プラモデルの楽しみ方
箱を開くと、枠につながった大小さまざまな部品が、何枚も重なって入っています。
似た形に見える部品の横には、小さな番号が付いている。
説明書の最初の図と見比べながら、指定された部品を一つ探す。
枠から切り離し、向きを確かめて、もう一つの部品へ押し込んでみると、二つの小さな部品がぴたりと重なりました。
まだ腕の一部、車体の片側、機体内部の小さな座席にすぎません。それでも、箱の中では平らな部品だったものが、少しずつ厚みのある形へ変わり始めています。
プラモデルと聞くと、細かな部品をニッパーで切り、接着剤で組み立て、最後に塗装まで行う難しい趣味を思い浮かべるかもしれません。
説明書の記号を読み取れるのか。
細かな部品を壊さずに切り離せるのか。
塗装や接着剤を使わなくても完成するのか。
ニッパーやデザインナイフは、最初から必要なのか。
途中で部品を付け間違えたら、やり直せるのか。
完成した模型を、どこへ飾ればよいのか。
調べてみると、現在のプラモデルには、工具や接着剤を使わず、部品を手で外して組み立てられる入門キットもあります。
一方、実在する車、航空機、艦船などを再現するスケールモデルでは、ニッパー、接着剤、塗料が必要になる製品もあります。
プラモデルは、すべて同じ方法でつくる趣味ではありません。
部品を組み合わせるだけで完成させる。
切り口を少しずつ整える。
シールやデカールで模様を加える。
色を塗り、素材の違いや使われた跡を表現する。
同じキットでも、どこまで手を加えるかによって、制作時間も完成した姿も変わります。
最初の一作では、箱の見本と同じように仕上げる必要はありません。説明書の順番を追い、一つずつ部品を組み合わせ、最後まで形にできれば十分です。
今回は、自宅で月に2回ほどプラモデルへ取り組む場合について、必要な時間と費用、最初のキットと工具の選び方、組み立ての流れ、刃物や塗料の安全、完成後の保管、そして続けることで広がる楽しみ方をまとめました。
この記事では、塗装や接着剤を使わない組み立てを入口にしながら、ガンプラ、カーモデル、航空機模型、艦船模型、建築模型にも触れています。
※キットによって、対象年齢、必要な工具、接着剤、塗料、デカールの種類が異なります。購入前に箱とメーカーの商品説明を確認してください。
まず知っておきたい基本情報
一回の標準時間 約1時間50分
短く楽しむ場合 約35分
準備や片付けを含む総所要時間 約2時間10分
想定する頻度 月2回、年間約24回
主な場所 自宅の机や作業台
初めてのキット 約550〜4,000円ほどから
最低限の工具 約2,000〜5,000円
標準的な初期費用 約10,000円
一回の費用 約400円
年間費用 約13,000円
運動強度 約1.8METs
始めやすさ とても始めやすい
施設への依存 ほとんどない
天候の影響 ほとんどない
楽しさの中心 組み立て、構造、再現、仕上げ、展示
標準時間は約1時間50分ですが、一回で完成させる必要はありません。今日は胴体まで、次回は手足、最後にシールというように、説明書の区切りに合わせて分けられます。
月に2回でも、一つのキットを数回かけて完成させられます。短い時間で組める入門キットと、数か月かけて細部を仕上げる模型の両方を楽しめる趣味です。
プラモデルは、部品の集まりから立体を組み上げる趣味
プラモデルの部品は、ランナーと呼ばれる枠につながった状態で入っています。部品とランナーをつなぐ細い部分がゲートです。
説明書には、ランナーを表すアルファベットと、部品番号が書かれています。
Aの3番。
Bの12番。
左右で形の違う部品。
同じように見えて、取り付ける向きが異なる部品。
部品を探し、切り離し、向きを確かめ、指定された場所へ組み付けます。完成形だけでは見えない内部構造を、自分の手で順番に組み上げていくことが、プラモデルの基本です。
現在のキットには、接着剤を使わず、部品同士をはめ込むスナップフィット方式の製品があります。BANDAI SPIRITSのENTRY GRADEには、部品を手でランナーから外せるタッチゲートを採用し、ニッパーや接着剤を使わずに組み立てられる製品があります。(bandaispirits.co.jp)
一方、カーモデル、航空機模型、艦船模型の中には、接着剤を使って部品を固定し、塗装することを前提とした製品もあります。
色分けされた部品をそのまま組む。
切り口だけ整える。
部分的に色を加える。
全体を塗装する。
汚れや退色を表現する。
プラモデルには、一つの完成方法だけがあるわけではありません。自分が心地よく続けられる範囲を、少しずつ広げていけます。
最初の一作を選ぶ三つの方法
工具を使わない入門キットを選ぶ
初めてなら、工具、接着剤、塗装が不要なキットから始められます。
BANDAI SPIRITSの「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」は税込770円です。部品を組み合わせるだけでも色分けされた姿になり、タッチゲートによってニッパーを使わず部品を外せます。(bandaispirits.co.jp)
購入前に確認したいことは、次のとおりです。
接着剤は必要か。
ニッパーは必要か。
塗装しなくても色分けされるか。
シールやデカールが付属するか。
完成後の大きさ。
部品の数と対象年齢。
一作目では、細かな仕上げよりも、説明書を最後まで進められることを優先します。
ニッパーだけを使うスナップフィットキットを選ぶ
次の入口は、ニッパーで部品を切り離し、接着剤なしではめ込むキットです。
部品を切り離す工程が加わるため、手で外すキットよりも作業感があります。切り口が少し残っても、最初からデザインナイフで完璧に削る必要はありません。
一作目で必要なものは、
プラモデル用ニッパー。
部品を置くトレー。
机を守るマット。
小さなごみを入れる容器。
このくらいでも構いません。
タミヤのモデラーズニッパーαは、現在の公式価格例で税込1,540円です。より細かな部品向けの薄刃ニッパーは税込3,960円ですが、初めから高価格の工具を選ばなくても制作できます。
車や航空機など、好きな実物から選ぶ
好きな車、飛行機、船、建物があるなら、実在するものを再現した模型から始める方法もあります。
ただし、箱の完成写真だけで選ばず、必要な工程を確認します。
接着剤が必要。
全体の塗装が必要。
透明部品がある。
小さなデカールを貼る。
部品数が多い。
このようなキットは、完成までの時間も長くなります。
最初から精密な大型模型へ進むより、比較的小さく、部品数の少ないものを選びます。好きな題材であれば、実物の写真を調べたり、細部の意味を知ったりする時間も楽しみに変わります。
キットを選ぶときに確認したいこと
完成後の大きさ
箱の大きさと、完成した模型の大きさは同じではありません。
ガンプラの1/144。
車の1/24。
航空機の1/72や1/48。
艦船の1/700や1/350。
数字は実物をどのくらい縮小したかを表しています。同じ縮尺でも、実物の大きさが違えば、完成模型の大きさも変わります。
購入前に、全長、全幅、全高を確認します。飾る棚へ収まるか、制作中の部品を置く場所があるかまで考えます。
接着剤と塗装の有無
箱に色鮮やかな完成写真が載っていても、写真は塗装済みの見本である場合があります。
部品自体が色分けされているか。
シールで色を補うか。
塗装指定があるか。
接着剤が必要か。
商品説明と説明書の表示を確認します。
最初は「塗装不要」「接着剤不要」「スナップフィット」などの表示があるキットが取り組みやすくなります。
部品の細かさ
模型の大きさだけでなく、アンテナ、ミラー、マスト、車輪、操縦席などの部品がどのくらい細かいかを見ます。
細い部品は、ランナーから切るときに折れやすくなります。艦船模型や航空機模型では、完成時には数ミリほどになる部品もあります。
初めてなら、細い部品が少なく、大きな部位ごとに組み立てられるキットを選びます。
どの姿で完成させるか
キットによっては、複数の完成状態から一つを選びます。
扉を開けるか閉じるか。
脚を出すか収納するか。
武器を持たせるか。
走行状態か駐車状態か。
船体全体をつくるか、水面より上だけをつくるか。
選択したあとに変更しにくい場合があるため、説明書の先まで確認してから接着します。
完成後に遊ぶか、飾るか
可動する模型は、ポーズを変えて楽しめます。スケールモデルは、台座やケースへ入れて鑑賞する作品が中心です。
触って動かしたいのか。
写真を撮りたいのか。
同じシリーズを並べたいのか。
風景を加えたジオラマにしたいのか。
完成後の楽しみ方から、キットの種類を選べます。
プラモデル制作で過ごす1時間50分
1.箱の中身と説明書を確認する
最初に、すぐ部品を切り始めません。
ランナーの枚数。
シールやデカール。
透明部品。
説明書。
追加の金具やコード。
不足や破損がないことを確認します。
説明書を最後まで軽く眺め、接着や塗装を先に行う場所、左右から挟み込む部品、完成状態を選ぶ工程がないかを見ます。
2.机を片付け、部品の置き場所をつくる
机には、制作へ使うものだけを置きます。
キット。
説明書。
ニッパー。
部品用トレー。
切りくず用の容器。
必要に応じてカッティングマット。
小さな部品を落としたときに見つけやすいよう、机の下と周囲も片付けます。毛足の長い敷物や、物が多い机では、部品を見失いやすくなります。
3.ランナーと部品番号を探す
説明書に「A3」と書かれていたら、Aと記されたランナーから3番の部品を探します。
似た形の部品があっても、番号が違う場合があります。左右の腕、車輪、主翼、船体部品などは、向きが決まっていることがあります。
部品を見つけたら、すぐ切らず、説明書の絵と向きを見比べます。
4.ゲートを二段階で切る
ニッパーを使う場合は、部品のすぐ近くを一度で切ろうとせず、少し離れた位置でランナーから外します。
ランナー側を切る。
部品を手元へ移す。
残ったゲートを少しずつ切る。
二段階に分けることで、部品へ大きな力がかかることを抑えられます。刃先を細い部品へ押し付けず、切る部分が刃の間へ正しく入っているかを確認します。
5.切り口を整える
ゲートを切ったあとには、小さな出っ張りが残ることがあります。
ニッパーで少し残して切る。
模型用のやすりで軽く整える。
必要になってからデザインナイフを使う。
最初は、触ったときに大きく引っ掛からない程度でも構いません。
タミヤのデザインナイフは税込990円で、細かな切断やマスキングテープの加工などに使えます。A4サイズのカッティングマットは税込1,540円です。
ナイフを使う場合は、部品を手のひらへ置いたまま削らず、マットの上で固定して作業します。
6.接着前には仮組みする
接着剤が必要なキットでは、塗る前に部品同士を軽く合わせます。
向きは正しいか。
隙間が大きくないか。
内側へ入れる部品を忘れていないか。
透明部品を挟む工程ではないか。
問題がないことを確認してから、指定された位置へ少量の接着剤を使います。
接着剤を多く付けても、必ず強くなるわけではありません。はみ出した接着剤が表面を傷めたり、可動部へ入り込んだりすることがあります。
7.部位ごとに組み立てる
人型模型なら、頭、胴体、腕、脚。
車なら、車体、内装、足回り、ボディ。
航空機なら、操縦席、胴体、主翼、脚。
艦船なら、船体、甲板、艦橋、武装。
説明書は、大きなまとまりごとに工程が分かれています。
一つの部位が完成したら、トレーへ置きます。すぐ全体へ取り付けず、左右や向きを確認してから次へ進みます。
8.シールやデカールを貼る
シールは、貼る位置の近くまで台紙ごと持っていき、ピンセットなどで端をつまみます。
指で接着面へ何度も触れない。
一度で強く押し付けない。
位置を確認してから中央を押さえる。
外側へ空気を逃がす。
水転写デカールは、一般的なシールとは扱い方が異なります。水へ浸し、台紙から浮いた印刷部分を模型へ移すため、キットの説明に従います。
9.完成後の形を整える
組み立てが終わったら、正面だけでなく、横と後ろも確認します。
部品が奥まで入っているか。
左右の向きがそろっているか。
タイヤや脚がすべて接地しているか。
可動部が無理な方向へ曲がっていないか。
人型模型ならポーズを付け、車や航空機なら台座や背景を選びます。照明を変えて写真を撮ると、肉眼では気づかなかった隙間や傾きが見えることがあります。
10.残った部品と説明書を保管する
完成後にも、余剰部品、交換用部品、シール、説明書を残します。
作品名。
制作した日。
使った塗料。
余った部品。
説明書。
一つの袋や箱へまとめます。
壊れたときの修理や、後から別の仕上げを加えるときに役立ちます。ランナーは、不要であることを確認してから自治体の分別ルールに従って処分します。
プラモデルから広がる五つの楽しみ
プラモデルには、架空のロボットから、実在する車、航空機、船、建物まで多くの題材があります。
同じ工具を使う場面はありますが、組み立ての中心と完成後の楽しみ方は異なります。
ガンプラの楽しみ方
ガンプラは、『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する機体を題材にしたプラモデルです。
現在は、工具を使わず始められるENTRY GRADEから、部品数が多く内部構造まで楽しめる製品まで、複数のシリーズがあります。
ENTRY GRADEには、税込550〜1,100円の製品例があり、部品を手で外し、塗装や接着剤なしでも組み立てられる製品があります。
完成後にポーズを変える。
武器や装備を組み替える。
同じ機体を色違いでつくる。
背景や台座を加えて撮影する。
組み立てたあとにも、動かし、飾り、改造できることがガンプラの魅力です。
カーモデルの楽しみ方
カーモデルは、実在する乗用車、レーシングカー、クラシックカーなどを縮小して再現します。
外側のボディだけでなく、座席、計器、エンジン、サスペンションなどを組み立てる製品があります。塗装では、車体の光沢、窓枠、タイヤ、金属部分など、素材ごとの違いを表現します。
タミヤの1/24 トヨタ GR 86は税込3,520円で、完成時の全長は178mmです。(tamiya.com)
好きな車の構造を知る。
実車では選ばなかった色へ塗る。
複数の年代を並べる。
車体のつやを丁寧に仕上げる。
実物への関心と、塗装や研磨の楽しさがつながる模型です。
航空機模型の楽しみ方
航空機模型では、機体の形、主翼、操縦席、脚、兵装、マーキングなどを組み立てます。
同じ機種でも、使用された国や部隊、時期によって塗装や記号が異なります。実機の資料を調べ、どの状態を再現するか選ぶことも楽しみになります。
航空機模型には、比較的コンパクトな1/72や、細部を表現しやすい1/48などがあります。タミヤの1/72 F-35Aには税込4,180円、1/48 F-35Aには税込9,680円の製品例があります。
主翼や胴体の大きな面を整え、細い脚やアンテナを最後に付けることが多いため、組み立てる順番と保管場所が大切です。
艦船模型の楽しみ方
艦船模型では、船体、甲板、艦橋、砲塔、マスト、艦載機などを組み上げます。
細かな部品が多く、少しずつ密度が増していく過程を楽しめます。
1/700ウォーターラインシリーズは、水面より下の船体を省略し、海に浮かぶ姿を再現する模型です。コンパクトな大きさで、多くの艦を並べやすいシリーズとして展開されています。(tamiya.com)
タミヤの1/700 日本戦艦 大和は税込3,080円です。同じ大和でも1/350では全長が約75cmになる製品があり、縮尺によって部品数、完成サイズ、必要な時間が大きく変わります。
建築模型の楽しみ方
建築模型は、住宅、寺社、城、駅、街並みなど、建物と空間を縮小して表します。
市販の組み立てキットをつくる方法だけでなく、厚紙、プラ板、スチレンボード、木材などを切り、自分で設計した形を組み立てる方法もあります。そのため、プラモデルに隣接しながら、紙工作や模型設計へも広がる分野です。
壁を立てる。
窓や扉を付ける。
屋根の角度を整える。
地面、樹木、人の模型を加える。
建物だけでなく、その周囲の空間までつくれるところが特徴です。好きな建築物を再現するほか、実際には存在しない家や街を考える楽しみ方もあります。
プラモデルならではの楽しさ
箱の中の平らな部品が立体へ変わる
ランナーへ並んでいるときには、何の部分か分からない部品もあります。
説明書どおりに重ねる。
内側へ別の部品を入れる。
左右から挟む。
最後に大きな部位へ取り付ける。
工程を進めるうちに、腕、車体、主翼、艦橋などへ変わります。部品の意味が、組み立てながら分かっていくことが楽しさの一つです。
完成形の内側を知ることができる
完成後には見えなくなる場所にも、部品があります。
車の室内。
航空機の操縦席。
ロボットの関節。
艦船の甲板の下。
建物の柱や壁。
自分で組み立てることで、外から見るだけでは分からなかった構造を知ることができます。
どこまで仕上げるかを自分で決められる
箱から出した色のまま組む。
シールだけ貼る。
一部へ色を塗る。
全体を塗装する。
汚れや傷を加える。
背景をつくる。
完成の基準は、一つではありません。
塗装をしなくても、説明書どおりに形へできれば完成です。あとから興味が出た工程だけを足せます。
同じキットでも違う作品になる
同じ製品をつくっても、仕上がりは同じになりません。
色を変える。
つやを変える。
使い込まれた汚れを加える。
付属品の位置を変える。
背景や台座を変える。
市販キットを土台にしながら、自分の解釈を加えられます。
完成後に並べて比較できる
同じシリーズ。
同じ縮尺。
年代の異なる車。
同じ国の航空機。
大きさの異なる艦船。
作品が増えると、一体ずつ見るだけでなく、並べたときの違いも楽しめます。制作した順番に並べれば、自分の仕上げ方が変わってきたことも見えます。
身体への負担と健康面
プラモデル制作の運動強度は約1.8METsが目安です。
激しい運動ではありませんが、細かな部品へ顔を近づけ、同じ姿勢で工具を使います。長時間続けると、目、首、肩、腰、指へ疲れが出ることがあります。
20〜30分ごとに姿勢を変える
部品を一つ組み終えたところで、工具を置きます。
手を開く。
肩を回す。
立ち上がる。
遠くを見る。
腰を伸ばす。
完成を急いで姿勢を固めるより、短く休みながら正確に作業する方が、部品の取り付け間違いにも気づきやすくなります。
部品へ顔を近づけすぎない
細かな番号やゲートが見えにくい場合は、顔を近づけるだけでなく環境を変えます。
手元照明を使う。
明るい色のマットへ部品を置く。
説明書を拡大する。
必要に応じて拡大鏡を使う。
小さな部品は、ピンセットや固定具を使います。
ニッパーとナイフを強く握らない
切れにくいニッパーや刃が鈍ったナイフを使うと、必要以上に力を入れやすくなります。
工具の状態を確認する。
一度に厚い部分を切らない。
刃を無理にねじらない。
痛みやしびれが出る前に休む。
デザインナイフの替刃には、切れ味が低下したら早めに交換するようメーカーから案内されています。使用済みの刃は、専用ケースなどへ入れて安全に処分します。(tamiya.com)
一回にかかる費用
プラモデルは、選ぶキットによって費用が大きく変わります。
工具不要の小さなキット。
一般的なキャラクターモデル。
車や航空機のスケールモデル。
大型で部品数の多い模型。
塗料やエアブラシまで使う制作。
同じ一作でも、必要な予算は同じではありません。
最初のキット
工具不要の入門キット 約550〜1,500円
一般的な小型キット 約1,500〜4,000円
車や1/72航空機など 約2,000〜5,000円
精密な航空機や大型艦船 約8,000〜25,000円以上
初めてなら、価格だけでなく、接着剤と塗装の有無、部品数、完成サイズを確認します。
最低限の工具
プラモデル用ニッパー 約1,500円
カッティングマット 約1,000〜1,500円
やすり類 約500〜1,000円
部品トレーや容器 手持ち品でも可
合計 約2,000〜4,000円
工具不要のキットでは、これらを買わずに始められます。
標準的な初期費用
キット 約2,000〜4,000円
ニッパー 約1,500円
デザインナイフ 約1,000円
カッティングマット 約1,500円
やすり、ピンセット、収納用品 約2,000円
合計 約8,000〜10,000円
入力上の初期費用約1万円は、キット一つと、基本工具をまとめてそろえる予算としては現実的です。ただし、最初からすべてを買う必要はありません。
一回にかかる費用
標準約400円です。
一回で400円分の材料を使い切るという意味ではありません。一つのキットを複数回かけて制作し、やすり、接着剤、塗料などの使用量を分けた目安です。
キットの購入日には数千円かかりますが、前回の続きを組み立てる日には、新しい支出がないこともあります。
年間費用
月2回、年間24回取り組む場合は、約13,000円が一つの目安です。
年間に数個の入門・中価格帯キットをつくり、消耗したやすりや刃を補充する想定です。
大型キットを購入する。
塗料を多くそろえる。
エアブラシを導入する。
ディスプレイケースを増やす。
限定品を集める。
このような楽しみ方では、年間費用が大きく増えます。
費用を抑える方法
最初は工具不要のキットを選ぶ。
ニッパーは標準的な一本から始める。
塗装と接着剤は後回しにする。
キットを買い足す前に一つ完成させる。
部品トレーや収納には手持ちの容器を使う。
やすりは必要な粗さだけ買う。
完成品を置く場所を決めてから次を選ぶ。
積み上がった未制作キットも楽しみの一部ではありますが、最初は一箱ずつ完成させる方が、次に必要な道具を判断しやすくなります。
初めて用意するもの
最低限必要なもの
初心者向けのプラモデルキット
説明書
平らで明るい作業机
部品を置くトレー
切りくずを入れる容器
工具不要のキットなら、これだけで始められます。
ニッパーを使う場合
プラモデル用ニッパー
カッティングマット
紙やすりまたは模型用やすり
部品用トレー
ピンセット
刃物を使わず、ニッパーとやすりだけで完成させる方法もあります。
続けるなら用意したいもの
デザインナイフ
替刃と使用済み刃の容器
複数の粗さのやすり
模型用接着剤
綿棒
マスキングテープ
筆
模型用塗料
パーツを固定するクリップ
デカール用の道具
手元照明や拡大鏡
完成品を入れるケース
必要になった工程に合わせ、一つずつ追加します。
最初は買わなくてよいもの
高級な薄刃ニッパー
多数の塗料
エアブラシ
コンプレッサー
電動リューター
専門的な彫刻工具
大型の塗装ブース
大量のディテールアップパーツ
本格的な撮影機材
最初の一作では、部品を順番に組み、最後まで完成させるだけでも十分です。
プラモデルで気をつけたいこと
ニッパーの切断面を顔へ向けない
プラスチックを切ると、小さな切りくずが飛ぶ場合があります。
部品を顔へ近づけすぎない。
人がいる方向へ刃を向けない。
細い部品を一度に強く切らない。
切りくずを机や床へ残さない。
必要に応じて保護眼鏡を使います。通常の大きな部品を切るだけで、常に手袋や保護眼鏡が必須というわけではありませんが、飛散の多い作業や硬い材料を切る場合は保護を考えます。
ナイフは身体の外側へ動かす
デザインナイフで部品を手に持ったまま、自分の指へ向けて削りません。
カッティングマットへ置く。
部品を固定する。
刃の進行方向へ指を置かない。
刃を少しずつ動かす。
使わないときはキャップを付ける。
切れなくなった刃へ強い力を加えず、適切な方法で交換します。
小さな部品を床へ残さない
プラモデルには、数ミリほどの部品が含まれることがあります。
使用する部品だけを切る。
切り離したらトレーへ入れる。
床へ落とした場合は、見つけるまで周囲を確認する。
作業後に机と床を掃除する。
幼い子どもやペットがいる家庭では、途中のキットも閉じられる箱へ入れます。
接着剤と塗料は表示に従う
模型用の接着剤や塗料には、有機溶剤を含む製品があります。
使用中と使用後に換気する。
火気の近くで使わない。
容器を開けたまま放置しない。
皮膚や目へ付けない。
食事をする机で同時に使わない。
水性ホビーカラーも有機溶剤を含むため、メーカーは使用中と使用後に十分な換気を行うよう案内しています。(mr-hobby.com)
「水性」という名前だけで、換気が不要とは考えません。
スプレーやエアブラシ塗装は室内へそのまま吹かない
スプレーやエアブラシでは、塗料の細かな粒子が広い範囲へ飛びます。
通常の生活空間で、窓を少し開けるだけの状態では行わない。
塗装ブースや適切な排気を使う。
周囲の家具、食品、家電を保護する。
火気を遠ざける。
製品に対応する保護具を確認する。
安全な塗装環境を用意できない場合は、筆塗りや無塗装仕上げを選びます。
材質の表示を確認する
模型の部品には、PS、ABSなど異なる樹脂が使われる場合があります。
塗料や溶剤によっては、樹脂へ影響し、部品が割れやすくなることがあります。GSIクレオスも、一部の塗料についてABS樹脂へ塗ると部品が脆くなる場合があるため、説明書やランナー表示を確認するよう案内しています。
使用する塗料と部品の材質が合うか分からない場合は、不要なランナーで試します。
完成品を高温と直射日光から離す
完成した模型は、窓際や暖房器具の近くへ長期間置かないようにします。
熱によって部品が変形する。
紫外線で色が変わる。
ほこりが可動部や細部へ入る。
落下して細い部品が折れる。
安定した棚やケースへ置き、必要に応じて転倒防止を行います。
キャラクターやデザインの権利を確認する
購入したキットを個人で組み立て、飾り、撮影して楽しむことと、他人の作品や画像を使って商品をつくることは異なります。
説明書や箱絵を複製して配布する。
キャラクター模型を複製して販売する。
メーカーの画像を無断で商品ページへ使う。
他人の改造作品を自分のものとして公開する。
販売や収益化へ広げる場合は、メーカーや作品ごとの利用条件を確認します。
続けると変わる楽しみ方
ここで紹介する五段階は、技術の優劣を示すものではありません。
工具不要のキットへ戻っても構いません。塗装をせず、組み立てだけを長く楽しむ続け方もあります。
1.一つのキットを完成させる
最初は、接着剤や塗装が不要なキットを選びます。
説明書を読む。
部品番号を探す。
部品を外す。
向きを確認する。
最後まで組み立てる。
切り口やシールに少しずれがあっても、一箱を完成できたら最初の到達点です。
2.基本の切り出しと仕上げを安定させる
次は、ニッパーを使ったキットへ進みます。
部品から離れた場所を切る。
残ったゲートを小さくする。
やすりで表面を整える。
シールを位置へ合わせる。
同じ工程を繰り返し、部品を傷めにくい力加減を身につけます。
3.色と質感を自分で選ぶ
基本に余裕が出ると、部分的な塗装や仕上げを加えられます。
細部へ色を入れる。
つやを変える。
溝へ影を加える。
汚れや退色を表現する。
付属の色から、自分の好きな色へ変更する。
組み立てるだけだった模型へ、自分の解釈が加わります。
4.資料を調べ、作品全体を深める
さらに続けると、実物や作品設定を調べます。
実車や実機の写真を見る。
使用された年代を確認する。
装備の違いを調べる。
背景となる地面や建物をつくる。
複数の模型を一つの場面へ配置する。
キット単体の完成から、題材全体を表現する制作へ広がります。
5.発表、共有、制作活動へ広げる
作品が増えたら、飾るだけでなく、記録や発信へ広げられます。
制作過程を写真へ残す。
完成品を撮影する。
展示会やコンテストへ参加する。
初心者向けに工具の使い方を伝える。
オリジナルの模型や背景を制作する。
模型制作は、記事、動画、講座、作例制作、撮影、模型展示など、収益へつながる可能性があります。
ただし、キャラクター、メーカー画像、箱絵、説明書、実在企業のロゴなどには権利があります。まずは制作方法と安全を積み重ね、その先にある活動として考えます。
プラモデルが合いやすいのは、こんな日
外出せず、自宅で静かに手を動かしたい日。
説明書を追いながら、少しずつ形をつくりたい日。
好きなロボット、車、飛行機、船、建物を手元へ置きたい日。
完成品だけでなく、内部の構造も知りたい日。
一つの作品を数回に分け、ゆっくり仕上げたい日。
同じキットへ自分の色や表現を加えたい日。
完成した作品を並べ、違いを眺めたい日。
一方で、目がひどく疲れている日、指や手首に痛みがある日、刃物や塗料を安全に片付ける時間がない日には、無理に作業を進めません。
その日は説明書を読む。
次の部品を確認する。
完成品を撮影する。
余った部品を整理する。
次に仕上げたい場所を決める。
工具を使わない日も、次の制作へつながります。
初めてなら、工具不要のキットを35分だけ組み立てる
初めての一回は、塗料、接着剤、デザインナイフを用意しなくても構いません。
工具不要と書かれた入門キットを一つ選ぶ。
机の上を片付ける。
箱の中身を確認する。
説明書の最初の工程を見る。
指定された部品番号を探す。
部品を一つずつランナーから外す。
向きを確かめ、二つの部品を組み合わせる。
完成した部位をトレーへ置く。
35分になったら、途中でも箱へ戻します。
最初の目標は、一回で模型全体を完成させることでも、切り口を見えなくすることでもありません。
説明書の番号と、実際の部品を一つ見つけること。
平らだった部品を組み合わせ、厚みのある形へ変えること。
箱へ戻す前に、最初にはなかった一つの部位が机の上へできていたら。
それだけで、最初のプラモデル体験として十分です。
調べる前より、見本どおりに仕上げるより部品の意味を見つけていく趣味に感じました
調べる前は、プラモデルには、細かな部品を正確に切り、接着し、塗装して、箱の写真と同じように仕上げる印象がありました。
手先が器用な人。
工具を使い慣れている人。
塗装や模型の知識がある人。
そのような人でなければ、楽しみにくい趣味のようにも感じます。
けれど、最初のキットを完成させる流れを見ていくと、必要なのは高価な工具でも、本格的な塗装設備でもありませんでした。
説明書を開く。
部品番号を探す。
一つ外す。
向きを合わせる。
別の部品へ重ねる。
完成した部分を少し眺める。
次の番号を探す。
プラモデルの最初の目標は、見本どおりの作品を一度で完成させることではありません。
箱の中で意味の分からなかった部品が、組み立てることで腕や車体、主翼へ変わること。
外からは見えない内部の形を、自分の手で確かめられること。
小さな部品の集まりが、少しずつ知っている姿へ近づいていくこと。
完成した模型だけを見ると、どこから組み始めたのかは分かりません。
けれど、自分でつくった作品には、この部品を逆に付けかけた、ここで初めてニッパーを使った、この一枚のシールだけきれいに貼れたという時間が残っています。
プラモデルは、見本どおりに精密な模型を仕上げる趣味というより、部品を一つずつ手に取り、その形が全体のどこへつながるのかを見つけながら、一つの立体を育てていく趣味なのだと思います。
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
