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リップクリーム作りの楽しみ方

はじめに

小さな耐熱容器の中で、白いミツロウがゆっくり透き通っていく。

植物油と混ざり合った液体を小さな容器へ流し入れると、まだつやのある表面が、冷めるにつれて少しずつ曇っていきます。数分前まではさらりとした油だったものが、指先ですくえる固さへ変わる。その短い変化を間近で見られることが、リップクリーム作りの最初の楽しさです。

手作りコスメというと、精油や植物エキスを何種類も配合し、自分だけの香りや色を作るものと思うかもしれません。材料の効果を詳しく知らなければ難しいのではないか、肌へ直接使うものを自宅で作って大丈夫なのだろうかと、不安を感じる人もいるでしょう。

だからこそ、初回はできるだけシンプルに始めます。

化粧品用途として販売されているミツロウと植物油を量り、湯せんで溶かし、新しい小さな容器へ入れる。香りも色も加えず、自分で使い切れる5グラムほどを作れば、材料の役割と固まり方へ落ち着いて向き合えます。

リップクリーム作りは、市販品と同じ品質や保存性を家庭で再現する趣味ではありません。自分用の少量を衛生的に作り、状態を確かめながら早めに使い切る、小さな手作りコスメとして楽しみます。

今回は、自宅でリップクリームを作る場合を中心に、必要な時間と費用、最初の材料、容器と道具、基本の作り方、固さの調整、衛生管理、肌トラブルへの注意、販売や人へ渡す場合の扱いまで紹介します。


リップクリーム作りの基本情報

主な楽しみ方 ミツロウと植物油を量り、湯せんで溶かして、自分用の保湿バームを少量作る

最初におすすめする形 指で少量を取って使う、無香料の小さな容器入りバーム

1回の制作時間 約40〜70分

短時間で作る場合 準備済みの材料を使い、約25〜35分

冷却と片付けを含む総所要時間 約60〜80分

おすすめの制作頻度 使い切る頃に作る。最初は1〜2か月に1回ほど

配合を試したい場合 一度に多く作らず、5グラム程度の試作品を月1〜2回まで

主な場所 換気でき、食品や洗い物から作業を分けられる自宅の机や台所

最初に必要な材料 精製ミツロウ、化粧品用途のホホバオイル、新しい小型容器

最初に必要な道具 0.1グラム単位で量れるスケール、耐熱容器、混ぜ棒、湯せん用の鍋

始めやすいところ 水を加えない単純な配合なら、少ない材料と短い工程で作れる

難しく感じやすいところ 固さを少量単位で調整すること、材料と容器を清潔で乾いた状態に保つこと

入力データでは月2回の制作が想定されていますが、毎回一般的な量を作ると使い切れず、古いものが残りやすくなります。普段使うリップクリームとして作るなら、前回分を使い切る時期に合わせるほうが自然です。

月2回楽しみたい場合は、毎回一本分を作るのではなく、2〜5グラムほどの小さな試作品にします。ミツロウの量をわずかに変え、冬向けと夏向けの固さを比べるような楽しみ方なら、材料を増やしすぎずに続けられます。

リップクリーム作りにかかる費用

最初に必要なのは、ミツロウ、植物油、容器、少量を量れるスケールです。鍋や耐熱カップを手持ち品で兼用する場合でも、化粧品作りに使う器具は食品用と分けるか、用途を明確にして管理します。

最初の基本セット

精製ミツロウ 約800〜1,500円

ホホバオイルなどの植物油 約1,000〜2,500円

小型のクリーム容器 1個約200〜500円

耐熱容器と混ぜ棒 約500〜1,500円

0.1グラム単位のデジタルスケール 約1,000〜3,000円

初期費用の合計 約2,500〜6,000円

スケールや耐熱容器をすでに持っていれば、入力データにある2,500円前後から始められます。専用の道具や複数の油脂、スティック容器まで一度にそろえる場合は、5,000円を超えることがあります。

最初から精油、色材、何種類もの植物油を買う必要はありません。基本材料を使い切らないうちに種類を増やすと、使用期限や保管状態を管理しにくくなります。

一回分の材料費

5グラムほどのリップバームに使う材料費は、選ぶ植物油や容器によって変わります。

ミツロウと植物油 約100〜300円

小型容器 約200〜500円

一回分の合計 約300〜800円

同じ容器を洗って繰り返し使いたくなるかもしれませんが、細かな傷や隙間に前回の油脂が残ることがあります。初回は新しい化粧品用容器を使い、再利用する場合も、容器の材質、変形、におい、傷を確認します。

容器をまとめて購入すると一個あたりは安くなりますが、先に大量購入する必要はありません。使いやすい形が分かるまでは、一個か二個だけ試すほうが無駄を抑えられます。

年間費用

自分用の少量を1〜2か月に一度作るなら、年間約3,000〜8,000円が一つの目安です。入力データの年間約5,600円は、基本材料を購入し、小さな容器で数回作る場合には現実的な範囲です。

高価な植物油、シアバター、色材、香り、スティック容器を増やすと、年間費用は上がります。ただし、材料は開封した時点から少しずつ状態が変わるため、多く買うほど得になるとは限りません。

費用を抑えるなら、5グラムを一つだけ作る

手作りリップクリームは、小さい容器でも意外に長く使えます。

最初は家用と持ち歩き用を同時に作らず、一個だけ完成させます。使い切るまでにかかった期間、夏のバッグの中で柔らかくならなかったか、指で取りやすかったかを確認してから、次の容器や配合を選びます。

リップクリーム作りをおすすめする3つの理由

1.配合のわずかな違いが、指先の感触へ表れる

リップクリームの基本は、常温で固まるワックスと、液体の植物油を組み合わせることです。

ミツロウを多くすれば固くなり、形を保ちやすくなります。植物油を多くすれば柔らかくなり、指や唇の温度で伸ばしやすくなります。

数字で見れば、違いは0.2グラム、0.5グラムほどかもしれません。けれど、完成した表面へ指を触れると、すくいやすさ、伸び、薄く残る感触が変わります。

自分が好きなのは、表面を少し押して取る固さなのか、指を滑らせるだけで薄く溶ける柔らかさなのか。配合と使用感が直接つながることは、リップクリーム作りならではの面白さです。

2.少量の材料が、毎日使える一個へ変わる

リップクリーム作りで使う材料は、ほんの数グラムです。

小さな粒状のミツロウと、透明な植物油を量り、温めて混ぜる。液体を容器へ注いだときにはまだ完成した形が見えませんが、冷えると表面が固まり、毎日の生活で使える一個になります。

作品を飾る手仕事とは違い、完成後は洗面台や机へ置き、乾燥が気になるときに少しずつ使えます。作った日の楽しさだけでなく、容器を開けるたびに配合や作業の記憶が戻ってきます。

使い切ったときには、何回使えたか、どの季節に合ったかを振り返れます。小さな完成品だからこそ、作る、使う、見直すという一連の流れを短い期間で経験できます。

3.化粧品の材料と保存を丁寧に見るようになる

市販のリップクリームでは、容器に書かれた多くの成分を一つずつ意識することは少ないかもしれません。

自分で作ると、ミツロウは固さを作り、植物油は伸びや感触へ関わることが分かります。同時に、材料が天然由来だから自動的に安全になるわけではなく、肌との相性、酸化、光、温度、容器の清潔さを考える必要も見えてきます。

香りを加えたいと思ったときにも、本当に唇へ使用できる材料なのか、配合量は適切かを調べるようになります。見た目のかわいらしさだけでなく、材料表示と使用上の注意を読む習慣が身につきます。

最初は無香料の二材料から始める

初心者の一作目には、精製ミツロウとホホバオイルを使った、容器入りの無香料バームが向いています。

香料、精油、色材、防腐剤、水は加えません。材料が少ないほど、肌に合わなかったときに原因を振り返りやすく、固まり方の違いも確かめやすくなります。

精製ミツロウ

ミツロウは、ミツバチが作る天然のワックスです。常温では固く、植物油と混ぜることでバームの形を作ります。

初心者には、色と香りが比較的穏やかな精製タイプが扱いやすいでしょう。未精製タイプには自然な色や香りがありますが、初回は香りの好みと材料の状態を分けて考えられる精製品が向いています。

購入時には、キャンドル専用ではなく、クリームなどの手作りコスメ用途が表示された製品を選びます。ミツバチ由来の材料を避けたい場合は、植物性ワックスを自己流で同量置き換えず、その材料に対応した信頼できるレシピを使います。

ホホバオイル

ホホバオイルは、手作りコスメ用の植物油として販売されています。比較的さらりと広がり、ミツロウと組み合わせたときの固さを確認しやすい材料です。

食用油で代用できそうに見えても、食品として使えることと、唇へ塗る化粧品材料として適していることは同じではありません。化粧品用途、肌への使用方法、保管方法が表示された製品を選びます。

植物油にも肌との相性があります。ナッツ由来の油を使う場合は、アレルギー歴や製品表示を特に丁寧に確認します。

容器

一作目は、指で取る小さなクリーム容器が扱いやすくなります。

スティック容器は持ち歩きやすい一方、配合が柔らかすぎると繰り出した部分が折れたり、暑い場所で中身が沈んだりします。容器へ流す温度や、底部の構造にも気をつけなければなりません。

ふたがしっかり閉まり、口が広すぎない5〜10ミリリットルほどの容器から始めます。食品の空き容器ではなく、化粧品用として販売されている新しい容器を選ぶと管理しやすくなります。

最初に必要な道具

最初に必要なもの

0.1グラム単位で量れるデジタルスケール

小さな耐熱ビーカーまたは耐熱カップ

湯せん用の小鍋

ガラス棒、または化粧品作り用の混ぜ棒

化粧品用の小型容器

耐熱マット

清潔なペーパー

材料名と制作日を書くラベル

家庭用のスケールには、1グラム単位でしか表示されない製品があります。完成量が5グラムの場合、1グラムの違いは配合全体へ大きく影響するため、0.1グラム単位で量れるものが向いています。

耐熱容器は、材料を入れた状態で湯せんへかけられ、注ぎ口があるものが便利です。底が不安定な小皿や、熱に弱いプラスチック容器を直接温めないようにします。

あると便利なもの

食品用ではない小さな温度計

ミニサイズのシリコンへら

使い捨てのスポイト

容器を固定するスタンド

小さなステンレス製スプーン

材料専用の収納箱

温度計は、材料を必要以上に加熱しないために役立ちます。ただし、一作目から温度を細かく制御することより、弱い湯せんでゆっくり溶かし、完全に液体になったら早めに熱源から外すことを優先します。

最初は買わなくてよいもの

精油のセット

色材のセット

複数種類の植物油

リップスティック容器

電気式の専用ウォーマー

大量の保存容器

販売用のラベルや包装用品

材料を増やすほど自由度は高くなりますが、肌との相性や保存状態を確認する対象も増えます。まず一つの配合を作り、自分で使った結果を見てから次へ進みます。

初めての無香料リップバーム

最初は、完成量約5グラムの小さな容器入りバームを作ります。

精製ミツロウ 1グラム

ホホバオイル 4グラム

この配合は、ミツロウ一に対して植物油四の、比較的分かりやすい基本形です。室温、材料、容器によって固さは変わるため、完成後の使用感を見て次回調整します。

1.作業場所を分ける

調理中、食事中、洗い物の途中には作りません。作業台を片付け、ほこり、水滴、食品のくずがない状態にします。

手を石けんで洗い、清潔なタオルやペーパーでよく乾かします。髪が長い場合はまとめ、指輪や腕時計を外します。

2.容器と道具を清潔にする

容器と道具は、製品の材質に合う方法で洗浄し、水分が一切残らないよう完全に乾かします。

家庭で洗ったから無菌になるわけではありません。「消毒したから長期保存できる」と考えず、できるだけ新しい容器を使い、少量を早めに使い切ることを基本にします。

容器の内側へ指を入れたり、乾いたあとにふたの内側を触ったりしないようにします。

3.材料を量る

スケールへ耐熱容器を置き、表示をゼロへ戻します。

ミツロウを1グラム量り、続けてホホバオイルを4グラム加えます。多く入れすぎた材料を元の袋や瓶へ戻すと、ほかの材料や容器の汚れが混ざることがあります。少しずつ加え、入れすぎないようにします。

材料を量った数値と製品名は、作業中にメモします。あとで固さを調整するとき、記録がなければ同じ配合を再現できません。

4.湯せんでゆっくり溶かす

鍋へ少量の水を入れて温め、耐熱容器の底を湯へ当てます。水が激しく沸騰するほど加熱せず、容器へ湯や蒸気の水滴が入らないようにします。

ミツロウが柔らかくなり始めたら、混ぜ棒で静かに混ぜます。すべて透明な液体になったら、加熱を続けすぎず湯せんから外します。

直火へ耐熱容器を置いたり、材料だけを鍋へ直接入れたりしません。電子レンジは短時間でも急に高温になることがあるため、初回は湯せんのほうが状態を見ながら進めやすくなります。

5.容器へ注ぐ

容器を耐熱マットの上へ置き、液体を静かに注ぎます。

注いだ直後は容器も中身も熱くなっています。表面を整えようとして指や道具で触らず、倒れない場所で冷まします。

容器の外側へこぼれた場合は、熱いうちに素手で拭き取らず、やけどへ注意します。完全に冷えてから、外側だけを清潔なペーパーで整えます。

6.動かさずに冷ます

表面が固まり始めると、中央だけ色が違って見えることがあります。途中でふたを閉めたり、冷蔵庫へ急に入れたりせず、ほこりが入りにくい室内で自然に冷まします。

完全に冷えてからふたを閉め、材料名、配合、制作日を書いたラベルを貼ります。見た目が同じ容器を複数作る場合は、番号も付けます。

7.少量から試す

完成直後に唇全体へ何度も塗らず、ごく少量で使用感を確かめます。

赤み、腫れ、かゆみ、痛み、刺激などが現れた場合は、すぐに使用を中止します。症状が続く、強い、広がる場合は、使用した材料と記録を持って皮膚科などへ相談します。

固さは、次の一回で少しだけ変える

完成したリップバームが固すぎても、失敗とは限りません。室温、季節、指の温度、材料の種類によって、同じ配合でも感触は変わります。

固すぎる場合

表面を強くこすらなければ取れない場合は、次回の植物油を少し増やします。

一度に大きく変えず、5グラムの配合なら0.2グラムほどを目安に調整します。ミツロウを減らす場合も、変更した数値を必ず記録します。

柔らかすぎる場合

指を触れただけで深く沈む、室温で表面が流れるように見える場合は、次回のミツロウを少し増やします。

夏の持ち歩き用と、冬に自宅で使うものを同じ固さにする必要はありません。季節と置き場所に合わせて、少しずつ配合を変えられます。

表面がへこんだ場合

冷えるときに中央が少しくぼむことがあります。見た目だけの小さなくぼみで、においや状態に異常がなければ、自分用としてそのまま使う方法もあります。

何度も溶かし直すと材料へ熱を加える回数が増えます。完璧な平面へ直そうとせず、次回は注ぐ温度や冷まし方を見直します。

粒やざらつきが出た場合

ミツロウだけの単純な配合でも、十分に溶けていない粒が残れば表面が不均一になります。次回は、容器の底まで液体になっていることを確認してから注ぎます。

シアバターなどの植物性バターを加えると、冷却条件によってざらつきを感じる場合があります。一作目では材料を増やさず、基本配合が安定してから試します。

香りと色は、最初は加えない

無香料のリップクリームを作ると、少し物足りなく感じるかもしれません。

けれど、唇は口に近く、食事や飲み物にも触れる場所です。香りが心地よい材料であっても、唇への使用に適しているとは限りません。

精油

精油は、植物の香り成分を高濃度に含むものです。天然だから刺激がないわけではなく、原液を直接肌へ付けたり、飲んだりするものではありません。

レモン、ベルガモット、グレープフルーツなど、一部の柑橘系精油には、紫外線と反応して皮膚へ影響する光毒性へ注意が必要なものがあります。ペパーミントなども、人によっては強い刺激になります。

唇用の製品へ精油を使うには、種類、品質、濃度、使用部位を理解する必要があります。初回は加えず、香りを楽しみたい場合は、手作りコスメと精油の安全性を学べる教室で専門家に確認します。

食品用の香料やエッセンス

菓子作り用のバニラエッセンス、果汁、はちみつ、飲料用の香料などを自己流で混ぜないようにします。

水分やアルコールを含む材料は、油脂だけの配合へ均一に混ざらず、保存性も変わります。食べられる材料であることと、唇へ長時間塗る化粧品材料として適していることは同じではありません。

色材

クレヨン、色鉛筆、絵の具、食品用色素、アイシャドウなどを削って入れてはいけません。

色付きリップを作る場合は、唇用化粧品への使用が明示された色材を選び、対応する配合と作り方を学びます。色が付くと、容器、衣類、歯への付着や、均一に分散させる工程も加わります。

容器は「使いやすさ」と「清潔さ」で選ぶ

クリーム容器

指で取る容器は、制作と固さの調整がしやすく、初心者向きです。

一方、使用するたびに指が触れるため、手を清潔にしてから使います。外出先で何度も使う場合は、小さなスパチュラを別に清潔に持ち歩く方法もあります。

スティック容器

繰り出し式の容器は、指を中身へ触れずに使えます。

ただし、容器へ合う固さが必要で、柔らかすぎると折れたり、暑さで沈んだりします。中身を高温のまま注ぐと容器が変形する可能性もあるため、対応するレシピと容器の説明を確認します。

最初の容器入りバームを何回か作り、固さを安定して再現できるようになってから進むと安心です。

金属缶

小さな金属缶は持ち歩きやすく見えますが、材質、内側の加工、ふたの密閉性を確認します。

雑貨や小物入れとして販売されている缶が、化粧品容器として適しているとは限りません。化粧品用として販売され、油脂を入れられることが確認できるものを選びます。

保管と使用の基本

手作りリップクリームは、市販品のような品質保持試験を行っていません。見た目がきれいでも、長期保存を前提にせず、自分で状態を確かめながら早めに使い切ります。

制作日と材料を残す

容器には、制作日、材料名、配合を記録します。

同じ見た目の試作品を二つ作った場合は、「A」「B」などの番号を付けます。肌へ異常が出たとき、どの材料を使ったか分からなければ原因を振り返れません。

高温と直射日光を避ける

窓辺、暖房器具の近く、夏の車内、日なたのバッグなどへ置かないようにします。

一度溶けて再び固まると、表面や感触が変化することがあります。持ち歩き用は小さな量にし、真夏は市販品を使うなど、季節によって無理に持ち出さない選択もあります。

水分を入れない

濡れた指、湿ったスパチュラ、水滴の付いた容器を使わないようにします。

洗面台へ置く場合も、容器の中へ水が入らない場所を選びます。入浴後の濡れた手で使うより、手を乾かしてから少量を取ります。

変化があれば使わない

以前と違うにおいがする。

色が大きく変わった。

表面に水滴や見慣れない点がある。

分離している。

容器が変形している。

このような変化を見つけた場合は、唇へ塗らず処分します。もったいないから使い切るのではなく、少量で作り直せることを手作りの利点にします。

安全にリップクリーム作りを楽しむために

唇の状態が悪いときは作ったものを試さない

強い赤み、腫れ、出血、ひび割れ、ただれ、水ぶくれ、繰り返す炎症がある場合は、新しい手作りコスメを試す時期ではありません。

原因が乾燥とは限らず、接触皮膚炎や感染などが関わる場合もあります。症状が続くときは自己流の材料を増やさず、医療機関へ相談します。

天然素材でもアレルギーは起こり得る

ミツロウ、植物油、シアバター、香料など、自然由来の材料でも、すべての人へ合うとは限りません。

過去に化粧品、蜂由来製品、植物油などで赤みやかゆみが出たことがある場合は、同じ材料を安易に使いません。新しい材料は一度に何種類も追加せず、一つずつ確かめます。

湯せんのやけどへ注意する

少量の材料でも、溶けた油脂と容器は高温になります。

耐熱容器を素手でつかまず、安定した鍋と耐熱マットを使います。容器の中へ湯が入らないよう、水を多く入れすぎません。

子どもと一緒に作る場合は、計量やラベル作りだけを任せ、加熱、注入、熱い容器の移動は大人が行います。

食品と化粧品の作業を混ぜない

使用したへらや耐熱容器を、そのまま料理へ戻さないようにします。

道具を共用する場合でも、使用後に十分洗浄し、傷、におい、油分の残りを確認します。できれば小さな道具を化粧品作り専用にすると、管理が分かりやすくなります。

材料も調味油や菓子材料と同じ棚へ無造作に置かず、名称と用途が分かるように収納します。

子どもやペットから離す

ミツロウや植物油は食品のように見えることがあります。精油を使うようになった場合は、少量でも誤飲や皮膚への付着へ注意が必要です。

材料、道具、完成品は、子どもやペットの手が届かない場所へ保管します。制作途中の湯や容器を残したまま、その場を離れないようにします。

自分用と、人へ渡すものは分けて考える

家庭で作ったリップクリームは、自分で試し、自分で状態を管理する範囲にとどめます。

日本では、化粧品を製造して販売したり、無償で人へ授与したりする場合にも、化粧品製造業や化粧品製造販売業の許可などが関係します。友人へ少し分ける、イベントの参加者へ配る、購入特典として付けるという形も、単なる自家使用とは異なります。

材料費だけを受け取る場合や、フリーマーケット、通販、ハンドメイドサイトで販売する場合も、趣味の延長だから自由に行えるとは限りません。

また、許可だけでなく、品質管理、成分表示、容器表示、製造記録、健康被害への対応なども必要になります。家庭で一個作れたことと、人が安全に使用できる商品を継続して作れることは別の段階です。

誰かへの贈り物にしたい場合は、手作り品ではなく、市販の未開封製品を選ぶ方法があります。自分で配合した記録は、ノートや写真として共有し、完成品そのものは自分用にします。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

第1段階 無香料の小さな一個を完成させる

最初は、精製ミツロウとホホバオイルだけを使い、5グラムほどの容器入りバームを作ります。

材料を量り、湯せんで溶かし、容器へ注ぎ、冷ます。短い工程の中で、固体と液体が混ざり、再び固まる変化を見られます。

表面が少しくぼんでも、思っていたより固くても、まず一個を自分で使い切ることが最初の楽しみです。

第2段階 固さを少しずつ調整する

一作目を使った記録から、次の配合を考えます。

冬には少し柔らかくする。持ち歩き用は少し固くする。変更するのはミツロウか植物油のどちらか一つにし、0.2グラムほどの小さな差から比べます。

自分が心地よいと感じる固さを、偶然ではなく同じ配合で作れるようになると、手応えが生まれます。

第3段階 植物油やバターの違いを知る

基本配合が安定したら、化粧品用途の別の植物油やシアバターなどを一種類ずつ試します。

伸び、重さ、香り、固まり方を比較し、どの材料をどの季節へ使いたいかを考えます。材料を変えた日は、前回と同じ容器と制作量にすると違いが分かりやすくなります。

肌に合うかを確認するためにも、複数の新材料を一度に混ぜないことが大切です。

第4段階 容器と季節に合う形を作る

容器入りの配合へ慣れたら、スティック容器や、家用と持ち歩き用の違いへ進みます。

夏の高温、冬の冷え、バッグの中での揺れなど、使う環境に合わせて固さと容器を選びます。完成直後のきれいさだけでなく、数週間使ったときに扱いやすいかまで見ます。

制作日、室温、配合、容器、使用感を記録すると、自分用の季節レシピが整っていきます。

第5段階 安全な知識と記録を深める

さらに興味が広がったら、化粧品の成分、油脂の酸化、容器、衛生管理、精油の安全性、関連法規を学びます。

専門家が指導する手作りコスメ教室へ参加し、家庭だけでは分かりにくい計量、加熱、保管の考え方を確かめる方法もあります。

人へ販売したり配ったりする方向へ急ぐのではなく、自分が使う一個を安全に作り、異常があれば中止し、記録から次を考えられることが、長く続けるための深まりです。

あわせて楽しみたい関連する趣味

スキンケア

スキンケアは、洗浄、保湿、紫外線対策を基本に、肌の状態と季節へ合う方法を整える楽しみ方です。リップクリーム作りで材料や使用感へ関心を持ったあと、唇だけでなく、毎日の化粧品を増やしすぎずに選ぶ視点へつながります。


手作りコスメ

手作りコスメは、バーム、石けん、化粧水など、肌へ使うものの材料と工程を学ぶ趣味です。リップクリームは少ない材料で始めやすい一方、品目によっては水分、防腐、乳化など難しい管理が加わるため、専門家の教室で段階的に学ぶ入口になります。

ハーブクラフト

ハーブクラフトは、乾燥ハーブや香りを使い、サシェ、飾り、雑貨などを作る楽しみ方です。唇へ塗る化粧品へ無理に香りを加えず、植物の色や香りは身体へ塗らない作品で楽しむという使い分けができます。

小さな容器の中に、量って選んだ感触が残る

ミツロウ一グラムと、植物油四グラム。

数字だけを見れば、ほんのわずかな材料です。けれど、量り方が少し変われば固さが変わり、冷ます時間や置く場所によっても、指先へ伝わる感触は違ってきます。

最初の一個は、香りや色を加えなくてもかまいません。

材料を二つだけ選び、清潔で乾いた道具を並べ、ゆっくり湯せんへかける。透明になった液体を小さな容器へ注ぎ、触れずに冷えるのを待つ。その静かな工程の中に、リップクリーム作りの基本があります。

完成したあとは、作ったことだけで満足せず、自分で使って確かめます。

固すぎなかったか。
暑い日に柔らかくならなかったか。
最後までにおいや色が変わらなかったか。
唇へ違和感はなかったか。

その記録が、次にミツロウをほんの少し増やすか、植物油を増やすかという選択につながります。

次の休日には、何種類もの材料をそろえず、化粧品用途のミツロウと植物油、小さな容器を一つだけ用意してみてください。

液体だったものが静かに固まり、自分の毎日で使える一個へ変わる。小さな容器の中には、選んだ材料だけでなく、量り、混ぜ、待った時間まで残っています。

休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。

ほかの趣味やレジャーも探してみたい方は、こちらの一覧から気になるものを覗いてみてください。

記事作成に使用している元情報や、データの整理方針についてはこちらで紹介しています。


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