バルーンアートの楽しみ方
細長い風船へ空気を入れ、先端に少しだけ柔らかな部分を残す。
両手で同じ長さを測るようにつまみ、きゅっとひねる。最初はただの一本だった風船に、小さな丸が二つ、三つと並び、耳や足のような形が見え始めます。
「ひねった瞬間に割れてしまわないだろうか」
「手先が器用でなくても、形にできるのかな」
「一度ねじったら、もう直せないのだろうか」
バルーンアートは、細長い風船を膨らませ、いくつかの部分に分けながら動物や花、帽子、飾りなどを作る趣味です。風船の長さを測り、ひねる順番を覚えるだけで、一本の素材が立体へ変わっていきます。
最初から複雑な作品を作る必要はありません。
丸い部分を三つ作る。
二つを合わせてひねる。
最後に形を少し整える。
その短い工程だけでも、風船は犬や剣のような形になります。今回は、自宅で月2回ほどバルーンアートに取り組む場合を中心に、費用、作業場所、最初の風船の選び方、一日の流れ、安全面、続けるほど広がる楽しみ方を紹介します。
バルーンアートの基本情報
一回の標準実施時間 約110分
短く楽しむ場合 約35分
準備と片付けを含む総所要時間 約130分
想定頻度 月2回程度
主な場所 自宅の机、リビング、個人の制作スペース
一人での実施 手順を確認しながら取り組みやすい
複数人での実施 作品を交換したり、同じ形を一緒に作ったりできる
施設への依存 ほとんどない
天候の影響 屋内ではほとんど受けない
110分ほどの日は、風船の膨らませ方と結び方を確認し、基本作品を二、三種類作れます。ひねる練習、途中の作り直し、完成作品の撮影や片付けも含めた時間です。
35分だけ楽しむ日は、犬や剣、花の一部分など、少ない工程で完成するものを一つ選びます。同じ作品を二個作り、最初と二個目の形を比べるだけでも、手の力や長さのそろえ方が変わったことに気づけます。
完成した作品は、空気が少しずつ抜けたり、表面のつやが変わったりします。長く保存することより、その日に作り、飾り、写真へ残す時間を含めて楽しむ趣味です。
バルーンアートにかかる費用
手持ち品を活用する初期費用 0円〜数千円程度
標準的な初期費用 約10,000円
道具や色を広くそろえる場合 最大約60,000円
一回の費用 0円〜約2,500円
標準的な一回の費用 約400円
年間費用 約13,000円
標準的な初期費用には、細長いツイスト用バルーン、ハンドポンプ、油性マーカー、作品や未使用の風船を保管する袋や箱などを含めています。すでに収納用品を持っている場合は、風船とポンプだけで始められます。
一回約400円は、練習中に使う風船や、破裂して使えなくなった分を含めた目安です。実際には、少量だけ練習する日は数本で済み、大きな作品や複数の色を使う日は消費量が増えます。
年間約13,000円は、月2回、年間24回ほど自宅で制作し、よく使う色を補充する想定です。作品を誰かへ贈る、行事の装飾を作る、大型作品へ挑戦するといった楽しみ方では、使用する本数に合わせて材料費が増えます。
初回から何十色もの風船をそろえる必要はありません。三色から五色ほどの組み合わせと、扱いやすいポンプを用意し、同じ形を何度か作る方が、材料を余らせずに楽しめます。
3つのおすすめ
1.一本の風船から、形が立ち上がる瞬間を見られる
膨らませたばかりの風船は、長い一本の線のように見えます。
そこへ小さな丸を一つ作り、同じ大きさの丸をもう一つ作る。二つを合わせてひねると、先ほどまでなかった耳や足が現れます。
まだ目も模様も付けていないのに、少し離して見ると動物らしく見える。
その変化は、紙を切って貼る手仕事とも、粘土から形を作る手仕事とも違います。細い素材の中へ空気を閉じ込め、長さを分けることで、立体を組み立てていくからです。
最初の犬では、耳の大きさが左右で違ったり、胴体が少し長くなったりするかもしれません。それでも、顔、首、前足、胴体、後ろ足という順番がつながれば、一本だった風船はきちんと動物になります。
最後のひねりを終え、手を離しても形が崩れずに立っている。その瞬間には、小さな工作を一つ完成させたような手応えがあります。
2.同じひねり方でも、長さによって表情が変わる
基本の犬を作るとき、耳を長くすると、うさぎのような印象に近づきます。首を長くし、足を短くすれば、最初に考えていたものとは違う動物に見えることもあります。
同じ手順を使っていても、各部分へどのくらいの長さを使うかによって、全体のバランスは変わります。
丸を一つ分だけ長くする。
左右の耳を少し小さくする。
胴体へ使う長さを残す。
風船の先端にどのくらい空気を入れずに残すかも、作りやすさへ関わります。最後まで空気を入れすぎると、ひねる余裕が少なくなり、作品の途中で張りが強くなります。
一度目は説明どおりに作り、二度目は耳や胴体の長さを少し変えてみる。並べて見ると、同じ作品でも一体ずつ違う表情を持っていることが分かります。
寸法を完全にそろえることだけでなく、少しの違いを個性として受け取れるところも、バルーンアートらしい楽しさです。
3.作った瞬間から、誰かとの時間へつながる
完成したバルーンアートは、机へ飾るだけでなく、その場で誰かへ手渡せます。
好きな色を聞いて花を作る。
家族の誕生日に小さな動物を添える。
季節の行事に合わせて、かぼちゃや雪だるまを並べる。
作っている途中から、受け取る人の反応を思い浮かべられます。
作品が長期間残らないことは、少し寂しく感じるかもしれません。けれど、形があるうちに飾り、写真を撮り、その日の記憶として残すところに、風船ならではの軽やかさがあります。
同じ犬を何個も作って、色違いで並べる。簡単な花を一つずつ作り、家族や友人へ選んでもらう。作品そのものだけでなく、選ぶことや渡すことまで含めて楽しめます。
複雑な作品を作れるようにならなくても、短い時間で小さな贈り物を作れることが、バルーンアートの大きな広がりです。
最初の作業場所では、広さと尖った物を確認する
バルーンアートは机一つでも始められますが、膨らませた風船を動かすため、身体の周囲にも少し余裕が必要です。照明、家具の角、観葉植物の枝、アクセサリーなど、風船へ触れそうな物を遠ざけます。
作業の広さ 腕を横へ伸ばし、風船を回しても周囲へ当たらないか
机の状態 画びょう、木片、鋭い文房具などが残っていないか
床 割れた風船の破片をすぐ見つけられるか
室温 直射日光や暖房の熱が風船へ直接当たらないか
周囲の人 破裂音に驚きやすい人や動物が近くにいないか
保管場所 未使用の風船を光、高温、湿気から離して置けるか
テレビや音楽を流しながら作ることはできますが、最初は説明の順番を見失いやすいため、手順を一つずつ確認できる静かな環境が向いています。
子どもやペットがいる家庭では、作業する区域を分けます。膨らませていない風船や破裂した破片を床へ置いたままにせず、その都度数を確認して片付けます。
最初の風船は、色数よりひねりやすさで選ぶ
バルーンアートには、細長い形のツイスト用バルーンを使います。一般的な丸い風船でも飾りは作れますが、動物や花をひねって作るなら、用途が明示された製品を選びます。
最初は、太さと長さがそろった基本的な風船を少量購入します。多くの色が入った大袋より、破裂したときにすぐ次を使える程度の本数と、好きな色が数種類入ったものが扱いやすいでしょう。
風船と一緒に、対応するハンドポンプを用意します。口で膨らませようとすると力が必要になり、風船と顔の距離も近くなります。ポンプなら空気量を調整しやすく、繰り返し練習するときも負担を減らせます。
最初から空気を端まで入れず、作る作品に合わせて先端へ柔らかな部分を残します。空気を入れすぎたときは、無理にひねり始めず、少し抜いてから結びます。
色選びでは、動物だから茶色、花だから赤と決める必要はありません。青い犬、黄色いねこ、白と緑の花など、作りたい気分で組み合わせられることも、風船を使う手仕事の楽しさです。
初めての一日は、一本の犬を完成させる
初回の目標は、難しい作品をいくつも作ることではありません。一本の風船を使い、基本的な犬を一体完成させます。
1.作業場所と材料を整える
尖った物を片付け、ポンプ、風船、完成見本を手の届く場所へ置きます。破裂した風船を入れる小さな袋も用意します。
2.風船を少し伸ばし、ポンプで膨らませる
製品の説明に従い、先端までいっぱいにせず、ひねるための余裕を残します。膨らませたら空気が抜けないように結びます。
3.小さな丸を三つ作る
結び目側から、顔と二つの耳になる部分を順番につまみます。一本ずつ手を離さず、同じ方向へ数回ひねります。
4.耳になる二つを合わせる
二つの丸を折り合わせ、まとめてひねります。ここで最初の動物らしい顔が現れます。
5.首と前足を作る
首にする部分を一つ取り、その次に同じ長さの丸を二つ作ります。二つを合わせてひねると、前足になります。
6.胴体と後ろ足を作る
胴体の長さを残し、その後ろへ前足と同じように二つの丸を作ります。最後に尾の向きを整えます。
7.一度置いて全体を見る
耳、首、足の向きを少しずつ動かします。左右が完全にそろっていなくても、自立し、犬の形に見えたところで完成とします。
最初の一本が途中で割れた場合は、すぐに同じ場所から続けようとせず、破片をすべて集め、手を休めます。次の風船では空気を少し減らし、力を入れすぎずに試します。
最初に必要なもの
最低限必要なもの
ツイスト用バルーン、対応するハンドポンプ、破片を入れる袋、安全に腕を動かせる場所を用意します。最初は一種類の風船とポンプだけでも、基本の犬や剣を作れます。
あると便利なもの
目や模様を描くためのマーカー、長さを確かめる定規、完成作品を撮影するスマートフォン、色別に材料を分ける袋があると便利です。マーカーは風船に対応するものを選び、乾くまで触れないようにします。
続けるなら用意したいもの
複数色のツイスト用バルーン、丸い風船、小型のはさみ、作品例を記録するノート、材料を光から守る収納箱を検討します。大型作品を作る場合は、より効率よく空気を入れられるポンプも候補になります。
後回しにできるもの
何十色もの材料、大型の電動ポンプ、専用ディスプレー、接着用品、装飾用の大量のリボンなどは、作りたい作品が決まってからで構いません。最初は、一本の風船だけで形を作る感覚を覚えます。
安全に楽しむために
風船は突然破裂することがあります。顔や耳の近くでひねらず、膨らませるときもノズルと風船を人へ向けないようにします。強く張った部分を爪で押さえ込まず、指の腹で支えます。
膨らませていない風船や破裂した破片は、小さな子どもにとって窒息につながる危険があります。米国消費者製品安全委員会は、8歳未満の子どもを特にラテックス風船から遠ざけ、膨らませていない風船や破片を残さないよう注意を促しています。子どもと一緒に作る場合は大人が空気を入れ、破裂したらすぐにすべての破片を回収します。
ペットも破片を口へ入れる可能性があるため、作業中は別の場所で過ごしてもらい、床を確認してから戻します。完成作品も、かじったり爪を立てたりできない位置へ置きます。
ツイスト用バルーンには、天然ゴムラテックスを使用した製品があります。天然ゴムラテックスにアレルギーがある人は接触を避け、素材表示を確認して非ラテックス製品を選びます。触れたあとに、かゆみ、じんましん、目や鼻の症状などが現れた場合は使用を中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
未使用の風船は、直射日光や高温になる場所を避けて保管します。作業を長く続けると指、手首、肩へ力が入りやすいため、三十分ほどで手を開き、肩を動かして休みます。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
1.一本の風船を最後まで形にする
最初は犬や剣など、少ないひねりで完成する作品を作ります。大きさがそろわなくても、一本を最後まで使い切ることで基本の流れを覚えられます。
2.同じ作品をもう一度作る
耳、足、胴体の長さを意識し、同じ犬を二体作ります。前回と近い形を作れるようになると、指の位置とひねる順番が少しずつ安定します。
3.長さや色を自分で変える
耳を長くする、胴体を短くする、二色を組み合わせるなど、基本形へ自分の選択を加えます。手順を守るだけだった制作から、どんな形に見せたいかを考える制作へ変わります。
4.複数の風船を組み合わせる
花束、帽子、少し大きな動物など、二本以上の風船をつなぎます。どの部分から作り、どの順番で合わせるかを考える時間も増えてきます。
5.飾る場所や渡す人に合わせて作る
誕生日の小さな飾り、季節の作品、家族への贈り物など、使う場面から形と色を考えます。人前で実演したり販売したりしなくても、毎年同じ行事に一つ作り、写真へ残していくこともバルーンアートらしい続け方です。
五つの楽しみ方は、上達の順位ではありません。犬を何度も作る、一色だけを使う、しばらく休んでまた一本から始めるなど、好きな形へ戻りながら続けられます。
あわせて楽しみたい関連する趣味
フラワーアレンジメント
フラワーアレンジメントでは、花や葉の高さ、向き、色を組み合わせ、飾る場所に合う形を作ります。バルーンで花束や装飾を作ることが楽しくなった人なら、今度は本物の植物が持つ線や季節の色を生かす時間へ広げられます。
応援うちわ作り
応援うちわ作りは、文字、色紙、装飾材を組み合わせ、遠くからも見やすい一枚を作る趣味です。バルーンアートと一緒に使えば、誕生日、応援、行事などの飾りを自分の色でまとめられます。
紙飛行機
紙飛行機は、一枚の紙を折り、翼や重心を調整して飛ばす趣味です。一本の風船が立体へ変わる過程が好きな人なら、身近な一枚の紙から形を作り、少しの調整で結果が変わる面白さも楽しめます。
最後のひねりで、一本の風船に表情が生まれる
最初の犬は、左右の耳が違っているかもしれません。
首が長くなったり、後ろ足が少し小さくなったりすることもあります。それでも、机の上へ置いたときに四本の足で立ち、顔のような向きが見えれば、一本だった風船はもう小さな動物です。
最初の一歩は、好きな色の風船を一本選び、ポンプでゆっくり空気を入れることです。
先端へ少し柔らかな部分を残す。
同じくらいの丸を二つ作る。
その二つを合わせて、少しだけ勇気を出してひねってみる。
割れずに形が留まり、二つの丸が耳のように開いたとき、手の中にあった一本の風船は、休日の机へ置ける小さな作品に変わっています。
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