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ロゲイニングの楽しみ方

はじめに

地図を広げると、町や森のあちこちに数字の付いた丸が並んでいる。どこから回るか、どの道を使うか、最後に何分残して戻るか。スタート前の短い作戦会議から、ロゲイニングはもう始まっています。

名前だけでは想像しにくいものの、基本は「制限時間の中で、得点の付いたチェックポイントを選んで巡る」ナビゲーションスポーツです。足の速さだけでなく、地図を読むこと、無理のない順番を考えること、仲間と相談することが結果につながります。

「地図が苦手でも大丈夫?」「山を何時間も走る競技では?」「専用の道具が必要?」と不安になるかもしれません。本来のロゲイニングには長時間のチーム競技がありますが、国内では市街地を歩ける短時間の大会や、写真で通過を証明する催しも行われています。初回は、初心者向けの短い部門を選べば構えすぎなくて大丈夫です。

今回は、ロゲイニングの基本、似た遊びとの違い、費用、道具、初めて参加する日の流れ、安全に楽しむための注意点までまとめます。走り切ることではなく、考えて歩き、時間内に戻る1日を思い浮かべながら見ていきましょう。


ロゲイニングとは

ロゲイニングは、地図とコンパスを使い、制限時間内に複数のチェックポイントを巡って合計得点を競うスポーツです。チェックポイントにはそれぞれ点数があり、回る順番は自由。高得点の場所ほど遠い、坂が多い、見つけにくいなど、時間のかかる設定になっていることがあります。

すべてのチェックポイントを回ることが目的ではありません。上位のチームでも全部を回れないように配置されることが多く、限られた時間でどれを捨て、どれを取りに行くかが大切です。終了時刻を過ぎると減点され、遅れが大きいと失格になる大会もあります。高得点を1つ追加しても、戻る時刻を守れなければ逆効果になるのが、この競技らしいところです。

一般的な本来の形式では2〜5人ほどのチームを組み、競技中は一緒に行動します。日本ロゲイニング協会が示す一般的な競技時間は6時間、国際的なフルロゲイニングは24時間です。ただし、国内には3〜5時間ほどの部門、初心者向けの1〜2時間台、個人参加、公共交通機関を使える観光型など、ロゲイニングをもとにした多様なイベントがあります。

そのため、イベント名だけで内容を決めつけず、競技時間、人数、移動手段、通過証明の方法を確認します。徒歩と走行だけの大会もあれば、電車やバスを使える大会もあります。指定地点で同じ構図の写真を撮る形式、専用アプリを操作する形式、チェック用の器具を使う形式などもあり、スマートフォンが必須とは限りません。

似ている競技にオリエンテーリングがあります。一般的なオリエンテーリングでは、決められたチェックポイントを指定順に回り、速さを競います。ロゲイニングは、順番を自分たちで決め、合計点を作るところに重心があります。ジオキャッシングは公開された座標を手がかりに容器などを探す遊びで、決められた時間内の得点競争とは目的が異なります。

会場は、山、森林、高原、里山、市街地、観光地などさまざまです。自然の会場では地形を読む力と装備が必要になり、市街地では信号、横断歩道、営業時間、人通りまで計画へ入ります。初心者は、道がはっきりした市街地や公園が中心で、競技時間が短く、講習のある大会から選ぶと流れをつかみやすくなります。

ロゲイニングにかかる費用

参加費は大会の長さ、保険、地図、計測方法、会場によって変わります。近年の市街地大会には1人1,650円ほどの例があり、3〜4時間の一般部門では1人3,500〜4,000円ほどの例もあります。初回は1人1,500〜4,500円ほどを中心に探し、申込手数料が別にかかるかも確認します。

手持ちの運動靴、動きやすい服、小さなリュック、スマートフォンを使えば、最初から高価な用具を買う必要はありません。方位を確かめる簡単なコンパスは1,000〜3,000円ほど、防水用の地図ケースや袋は数百〜2,000円ほどから選べます。山や長時間の部門へ進むまでは、競技用のコンパス、トレイル向けの靴、補給用の行動食などを急いでそろえなくても構いません。

初回の1日は、参加費、交通費、飲み物と行動食、必要ならコンパスを合わせ、4,000〜12,000円ほどが目安です。遠方への移動、宿泊、公共交通機関を使う競技では別に予算を置きます。チームで参加するときは、1人分の料金か1組分の料金か、保険が含まれるかを申込画面で確かめます。

1年に3〜6大会ほど参加するなら、近場中心で15,000〜60,000円ほどから考えられます。道具は1度そろえると繰り返し使えるため、続けるほど交通費の割合が大きくなります。大会数を増やすより、春と秋に1回ずつ、町と里山を1回ずつというように違いを味わう方が、予定も体力も整えやすくなります。

ロゲイニングの魅力

1.速さだけでは決まらない作戦の面白さがある

地図を受け取ったら、まず全体を見ます。近くに低い点数が集まる場所、遠いけれど高得点の場所、最後に戻りやすい道。どの順でつなぐかによって、同じ歩く速さでも合計点が変わります。

最初の計画どおりに進まないことも面白さの一部です。坂で予定より時間がかかった、信号待ちが多かった、気になる場所へ少し寄りたくなった。途中で1つを諦め、帰り道のチェックポイントへ切り替える判断も、立派な作戦になります。

「全部取れなかった」は失敗ではありません。時間内に安全に戻り、選んだルートの良かった点を振り返ると、次はどこを変えたいかが見えます。運動の記録と、小さなパズルを解いた手応えを一度に味わえます。

2.仲間との相談がそのまま競技になる

チーム競技では、速い人だけが先へ進むことはできません。地図を見る人、時間を見る人、写真を撮る人、周囲の目印を探す人など、得意なことを分けながら一緒に動きます。

曲がり角で迷ったときに、全員で現在地を確かめる。疲れてきた人がいれば、次の高得点を諦める。意見が分かれたら、残り時間を基準に決める。こうした短い相談が、順位だけではない達成感につながります。

一緒に参加する人とは、速さの希望を最初に話しておくと安心です。走って得点を狙いたい人と、歩きながら町を見たい人では、1日の組み立てが違います。共通の目標を「時間内に戻る」「気になる5か所を回る」などと決めれば、経験差があっても楽しみやすくなります。

3.見慣れた町や風景を、目的のある場所として歩ける

チェックポイントには、史跡、橋、公園、看板、作品、店先など、その土地らしい場所が選ばれることがあります。普段なら通り過ぎる小さな記念碑も、地図の丸を頼りに探すと、きちんと立ち止まる目的になります。

市街地のロゲイニングでは、競技をしながら路地や商店街のつながりを知れます。自然の会場では、尾根、谷、林道、開けた場所など、地図の形と目の前の景色を重ねます。速く移動するだけでなく、土地を読む感覚が少しずつ育ちます。

終わった後に、競技中は通り過ぎた店へ戻るのも楽しみです。得点にならなかった場所が気になり、次の休日の行き先になることもあります。1日の競技が、その土地への長い入口になります。

道具の選び方と初めて参加する日の流れ

最初に選びたいのは、2〜4時間ほどの市街地または大きな公園の大会です。「初心者歓迎」「歩いて参加可」「講習あり」と書かれ、会場から公共交通機関で帰りやすいものなら安心です。チーム部門へ出る場合は、2〜3人で組み、全員が無理なく歩ける速さを基準にします。

申込み前に、大会要項を最後まで読みます。人数と年齢、競技時間、徒歩だけか交通機関も使えるか、写真撮影やアプリが必要か、必携品、荷物預かり、荒天時の扱いを確かめます。大会ごとにルールが違うため、別のイベントで認められた移動方法が今回も使えるとは限りません。

持ち物は、履き慣れた運動靴、動きやすい服、小さなリュック、飲み物、行動食、帽子、雨具、時計、充電したスマートフォン、予備電源から始めます。コンパスが必携なら、貸出の有無を先に確認します。紙の地図を使う大会では、透明な袋や地図ケース、油性ではない筆記具、折れにくいクリップがあると扱いやすくなります。

当日は受付に余裕を持って着き、緊急連絡先と終了時刻を確認します。地図が配られたら、スタート地点とフィニッシュ、立入禁止区域、大きな川や線路、戻りに使いやすい道を先に見ます。その後、近くて確実な地点をいくつか結び、余裕があれば高得点へ伸ばす計画を作ります。

初回は、予定時間のすべてを使い切らず、15〜20分の帰還余裕を置きます。開始直後に遠い高得点へ向かうより、近い地点で地図と通過証明の使い方を確かめる方が落ち着きます。写真形式なら、指定された対象物とチームメンバーを入れる必要があるかなど、見本どおりの条件を確認します。

競技中は、地図を見るときに安全な端へ止まります。30分ごとに残り時間と体調を確かめ、計画より遅れていたら早めに短縮します。フィニッシュへ戻ったら、主催者の方法で帰還と得点を報告し、途中でやめた場合も無断で帰らないようにします。

安全に楽しむための注意点

  • 主催者が示した競技範囲、立入禁止区域、通行できる道を守り、塀、門、植栽、管理された敷地を近道のために越えません。市街地では信号と横断歩道を使い、地図の線より現地の規制や係員の案内を優先します。

  • チーム競技では全員が声の届く距離で行動し、最もゆっくり進む人の体調に合わせます。離脱、けが、道迷いが起きたら隠さず、主催者の緊急連絡先へ状況と分かる範囲の現在地を伝えます。

  • 暑さ、寒さ、雨、雷、強風に合わせ、飲み物、帽子、雨具、防寒着を用意します。体調が悪い日や警報が出ている日は参加を見合わせ、開催中でも気分不良、寒気、強い頭痛などがあれば得点より中止を選びます。

  • 車道、踏切、段差、ぬれた坂、木の根などでは走らず、スマートフォンや地図を見ながら横断しません。山や里山の部門では、足元を守る靴、長袖、虫や動物への備えなど、主催者が指定する装備を追加します。

  • 残り時間と帰還距離をこまめに確認し、最初から15〜20分の余裕を置きます。追加の1か所を諦めても、安全に時間内へ戻る方を優先し、終了後は必ず受付またはアプリで帰還処理を完了します。

少しずつ楽しみを広げる5つの段階

1.地図を進む方向へ向けて歩く

初めは競技の前に、近所の地図で曲がり角を3つほど確かめます。地図の上を常に北へ向けるだけでなく、今進んでいる方向が上になるよう持ち替えると、左右を判断しやすくなります。

大会では、近いチェックポイントを1つ選び、道、交差点、建物など大きな目印で現在地を確かめます。分からなくなったら進み続けず、最後に確かだった場所へ戻る習慣を作ります。

2.短い市街地大会を歩いて完走する

次は、2〜3時間ほどの初心者向け大会で、歩くことを基本にします。高得点より、ルールどおりに通過を証明し、時間内へ戻ることを最初の目標にします。

終了後は、計画した道と実際に歩いた道を比べます。時間がかかった場所、分かりやすかった目印、使わなかった持ち物を記録すると、次回の準備を軽くできます。

3.3〜6時間のコースで役割を分ける

短い大会に慣れたら、少し長い市街地や里山の部門へ進みます。地図、時間、通過証明を担当しつつ、一定時間ごとに役割を替えると、全員が競技の流れを理解できます。

この段階では、休憩と補給も計画へ入れます。開始直後に速く進みすぎず、後半も会話できる余力を残します。時間が長いほど、足の速さより判断を続ける力が大切になります。

4.得点と時間からルートを組み直す

経験が増えると、距離だけでなく、坂、信号、道の複雑さ、チェックポイントのまとまりを見て計画できます。高得点を一直線に追うのではなく、戻りやすい輪を作るようにルートを考えます。

途中で予定を変える基準も決めます。「正午の時点でここへ着かなければ短縮する」「残り40分で帰路へ入る」と先に決めておくと、得点への迷いを減らせます。

5.6時間以上や旅先の大会へ広げる

体力、地図読み、補給、チームでの判断に慣れてから、本来の6時間以上のロゲイニングや自然の大きな会場へ進みます。長時間では天候と疲労の影響が増えるため、必要装備と撤退判断を短い大会以上に丁寧に整えます。

旅先の観光型へ参加すれば、競技と地域巡りを組み合わせられます。難しい大会へ進むことだけが上達ではありません。歩く部門を繰り返し、毎回違う町の地図を楽しむ続け方も十分に奥行きがあります。

こんな人や休日に向いている

ロゲイニングは、地図、パズル、街歩きが好きで、運動にも小さな目的がほしい人に向いています。ただ同じ道を歩くより、次にどこへ行くか考えながら動きたい人には特に相性があります。

誰かと相談しながら1日を組み立てたい休日にも合います。速さや体力が違っても、写真、時間、目印探しなど役割を持てます。初対面の人と組む企画では、希望する速度と休憩の取り方をスタート前に共有します。

一方で、地図を読むことに慣れていない人、長時間の運動が久しぶりな人は、市街地の短い部門から始めます。順位にこだわらず、近いチェックポイントを数か所回って戻るだけでも、ロゲイニングの作戦と探索は味わえます。

あわせて楽しみたい関連する趣味

  • オリエンテーリング:指定されたチェックポイントを順に巡り、地図と景色を照らし合わせる力を磨けます。


  • ジオキャッシング:公開された座標とヒントを頼りに、小さな容器や場所を自分のペースで探せます。


  • ウォーキング:競技のない日にも無理のない時間を歩き、長いコースを楽しむための足慣らしができます。


まとめ

ロゲイニングは、制限時間の中で得点の付いた場所を選び、自分たちのルートを作るナビゲーションスポーツです。速く進む力だけでなく、地図を読み、相談し、途中で計画を変え、時間内に戻る判断が楽しさの中心になります。

初回は、短い市街地の大会を歩いて参加し、近いチェックポイントから始めます。全部を回ろうとせず、15〜20分の余裕を残して戻る。その1日だけで、見慣れた町の道が、考えて選ぶコースへ変わります。

地図の上で気になった丸を1つ選び、安全な道でたどり着くところから始めてみてください。取らなかった得点も、次の作戦を考える楽しみとして残ります。


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