清潔さと着替えを用意する
長く踊ると汗をかきます。
タオルで拭く、必要に応じて上着を替える、香りの強すぎる製品を控えるなど、近い距離で踊る相手へ配慮します。体調が悪い日は、参加を見送ります。
安全に続けるために
スイングダンスは、歩く動きを基礎にしながら、細かな弾み、方向転換、ターンを繰り返します。
特に足首、膝、ふくらはぎへ負担が集まりやすいため、速さより小さく安定した動きを優先します。
足を床へ残したまま身体だけを回さない
靴底が止まった状態で上半身だけを回すと、膝へねじれが加わります。
方向転換では足を細かく踏み替え、身体全体の向きを変えます。床へ靴が強く引っかかる場合は、勢いで回らず、靴を見直します。
バウンスを大きな屈伸にしない
膝を深く曲げ続けると、太ももや膝が早く疲れます。
身体を弾ませる感覚は、足首、膝、股関節へ小さく分散します。腰を上下へ大きく動かす必要はありません。
混雑時は歩幅を小さくする
ソーシャルでは、周囲のペアも予想と違う方向へ動きます。
フロアが混んでいるほど、ターンや移動を小さくします。誰かと接触した場合は踊りを止め、互いの状態を確認します。
飲み物がこぼれた床や、荷物が置かれた場所では踊りません。
エアステップは専門的な練習で行う
相手を持ち上げる動きは、通常のソーシャルで試すものではありません。
十分な空間、補助者、段階的な指導が必要です。映像を見ただけでまねたり、合意していない相手へ突然行ったりしません。
疲れたら普通の足踏みへ戻る
足がもつれる、膝が伸びきる、相手を引く力が強くなるといった変化は、疲労の合図です。
難しい動きを続けず、基本ステップへ戻るか休憩します。痛み、めまい、強い息切れなどがある場合は、その日の練習を中止します。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 ジャズに合わせて足踏みをする
最初は、曲の拍へ合わせて歩き、ロックステップやトリプルステップを覚えます。
足順を間違えても、普通の足踏みへ戻れば踊りを続けられます。音楽の中へ自分の身体で入れたことが、最初の楽しさになります。
第2段階 相手が動きやすいつながりを作る
基本ステップに慣れると、腕の力ではなく、重心と身体の向きから動きを伝えられるようになります。
相手が変わっても同じ技を行えるようになり、分かりやすいリードと、自分で立つフォローの大切さが見えてきます。
第3段階 曲の中から動きたい音を選ぶ
技の順番を考える余裕ができると、ドラム、ベース、管楽器、歌などへ耳が向きます。
同じ基本ステップでも、音の強弱に合わせて歩幅や間を変えられます。技を増やすだけでなく、すでに知っている動きを使い直す面白さが生まれます。
第4段階 違う相手やスタイルから踊りを広げる
ソーシャルへ参加すると、相手によって動きの柔らかさや間が違うことを知ります。
リンディホップからチャールストン、バルボア、ソロジャズへ進むこともできます。速い曲、ゆったりした曲、生演奏など、状況に応じて踊り方を選べるようになります。
第5段階 音楽と文化を支える側へ回る
長く続けると、初心者へ安心して参加できる流れを伝える、受付や選曲を手伝う、地域のイベントを支えるといった関わり方も生まれます。
ジャズの歴史や、リンディホップを育てたダンサーについて学ぶことも、踊りを深める一部です。人を持ち上げる大技だけではなく、文化を尊重し、次の人が踊れる場所を残すことも、長く続けた先の楽しみになります。
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タップダンス
タップダンスは、つま先とかかとの金属板を使い、足元からリズムを作るダンスです。スイングダンスで聞いていたジャズの拍を、自分の足音として鳴らせるため、リズムを細かく捉える練習にもつながります。
ジャズ鑑賞
ジャズ鑑賞では、ダンスフロアから離れ、演奏そのものをゆっくり聞けます。ベースが拍を支える位置、ドラムが空気を変える瞬間、管楽器同士の掛け合いが分かるほど、次に踊るときの選択肢も増えていきます。
ヒップホップダンス
ヒップホップダンスは、スイングダンスとは異なる時代と音楽文化から育ったダンスですが、音を聞いて身体の重さや間を選ぶところに接点があります。振り付けだけでなく、リズムの取り方や一人ずつの表現を深めたいときに、新しい視点を与えてくれます。
一歩ずつの会話が、ジャズの中へ続いていく
初めてのレッスンで、速いスイングアウトや華やかなエアステップを完成させる必要はありません。
曲に合わせて小さく足踏みをし、一歩だけ後ろへ下がる。相手の手を強く握らず、同じタイミングで前へ戻る。その短い往復だけでも、二人の間には言葉とは違うやり取りが生まれます。
足順を覚えること。
相手が動ける余白を残すこと。
音楽の中から、自分が好きな一音を見つけること。
その三つを少しずつ重ねると、スイングダンスは昔の映画に出てくる特別な踊りではなく、次の休日に自分が参加できる時間へ変わります。
まずは、未経験者向けのリンディホップクラスを一つ探し、一人でも参加できるか、室内靴で体験できるかを確認してみてください。最初の小さなトリプルステップが、これまで聞いていたジャズを、身体で味わう音楽へ変えてくれます。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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