ドライフラワーの楽しみ方
花瓶に飾っていた花の中から、まだ形のきれいなものを数本選ぶ。余分な葉を落とし、茎をひもでまとめて逆さにすると、いつもの花が少し違って見えます。
数日後に触れてみると、やわらかかった花びらは軽くなり、色にも少し落ち着きが出ています。さらに時間がたつと、生花の頃とは違う、静かな表情へ変わっていきます。
ドライフラワーというと、完成した花束や、おしゃれなスワッグを飾るものという印象があるかもしれません。きれいな色を残すには特別な機械が必要で、自宅では難しそうに感じることもあります。
けれど、最初は花を数本、風通しのよい場所へ吊るすところから始められます。花の種類と乾かす場所を選び、急がず待つ。それだけでも、花が乾いていく時間そのものを楽しめます。
生花の姿をそのまま永久に残すことはできません。乾燥するにつれて色は少し深くなり、花びらは縮み、触れれば壊れやすくなります。
それでも、変わっていくからこそ生まれる美しさがあります。
咲いていた頃の華やかさではなく、少しくすんだ色や乾いた質感を楽しむ。季節の花を自分の手で乾かし、暮らしの中へもうしばらく残しておく。
今回は、自宅で月2回ほどドライフラワー作りに取り組む場合を中心に、基本情報、費用、おすすめする理由、花の選び方、乾燥方法、最初に作りたい作品、必要な道具、飾り方と保存、安全面、続けることで変わる楽しさを紹介します。
ドライフラワーの基本情報
主な楽しみ方 生花や葉ものを乾燥させ、花束、スワッグ、リース、室内装飾などへ仕立てる
おすすめの頻度 月2回前後
一回の作業時間 約110分
短時間で取り組む場合 約35分から
準備と片付けを含む総所要時間 約130分
乾燥を待つ期間 吊るして乾かす場合は1〜3週間ほど
主な場所 直射日光を避けられ、乾燥して風通しのよい自宅の一角
最初に必要なもの 花、清潔なはさみ、輪ゴム、ひも、吊るす場所
始めやすさ 専用施設や資格は不要で、少量の花から試せる
難しく感じやすいところ 花に合う乾燥方法を選ぶこと、湿気と色あせを抑えること
天候の影響 室内で作れるが、梅雨や高湿度の時期は乾燥しにくい
ドライフラワー作りでは、花を整えて吊るす時間より、乾燥を待つ時間のほうが長くなります。今回の一回約110分という目安は、花の下処理、束ねる作業、乾燥後の組み直しや小さな作品への仕立てを含む実作業時間です。
ハンギング法では、小さな束へ分けた花を、乾燥して風通しのよい場所へ逆さに吊るします。花の種類や室内環境によって差はありますが、乾燥までの目安は1〜3週間ほどです。大きな束にすると内側へ湿気が残りやすいため、少量ずつ分けることが勧められています。
吊るしたあとは、毎日長く世話をする必要はありません。茎が抜けていないか、花に湿り気や変色がないかを、ときどき確認します。
すぐに完成しないことは、不便さでもありますが、ドライフラワーらしい魅力でもあります。吊るした花が少しずつ軽くなり、部屋の景色へなじんでいく様子を眺めながら、完成を待てます。
ドライフラワーにかかる費用
ドライフラワーは、もらった花束や自宅にあるはさみを使えば、ほとんど費用をかけずに始められます。一方、花を購入し、乾燥材やワイヤー、飾るための用品までそろえる場合は、最初に数千円から1万円ほどかかります。
手元の花と道具で試す場合 0〜1,500円程度
生花と最低限の用品をそろえる場合 約2,000〜5,000円
基本の道具を一通りそろえる場合 約5,000〜10,000円
シリカゲルや密閉容器、制作用品まで加える場合 約10,000〜20,000円
一作品の材料費 約500〜2,500円
月2回、小さな作品を中心に続ける場合 年間約13,000〜30,000円
入力データにある標準初期費用1万円は、生花、花用のはさみ、輪ゴムやひも、ワイヤー、フローラルテープ、作業用の紙、簡単な収納用品などを一通りそろえる場合の目安です。
ハンギング法を試すだけなら、花、輪ゴム、ひもがあれば始められます。最初の一束のために、専用の乾燥機や高価な道具を購入する必要はありません。
一回の費用は、花をどのように用意するかで変わる
普段飾っていた花や、贈り物でもらった花束の一部を使うなら、追加の花代はほとんどかかりません。自宅で育てた花や葉を使う場合も、ひもやワイヤーなどの消耗品だけで楽しめます。
花店で材料を選ぶ場合は、使う本数や種類によって金額が変わります。最初は多種類の大きな花束を買うより、乾燥しやすい花と葉ものを少量ずつ選ぶほうが、失敗したときの負担も小さくなります。
一回400円という入力値は、すでに持っている花材を使い、ひもやワイヤーなどの消費分だけを数える場合には考えられます。ただし、毎回生花を購入するなら、実際の支出は一回800〜3,000円ほどになることもあります。
年間約13,000円という目安も、贈られた花や余った花材を活用し、小さな作品を中心に作る場合の金額です。毎月新しい花を購入し、スワッグやリースを複数作る場合は、年間2万〜6万円ほどを見ておくと余裕があります。
シリカゲル法を加える場合
花の形や色を比較的残しやすいシリカゲル法へ挑戦するなら、ドライフラワー用の乾燥剤と密閉容器が必要です。現在、ドライフラワー用シリカゲル1kgには1,300〜1,600円ほどの製品例があります。
シリカゲルは製品の説明に従い、状態がよければ再乾燥して使えるものもあります。ただし、すべての製品が同じ方法で再利用できるわけではありません。
最初から大容量を買わず、小さな花を一輪か二輪乾かせる量から試すと扱いやすくなります。使う容器も食品用へ戻さず、花材専用として分けておきましょう。
ドライフラワーをおすすめする3つの理由
1.花が変わっていく時間まで楽しめる
ドライフラワー作りでは、花を束ねた日に完成するわけではありません。
吊るしたばかりの花には、まだ生花のやわらかさがあります。数日たつと葉が少し丸まり、花びらの水分が抜け、色もゆっくり落ち着いていきます。
毎日大きく変わるわけではありませんが、数日前と見比べると、確かに違いが分かります。花を買って飾り、しおれたら片付けるだけだった時間に、「乾いていくのを待つ」という新しい過ごし方が加わります。
乾燥が進んだ花には、生花とは違う影や輪郭が生まれます。やわらかな花びらは薄く軽くなり、茎や葉には少し曲がった形が残ります。
その変化を失敗と考えず、素材の新しい表情として受け取れることが、ドライフラワーのおもしろさです。
完成を急がず、今日の状態を眺める。湿気の少ない日に束を確認し、もう少し待つ。
手を動かす時間だけでなく、何もせず待っている時間まで趣味の一部になります。
2.季節の花や思い出を、暮らしの中へもう少し残せる
花は、季節を感じやすいものの一つです。
春に出会った淡い花、夏の強い色を持つ花、秋らしい実や穂、冬の枝もの。店頭へ並ぶ花が変わるたびに、部屋の雰囲気も少し変わります。
その花を乾かすと、咲いていた季節が過ぎたあとも、しばらく手元へ残せます。記念日に受け取った花束や、暮らしの節目に飾った花の一部を小さく乾かしておく方法もあります。
ただし、ドライフラワーは時間を止めるものではありません。乾燥後も少しずつ色は変わり、花びらはもろくなっていきます。
その変化も含めて、花との時間を延ばしていくものです。
最初の鮮やかさが少しずつやわらぎ、部屋になじむ色へ変わっていく。長く残ることだけではなく、残っている間の移ろいを楽しめます。
3.乾かしたあとも、さまざまな形へ作り替えられる
ドライフラワーは、乾燥させて終わりではありません。
数本を小さく束ねればミニスワッグになり、長さを整えて花瓶へ挿せば、落ち着いた室内装飾になります。茎を短く切り、リースやカード、ボックスへ使うこともできます。
乾燥中に花びらが外れた場合も、すぐに捨てる必要はありません。状態のよいものなら、小瓶へ入れたり、紙ものの飾りへ使ったりできます。
生花の頃には一つの花束だったものを、乾燥後に分け、違う作品へ組み直す。色の合う花だけを集め、小さな束をいくつか作る。
飾る場所や季節に合わせて形を変えられることが、制作の幅を広げてくれます。
最初から大きな作品を目指さなくても、三本だけ束ねて壁へ掛けるところから始められます。少ない花でも完成させやすいことが、初めての人にも向いている理由です。
最初はハンギング法で一束だけ乾かす
ドライフラワーの作り方にはいくつかありますが、初めてなら、花を逆さに吊るすハンギング法が分かりやすいでしょう。
特別な乾燥材を使わず、花、輪ゴム、ひも、吊るす場所があれば試せます。花が変化する様子も目で確認できるため、どのくらいで乾くのかを知る最初の方法に向いています。
花が元気なうちに始める
ドライフラワーにする花は、しおれてから選ぶのではなく、まだ形が整っているうちに乾燥を始めます。
花が大きく開ききる前や、見頃を迎えた頃に乾燥へ移すと、花びらが落ちにくく、形も残しやすくなります。切り花を花瓶で楽しんだあとに作る場合も、茎が傷み、花びらが柔らかく崩れる前に取り出します。
雨や水分でぬれた花は、そのまま吊るしません。表面の水気が残っていると乾燥に時間がかかり、変色やカビにつながることがあります。
花瓶から出した花も、茎や葉の水分を拭き、傷んだ部分を取り除いてから使いましょう。
余分な葉を落とし、小さな束へ分ける
茎に葉が多く付いていると、束の内側へ湿気が残りやすくなります。作品に必要な葉を少し残し、重なりすぎる部分は取り除きます。
花をまとめるときは、一束へ詰め込みすぎません。三本から五本ほどの小さな束に分け、花同士が強く重ならないようにします。
茎は乾燥すると細くなるため、ひもだけでゆるく結ぶと抜け落ちることがあります。最初に輪ゴムでまとめ、その輪ゴムへひもを通して吊るすと、茎が縮んでもまとまりを保ちやすくなります。
光と湿気を避けて吊るす
吊るす場所は、直射日光が当たらず、風通しのよい室内を選びます。
日光が強く当たると色が変わりやすく、高湿度の場所では乾燥に時間がかかります。浴室、洗面所、調理中に蒸気が出る台所の近くは避けます。
クローゼットの中は暗くても、空気が動かず湿気がこもる場合があります。完全に閉じた場所ではなく、扉の開閉や換気で空気を入れ替えられる場所を選びましょう。
小さな束を離して吊るし、花同士が触れ続けないようにします。温風を直接当てたり、家庭用オーブンで急いで乾かしたりせず、自然に水分が抜けるのを待つ方法が基本です。
ドライフラワーにしやすい花を選ぶ
すべての花が、同じようにきれいなドライフラワーになるわけではありません。
花びらや茎に水分が多いものは乾くまでに時間がかかり、形が大きく変わることがあります。花びらが薄く、散りやすい花も、吊るしている途中で崩れやすくなります。
初めてなら、比較的水分が少なく、乾燥後も形が残りやすいものから選びます。
スターチス 小さな花が集まり、乾燥後も形を保ちやすい
千日紅 丸い花の形と色が残りやすい
ヘリクリサム 乾いたような花びらを持ち、形が崩れにくい
ノコギリソウ 小花が集まり、束へまとめやすい
穂やグラス類 乾燥しやすく、作品へ動きを加えやすい
ユーカリなどの葉もの 花の間へ入れやすく、色の変化も楽しめる
スターチス、千日紅、ヘリクリサム、ノコギリソウ、草ものなどは、自然乾燥に向く代表例として挙げられています。大きな花は一輪ずつ乾かし、バラやシャクヤクなどは乾燥すると花が縮みやすいことも知っておくと、完成形を想像しやすくなります。
バラもドライフラワーへできますが、生花のときと同じ開き方や色が残るとは限りません。花びらが内側へ縮み、赤やピンクは深い色へ変わることがあります。
変化を抑えようとするより、どのような色になるのかを含めて楽しむと、完成後の印象を受け入れやすくなります。
最初の一回では、二種類か三種類に絞りましょう。花の性質が違いすぎるものを一つの大きな束へまとめず、種類ごとに乾かすと、完成までの違いも比較できます。
最初に用意したい道具
最低限必要なもの
乾燥させる花 元気で、表面に水分の残っていないもの
清潔なはさみ 茎や葉を切れるもの
輪ゴム 乾燥して細くなる茎をまとめる
ひも 束を吊るす
ハンガーやフック 花同士を離して掛けられるもの
作業用の紙 落ちた葉や土を受ける
小さな箱や袋 外れた花びらや短い花材を保管する
最初は、家にある清潔なはさみでも始められます。太い茎や硬い枝ものを切りたくなったら、花ばさみや剪定ばさみを用意します。
食材用のはさみと共用するより、花材専用のものを一つ決めておくと、土や植物の汁を台所へ持ち込みにくくなります。
続けるなら用意したいもの
花ばさみや剪定ばさみ 硬い茎や枝ものを扱う
ドライフラワー用シリカゲル 花の形や色を残したいときに使う
密閉容器 シリカゲル法で花を乾燥させる
フローラルワイヤー 短い茎を補い、作品の形を整える
フローラルテープ ワイヤーや茎をまとめる
リース台 乾燥花を円形へ組む
柔らかい刷毛 花へたまったほこりを払う
乾燥剤入りの収納箱 余った花材を一時的に保管する
作品を作る回数が増えると、短い茎や小さな花材も使いたくなります。ワイヤーとテープがあれば、乾燥後に折れた茎を補い、花束やリースへ組み込みやすくなります。
ただし、道具を先に増やす必要はありません。最初の束を乾かし、次に作りたいものが決まってから買い足しましょう。
最初は買わなくてよいもの
専用乾燥機、大量の乾燥剤、大きなリース台、電動工具、多種類のワイヤーや装飾品は、初回には必要ありません。
乾燥後の花を保護する専用スプレーもありますが、すべての作品へ必須ではありません。使用する場合は、花材との相性、換気、乾燥時間を確認し、製品表示に従います。
まずは、自然乾燥だけでどのような色と形になるのかを確かめる。必要な道具を見極めることも、最初の制作の一部です。
最初の作品は、小さなスワッグにする
最初に作るなら、乾燥させた花を五本から八本ほど使う小さなスワッグがおすすめです。
スワッグは、花や葉を束ね、壁へ掛けて楽しむ飾りです。大きなリースのように全体を均等へ組む必要がなく、乾燥した花の形を生かしながらまとめられます。
乾燥前は種類ごとに分ける
完成時には一つの束へする花も、乾燥中は種類や大きさごとに分けます。乾く速度が異なるため、最初から強く束ねると内側へ湿気が残ることがあります。
乾燥後にすべての花を並べ、残った色と形を見ながら組み合わせます。生花のときに考えていた配置とは違うものが合うこともあります。
一番長い花材を後ろへ置く
スワッグを作るときは、茎の長い葉ものや穂を後ろへ置きます。その上へ主役にしたい花を重ね、短い小花を手前へ加えます。
すべての花を同じ高さにそろえるより、少しずつ長さを変えると、自然な奥行きが生まれます。左右を完全に対称へせず、片側へ葉や穂を少し伸ばしてもかまいません。
一度に強く握らず、机の上へ置きながら全体を見ます。壁へ掛けたときの上下を意識し、花が下を向きすぎていないかを確認します。
茎をまとめ、長さを整える
形が決まったら、茎の根元を輪ゴムやワイヤーで固定します。その上からひもやリボンを巻くと、固定部分を隠せます。
茎の下を切りそろえ、壁へ掛けるための輪を付ければ完成です。
初めからきれいな左右対称を目指す必要はありません。乾燥によって曲がった茎や、少し縮んだ花の向きを生かすと、その花だけの形になります。
一回の作業はどのように進む?
ドライフラワー作りは、乾燥前と乾燥後の二回に分けると進めやすくなります。
乾燥を始める日
花の状態を確認する 10〜15分
葉と傷んだ部分を取り除く 15〜25分
種類と大きさで分ける 10〜15分
小さな束へまとめて吊るす 15〜25分
作業場所を片付ける 10〜15分
この日は、作品の完成を目指さず、花を乾きやすい状態へ整えることを優先します。吊るした日付を小さな紙へ書いておくと、どのくらい経過したか分かりやすくなります。
乾燥後に仕立てる日
乾燥状態を確認する 10〜15分
使う花材を選ぶ 10〜20分
長さと配置を決める 20〜30分
束ねて固定する 15〜25分
飾る場所を整える 10〜15分
余った花材を片付ける 10〜15分
乾燥した花は、生花よりも折れやすくなっています。茎を無理に曲げず、持ち替える回数も少なくします。
作業時間が35分ほどしかない日は、花を整えて吊るすところまででも十分です。完成した花材を使う日も、配置だけ決め、固定や飾りつけを次回へ残せます。
形や色を残したい花にはシリカゲル法
ハンギング法では、花びらが縮み、色が深くなることがあります。花の立体的な形や、比較的鮮やかな色を残したい場合は、シリカゲル法を試せます。
密閉できる容器の底へ乾燥剤を敷き、花を置きます。花びらの間や周囲へ、形を崩さないよう少しずつシリカゲルを入れ、花全体を埋めて密閉します。
容器を振って一気に流し込むと、花びらが折れることがあります。スプーンなどを使い、花を支えるようにゆっくり入れましょう。
乾燥にかかる時間は、花の種類や厚みによって変わります。シリカゲルを使う方法では、二日から七日ほどが目安とされ、花が乾いているものの、極端にもろくなる前に取り出します。
取り出すときは、容器を急に逆さにせず、周囲のシリカゲルを少しずつ除きます。花びらの間に残った粒は、柔らかい刷毛で軽く払います。
シリカゲル法は、バラなどの立体的な花を一輪ずつ残したいときに向いています。一方で、大きな花束をまとめて乾かすには多くの乾燥剤と容器が必要です。
最初は花一輪で試し、自然乾燥との仕上がりの違いを比べると、次にどの方法を選ぶか判断しやすくなります。
飾る場所で、楽しめる期間が変わる
完成したドライフラワーは、水を入れずに飾ります。
直射日光が長く当たる窓辺では色が変わりやすく、湿気の多い場所ではカビや傷みにつながります。浴室や加湿器の近くを避け、室内の乾燥した場所を選びましょう。
エアコンや扇風機の風が直接当たり続ける場所も、花びらが外れやすくなることがあります。人がよく通る狭い場所では、衣服や荷物が触れない高さへ飾ります。
ほこりが付いたら、強く振ったり、ぬれた布で拭いたりしません。柔らかい刷毛で軽く払うか、弱い風を遠くから当てます。
色あせや葉の落下が進み、触れるたびに崩れるようになったら、入れ替えの時期です。長く持たせることだけを目標にせず、季節の変化に合わせて新しい花へ替える楽しみもあります。
余った花材は、ふたの閉まる箱へ入れ、乾燥剤と一緒に保管します。密閉保管と乾燥剤の利用は湿気対策になりますが、完全に劣化を止めるものではないため、ときどき状態を確認します。
安全に楽しむために気をつけたいこと
火気の近くへ飾らない
乾燥した植物は燃えやすいため、ろうそく、コンロ、ストーブ、暖炉、照明器具の熱が強く当たる場所から離します。ドライフラワーをキャンドルの火の近くへ飾ったり、燃焼部分へ植物を直接入れたりしません。
見た目の相性がよくても、炎と乾燥植物を組み合わせると危険です。玄関や壁面、棚の上など、火と熱源から十分に離れた場所で楽しみましょう。
カビや異臭があれば処分する
花へ白や黒の斑点が出ている、湿ったにおいがする、茎が柔らかいまま変色している場合は、無理に作品へ使いません。
カビが見える花だけを取り除いても、周囲へ広がっている可能性があります。ほかの花材と分け、状態に不安があるものは処分します。
はさみとワイヤーの先端を管理する
硬い茎を切るときは、はさみの刃へ指を近づけず、机の上で安定させて作業します。花材を持ったまま空中で切ると、茎が弾けたり、花が飛んだりすることがあります。
切ったワイヤーの先端も鋭くなります。完成品では内側へ曲げ、手や壁へ当たらないようにします。
シリカゲルは食品と分ける
ドライフラワー用のシリカゲル、スプーン、密閉容器は、料理へ使うものと分けます。粉や細かな粒を勢いよく舞い上げず、製品表示に従って扱います。
作業後は手を洗い、子どもやペットが触れない場所へ保管します。再利用や処分の方法も、購入した製品の説明を確認しましょう。
花を採る場所のルールを守る
公園、河川敷、山、道端に咲いている花を、自由に持ち帰れるとは限りません。管理者のいる場所、私有地、保護地域では、採取せずにルールを確認します。
自宅の庭や、所有者から許可を得た場所の花を使う。花店で購入する。安心して使える材料を選ぶことが、制作を気持ちよく続ける土台になります。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
ドライフラワーの上達は、鮮やかな色をそのまま残せることだけではありません。一束を乾かし、花に合う方法を選び、自分で組み合わせ、季節の作品へ育てていく。続けるほど、楽しさの中心が少しずつ変わります。
ここで紹介する五つは、技術の優劣を決めるものではありません。小さな花束を繰り返し作る人もいれば、リースや植物標本のような作品へ進む人もいます。
第1段階 花を数本、最後まで乾かす
最初は、乾燥しやすい花を数本選び、小さな束へして吊るします。葉を減らし、風通しのよい場所を選び、乾くまで待つという一連の流れを経験します。
生花の色とまったく同じでなくても、形が少し縮んでもかまいません。自分で選んだ花が、軽い乾燥花へ変わったことが最初の手応えになります。
第2段階 花に合う乾燥方法を選ぶ
何度か作ると、吊るすだけで形が残りやすい花、花びらが縮みやすい花、葉が落ちやすいものなど、違いが見えてきます。
束の本数を減らす、葉を多めに落とす、大きな花は一輪ずつ吊るす。立体的に残したい花にはシリカゲルを使う。
花の性質に合わせて方法を変えられるようになると、完成を偶然へ任せる部分が少しずつ減っていきます。
第3段階 色と形を組み合わせて作品にする
乾燥が安定したら、完成した花材を使って、ミニスワッグ、花瓶飾り、リースなどを作ります。
主役の花、長さを出す葉もの、隙間を埋める小花を選び、全体の色を整えます。鮮やかな色を多く使うだけでなく、生成り、茶、くすんだ緑など、乾燥後の落ち着いた色を生かす楽しさも見えてきます。
同じ花材でも、短く切って小さくまとめるのか、茎の長さを残すのかによって印象は変わります。飾る部屋や贈る相手を思い浮かべながら形を選べます。
第4段階 季節やテーマを作品群へ広げる
さらに続けると、一回ごとの花束だけでなく、季節や色をテーマにしたくなります。
春の淡い花、夏の草や穂、秋の実もの、冬の枝もの。毎年同じ季節に花を乾かし、前年との違いを比べることもできます。
庭で育てた植物を少しずつ乾燥させ、リースへまとめる。旅行先で購入した花を小さな作品へする。色を一つに絞ったスワッグをいくつか並べる。
花を乾かす技法と、自分が残したい季節や景色が結びつく段階です。
第5段階 作品を共有し、販売や教えることへ広げる
作品が増えると、写真へ残したり、家族や友人へ贈ったり、地域の作品展や手作りの集まりへ参加したりする楽しみが生まれます。
販売する場合は、花材費だけでなく、乾燥中に失敗する花、制作時間、包装、送料、壊れやすさまで考える必要があります。ドライフラワーは輸送中に花びらが落ちやすいため、梱包方法と購入者への説明も大切です。
ワークショップや初心者への案内へ広げるなら、花の扱い方だけでなく、はさみ、ワイヤー、乾燥剤、火気に関する注意も伝えます。
最初から販売や指導を急ぐ必要はありません。自分が心地よく作れる量を知り、季節ごとに花を乾かす時間を楽しめることが、長く続けるための土台になります。
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フラワーアレンジメント
フラワーアレンジメントでは、生花の色、香り、みずみずしさを生かしながら、器の中へ花を配置します。生花の状態で形を整える経験があると、ドライフラワーにしたときの変化も想像しやすくなり、どの花を残すか選ぶ楽しみが広がります。
押し花
押し花は、花を平らに乾燥させ、カード、しおり、額装などへ使う趣味です。立体的な形を残すドライフラワーとは仕上がりが異なるため、薄い花びらや小さな葉を別の方法で残したいときに向いています。
同じ花を一部は吊るし、一部は押し花にすると、乾燥方法による色や形の違いも比べられます。
花の写真
花の写真は、乾燥前のみずみずしい姿や、季節の光の中で咲く様子を残せる趣味です。花を吊るす前に撮影し、完成したドライフラワーと並べて記録すると、一つの花が変化していく過程まで楽しめます。
花が乾くまでの時間も、暮らしの一部になる
ドライフラワーは、花の美しさをそのまま止めるものではありません。花びらが縮み、色が深まり、少しずつ軽くなっていく変化を受け入れながら、新しい姿を楽しむものです。
最初の一束は、思っていた色にならないかもしれません。乾燥中に花びらが落ちたり、茎が曲がったりすることもあります。
それでも、吊るした日の花と、数週間後の花は確かにつながっています。
初めてなら、スターチスや千日紅などを数本選び、小さな束へしてみてください。花同士を詰め込みすぎず、直射日光と湿気を避けられる場所へ吊るします。
乾燥を待つ間は、毎日手を加える必要はありません。部屋を通るときに少し眺め、前より軽くなったことや、色の変化に気づくだけでも十分です。
乾いた花を手に取り、三本か五本をまとめて壁へ掛ける。その小さな飾りが完成したとき、花を買った日から続いていた時間も、暮らしの中へ一緒に残ります。
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