スイミングの楽しみ方
プールへ入り、壁際で一度立ち止まる。
足元から少しずつ水へ入り、肩まで浸かる。床を歩いているだけなのに、身体がいつもより軽く感じられます。
壁を持ったまま息を吐く。
少しだけ顔を水につける。
足を床から離してみる。
手足を動かし、短い距離を進む。
最初からきれいに泳げなくても、水の中で自分の身体がどのように動くのかを確かめるだけで、普段とは違う時間になります。
スイミングは、速さや距離を競うためだけの運動ではありません。
水中を歩く。
浮く感覚を確かめる。
短い距離を何度か泳ぐ。
自分に合う呼吸の間隔を探す。
前回より少し長く進む。
水の抵抗を感じながら、全身を使って動く活動です。
一方、久しぶりにプールへ行くときや、泳ぎに自信がない状態で始めるときには、気になることもあります。
水着はどのようなものを選べばよいのか。
泳げなくてもプールを利用できるのか。
一回にどのくらい時間がかかるのか。
月会費と都度利用のどちらがよいのか。
人の多いコースで迷惑をかけないか。
疲れすぎずに続けるには、どのくらい泳げばよいのか。
最初から25mを止まらず泳ぐ必要はありません。
水中ウォーキングから始めてもよい。浮き具を借りてもよい。初心者向けの教室で、呼吸や姿勢を教わる方法もあります。
今回は、スイミングに必要な時間と費用、プールの選び方、利用当日の流れ、初めてそろえる道具、安全に楽しむための注意、続けることで広がる楽しみ方をまとめました。
※時間や費用は、公共プールやフィットネス施設を定期的に利用する場合の目安です。施設の料金、会員制度、利用回数、教室への参加によって変わります。
まず知っておきたい基本情報
一回に必要な時間 移動と着替えを含めて約2時間20分
施設で過ごす時間 約1時間30分
実際に身体を動かす時間 約1時間
年間の利用回数 年25回程度
当日の支出 約1,000円
一回あたりの費用換算 約1,500円
年間の費用 約37,500円
初期費用 約8,000〜12,000円
一人での楽しみやすさ 高い
施設への依存度 高い
主な身体的負担 全身運動、呼吸、肩まわり、疲労、長時間の水中滞在
楽しさの中心 浮く感覚、距離の積み重ね、泳法の上達、記録、自分のペース
施設で過ごす時間は、約1時間30分です。
この中には、着替え、シャワー、準備、休憩も含まれます。実際に泳いだり水中を歩いたりする時間は、約1時間を想定しています。
往復の移動を含めると、一回に必要な時間は約2時間20分です。
短い運動に見えても、濡れた水着を着替え、髪や身体を乾かし、荷物を片付ける時間があります。仕事や用事の前後に入れるなら、泳ぐ時間だけではなく、退館までの余裕も見ておきたいところです。
年間25回は、月に2回ほどです。
毎週必ず通うのではなく、休日や時間に余裕のある日に利用する頻度です。運動習慣として続けるなら、月4回、週1回など、自分の生活に合わせて回数を増やすこともできます。
最初は、泳げる距離より安心して動ける施設を選ぶ
スイミングを始める場所には、公共プール、スポーツセンター、フィットネスクラブ、スイミングスクールなどがあります。
同じプールでも、利用方法は異なります。
自由に泳げるコース。
ゆっくり泳ぐ人向けのコース。
速く泳ぐ人向けのコース。
水中ウォーキング専用のコース。
教室やレッスンで使用する区域。
子どもや家族が利用する区域。
初めて利用するなら、料金だけでなく、コースの分け方や初心者向けの案内を確認します。
泳力に合わないコースへ入ると、自分も周囲も落ち着いて泳ぎにくくなります。
水深。
監視員の配置。
水中ウォーキングの可否。
浮き具の貸し出し。
初心者教室の有無。
混雑しやすい時間。
ロッカーやシャワーの設備。
こうした情報が分かる施設の方が、最初の不安を減らせます。
水へ顔をつけることに不安がある場合は、無理に自由遊泳から始めず、初心者教室や個別指導を選ぶ方法もあります。
泳げる人と同じ距離を進むことより、安全な水深で水へ慣れることを優先します。
一回にかかる費用
今回の当日の支出は、約1,000円を想定しています。
一回の費用目安
施設利用料 約500円
交通費 約300円
飲み物など 約100円
ロッカーやその他の費用 約100円
合計 約1,000円
これとは別に、水着やゴーグルなどの初期費用がかかります。
最初にそろえる費用
水着
スイムキャップ
ゴーグル
タオル
濡れ物を入れる袋
合計 約8,000〜12,000円
すでに使える水着やタオルがあれば、初期費用を抑えられます。
ただし、施設によってはスイムキャップの着用が必須です。水着の形や使用できる練習用品にも規則があるため、購入前に確認します。
今回の一回あたりの費用換算は、約1,500円です。
これは当日の利用料だけではなく、水着やゴーグルの年換算、会費、手入れにかかる費用も含めた金額です。
年間費用の目安は、約37,500円です。
公共プールを都度利用する場合は、固定費を抑えやすくなります。
フィットネスクラブへ入会する場合は、月会費が必要ですが、営業時間、シャワー、ロッカー、ほかの運動設備を利用できることがあります。
自分が月に何回通えるか分からない段階では、都度利用から始める方が負担を抑えやすくなります。
数回利用し、通う曜日や時間が決まってから、回数券や会員プランを比べます。
プールへ行く日の流れ
1.施設の規則と混雑時間を確認する
出発前に、営業時間、休館日、利用料金、必要な持ち物を確認します。
施設によっては、事前予約や会員登録が必要です。
ほかにも、
スイムキャップが必要か。
浮き輪やフィンを持ち込めるか。
水中で活動量計を使えるか。
泳ぐ方向が決められているか。
飛び込みが禁止されているか。
化粧や整髪料を落とす必要があるか。
を見ておきます。
初回は、混雑する夕方や休日の昼を避け、比較的落ち着いた時間を選ぶと、コースの使い方を確認しやすくなります。
2.着替えて身体の状態を確かめる
施設へ着いたら、受付を済ませて着替えます。
泳ぐ前に、睡眠不足、強い疲労、発熱、痛み、飲酒の影響がないかを確認します。
少し体調が悪いだけでも、水中では動きにくさを感じることがあります。
水着とキャップを着け、ゴーグルを調整します。プールサイドへ持ち込める物は施設ごとに異なるため、必要な物だけをまとめます。
3.シャワーを浴びて水へ入る
プールへ入る前に、施設の案内に従ってシャワーを浴びます。
水へ入るときは、飛び込まず、階段やはしごを使います。
最初から泳ぎ始めず、浅い場所で歩き、水温と水深に身体を慣らします。
肩を回す。
腕を水中で動かす。
ゆっくり歩く。
壁につかまって呼吸する。
数分かけて準備すると、最初の一往復で疲れすぎることを防ぎやすくなります。
4.短い距離から始める
泳ぎに慣れていない場合は、5〜10mほどの短い距離から始めます。
途中で苦しくなったら、無理に壁まで泳がず、安全に立てる場所で止まります。
初心者向けのコースでは、
水中を歩く。
壁を蹴って少し進む。
ビート板を使う。
息を吐く練習をする。
短い距離を泳ぐ。
といった内容を組み合わせます。
一度泳いだら休み、呼吸が落ち着いてから再開します。
5.自分の泳ぐ方向と速度を守る
コース内では、進む方向や追い越しのルールが決められていることがあります。
前の人へ近づきすぎない。
壁際で長く立ち止まらない。
コースの途中で急に横切らない。
速い人向けのコースへ無理に入らない。
周囲を見ながら、自分が安心して続けられる速度を保ちます。
混雑している場合は、水中ウォーキングへ変えたり、少し休んで空くのを待ったりします。
6.疲れる前に切り上げる
水中では汗を感じにくく、身体の疲れに気づくのが遅れることがあります。
呼吸が乱れる。
手足が重い。
動きが崩れる。
足がつりそうになる。
寒さを感じる。
こうした変化があれば、一度水から上がります。
「予定した距離まで泳ぐこと」より、余裕を残して終了することを優先します。
7.身体と道具を洗って帰る
プールから上がったら、シャワーで身体と髪を洗います。
水着、キャップ、ゴーグル、練習用品は、帰宅後に真水ですすぎます。
濡れたまま袋へ入れ続けると、においや劣化の原因になります。タオルと水着を分け、帰宅したら早めに広げて乾かします。
スイミングは、泳ぎ終わった後の着替えと道具の手入れまで含めて、一回の活動になります。
スイミングならではの楽しさ
水に浮くと、身体の使い方が変わる
陸上では、立つことや歩くことに身体の重さがかかります。
水へ入ると、浮力によって身体の感じ方が変わります。
床から足を離す。
身体を伸ばす。
息を吐く。
手足を動かして進む。
普段とは違う条件の中で、姿勢や呼吸を確かめられます。
最初は力を入れすぎることがあります。
沈まないように身体を固めるより、呼吸を続けながら少しずつ力を抜く方が、浮きやすくなる場合があります。
その感覚を一度つかむと、水への不安が少し減っていきます。
呼吸と動きをそろえる
泳ぐときには、手足を動かすだけでなく、息を吐く時間と吸う時間を合わせます。
息を止めたまま進むと、短い距離でも苦しくなります。
水中でゆっくり吐き、顔を上げたときに吸う。
最初は動きと呼吸が合わなくても、何度か繰り返すうちに、苦しくなりにくい間隔が見つかります。
自分の身体の動きと呼吸がそろい、一定の速度で進めたときには、短い距離でも手応えがあります。
一往復ごとに区切れる
プールでは、壁から壁までの距離が決まっています。
一往復泳ぐ。
壁で休む。
次の一往復を始める。
運動の区切りが分かりやすく、距離を記録しやすいところがあります。
今日は100m。
次は150m。
同じ距離を、前回より少ない休憩で泳ぐ。
大きな目標を立てなくても、一往復ずつ積み重ねられます。
同じ距離でも、泳ぎ方で感覚が変わる
クロール、平泳ぎ、背泳ぎなど、泳法によって身体の使い方は変わります。
前へ進みやすい泳ぎ。
呼吸を取りやすい泳ぎ。
ゆっくり続けやすい泳ぎ。
姿勢を保つのが難しい泳ぎ。
自分に合う泳法を見つけることも、スイミングの楽しみです。
一つの泳法だけを続けてもよく、少しずつ別の泳ぎを試しても構いません。
泳げない日には、水中ウォーキングという選択がある
プールへ行ったからといって、毎回泳ぐ必要はありません。
疲れが残っている日や、泳ぎに不安がある日は、水中ウォーキングを中心にします。
背筋を伸ばして歩く。
腕を水中で動かす。
歩幅を少し変える。
前向きと横向きを使い分ける。
水の抵抗があるため、ゆっくりした動きでも陸上とは違う負荷を感じます。
ただし、水中だから身体へ負担がないわけではありません。
歩く時間を長くしすぎたり、抵抗へ逆らって強く動いたりすると疲れます。最初は10〜20分ほどから始め、途中で休みます。
泳ぎと水中ウォーキングを組み合わせれば、その日の体調に合わせて内容を変えやすくなります。
初めてそろえる道具
スイミングに必要な道具は多くありません。
最低限必要なもの
水着
スイムキャップ
ゴーグル
タオル
濡れ物を入れる袋
利用できるプール
水着は、見た目よりも動きやすさとフィット感を優先します。
大きすぎると水中でずれやすく、小さすぎると身体を締め付けます。
ゴーグルは、顔の形に合っていることが大切です。強く締めなければ水が入るものより、軽く当てても密着するものを選びます。
あると便利なもの
飲料水
プールバッグ
施設内で使えるサンダル
耳栓
ゴーグルの曇り止め
着替え
スキンケアやヘアケア用品
小物をまとめるポーチ
水中でも水分は失われます。
プールサイドへ飲料を持ち込めるか確認し、利用前後に水分を取ります。
続けるなら用意したいもの
セームタオル
プルブイ
キックボード
メッシュバッグ
泳いだ距離や時間を記録するもの
フィンやパドルなどの練習用品
キックボードやプルブイは、施設に用意されていることもあります。
フィンやパドルは、使用できるコースや時間が限られる場合があります。購入前に施設の規則を確認します。
最初は買わなくてよいもの
高額な競泳用水着
複数の競技用ゴーグル
防水活動量計
多数のフィンやパドル
フォーム撮影機器
高価な回復用品
道具を増やす前に、水着とゴーグルが自分に合っているかを確かめます。
泳ぐ目的と通う頻度が決まってから、必要な練習用品を追加します。
安全に楽しむために気をつけたいこと
監視員と施設の規則に従う
コース、飛び込み、練習用品、撮影、飲食などの規則は、施設によって異なります。
泳げる人でも、自己判断で禁止された場所へ入ったり、器具を使ったりしません。
分からないことは、泳ぎ始める前に監視員やスタッフへ確認します。
体調が悪い日は泳がない
発熱、強い疲労、めまい、胸の違和感、睡眠不足がある日は利用を控えます。
飲酒後に泳ぐことも避けます。
水へ入った後に息苦しさ、胸痛、めまい、強い疲労、けいれんを感じた場合は、すぐに泳ぐのをやめ、周囲へ助けを求めます。
自分の泳力を超える距離を続けない
前の人や隣のコースに合わせ、無理に速く泳ぐ必要はありません。
フォームが崩れたり、呼吸が整わなくなったりしたら休みます。
距離や時間を増やすときも、一度に大きく変えず、少しずつ行います。
プールサイドを走らない
プールサイドは濡れて滑りやすくなっています。
急いで移動せず、手すりや階段を使います。
サンダルを利用できる施設でも、滑りにくく、周囲へ水を飛ばしにくいものを選びます。
水分と休憩を忘れない
水中では汗を感じにくいため、喉が渇いていなくても休憩を取ります。
長時間泳ぐ場合は、泳いだ距離だけでなく、休憩と水分補給も予定へ入れます。
続けると変わる楽しみ方
1.水に慣れ、短い距離を進む
最初は施設の規則を確認し、安全な水深で水中を歩きます。
顔を水につけ、壁や浮き具を使いながら、浮く感覚と呼吸を確かめます。
速く泳ぐことより、自分の力で短い距離を進み、疲れる前に休めることが最初の目標です。
2.一つの泳法を安定させる
複数回通うと、クロールや平泳ぎなど、一つの泳法を繰り返せるようになります。
呼吸、姿勢、手足の動きを意識し、短い距離を何度か泳ぎます。
自分に合う速度と休憩時間が分かり、一定の距離を止まらず進めるようになる段階です。
3.距離や泳法を組み合わせる
さらに続けると、持久力、速さ、技術など、目的に合わせて練習内容を変えられます。
泳法ごとに距離を決める。
速く泳ぐ区間とゆっくり泳ぐ区間を分ける。
ターンを練習する。
距離と時間を記録する。
軽く泳ぐ日と休む日を作り、自分に合う練習を組み立てます。
4.水の抵抗と身体の動きを理解する
関心が深まると、浮力、抵抗、姿勢、呼吸、ストローク数にも目が向きます。
指導を受けたり、許可された環境でフォームを確認したりしながら、力を使いすぎずに進む方法を探します。
水質、混雑、コースの流れ、安全設備も含め、周囲と一緒に安全に泳ぐ段階です。
5.自分の目標へ計画的に挑戦する
長く続けると、距離、タイム、大会、長時間泳など、自分なりの目標が生まれます。
年間の練習予定を作る。
苦手な泳法を練習する。
タイムとストローク数を比べる。
体調と疲労を記録する。
記録を更新することだけでなく、長く泳いでもフォームを保てることや、無理なく継続できることも成果になります。
スイミングが合いやすいのは、こんな日
屋内で全身を動かしたい日。
外の暑さや寒さを避けて運動したい日。
一人で黙々と身体を動かしたい日。
走る運動とは違う感覚を試したい日。
距離や時間を少しずつ積み重ねたい日。
水中ウォーキングから始めたい日。
泳ぎ方を一つずつ覚えたい日。
一方で、強い疲れがある日、睡眠不足の日、飲酒後、体調に不安がある日には向きません。
施設へ行く準備はできても、身体の状態がよくないと感じたら、泳がずに帰る判断も必要です。
次の利用日に回せることも、長く続けるための一部です。
初めてなら、25mより水の中で十分動くことから
初めてスイミングへ行くなら、私は初心者向けのコースがある公共プールか、体験教室から始めたいです。
施設の規則を確認し、水着、キャップ、ゴーグル、タオルだけを用意する。
水へ入ったら、最初の10分は泳がずに歩きます。
壁につかまり、水中で息を吐く。
少し浮く。
ビート板を使い、短い距離を進む。
一度進んだら、呼吸が落ち着くまで休みます。
最初から25mを泳ぎ切ろうとせず、5mや10mで止まっても構いません。
水へ入る前より少し怖さが減り、自分の身体が浮く瞬間を一度感じられたなら、最初の一回として十分です。
調べる前より、距離よりも水の中で力を抜く趣味に感じました
調べる前は、スイミングには、長い距離を止まらず泳ぐことや、きれいなフォームを身につけることが中心にあるように感じました。
けれど、最初の段階で必要なのは、速く進むことではありません。
水へ入る。
歩いて温度に慣れる。
息を吐く。
身体を浮かせる。
短い距離を進む。
壁で休む。
疲れる前に水から上がる。
一つひとつを繰り返し、自分が水の中で安全に動ける範囲を知ることから始まります。
陸上では無意識にできる呼吸や姿勢も、水中では意識しなければうまく合いません。
力を入れすぎると沈みやすくなり、急いで息を吸おうとすると動きが崩れます。
少しずつ力を抜き、呼吸と手足の動きが合ったとき、短い距離でも滑るように進める瞬間があります。
スイミングの最初の目標は、何百メートルも泳ぐことではありません。
安全な水深で身体を浮かせ、無理のない呼吸で、少しだけ前へ進むこと。
プールから上がった後、「次はもう一往復してみたい」と思えたなら、その短い距離から、自分なりの泳ぎ方を育てていけそうです。
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
