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配色研究の楽しみ方

はじめに

机の上へ、青、灰色、淡い黄色の紙を三枚並べる。青を少し広くすると静かな印象になり、黄色を中央へ移すと、同じ三色なのにそこだけ光が当たったように見えてきます。

配色研究は、きれいな色を集めるだけの趣味ではありません。色を入れ替え、明るさを変え、使う面積を調整しながら、「なぜこちらはまとまって見えるのか」「どこに最初に目が向くのか」を比べていく楽しみ方です。

「色の名前をたくさん覚えなければ難しそう」「絵が得意な人のための勉強ではないか」「自分には色彩感覚がない」と感じる人もいるかもしれません。けれど、最初から正解の配色を作る必要はありません。

好きな包装紙や写真から三色を抜き出し、並べる順番を変えてみる。鮮やかな赤を少しだけ小さくし、代わりに落ち着いた灰色を広げてみる。その違いを言葉で残すだけでも、配色研究は始まります。

色の好みは人によって異なりますが、色の関係には比べられる部分があります。似た色相なのか、明るさの差が大きいのか、一色だけ鮮やかなのか。感覚だけで選んでいた色を、少しずつ観察できる形へ変えていく趣味です。


配色研究とは

配色研究は、複数の色を組み合わせ、その見え方や使い方を比較することです。絵画やデザインだけでなく、服装、部屋、花、料理の盛りつけ、写真、紙もの、Web画面など、色が関わるさまざまな場面につながります。

色を研究するといっても、専門的な測色機器を使った実験から始めるわけではありません。色紙を切って並べる、写真から色を抜き出す、同じ図形を別の配色で塗るといった、小さな比較から始められます。

一枚の色だけを見ても、その印象は決まりません。濃い青の隣へ白を置くと青がはっきり見え、黒を置くと少し明るく感じられることがあります。周囲の色、使う面積、光の種類によっても見え方は変わります。

そのため、配色研究では色を一色ずつ覚えるだけでなく、隣り合う色との関係や、使われる場面まで見ます。「この緑はきれい」と記録するところから、「暗い紺の中へ少量使うと、緑がよく見える」と一歩具体的にしていきます。

配色研究の基本情報

主な楽しみ方 色紙、絵具、写真、デジタルツールを使い、複数の配色を作って違いを比べる

おすすめの頻度 月2回ほど。日常で見つけた色は、その都度写真やメモへ残す

一回の研究時間 約60〜110分

短時間で楽しむ場合 約20〜35分から

準備と片付けを含む時間 約70〜130分

主な場所 自然光や照明を確保できる自宅の机、パソコンやタブレットを使える個人作業環境

最初に取り組みやすい内容 三色配色、同じ色相の明るさ違い、面積の入れ替え、写真からの色の抽出

作品として残せるもの 配色カード、色見本帳、スクラップノート、デジタルパレット、用途別の配色案

毎回一つの完成作品を作る必要はありません。同じ三色を順番だけ変えた六案や、一色の明るさを少しずつ変えた見本も、立派な研究記録になります。

短時間の日は、外出先で気になった配色を一つ選び、三色へ整理するだけでも十分です。まとまった時間がある日は、その配色を文字、図形、写真へ当てはめ、実際に使ったときの見え方まで確かめます。

配色研究にかかる費用

配色研究は、手持ちの紙や無料のデジタルツールを使えば、ほとんど費用をかけずに始められます。専用の色票、絵具、プリンターなどは、もう少し正確に比較したくなってから加えられます。

身近な紙から始める場合

雑誌、包装紙、折り紙、色画用紙、商品パッケージなどから色の部分を切り取り、ノートへ並べます。手持ちの材料を利用すれば、初期費用は0円です。

新しく用意する場合も、次の程度で始められます。

色画用紙や折り紙 約200〜1,000円

スクラップノート 約200〜800円

はさみ 手持ち品〜1,000円ほど

スティックのり 約100〜300円

黒、白、灰色の紙 数百円ほど

色を比べるときは、柄の多い紙より、なるべく均一に印刷された無地の紙が使いやすくなります。ただし、最初から完全に正確な色票を求めず、日常の配色を集めるノートとして楽しむ方法もあります。

絵具で色を作る場合

水彩絵具やアクリル絵具を使うと、色同士を混ぜながら明るさや鮮やかさを変えられます。基本色の絵具、筆、パレット、紙をそろえる場合は、2,000〜6,000円ほどが一つの目安です。

配色研究が目的なら、多数の完成色を集めるより、赤、黄、青に近い色と、白、黒を少量用意する方法があります。ただし、絵具の種類によって混ざり方は異なるため、最初は同じシリーズでそろえると比較しやすくなります。

色を正確に再現することより、何を加えると濁り、何を加えると明るくなるのかを記録します。混ぜた割合を筆の回数や簡単な数字で残すと、似た色を再び作りやすくなります。

印刷された色票を使う場合

色相やトーンごとに整理された配色カードは、色同士の関係を比較しやすい道具です。199色を収録した製品では3,000円前後のものがあり、裏面の色記号を使って記録できます。

印刷された色票は、雑誌や家庭用プリンターの色より基準をそろえやすく、似た色を何度も使いたいときに便利です。最初から必須ではありませんが、色相やトーンを系統立てて学びたくなったときに役立ちます。

切り離して使う形式と、束ねたまま比較する形式があります。作品へ貼り込むのか、長く見本として使うのかを決めてから選びます。

デジタルで始める場合

スマートフォンやパソコンでは、無料のカラーホイールや配色作成ツールを利用できます。基準となる色を一つ選び、類似色、補色、三色配色などを自動で表示させることもできます。

無料の範囲で色を作り、画面を保存するだけなら追加費用はかかりません。すでに使っている描画・写真編集・文書作成アプリへ、作った色の数値を入力して試す方法もあります。

有料のデザインソフトや素材サービスは、配色を実際の制作へ広げる段階で検討できます。配色研究だけのために、高性能な端末や専門ソフトを最初から購入する必要はありません。

年間費用の目安

色紙とノートを中心に月2回取り組むなら、年間1,000〜5,000円ほどでも続けられます。配色カードと絵具を加える場合は、初年度5,000〜15,000円ほどが目安です。

家庭用プリンターを頻繁に使うと、紙とインクの費用が増えます。毎回すべてを印刷するのではなく、画面上で候補を作り、特に気に入った配色だけを紙へ残すと抑えられます。

講座や色彩に関する検定は、趣味を始めるための必須費用ではありません。体系的に学びたくなった段階で、教材、受講料、受験料を別に考えます。

配色研究をおすすめする3つの理由

1.何気なく選んでいた色を、具体的に比べられる

「この配色は好き」「少し落ち着かない」と感じても、最初は理由まで分からないことがあります。色相が離れているのか、明るさが近すぎるのか、すべての色が同じくらい鮮やかなのか。配色を分解すると、印象の違いを具体的に見られます。

同じ青でも、白を多く含んだ淡い青と、黒に近い深い青では、隣に合う色が変わります。好きな色を一色決めるだけでなく、明るさや鮮やかさまで見ていくと、使える組み合わせが増えていきます。

感覚を数字だけに置き換える必要はありません。「雨上がりのように見える」「少し重く感じる」といった自分の言葉と、色の特徴を一緒に残すことが大切です。

2.色の面積を変えるだけで、印象が大きく変わる

三色の組み合わせが同じでも、使う面積によって見え方は変わります。青を広く、黄色を小さくすると黄色が目印のように見えます。反対に黄色を広げると、青が落ち着きを加える色へ変わります。

配色がまとまらないとき、新しい色を足す前に面積を変える方法があります。一色を背景として広く使い、もう一色を支える色、残りを小さなアクセントへすると、色の役割が分かれます。

紙を切って動かすだけで試せるため、難しい技法は必要ありません。同じ色を何度も使いながら、少しずつ違う答えを作れます。

3.ほかの趣味や暮らしへ、そのまま生かせる

配色研究で見つけた組み合わせは、絵や紙ものだけでなく、服装、部屋、花、写真、料理、手芸などへ広げられます。身近な物を選ぶときにも、「好きな色だから」だけでなく、手持ちの色とどうつながるかを考えられるようになります。

写真を撮るときは、背景と主役の明るさを比べる。編み物では、糸を小さく並べてから面積を考える。ポスターでは、文字と背景が読める組み合わせかを確認する。配色を見る習慣が、別の制作の土台になります。

色をたくさん使えるようになることだけが上達ではありません。必要な色を三色へ絞れるようになることも、配色研究を続けた変化の一つです。

最初に知っておきたい色の三つの見方

色を比べるときは、色相、明度、彩度の三つに分けて考えると整理しやすくなります。名前を暗記するより、実際の色を並べながら違いを見ます。

色相は、赤や青といった色みの違い

色相は、赤、黄、緑、青、紫など、色みの種類を表します。赤と橙のように近い色相もあれば、赤と青緑のように離れた色相もあります。

近い色相を並べると、ゆるやかにつながって見えやすくなります。離れた色相を組み合わせると、互いの違いがはっきりしやすくなります。

ただし、色相が近ければ必ずまとまり、離れていれば必ず派手になるわけではありません。明度や彩度も一緒に変わるため、三つを分けて見る必要があります。

明度は、明るさの違い

明度は、色の明るさを表します。白に近い色は明度が高く、黒に近い色は明度が低くなります。

二つの色が違う色相でも、明度が近いと輪郭が見えにくくなることがあります。反対に、同じ青系でも明るい水色と暗い紺を組み合わせれば、違いをはっきり出せます。

配色を白黒表示に変えてみると、明度差を確認しやすくなります。色相の違いが消えた状態でも、重要な文字や図形が見分けられるかを見ます。

彩度は、鮮やかさの違い

彩度は、色の鮮やかさを表します。鮮やかな赤は彩度が高く、灰色に近い落ち着いた赤は彩度が低い色です。

すべての色を鮮やかにすると、どれも強く見え、視線の置き場所が分かりにくくなることがあります。落ち着いた色を中心にし、一色だけ鮮やかにすると、その色へ視線を集められます。

鮮やかな色を使わない配色にも魅力があります。彩度の低い色同士を集め、明度だけを変えると、静かで細かな違いを楽しめます。

トーンで色の雰囲気をまとめて見る

色相、明度、彩度を一つずつ考えるのが難しいときは、明度と彩度の組み合わせを「トーン」として見る方法があります。明るく淡い色、明るく鮮やかな色、暗く落ち着いた色というように、色の調子をまとめて捉えます。

違う色相でもトーンをそろえると、共通した雰囲気が生まれやすくなります。淡い桃色、淡い水色、淡い黄色を並べると、色みは違っても軽さがそろいます。

反対に、同じ色相の中でトーンを変える方法もあります。明るい青、中くらいの青、暗い青を並べれば、色みを増やさず奥行きを作れます。

最初は正式なトーン名をすべて覚えなくてもかまいません。「明るく淡い」「暗く鮮やか」「灰色に近い」と、自分が比較できる言葉で分類します。

最初に必要な道具

紙で取り組む場合

無地のノートまたはスクラップブック

色画用紙や折り紙

白、黒、灰色の紙

はさみ

スティックのり

鉛筆と黒いペン

定規

色を並べる白い台紙

白い台紙は、周囲の柄や机の色に影響されにくくするために使います。真っ白な紙だけでなく、中間の灰色の紙へ並べて比較する方法もあります。

絵具を使う場合

基本色の水彩またはアクリル絵具

白と黒の絵具

小筆と平筆

パレット

水入れ

同じ大きさの色見本を作る紙

筆を拭く布や紙

絵具で作った色には、使用した色とおおよその割合を書きます。乾燥すると少し見え方が変わることもあるため、塗った直後ではなく、乾いた状態で比べます。

デジタルで取り組む場合

スマートフォン、タブレット、パソコンのいずれか

カラーホイールや描画に使えるアプリ

写真を保存するフォルダ

色の数値と感想を残すノート

画面を白黒表示へ変える機能や、コントラストを確認できるツール

デジタルの色には、赤、緑、青の光を組み合わせるRGBや、16進数によるカラーコードなどの表し方があります。最初から数字を暗記せず、気に入った色をもう一度使うための住所のようなものとして記録します。

最初は買わなくてよいもの

多数の専門色票

高価な測色機器

大量の絵具やマーカー

有料素材の定額契約

専門的なモニター

家庭用の大型プリンター

色彩に関する全集

身近な色を観察する段階では、道具の正確さより、同じ条件で比較することが大切です。一つのノートと三色の紙でも、並べ方を変えれば多くの発見があります。

最初は三色の配色カードを作る

初回は、好きな写真や包装紙を一つ選び、そこから三色を取り出します。写真全体を再現するのではなく、広く使われている色、支えている色、小さく目立つ色を一つずつ探します。

1.題材を一つ選ぶ

風景写真、菓子の包装、雑誌の一ページ、自分の服装など、色が三つ以上あるものを選びます。他人の作品を使う場合は、練習用の観察資料として扱い、そのまま複製して公開しません。

最初は色数が少なく、主な色が分かりやすいものが向いています。細かな柄や多数の色を含む写真は、選ぶだけで時間がかかります。

2.広い色を一つ選ぶ

背景、空、壁、布など、題材の中で最も広い面積を占める色を探します。完全に同じ色を再現できなくても、青系、茶系、白に近い色という程度から始められます。

この色を、台紙の半分以上へ置きます。配色全体の土台になる色です。

3.支える色を一つ選ぶ

次に、主役を囲んでいる色や、広い色と違いを作っている色を選びます。台紙の四分の一ほどを目安に置きます。

土台と近い色相を選べば、穏やかにつながります。離れた色相を選べば、画面に変化が生まれます。

4.小さく目立つ色を選ぶ

最後に、題材の中で面積は小さいものの、最初に目へ入りやすい色を探します。花の中心、文字、ラベル、光などが候補です。

この色は、台紙の端へ小さく置きます。鮮やかな色だけでなく、全体が明るい場合には暗い色もアクセントになります。

5.三色の位置を入れ替える

作った三色を使い、面積の異なる案をもう二つ作ります。最初に小さくした色を背景へ広げ、広かった色を小さくしてみます。

色の組み合わせが同じでも、印象がどのように変わるかを比べます。「黄色が広いと軽く見える」「紺を広げると中央へ視線が集まる」など、自分の言葉を書きます。

6.白黒でも確認する

完成した三案をスマートフォンで撮影し、白黒表示にします。三色の明るさがすべて似ていると、白黒では境界が分かりにくくなります。

見分けにくいことが悪いとは限りません。静かな色面を作りたい場合には、明度差の少なさを意図的に使えます。文字や案内など、情報を伝える用途では、必要な部分へ明度差を加えます。

色相の距離を変えて比べる

三色配色に慣れたら、色相同士の距離を変えます。

近い色相を集める

青、青緑、緑のように、色相環で近い色を組み合わせます。色みが滑らかにつながりやすく、一つの世界の中で明暗を変えるような配色になります。

まとまりすぎて主役が見つからないときは、一色だけ明度を下げるか、小さな補色を加えます。

反対に近い色を合わせる

色相環で向かい合う関係に近い色は、互いの違いが目立ちやすくなります。赤と青緑、黄と青紫などが例になります。

同じ面積、同じ鮮やかさで並べると、両方が強く見えることがあります。一方を広く落ち着いた色にし、もう一方を小さなアクセントへすると扱いやすくなります。

三方向から色を選ぶ

色相環から大きく離れた三色を選ぶと、違いを保ちながら広がりのある配色になります。すべてを同じ強さにせず、一色を中心に決めます。

理論上の位置をそのまま使うだけでなく、明度や彩度を調整します。色相の関係が同じでも、淡い三色と暗い三色では見え方が大きく変わります。

面積比で色の役割を変える

配色では、よく使う色を大きく三つの役割へ分けられます。

土台になる色 最も広く使い、全体の空気を決める

支える色 土台と変化をつくり、主題を見せる

アクセントになる色 小さな面積で視線を集める

割合を厳密な数字にする必要はありません。「大きい、中くらい、小さい」の三段階で十分です。

同じ三色を使い、役割を交代させた見本を作ります。赤をアクセントにした案、赤を背景にした案を並べると、一色の力が面積によって変わることが分かります。

アクセント色が目立たないときは、さらに鮮やかな色を探す前に、周囲の色との明度差や面積を見直します。小さくするほど目立つ場合もあり、大きくしすぎると土台の色へ変わることもあります。

身近な場所から配色を集める

配色の資料は、特別なデザイン集だけにあるわけではありません。食卓、駅、街路樹、古い建物、日用品など、身近な場所にも色の組み合わせがあります。

写真を撮れる場所では、全体と気になった部分を一枚ずつ残します。撮影できない場所では、「灰色の壁、深い緑の扉、真鍮の取っ手」というように言葉で記録します。

集めるときは、次の内容を添えます。

見つけた場所

日付と時刻

天候や照明

中心に見えた色

周囲を支えていた色

面積は小さいが印象に残った色

どの用途へ使ってみたいか

季節が変わると、同じ場所でも光や植物の色が変わります。春、夏、秋、冬で一枚ずつ集めると、配色の記録が暮らしの記録にもなります。

店舗の商品や展示物を撮影するときは、施設の撮影ルールを確認します。他人のデザインをそのまま自作として公開せず、どの関係が参考になったかを自分の言葉へ置き換えます。

紙と画面では同じ色にならない

スマートフォンやパソコンの画面は、自ら発する光によって色を見せます。紙の色は、照明の光が紙やインクへ当たり、反射したものを見ています。

そのため、画面で鮮やかに見えた青が、家庭用プリンターでは少し落ち着いて見えることがあります。画面の明るさ、機器の違い、インク、紙、照明によっても結果は変わります。

大切な配色は、最終的に使う媒体で確認します。印刷物なら実際の紙へ試し刷りをし、Web画面ならスマートフォンとパソコンの両方で見ます。

家庭での趣味では、画面と紙を完全に同じ色にすることを目標にしなくてもかまいません。「画面では青みが強い」「生成りの紙では少し暖かく見える」と違いを記録すること自体が研究になります。

光を変えて色を見る

色紙や作品は、昼間の自然光、暖色の照明、白っぽい照明で見え方が変わります。配色を作ったら、可能な範囲で二つ以上の環境へ移して眺めます。

夜の机だけで完成させた配色が、昼に見ると少し黄みを失って見えることもあります。反対に、昼間は地味に感じた金色や茶色が、暖かな照明ではなじむことがあります。

毎回同じ条件で比較したい場合は、作業する時刻と照明をそろえます。暮らしの中で使う配色なら、実際に置く場所の光でも確認します。

色票や絵具を直射日光の当たる場所へ長期間置くと、退色する可能性があります。比較用の見本は閉じられるノートや箱へ保管します。

見やすさまで含めて配色を考える

配色は、美しく見えるかどうかだけでなく、必要な情報が見分けられるかも大切です。人によって色の感じ方は異なり、異なる色を使っていても、組み合わせによっては区別しにくいことがあります。

案内、文字、グラフなどへ色を使うときは、色だけで意味を分けません。赤と緑の区別に加え、「A」「B」の文字、線の種類、模様、記号などを併用します。

文字と背景は、明るさの差も確認します。画面用の配色では、コントラストを数値で確認できるツールもあります。小さな文字ほど、背景との違いをはっきりさせます。

配色を白黒へ変えたとき、重要な部分が同じ灰色へ溶け込んでいないかを見る方法もあります。ただし、白黒確認だけですべての見え方を判断できるわけではないため、色覚シミュレーションや複数の人の確認も補助として使います。

見やすさへ配慮することは、色を地味にすることではありません。鮮やかな色を使いながら、明度差、輪郭、文字、形を加え、情報が伝わる選択肢を増やすことです。

35分で一つの配色を比べる

短く取り組む日は、三色だけを使います。

最初の5分で、写真や包装紙から三色を選びます。次の10分で、三色を大、中、小の面積へ分けて並べます。

続く10分で、色の役割を入れ替えた案をもう一つ作ります。残りの10分で二案を見比べ、気づいた違いを三つほど書きます。

完成度を高めようとせず、「どの色を広げると落ち着いたか」「小さくすると目立った色は何か」を残します。一つの発見があれば、その日の研究として十分です。

110分で配色ページを一枚作る

まとまった時間がある日は、テーマを一つ決めます。「雨の日」「秋の焼き菓子」「夜の喫茶店」など、景色や時間を言葉にします。

最初の15分で参考になる写真や紙を集め、中心となる五色を選びます。次の20分で、その五色を色相、明度、彩度の違いから観察します。

続く30分で、五色のうち三色を使った配色を三案作ります。一案目は近い色相、二案目は明度差を大きくし、三案目は一色だけ鮮やかにします。

少し休んだあと、20分ほどで配色を簡単な図形や文字へ当てはめます。最後に、画面を縮小する、白黒にする、別の照明で見るという確認を行います。

ページの下へ、使用した色、面積、見え方、使ってみたい用途を書きます。完成した配色だけでなく、選ばなかった案も残しておくと、次の研究へつながります。

配色ノートの残し方

配色ノートは、完成見本を貼るだけでなく、考えた過程を残す場所です。一ページへ情報を詰め込みすぎず、一つのテーマを見開きにまとめます。

左ページ 写真、包装紙、色の出どころ

右ページ 抽出した色、面積違いの配色、短い感想

というように分けると、元の題材と自分の配色を比べやすくなります。

記録には、次の内容が役立ちます。

配色の名前

作成日

色の記号やデジタル数値

使用した紙や絵具

大、中、小の面積

自然光と室内灯で見た違い

読みやすさの確認

使いたい作品や場面

「成功」「失敗」とだけ書かず、「三色の明度が近く、文字には使いにくい」「背景としては静かで気に入った」と用途を分けます。ある場面で見にくい配色も、別の作品では余韻のある色として使えることがあります。

無理なく続けるための注意点

デジタル画面で色を調整していると、細かな違いを見るために顔を近づけたり、画面の明るさを上げすぎたりしやすくなります。30分ほどで一度画面から目を離し、遠くを見て休みます。

作業環境が暗いと、画面だけが強く見えます。部屋の照明を確保し、画面の明るさを周囲に合わせます。色を比較するたびに設定が変わらないよう、途中で自動調整が働いていないかも確認します。

紙を切る作業では、はさみを机の端へ置かず、使い終えたら閉じます。デザインナイフを使う段階へ進んだ場合は、カッターマットの上で身体から離れる方向へ動かします。

絵具、マーカー、接着剤は製品の表示に従います。食事に使う皿やカップをパレットや筆洗いへ転用せず、子どもやペットが口へ入れない場所へ保管します。

雑誌や商品パッケージを切る場合は、購入履歴、保証書、使用方法など、後から必要になる情報が含まれていないか確かめます。一枚しかない思い出の紙は、先に写真や複製を残します。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

第1段階 三色を選び、並べてみる

最初は、好きな写真や包装紙から三色を選びます。きれいな組み合わせを作ろうとせず、どの色が広く、どの色が小さく使われているかを見ます。

三色を紙へ並べると、普段は一つの景色として見ていたものが、色の関係として見えてきます。順番と面積を変え、印象の違いを言葉にします。

第2段階 色相・明度・彩度を分けて見る

似ている色を集め、何が同じで何が違うかを考えます。色相は近いが明るさが違う、明度は近いが鮮やかさが違うというように、感覚を少しずつ整理します。

配色が合わないと感じたときも、色を全部入れ替えず、一つの要素だけを変えて試せるようになります。

第3段階 面積と役割を自分で決める

同じ色の組み合わせを使い、土台、支える色、アクセントを入れ替えます。どの色を最初に見せたいか、どの色を背景へ引かせたいかを考えます。

好きな色をすべて同じ強さで使うのではなく、一色を主役にするために、ほかの色を控える選択もできるようになります。

第4段階 媒体と見る人に合わせて整える

紙、画面、布、写真など、異なる媒体へ同じ配色を使います。光の違い、印刷による変化、素材の質感によって見え方が変わることを確かめます。

文字や案内へ使う場合は、明度差、コントラスト、色以外の記号も確認します。自分が気に入る配色から、使う場面に合う配色へ考え方が広がります。

第5段階 自分の配色資料を育てる

季節、場所、作品の用途など、自分なりのテーマで配色を集めます。「雨の日の青」「古い建物の色」「焼き菓子に合う色」など、繰り返し見たくなる分類を作ります。

作品制作へ使う、友人の活動へ配色案を作る、小さな冊子へまとめることもできます。販売や資格を目標にしなくても、自分が色を選ぶときの基準を一冊へ育てていくことが、長く続く楽しみになります。

五つの段階は、知識の順位ではありません。三色だけを並べる日へ戻る、しばらく自然の色だけを集めるなど、自分が気になる見方を行き来しながら続けられます。

あわせて楽しみたい関連する趣味

アクリル画

アクリル画では、絵具を混ぜ、乾かし、重ねながら色面を作ります。配色研究で考えた明度や面積を実際の絵へ使い、紙の色票とは違う、筆跡や下地を含んだ色の見え方を確かめられます。


ちぎり絵

ちぎり絵は、色のある紙を手でちぎり、台紙へ重ねて一つの絵を作る趣味です。絵具を混ぜなくても、紙を動かしながら色の面積と位置を変えられるため、配色を手で試したい人に向いています。


カリグラフィー

カリグラフィーは、文字の太さ、傾き、余白を整えながら、言葉を一つの画面へ仕上げる趣味です。紙、文字、装飾の色を三つほどに絞り、読みやすさと雰囲気を両立させる配色へつなげられます。


三色を並べると、いつもの景色が少し違って見える

配色研究を始めるために、たくさんの色名や専門的な規則を覚える必要はありません。今日気になった包装紙や写真を一つ選び、その中から三色を探す。広く使われている色、支えている色、小さく目立つ色を並べるだけで、最初のページができます。

色を入れ替えても、増やしても、少し落ち着かなく感じることがあります。そんなときは新しい色を探す前に、一色を小さくする、明るさを変える、周囲へ白い余白を置く方法を試します。

続けていると、街の看板、季節の花、服の重なり、食器と料理の間にも、色の役割が見えてきます。好きな色を集めるところから始まった一冊は、やがて自分が何を穏やかと感じ、どの色へ目を向けるのかを残す、小さな研究記録になっていきます。


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