ドッジボールの楽しみ方
体育館の床にシューズの音が響き、味方から渡されたボールを両手で受け取る。
相手へ投げるのか、味方へつなぐのか。狙われている仲間を守るために前へ出るのか、自分が当たらない位置へ動くのか。子どもの頃には勢いだけで遊んでいたドッジボールも、チームで取り組んでみると、思っていた以上に判断の多いスポーツです。
「ボールをぶつけられるのが怖い」
「速い球を受け止められる気がしない」
「大人が参加できる場所はあるのかな」
久しぶりに始める人にとっては、楽しさより先に不安が浮かぶかもしれません。けれど、最初から強い球を投げたり、難しいキャッチへ挑戦したりする必要はありません。近い距離でのパスや、ゆっくりした球を避ける練習から始めれば、少しずつ試合の速さへ慣れていけます。
ドッジボールの魅力は、単に相手へボールを当てることではありません。
味方と声を掛け合い、相手の動きを見ながら、自分が今どこにいるべきかを考える。投げる人だけでなく、受ける人、避ける人、味方を守る人にも役割があります。
全員が同じ瞬間に試合へ関わっている。
その忙しさと一体感が、ドッジボールならではの楽しさです。
ドッジボールの基本情報
一回の標準実施時間 約150分
短く参加する場合 約75分
移動や準備を含む総所要時間 約235分
想定頻度 週1回前後
主な場所 体育館、地域のスポーツ施設、クラブやサークルの練習会場
初心者の始めやすさ 普通。基本ルールは分かりやすいものの、球の速さや集団での動きに慣れが必要
施設への依存 高め。安全に動ける広さと定期的な練習会場が必要
天候の影響 屋内なら少ない。屋外練習は雨や暑さの影響を受ける
一回150分には、準備運動、投げる・受ける練習、チーム練習、ゲーム、休憩、片づけなどを含みます。ずっと全力で試合を続けるわけではありませんが、短いダッシュや方向転換を繰り返すため、終わる頃にはしっかり身体を動かした感覚が残ります。
初めて参加する日は、75分ほどの体験練習でも十分です。準備運動と基本練習だけ参加できるクラブなら、いきなり長いゲームへ入らず、体育館の雰囲気やボールの感触を確かめられます。
週1回ほど続けると、投げ方や受け方を忘れにくく、チームの人とも関係をつくりやすくなります。ただし、肩や指、脚に疲れが残っている日は休み、最初は月2回ほどから慣らしても構いません。
初期費用は約20,000円が目安
ドッジボールは、クラブがボールを用意している場合、動きやすい服装と室内用シューズがあれば始められます。体験参加だけなら、手持ちの用品を使い、初期費用をほとんどかけずに試すことも可能です。
継続する場合は、室内用シューズ、スポーツウェア、タオル、飲料ボトル、スポーツバッグ、会員登録や保険などを合わせ、標準約20,000円を見ておくと安心です。
初期費用 0円から
標準的な初期費用 約20,000円
一回の費用 約1,000円
年間費用 年間40回の参加で約58,500円
一回の費用には、会場利用料や参加費、交通費などが含まれます。月会費制のクラブもあれば、参加するたびに料金を払うサークルもあるため、体験前に確認しておきます。
大会への参加費、チームウェア、遠征交通費などは、すべての人に必要な費用ではありません。まずは通常練習だけで続け、試合へ出てみたくなってから追加費用を考えるほうが無理がありません。
自分用のボールも、最初から購入する必要はありません。チームで使っているボールの大きさや柔らかさを確認し、自宅で投球練習をしたいと感じてから選べば十分です。
費用を抑えるなら、手持ちの運動着を使い、最初は必要なシューズだけを用意します。ただし、体育館の床に合わない靴や、滑りやすい靴での参加は危険です。価格だけではなく、足に合うことと、施設で使用できる靴底であることを優先します。
おすすめしたいのは、全員に役割があるところ
ドッジボールでは、球の速い人だけが活躍するわけではありません。
相手の投球を受け止める人。
素早く避けて内野へ残り続ける人。
ボールを味方へつなぐ人。
相手の位置を見て声を掛ける人。
前へ出て味方を守る人。
一人ひとりの得意なことが少しずつ違うため、自分なりの役割を見つけられます。強い球を投げられなくても、安定したパスや周囲を見る力が、チームを助ける場面は少なくありません。
試合中は、状況が数秒ごとに変わります。こちらが攻めていたと思ったら、ボールを奪われてすぐに守る側になる。相手が一人を狙っているように見えて、突然別の方向へ投げてくることもあります。
投げる技術だけではなく、相手の視線や味方の位置を見る力が必要です。身体を動かしながら考え、判断したことがすぐ結果へ表れるところに、スポーツとしての奥深さがあります。
子どもの遊びとは少し違う、チームでの面白さ
学校で行うドッジボールでは、ボールを持った人がそのまま相手へ投げる場面が多かったかもしれません。
クラブやサークルでは、味方同士でパスを回し、相手の守りを動かしてから投げることがあります。内野と外野が連携し、相手を挟むように攻めるなど、チームとしての形が見えてきます。
誰が投げるか。
どこへパスを出すか。
相手のどの位置を狙うか。
捕球が得意な人の近くへ投げないほうがよいか。
試合の中には、小さな選択がいくつもあります。自分の判断だけで進めるのではなく、声や目線で味方と意図が通じたときには、個人競技とは違う気持ちよさがあります。
もちろん、最初から作戦をすべて覚える必要はありません。まずは近くの味方へ正確にパスを出し、自分のいる場所を声で伝えるところから始めます。
初めて参加するクラブの選び方
ドッジボールには、競技志向の強いチームもあれば、運動や交流を目的に楽しむサークルもあります。
初心者が参加するときは、活動の目的と年齢層を確認します。大会出場を目指して週に何度も練習するチームと、週末に気軽なゲームを楽しむ集まりでは、練習内容も雰囲気も大きく違います。
初心者や久しぶりの人を受け入れているか。
体験参加ができるか。
基礎練習の時間があるか。
使用するボールの種類やルールは何か。
練習中に休憩できるか。
会費や保険、大会参加の条件はどうなっているか。
こうした点を確認しておくと、自分に合う場所を見つけやすくなります。
ドッジボールは、団体や参加者の年代によって、人数、コート、使用球、アウトの判定などが異なることがあります。子どもの頃に覚えたルールだけで判断せず、最初にそのクラブの決まりを教えてもらいましょう。
初めての一日は、基本動作から始まる
練習会場へ着いたら、着替えと準備を済ませ、肩、肘、手首、股関節、足首を丁寧に動かします。
ドッジボールでは、投げる動作だけでなく、急にしゃがむ、横へ動く、後ろへ下がるといった動きが続きます。身体が冷えたまま試合へ入らず、軽いランニングやステップで少しずつ温めます。
基本練習では、二人一組でのパスから始めることが多いでしょう。最初は短い距離で、相手が受けやすい位置へ投げます。速さを出すより、胸の前へ安定して届けることを優先します。
捕球するときは、腕だけで止めようとせず、ボールを身体の前で受け、両手と身体で包むようにします。指先だけで取ろうとすると痛めやすいため、手のひらだけに頼らないことが大切です。
避ける練習では、大きく跳ぶことより、相手とボールを見ながら小さく位置を変えます。周囲を確認せず急に横へ動くと、味方とぶつかることがあります。自分だけでなく、コート全体を見る意識が必要です。
最初は「投げる」より「見る」ことを大切にする
ボールを持つと、早く投げなければならない気持ちになるかもしれません。
けれど、慌てて投げると、味方の近くへ飛んだり、相手の受けやすい位置へ入ったりします。まずは相手の配置を見て、自分が安全に投げられる姿勢をつくります。
強く投げることより、狙った方向へ投げられることが先です。肩へ力を入れすぎず、身体全体を使って無理のない範囲で投げます。
守るときも、球だけを見続けるのではなく、投げる人の身体や視線を見ます。どちらを向いているか、腕を振り始めたかが分かると、球が来てから慌てて動くことが減っていきます。
最初は避けるだけでも構いません。慣れてきたら、速度の遅い球を身体の正面で受ける練習へ進みます。怖さがある状態で無理にキャッチへ挑戦すると、身体を背けたまま手だけを出しやすくなります。
連携が分かると、試合がもっと楽しくなる
ドッジボールを続けていると、試合中の立ち位置にも意味があることが分かってきます。
味方同士で固まりすぎると、一度に複数の人が狙われやすくなります。反対に離れすぎると、パスをつなぎにくくなります。ボールの位置に合わせて、チーム全体の形を少しずつ変える必要があります。
ボールを持っていないときも、試合から離れているわけではありません。
相手の投げる方向を知らせる。
空いている場所へ移動する。
パスを受けられる位置へ出る。
狙われている味方へ声を掛ける。
こうした動きが増えると、自分が投げない時間にも楽しさが生まれます。
味方と狙いが合い、パスから相手を崩せたときや、声を掛けたことで仲間が球を避けられたときには、個人の成功とは違う満足感があります。
最初に必要なもの
最低限必要なもの
動きやすい服装、室内用シューズ、飲み物、タオルがあれば始められます。ボールや試合用の備品は、通常はクラブや施設が用意します。
服装は、腕や脚を大きく動かせるものを選びます。ポケットに硬い物を入れたままにせず、時計や大きなアクセサリーも練習前に外します。
続けるなら用意したいもの
着替え、スポーツバッグ、必要に応じて膝を守るサポーターなどがあると便利です。ただし、サポーターは動きを妨げないサイズを選び、チームや大会のルールも確認します。
自分用のボールは、自主練習をしたくなってからで十分です。使用する球の大きさや素材は活動先によって異なるため、購入前に指導者や運営者へ確認します。
必要のないもの
入力データに含まれていた防じん用品や化学防護用品は、一般的なドッジボールには必要ありません。
安全に続けるために
ドッジボールでは、投球による指や顔への衝撃、急な方向転換による足首や膝の負担、選手同士の衝突に注意します。
相手の顔を狙わないこと。
近すぎる距離から全力で投げないこと。
倒れた人や後ろを向いている人へ投げないこと。
コートへ入る前に靴ひもを確認すること。
ボールを追うときも周囲を見ること。
こうした基本を全員で守ることが、安全なゲームにつながります。
顔や頭へ球が当たったあとに、頭痛、吐き気、ふらつき、ぼんやりするといった変化があれば、そのまま試合へ戻らず、周囲へ伝えて休みます。指や肩、膝などに強い痛みや腫れが出た場合も、無理に動かし続けません。
運動強度は高めになりやすく、短い試合でも心拍が上がります。途中で水分をとり、めまい、強い息切れ、吐き気があれば中止します。暑い体育館では、休憩を多めに取り、汗をかいたまま長時間続けないようにします。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
1.球に慣れる
最初は、近い距離でゆっくりしたパスを受け、ボールの重さや弾み方を知ります。避ける練習も行い、球への怖さを少しずつ減らします。
2.投げる・受ける動きを安定させる
相手が受けやすい位置へパスを出し、身体の正面で捕球できる回数を増やします。同じ動きを繰り返せることが、最初の上達になります。
3.自分の役割を見つける
速い球を投げる、安定して捕る、最後まで避け続ける、周囲へ声を掛けるなど、自分の得意な形が見えてきます。
4.チームで試合を組み立てる
内野と外野のパス、相手の動かし方、守る位置などを考えます。個人の技術とチームの作戦がつながり、試合の奥深さが増していきます。
5.仲間を支えながら長く続ける
初心者の練習相手になったり、準備や運営を手伝ったりします。勝つことだけでなく、誰もが安全に参加できる場をつくることにも楽しさが広がります。
子どもの頃とは違うドッジボールに出会う
ドッジボールには、球を当てたときの分かりやすい爽快感があります。
けれど、長く続けるほど面白くなるのは、その一球へ至るまでの動きです。
味方の声を聞き、相手の位置を見て、ボールをつなぐ。自分が投げなくても、立つ場所や声掛けによって試合の流れが変わることがあります。
最初から速い球を投げられなくても構いません。まずは近い距離でパスを交わし、ボールを両手で受けるところから始めます。
久しぶりに体育館へ立ち、仲間からのパスを一つ受け取る。
その瞬間、子どもの頃とは少し違う、新しいドッジボールが始まります。
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