バドミントンの楽しみ方
ネットを挟んで向かい合い、ラケットでシャトルを軽く打ち上げる。
最初の一球は、思っていたより高く上がるかもしれません。相手が打ち返したシャトルは、こちらへ向かって速く進んできた後、急に速度を落としながら足元へ落ちてきます。
少し前へ出て打ち返す。
相手が後ろへ下がりながら、もう一度高く返す。
今度は身体の正面で捉える。
数回続いたところで、二人とも自然に笑ってしまう。
バドミントンは、強いスマッシュを決めて得点を競うだけのスポーツではありません。
シャトルが落ちる場所を予測して動く。
相手が返しやすい場所へ打つ。
高い球と短い球を使い分ける。
一人では完成しないラリーを、相手と一球ずつつないでいく。
軽いシャトルならではの速度変化と、短い判断の繰り返しを楽しめる競技です。
一方で、初めて体育館へ行くときには迷うこともあります。
ラケットは購入しなければならないのか。
普段の運動靴でも参加できるのか。
一回にどのくらい時間と費用がかかるのか。
シャトルへうまく当たらなくても、ゲームを楽しめるのか。
シングルスとダブルスでは、どちらが始めやすいのか。
肩や膝を痛めずに続けるには、何へ気をつければよいのか。
最初からコートの奥まで飛ばしたり、正式なルールで試合をしたりする必要はありません。
施設のラケットを借りる。
ネットの近くでシャトルを打つ。
相手が返しやすい場所へ、ゆっくり送る。
まずは三回のラリーを目指す。
その短いやり取りだけでも、バドミントンの基本的な楽しさを味わえます。
今回は、バドミントンに必要な時間と費用、施設と道具の選び方、初めて打ち合う日の流れ、ラリーを続けるコツ、シングルスとダブルスの違い、安全上の注意、続けることで変わる楽しみ方をまとめました。
※時間や費用は、二〜四人で体育館やスポーツ施設を利用し、約90分プレーする場合の目安です。施設料金、人数、ラケットのレンタル、シャトルの種類によって変わります。
バドミントンをざっくり整理すると
一回の実施時間 約90分
着替えや準備を含む時間 約1時間45分
最初に試したい運動時間 30〜60分程度
年間の実施回数 年13回前後
初回体験費 約1,300円
施設のラケットを借りる場合の初期費用 ほぼ0円
自分用の基本用品をそろえる場合 約15,000円
当日の支出 約1,300円
年間の費用 約17,400円
一緒に楽しむ人数 二〜四人程度
一人での基礎練習 一部可能
身体的な負荷 中程度
楽しさの中心 ラリー、シャトルの速度変化、相手との駆け引き、得点、少しずつ打ち返せるようになる達成感
一回90分プレーする場合でも、すべての時間を激しく動き続けるわけではありません。
シャトルを拾う。
順番を交代する。
水分を取る。
短いゲームの後に休む。
こうした時間も含まれます。
ただし、プレー中は前後左右への細かな移動や方向転換が続きます。運動時間が短く感じても、足首、膝、肩、腕には負担がかかります。
久しぶりに身体を動かす人は、最初から90分すべてゲームに使わず、休憩を多めに取ります。
バドミントンならではの面白さは、シャトルが急に減速すること
バドミントンのシャトルは、ボールとは異なる動きをします。
強く打たれた直後は速く進みますが、空気の抵抗を受け、急に速度を落としながら落下します。
そのため、見た目には届きそうな球が手前へ落ちたり、ネットの近くに短く返した球が急に沈んだりします。
速い球と遅い球を同じ道具で作れる
強く打つ。
高く打ち上げる。
ネット近くへ静かに落とす。
同じラケットでも、打つ方向と力によってシャトルの動きは大きく変わります。
最初は強く打つより、相手が返せる高さと場所へ送ることを優先します。
相手の一打によって、自分の動きが決まる
奥へ高く返されたら後ろへ下がる。
ネット際へ落とされたら前へ出る。
左右へ振られたら、中央へ戻る。
バドミントンでは、自分が打ちたい球だけを考えるのではなく、相手の一打へ反応し続けます。
ラリーが続くほど二人で作った実感が生まれる
得点を競わなくても、シャトルが床へ落ちない時間を長くするだけで楽しめます。
一回。
二回。
三回。
相手が返しやすい球を打ち、互いに少しずつ調整することでラリーが続きます。
強い一打を決める爽快感とは別に、二人で十回続けられた達成感があります。
小さなコートでも運動量が生まれる
コートは広大ではありませんが、シャトルの落下地点へ素早く移動する必要があります。
前へ出た直後に後ろへ下がる。
右へ動いた後で中央へ戻る。
短い距離の反復によって、見た目以上に全身を使います。
最初は、ラケットよりシューズと施設を確認する
バドミントンを始めるとき、最初に気になるのはラケットかもしれません。
けれど、安全に楽しむためには、使用する体育館と足元の方が大切です。
コートを利用できる施設を探す
地域の体育館。
スポーツセンター。
民間のスポーツ施設。
学校施設の一般開放。
サークルや教室。
利用方法はさまざまです。
個人でコートを予約する施設と、決められた時間に参加できる教室や交流会があります。
初めてなら、
ラケットを借りられるか。
ネットとシャトルが用意されているか。
初心者でも参加できるか。
室内シューズの条件。
一回の利用時間。
を確認します。
普段の外履きをそのまま使わない
体育館では、室内専用シューズを求められることがあります。
靴底へ砂や水分が付いていると、滑ったり床を傷めたりする可能性があります。
施設の規則に合う、清潔な室内運動靴を用意します。
横方向へ動いたときに安定する靴を選ぶ
バドミントンでは、前後だけでなく左右へも素早く動きます。
走ることを中心に作られた靴では、横方向へ踏み込んだ際に足が不安定になる場合があります。
継続して遊ぶなら、かかとが大きく浮かず、横へ足がずれにくいバドミントンシューズを検討します。
ラケットはレンタルで試せる
初回は施設のラケットで十分です。
重さ。
グリップの太さ。
振ったときの感触。
実際に使った後で、自分用のラケットが必要かを判断できます。
初回体験費・初期費用・当日支出を分けて考える
バドミントンは、施設の道具を借りられれば、大きな初期費用をかけずに始められます。
初回体験費
施設利用料 約350円
交通費 約300円
飲料や軽い補給 約200円
ラケット・シャトルなど 約350円
その他の費用 約100円
合計 約1,300円
複数人でコート料金を分ける施設では、人数によって一人あたりの金額が変わります。
教室やサークルへ参加する場合は、指導料や参加費が加わることがあります。
初期費用
レンタルラケット。
施設のシャトル。
手持ちの運動着。
使用可能な室内シューズ。
これらを使える場合、
初期費用 ほぼ0円
です。
新しく室内シューズが必要な場合は、靴の費用を別に考えます。
自分用の基本用品
入門ラケット。
バドミントンシューズ。
シャトル。
グリップテープ。
ラケットケース。
基本用品をそろえる場合、
初期費用 約15,000円
が目安です。
標準的なラケット、ウェア、ラケットバッグ、予備用品までそろえる場合は、
約45,000円
が一つの目安になります。
当日の支出
通常の施設利用では、
当日の支出 約1,300円
が目安です。
シャトルを自分たちで用意する場合は、使用した数によって費用が変わります。
年間の費用
年13回前後遊ぶ場合、
年間の費用 約17,400円
が目安です。
ラケットの購入やストリングの張り替えがある年は、費用が増えます。
初めてバドミントンをする日の流れ
1.予約と持ち物を確認する
コートの利用時間。
受付方法。
ラケットのレンタル。
シャトル。
室内シューズ。
更衣室。
開始前に確認します。
予約した時間には、準備と片付けが含まれる場合があります。
2.コートと周囲を見る
隣のコートとの間隔。
壁や支柱。
ネット。
床の濡れや傷み。
荷物を置く場所。
最初に確認します。
バッグや飲料を、プレーする場所や通路へ置きません。
3.身体を少しずつ動かす
肩。
肘。
手首。
股関節。
膝。
足首。
大きく反動を付けず、ゆっくり動かします。
その場で軽く足踏みし、前後左右への一歩を確認します。
4.近い距離からシャトルへ当てる
ネットを使わず、二人で近くに立ちます。
シャトルを軽く投げてもらい、ラケットで前へ返します。
強く振るのではなく、ラケット面へシャトルを当てることを優先します。
5.ネット越しに高く返す
少し離れ、ネットを越える高さで打ち合います。
最初はコートの奥を狙わず、相手の正面へ高く返します。
シャトルの下へ入り、身体の前で打てる位置を探します。
6.サーブを試す
正式なルールへこだわる前に、相手コートへ入るよう下から打ちます。
短い距離から始め、安定して入るようになったら少しずつ離れます。
7.短いゲームを行う
5点先取。
一人一回ずつサーブ。
コートを小さく使う。
初心者同士で分かりやすいルールを決めます。
得点より、サーブからラリーを始める流れに慣れます。
8.終了前に片付けと身体の確認をする
シャトルを集める。
ネットや支柱を施設の方法で片付ける。
床へ忘れ物がないか見る。
肩、膝、足首などに痛みがないか確認します。
ラリーを続けるために、強く打ちすぎない
初めてラケットを持つと、遠くへ飛ばそうとして大きく振りたくなります。
けれど、ラリーを続けるためには、相手が移動しなくても返せる球を送る方が大切です。
シャトルの下へ入る
落ちてくるシャトルへ横から手を伸ばすと、ラケット面が安定しにくくなります。
早めに落下地点へ動き、身体の前か少し上で打てる位置を作ります。
届かない球を、無理な姿勢で追いかけないことも大切です。
ラケットを強く握り続けない
ずっと強く握っていると、手首や腕が疲れやすくなります。
落とさない程度に持ち、打つ瞬間だけ少し力を加える感覚を探します。
相手の正面へ高く返す
最初はネットぎりぎりを狙わず、余裕のある高さで返します。
高いシャトルは、相手が落下地点へ移動する時間を作ります。
打った後に中央へ戻る
シャトルを打った場所で立ち止まると、次の球へ届きにくくなります。
打ち終えたら、コートの中央に近い場所へ戻ります。
完全な中央ではなくても、前後左右のどこへも動きやすい位置を意識します。
三回続いたら一度区切る
長いラリーだけを目指さず、三回、五回、十回と小さく区切ります。
続いた回数を数えることで、互いに返しやすい球を意識できます。
シングルスとダブルスでは、楽しさが変わる
シングルス
一人でコートの広い範囲を守ります。
相手の位置を見ながら前後左右へ動くため、運動量が多くなりやすい形式です。
一球ごとの判断と、自分でコート全体を組み立てる面白さがあります。
初めての場合は、コートを狭く使うか、短い時間で交代します。
ダブルス
二人で一つのコートを守ります。
一人あたりの移動範囲は小さく見えますが、球の速度が上がりやすく、味方との位置関係が大切です。
左右へ並ぶ。
前後に分かれる。
相手へ攻められたら守る形へ戻る。
二人で位置を入れ替えながらラリーを続けます。
初心者同士なら交代しながら楽しめる
四人以上いる場合は、短いゲームごとに組み合わせを変えます。
経験者と初心者が一緒なら、強いスマッシュを続けるより、返しやすい球を中心にします。
技術差が大きいときは、
コートを狭くする。
得点ではなくラリー回数を競う。
サーブを近い位置から行う。
遊びやすい条件へ調整します。
道具は三つの段階で考える
最低限必要なもの
施設のレンタルラケット
シャトル
利用できるコートとネット
室内シューズ
動きやすい服
飲料水
タオル
最初は、施設で借りられる物を利用します。
シャトルには素材や速度の違いがありますが、初回から競技用の高価な物を用意する必要はありません。
続けるなら用意したいもの
入門用のラケット
バドミントンシューズ
ラケットケース
グリップテープ
予備のシャトル
速乾性の運動着
スポーツソックス
小型のスポーツバッグ
着替え
スコアや練習の記録
ラケットを選ぶときは、価格だけでなく、
重さ。
バランス。
シャフトの硬さ。
グリップの太さ。
を見ます。
初心者向けと表示されている物でも、実際に振って扱いやすいかを確認します。
最初は買わなくてよいもの
複数の高性能ラケット
ストリングマシン
シャトル供給機
大量の高級シャトル
高性能な心拍計
フォーム撮影用品一式
大会遠征用の大型バッグ
最初からラケットを使い分ける必要はありません。
一本を使い、どのような重さや打ち方が自分に合うかを知ってから用品を増やします。
安全に楽しむために気をつけたいこと
ラケットを振る前に周囲を見る
バドミントンのラケットは、身体の後ろや横まで通ります。
シャトルだけを見ていると、隣の人や壁へ気づきにくくなります。
打つ前に、味方、相手、隣のコートとの距離を確認します。
シャトルを無理に追いすぎない
壁。
支柱。
ネット。
隣の選手。
届かない球を追い、急停止や無理な方向転換をすると衝突や転倒につながります。
危険な位置へ落ちる球は見送ります。
濡れた床ではプレーしない
汗や飲料で床が濡れていると、滑る可能性があります。
すぐにプレーを止め、施設の方法で拭き取ります。
飲料はコート外の決められた場所へ置きます。
痛みが出たら中止する
肩。
肘。
手首。
膝。
足首。
強い痛みやしびれがある状態で続けません。
初回からスマッシュを何度も打たず、ラリーと休憩を交互に行います。
暑い体育館では休憩を増やす
屋内でも、空調が弱い体育館や夏場には室温が上がります。
換気。
水分。
休憩。
着替え。
体調を確認します。
めまいや普段と異なる息苦しさなどがあれば、プレーを中止します。
ラケットとシューズを適切に保管する
ラケットを高温になる車内へ長く放置しません。
使用後のシューズやウェアは、バッグへ入れたままにせず乾燥させます。
ストリングの大きな傷みやフレームのひびがあれば、使用を止めて確認します。
続けると変わる5段階の楽しみ方
1.シャトルへ当て、三回のラリーを作る
最初は施設のラケットを借り、握り方を確認します。
近い距離からシャトルを打ち、相手の正面へ返します。
ネットを越えて数回続く楽しさを知る段階です。
2.サーブと基本ショットを安定させる
複数回遊ぶと、高く返すクリア、短く落とすドロップ、サーブなどを少しずつ使えるようになります。
高い位置で打つ。
打った後に中央へ戻る。
相手の位置を見る。
得点を数えながら、一ゲームを最後まで進める段階です。
3.配球と速度の変化を使う
さらに続けると、相手がいる場所とは違う方向へ打つことを考えます。
奥へ高く返す。
ネット近くへ短く落とす。
速い球と遅い球を使い分ける。
ダブルスでは味方と位置を入れ替え、得点までの流れを作る段階です。
4.用具・身体・競技環境を理解する
関心が深まると、ラケットの重さ、ストリング、シャトル、シューズ、床、空調による違いへ目が向きます。
フォームや足運びを記録する。
肩や膝の疲労を管理する。
施設によるシャトルの動きの違いへ対応する段階です。
5.自分の競技力へ計画的に挑戦する
長く続けると、ラリーの精度、フットワーク、試合成績など、具体的な目標を持てます。
練習計画を作る。
苦手な球を繰り返す。
対戦記録を振り返る。
大会へ参加する。
技術、反応、持久力、戦術を総合的に高める段階です。
バドミントンが合いやすいのは、こんな日
屋内で天候を気にせず身体を動かしたい日。
家族や友人と、会話しながら運動したい日。
ボール競技より軽い道具から始めたい日。
長時間走るより、短い移動を繰り返す運動を楽しみたい日。
得点だけでなく、ラリーが続くことへ達成感を持ちたい日。
二人で気軽に打ち合いたい日。
ダブルスで仲間との連携を楽しみたい日。
一方で、肩、肘、膝、足首に痛みがある日には、無理に参加しません。
強い疲労がある日や、体育館の暑さが厳しい日は、運動時間を短くします。
参加者の技術差が大きい日は、正式な試合より、近い距離でのラリーや簡単なルールを選びます。
最初の目標は、スマッシュを決めることより三回続けて返すこと
バドミントンを始めると、速いスマッシュを打ってみたくなります。
勢いよく振り、シャトルが相手コートへ突き刺さる場面は、競技の大きな魅力です。
けれど、初めから強く打つと、シャトルへ当たらなかったり、相手が返せない場所へ飛んだりします。
最初はネットの近くへ立つ。
ラケットを大きく振らない。
相手の正面へ高く返す。
一回目を打つ。
相手が返す。
もう一度、シャトルの下へ動いて返す。
バドミントンの最初の目標は、強いショットで得点することでも、正式なゲームに勝つことでもありません。
自分の一打で終わらせず、相手から戻ってきたシャトルをもう一度返し、三回のラリーを二人で作ること。
三回目が床へ落ちた後に、「次はもう少し高く返せば、四回目へ続きそう」と思えたなら、バドミントンは一球を打つ遊びではなく、相手と一緒に続く時間を作るスポーツになり始めています。
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
