ポスターデザインの楽しみ方
はじめに
白い画面の中央へ、短い言葉を一つ置く。その下に日付を小さく添え、余白へ写真を入れてみると、ばらばらだった情報が少しずつ一枚の案内へ変わっていきます。
ポスターデザインというと、絵や文字を美しく配置できる人のための専門的な作業に見えるかもしれません。「絵が描けないと難しいのでは」「高価なソフトが必要なのでは」「おしゃれにしようとすると、何を置けばよいか分からなくなりそう」と感じる人もいるでしょう。
けれど、ポスターの中心にあるのは、装飾の多さではありません。誰に何を知らせたいのかを決め、題名、日時、場所、写真などの情報へ順番をつけ、一目で伝わる形に整えることです。
最初は、実在する催しの宣伝を引き受けなくてもかまいません。「秋の小さな読書会」「休日の朝市」「架空の映画上映会」など、自分で考えた題材を使えば、内容を自由に変えながら練習できます。手持ちのスマートフォンやパソコン、紙とペンがあれば、次の休日から一枚目を作れます。
ポスターデザインとは
ポスターは、限られた一枚の中で、人の目を止め、必要な情報を伝え、次の行動へつなげるための媒体です。催しの告知、作品展の案内、店舗の掲示、地域活動のお知らせ、啓発、商品やサービスの紹介など、さまざまな目的に使われます。
小説や説明文は、一般的に上から順番に読み進めます。ポスターは、少し離れた場所から一瞬だけ見られ、興味を持った人が近づいて詳細を読むものです。そのため、すべての情報を同じ大きさで並べるのではなく、最初に見えるもの、次に読んでほしいもの、最後に確認するものを分けます。
絵や写真が主役になるポスターもあれば、大きな文字と余白だけで構成されるものもあります。使う要素の種類ではなく、内容に合った順序がつくられているかどうかが、デザインの土台になります。
趣味として取り組む場合は、架空の催し、好きな季節、読んだ本、自分で撮った写真などを題材にできます。同じ内容を三つの配色で作る、縦長と横長で作り分ける、文字だけで構成するといった練習もでき、一つの題材を繰り返し使えます。
ポスターデザインの基本情報
主な楽しみ方 架空の催しや身近なテーマを決め、文字、写真、図形、余白を一枚へ配置する
おすすめの頻度 月2回ほど。構想と制作を別の日に分けてもよい
一回の制作時間 約60〜110分
短時間で楽しむ場合 約35分から
準備と書き出しを含む時間 約80〜130分
主な場所 自宅の机、パソコンやタブレットを使える個人作業環境
最初に作りやすい大きさ A4縦位置
最初に向いている題材 読書会、作品展、季節の催し、架空の喫茶店、自分の写真を紹介する展示
主な制作方法 紙とペンによる手描き、スマートフォンやパソコンによるデジタル制作、両方を組み合わせる方法
一枚を完成させるまで、画面へ向かい続ける必要はありません。最初の休日に題材と情報を整理し、次の休日に配置と色を決めるなど、工程を分けて進められます。
短時間の日は、三つの小さな下書きを描く、書体だけを比べる、配色を三案作るといった取り組み方もできます。完成品だけでなく、選択肢を作って見比べる時間そのものが、ポスターデザインの練習になります。
ポスターデザインにかかる費用
ポスターデザインは、すでに持っている道具を使えば、ほとんど費用をかけずに始められます。費用が発生しやすいのは、有料ソフト、写真や書体などの素材、印刷、紙、展示用の加工です。
手描きで始める場合
紙、鉛筆、消しゴム、定規、黒いペンがあれば、文字と図形を中心にしたポスターを作れます。手持ちの文房具を使うなら初期費用は0円で、色紙やマーカーを加えても1,000〜4,000円ほどから始められます。
最初から大判用紙へ直接描くより、A4用紙で小さく完成させるほうが扱いやすいでしょう。仕上がったものを拡大コピーしたり、スマートフォンで撮影してデジタルへ取り込んだりすることもできます。
カッターマット、金属定規、デザインナイフ、スプレーのりなどは、紙を切り貼りする方法へ進んでから用意します。文字と色面だけで作る一枚目には必要ありません。
無料のデジタルツールを使う場合
手持ちのスマートフォン、タブレット、パソコンがあれば、無料のオンラインツールや端末に入っている文書作成・描画機能でも始められます。テンプレートを選び、文字、色、写真を差し替える方法なら、操作を一から覚えなくても一枚を完成させやすくなります。
無料で使える範囲と、有料素材として表示される範囲はサービスごとに異なります。編集中に気づかず有料素材を使ってしまうこともあるため、写真、イラスト、書体、テンプレートの表示を確認します。
趣味として最初の数枚を作る段階では、専用の高性能なパソコンは必要ありません。手持ちの機器でA4サイズの一枚を作り、動作や画面の広さに不便を感じてから環境を考えます。
プロ向けソフトを利用する場合
印刷物を細かく調整できるプロ向けのデザインソフトには、月額3,000円台から利用できるプランがあります。文字の配置、図形、写真、印刷用データを細かく管理しやすい一方、継続利用では年間数万円の費用になります。
最初から契約しなくても、無料体験や無料ツールでポスターを数枚作り、もっと細かな調整をしたくなってから選べます。契約する場合は、月単位で解約できるか、年間契約か、途中解約の条件はどうなっているかを確認します。
印刷にかかる費用
自宅のプリンターでA4用紙へ出力する場合は、紙とインク代が一枚数十円から数百円ほどかかります。色の多いデザインや濃い背景では、インクの消費量が増えます。
コンビニの普通紙プリントでは、A3カラーが一枚80〜100円ほどです。まずA4で試し、文字の大きさや色を直してからA3へ広げると、印刷のやり直しを減らせます。
印刷会社へ注文する場合は、用紙、枚数、片面・両面、納期、加工によって金額が変わります。一枚だけの大判出力と、同じポスターを数十枚印刷する場合では料金の考え方が異なるため、必要な枚数が決まってから見積もります。
年間費用の目安
無料ツールと手持ちの機器を使い、月2回ほど制作するなら、年間1,000〜10,000円ほどでも続けられます。主な費用は、試し刷り、用紙、少量の有料素材です。
有料のデザインソフトを一年利用し、作品を定期的に印刷する場合は、年間4万〜8万円ほどが一つの目安になります。写真素材の契約、専門的なフォント、大判印刷、展示用のパネル加工を加えると、さらに費用が広がります。
節約するときは、素材を無料にすることだけでなく、一枚に使う写真、書体、色を絞ることが役立ちます。要素が少ないほど、購入する素材だけでなく、制作と修正にかかる時間も抑えられます。
ポスターデザインをおすすめする3つの理由
1.伝えたいことへ順番をつけられる
ポスターを作るときは、題名、日時、場所、説明、連絡先などを、一度すべて書き出します。その中から、離れた場所でも見えてほしい情報と、近づいてから読めればよい情報を分けます。
たとえば読書会のポスターなら、最初に「読書会」という催しの種類を見せるのか、「夜の図書室」という名前を印象づけるのかで、最も大きくする言葉が変わります。すべてを強調するのではなく、一つを選ぶことで一枚の方向が決まります。
情報を削る作業もデザインの一部です。詳しい説明を別の案内へ移し、ポスターには日時と場所だけを残すなど、伝える場面に合わせて内容を整理できます。
2.文字そのものを形として楽しめる
文字には、内容を読ませる役割だけでなく、画面の雰囲気を作る役割があります。太い文字を大きく置けば力強く見え、細い文字を広い余白の中へ置けば、静かな印象になります。
文字を斜めにする、縦に並べる、一部分だけ色を変えるといった方法もあります。ただし、変化を増やすほど読みやすさが下がることもあります。読める状態を保ちながら、言葉に合う形を探すところが面白さです。
同じ文章でも、書体、字間、行間、文字の大きさによって見え方は変わります。絵を描かなくても、文字だけで一枚の画面を組み立てられます。
3.同じ題材から、いくつもの答えを作れる
赤い背景に白い文字を置く案と、白い背景に小さな写真を置く案では、同じ催しでも受ける印象が変わります。どちらか一つだけが正しいわけではなく、誰へ、どこで、何を伝えるかによって選択が変わります。
一枚を作り終えたあと、写真を外して文字だけにする、色を二色へ減らす、横位置へ組み直すなど、別案を作ることもできます。題材を毎回探さなくても、一つの内容から複数の作品へ広げられます。
自分の好みも、比較することで見えてきます。余白の多いものに引かれるのか、写真を大きく見せたいのか、強い色を使いたいのか。作品を重ねるほど、選びやすい方向が少しずつ育ちます。
最初に「誰へ、何を伝えるか」を決める
画面を開いてすぐに色や書体を選ぶと、途中で何を目立たせたいのか分からなくなりやすいものです。最初に、ポスターの目的を一文で書きます。
たとえば、
「近所の人へ、休日の小さな読書会を知らせる」
「写真が好きな人へ、架空の風景写真展を案内する」
「家族へ、週末の予定を楽しく伝える」
というように、見る人と行動を入れます。
次に、その人がポスターを見たあと、何をしてほしいのかを決めます。開催日時を覚えてほしいのか、申し込みページを開いてほしいのか、作品の雰囲気を知ってほしいのかによって、必要な情報が変わります。
練習用の架空ポスターでも、実在しない催しであることが分かるようにします。完成品を公開するときは「自主制作」「架空企画」などと添え、実際に開催される催しと誤解されない形にします。
情報を三段階に分ける
ポスターへ載せる情報を書き出したら、三つの段階へ分けます。
最初に見せる情報 催しの名前、主題、中心となる短い言葉
次に読ませる情報 日付、場所、内容を伝える一文
近づいて確認する情報 時間、料金、申し込み方法、連絡先、注意事項
最初に見せる情報は、一つか二つに絞ります。題名、日付、場所、説明をすべて同じ大きさにすると、どこから読めばよいか分からなくなります。
文字の大きさだけでなく、位置、色、周囲の余白でも強さを変えられます。小さな文字でも、広い余白の中央へ単独で置けば目に入りやすくなります。
最初に必要な道具
デジタルで作る場合
スマートフォン、タブレット、パソコンのいずれか
デザインや文書作成に使えるアプリ
題材となる短い文章
自分で撮った写真、または利用条件を確認した素材
下書き用の紙と鉛筆
試し刷り用の普通紙
デジタル制作でも、最初の配置は紙へ描くと考えやすくなります。A4用紙を小さく四分割し、文字と写真を四角で置くだけなら、数分で複数案を比べられます。
手描きで作る場合
A4程度の紙
鉛筆と消しゴム
黒いペンまたはマーカー
定規
色鉛筆、マーカー、絵具のうち一種類
下敷きまたは作業用マット
切り貼りをする場合は、色紙、古紙、写真の複製、はさみ、のりを加えます。大切な写真、借りた印刷物、一枚しかない資料へ直接刃や接着剤を入れず、必要なら複製を使います。
最初は買わなくてよいもの
高性能なパソコン
大型の液晶タブレット
有料素材の定額契約
大量のフォント
専用の写真撮影機材
大型プリンター
裁断機
最初の目的は、道具をそろえることではなく、一枚の情報を最後まで整理することです。手持ちの環境で数枚作ると、本当に必要な機能が分かってきます。
最初は架空の読書会ポスターを作る
初回は、A4縦位置の架空ポスターを一枚作ります。内容が複雑にならないよう、掲載する情報を次の程度に絞ります。
題名 夜の小さな読書会
日付 10月18日
時間 18時30分から
場所 架空のよりみち図書室
説明 好きな一冊を持ち寄り、静かに紹介する夜
参加方法 予約不要
これは練習用の架空企画です
1.小さな配置案を三つ描く
A4用紙へ、名刺ほどの長方形を三つ描きます。最初の案は題名を上、写真を下へ置きます。二つ目は写真を全面に使い、文字を中央へ置きます。三つ目は写真を使わず、文字だけで構成します。
細かな文章はまだ書かず、題名を太い線、写真を四角、詳細を細い線で表します。小さな下書きでは、全体の重さと余白だけを見ます。
2.主役を一つ決める
読書会という内容を分かりやすくしたいなら、題名を最も大きくします。静かな夜の雰囲気を見せたいなら、暗い窓辺の写真や余白を主役にできます。
題名と写真を同じ強さにしないことが大切です。どちらを最初に見せるかを決め、もう一方は少し控えます。
3.使う色を三色以内にする
最初は、背景、文字、差し色の三つへ分けます。白い背景、黒い文字、深い青の差し色というように、役割を決めます。
色を増やす場合も、同じ色の明るさ違いから試します。赤、青、黄、緑をすべて強く使うより、一つの色を濃淡で使ったほうがまとまりやすくなります。
4.書体は一種類か二種類に絞る
題名と本文を一つの書体で作り、太さと大きさだけを変える方法が分かりやすい入口です。別の書体を加える場合も、題名用と詳細用の二種類までにします。
装飾の強い書体は、長い文章に使うと読みにくくなります。題名の数文字だけに使い、日時や場所は形の簡潔な文字で整えます。
5.写真や図形を一つ置く
自分で撮った本や窓辺の写真を使うなら、画面全体へ入れる前に、必要な部分だけを切り取ります。本そのものを見せたいのか、夜の光を見せたいのかを決めます。
写真がなくても、長方形、円、線を使って構成できます。題名の下へ一本の線を置く、日付を円で囲むなど、情報を区切る役割として図形を使います。
6.一度すべてを小さく見る
制作画面を縮小し、はがきほどの大きさで見ます。題名が読めるか、日付が見つかるか、どこから読めばよいか分かるかを確認します。
細部へ集中していると、文字を増やしすぎたり、写真を大きくしすぎたりします。小さく見ることで、一枚全体の順番へ戻れます。
7.A4で一枚印刷する
完成したら、画面だけで終わらせず、普通紙へ一度出力します。紙で見ると、画面では十分に見えた文字が小さかったり、薄い色がほとんど見えなかったりします。
壁へ貼り、二、三歩離れて題名を確認します。近づいて日付と場所を読み、誤字や抜けがないかを見ます。直す場所を鉛筆で紙へ書き込み、データへ戻って修正します。
35分で一枚の案を作る
短時間の日は、完成品ではなく一案を作ります。
最初の5分で、題材と見る人を一文にします。次の5分で、必要な情報を三段階へ分けます。
続く10分で、小さな配置案を三つ描きます。その中から一つを選び、10分で文字と図形を仮置きします。
最後の5分で画面を縮小し、最初に目へ入るものを確認します。色や細部を仕上げなくても、次回に続けられる土台が残ります。
110分で一枚を仕上げる
まとまった時間がある日は、最初の15分で題材と情報を整理します。次の15分で三つの配置案を作り、一つを選びます。
30分ほどかけて文字、写真、図形を配置し、一度席を離れます。その後の20分で色、字間、余白を整えます。
残りの時間で試し刷りを行い、誤字、読みやすさ、写真の明るさを直します。最後に、元データ、印刷用データ、確認用画像を分けて保存します。
時間が足りない場合は、装飾を増やすのではなく、文字と写真の位置を確定させたところで止めます。仕上げを次回へ回しても、一枚の方向が決まっていれば続きを始めやすくなります。
文字を読みやすく整える
大きさに差をつける
題名、日付、説明文の大きさへ明確な差をつけます。題名が40、日付が36、説明が32というような小さな差では、すべてが同じ強さに見えます。
題名を大きく、日付を中くらい、説明を小さくするなど、遠目でも違いが分かる程度に変えます。小さな文字を使うときは、周囲に余白を残します。
行を長くしすぎない
説明文を紙の端から端まで一行で置くと、目が次の行を見つけにくくなります。短い行へ分け、意味の区切りで改行します。
ただし、一文を一語ずつ細かく改行すると、読み順が不自然になります。声に出して読み、息を区切る場所を目安にします。
文字の周囲を空ける
題名のすぐ横へ写真、線、日付を詰め込むと、文字の輪郭が見えにくくなります。題名を目立たせたいときほど、周囲へ何も置かない範囲を作ります。
余白は、空いてしまった場所ではありません。情報同士を分け、見る人の目を休ませるための要素です。
強調方法を重ねすぎない
大きくする、太くする、赤くする、囲む、影を付けるという強調を一つの文字へすべて使うと、かえって読みづらくなります。題名は大きさ、日付は色というように、役割を分けます。
目立たせたい情報が多い場合は、本当に同じ強さが必要かを見直します。注意事項まで題名と同じ大きさにすると、全体の順番がなくなります。
色は雰囲気だけでなく、情報を分けるために使う
色を選ぶ前に、背景色、基本の文字色、強調色の役割を決めます。背景が白なら、本文は黒や濃い灰色にし、日付や短い言葉だけへ強調色を使えます。
淡い色同士を重ねると、画面では美しく見えても、印刷すると文字が読みにくくなることがあります。特に小さな文字は、背景との明るさの差を大きくします。
赤と緑など、色の違いだけで重要な情報を分ける方法も避けます。「受付終了」を赤くするだけでなく、枠や記号、位置も変えれば、色の見え方が異なる人にも伝わりやすくなります。
写真から色を取る方法もあります。写真の中にある青や茶を一色選び、日付や線へ使うと、画像と文字がなじみやすくなります。
写真とイラストは、飾りではなく役割を決める
写真を置くときは、何を伝えるための写真なのかを考えます。会場の雰囲気を見せる、作品の内容を伝える、人物の存在を感じてもらうなど、目的によって選ぶ一枚が変わります。
画質がよい写真でも、ポスターの内容と関係が薄ければ、見る人を迷わせます。反対に、少し素朴でも自分で撮った題材に合う写真は、一枚全体の方向を支えてくれます。
人物写真を使う場合は、本人の了解を確認します。子ども、住宅、車の番号、名札など、公開したくない情報が写っていないかも見直します。
イラストを自分で描く場合は、絵の上手さより、文字と一緒に置いたときの大きさを確かめます。細かな絵を描いても、ポスターを遠くから見る場面では形がつぶれることがあります。
写真・イラスト・書体の権利を確認する
インターネットで見つけた写真やイラストは、表示できるからといって自由にポスターへ使えるわけではありません。個人の練習として端末内に置く場合と、SNSへ公開する場合、印刷して配布する場合、販売に使う場合では扱いが異なります。
公開する作品には、自分で撮影・制作したものか、利用条件を確認できる素材を使います。「無料」と表示された素材でも、商用利用、加工、作者名の表示、印刷数、商品への使用などに条件が付く場合があります。
模写やファンアートも、練習することと、完成物を公開・配布することを分けて考えます。権利者が利用ガイドラインを公開している場合は、その範囲を確認します。
書体にも利用条件があります。無料で入手できるフォントにもライセンスがあり、印刷物へ使えるか、商用利用できるか、データへ埋め込めるかは書体ごとに異なります。入手元と利用条件が分からない書体を、公開ポスターへ使わないようにします。
仕事や団体活動のポスターを作る場合は、ロゴ、名称、写真、地図、協賛表記などの使用許可も確認します。依頼者から渡された素材であっても、どこまで利用できるかを最初に共有しておくと安心です。
本物のポスターを参考にするとき
街や施設で気になったポスターを見つけたら、写真を撮る前に撮影可能な場所かを確認します。作品そのものを複製して使うのではなく、なぜ目に止まったかを言葉にします。
「題名が画面の半分を使っていた」
「写真が一枚だけだった」
「日付だけ違う色だった」
「余白が広く、文字が中央からずれていた」
というように、構成の特徴を分けて見ます。
参考作品の文字、写真、配色、配置を一度にそのまま写すのではなく、一つの考え方だけを自分の題材へ移します。大きな題名の使い方を参考にするなら、写真と色は別の方向にするなど、自分で判断する部分を残します。
気になったポスターを並べた資料帳を作る場合も、公開や配布を目的とせず、自分の学習用として整理します。作者や催しの名前が分かるものは、一緒に記録しておきます。
印刷前に確認すること
画面上で完成したあと、印刷する大きさを確認します。A4で作ったデータをそのまま大きく伸ばすと、写真が粗くなったり、小さな線が不自然に太くなったりすることがあります。
外部の印刷会社へ注文する場合は、指定された用紙サイズ、余白、塗り足し、色の設定、保存形式を確認します。一般的な設定を自己判断で当てはめず、利用する印刷先のテンプレートや入稿案内を優先します。
印刷前には、次の内容を読み上げながら確認します。
題名
開催日と曜日
開始・終了時刻
会場名と住所
料金
申し込み方法
連絡先
二次元コードのリンク先
主催者名
注意事項
日付と曜日の不一致、古い申し込み先、仮の文章が残っていないかにも注意します。二次元コードは、画面上で見えるだけでなく、実際に印刷した紙を別の端末から読み取ります。
実在する催しのポスターでは、完成後に主催者や関係者の確認を受けます。デザインを整えた人だけでは、名称や料金の変更に気づけないことがあるためです。
掲示と公開にも許可が必要
完成したポスターを、電柱、建物の壁、店舗の窓、公共施設の掲示板などへ自由に貼ることはできません。掲示場所を管理する人や施設へ確認し、掲示期間、大きさ、固定方法、撤去日を守ります。
粘着力の強いテープや接着剤は、壁やガラスを傷めることがあります。指定された画びょう、テープ、掲示用の枠などを使い、終了後は忘れずに撤去します。
SNSへ公開する場合は、電話番号、個人のメールアドレス、会場の非公開情報などが含まれていないか見直します。練習用の架空ポスターには、実在する住所や連絡先を使いません。
身体と目を休ませながら作る
パソコンやタブレットで細かな位置を直していると、同じ姿勢で画面を見続けやすくなります。30分ほどで一度手を止め、遠くを見て、肩や手首を動かします。
画面へ顔を近づけすぎず、椅子と机の高さを調整します。文字の細部を見るときだけ拡大し、普段は全体が見える倍率へ戻します。
紙を切る場合は、カッターマットの上で金属定規を使い、刃を身体から離れる方向へ動かします。手に持った紙を刃物で切らず、使用後は刃を収納します。
スプレーのりや溶剤を含むマーカーを使う場合は、製品表示に従って換気します。最初の制作では、液体のりや一般的な水性画材で代用できるなら、扱いやすい方法を選びます。
制作データを整理する
デジタルで作る場合は、編集中の元データ、印刷用のPDF、確認用の画像を分けて保存します。ファイル名へ題材、日付、版を入れると、修正前のデータへ戻りやすくなります。
たとえば、
読書会ポスター_20261001_作業中
読書会ポスター_20261001_確認用
読書会ポスター_20261001_印刷用
というように分けます。
「最終」「最終2」「本当の最終」と増やすより、日付や番号を付けたほうが整理しやすくなります。印刷後に直した内容も、別の版として残します。
使用した写真や書体の入手元、利用条件も一緒に記録します。公開から時間がたったあとでも、どの素材を使ったか確かめられます。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 必要な情報を一枚へ収める
最初は、架空の催しを題材にし、題名、日付、場所を一枚へ配置します。色や装飾を増やすより、どこから読めばよいか分かる状態を目指します。
一枚を印刷し、離れた場所から題名を読み、近づいて詳細を確認します。画面の中だけでは分からなかった文字の大きさや余白を知る段階です。
第2段階 文字の大きさと余白を整える
題名、日付、説明へ明確な差をつけ、情報の順番を作ります。書体を増やす代わりに、同じ書体の太さ、字間、行間を調整します。
何か足りないときに装飾を加えるのではなく、位置を少し動かし、周囲を空ける方法を試します。余白が一枚を支える感覚が見えてきます。
第3段階 写真、色、図形を目的に合わせて選ぶ
見る人や掲示場所を想定し、必要な表現を選びます。静かな展示なら色数を抑え、にぎやかな催しなら大きな形を使うなど、雰囲気と情報をつなげます。
好きな色や書体を使うだけでなく、その選択が題材へ合っているかを考えます。同じ内容を複数案へ展開し、比較して決められるようになります。
第4段階 異なる大きさと媒体へ展開する
一枚のポスターを基に、チラシ、SNS用画像、会場案内、横長の告知画像などを作ります。単純に縮小するのではなく、それぞれの大きさで必要な情報を選び直します。
遠くから見るポスターでは題名を大きくし、手元で読むチラシには詳しい説明を加える。媒体ごとの役割が分かると、一つの企画をまとまりのある形で見せられます。
第5段階 人の活動を伝える一枚を作る
友人の作品展、地域の小さな活動、自分の制作発表など、実際の内容を聞きながらポスターを作ります。作り手の好みだけでなく、主催者が伝えたいことと、見る人が知りたいことをつなぎます。
依頼内容、掲載情報、修正、権利、印刷を確認し、一枚が掲示されるところまで見届けます。販売を目標にしなくても、誰かの活動を必要な人へ届けることが、ポスターデザインを続ける大きな楽しみになります。
五つの段階は、技術の順位ではありません。文字だけの一枚へ戻る、手描きだけで作る、同じ題材を何度も組み直すなど、気になる工程を行き来しながら続けられます。
あわせて楽しみたい関連する趣味
カリグラフィー
カリグラフィーは、文字の傾き、太さ、間隔を観察し、言葉そのものを美しく整える趣味です。ポスターの題名を手描きにしたいときや、文字の一画を形として見られるようになりたいときにつながります。
写真
写真では、光、構図、距離を選びながら、一枚の中へ見せたいものを残します。自分で撮った写真をポスターの主役にすれば、素材の権利を管理しやすく、撮影から配置まで一つの作品として考えられます。
スクラップブッキング
スクラップブッキングは、写真、紙、文字、飾りを一つの台紙へ配置する趣味です。デジタル画面とは異なり、紙片を実際に動かしながら余白や重なりを試せるため、ポスターの配置を手で考えたい人にも向いています。
一枚の中に、見る順番をつくる
ポスターデザインでは、画面をにぎやかに埋めることより、最初に何を見つけてほしいかを決めることが大切です。題名を一つ置き、その周囲を少し空ける。日付を見つけやすい場所へ移し、説明を短くする。それだけでも、白い一枚は案内として動き始めます。
次の休日には、架空の読書会や作品展を一つ考え、題名、日付、場所だけを書き出してみましょう。小さな長方形を三つ描き、それぞれ違う場所へ題名を置けば、最初の配置案ができます。
完成したら、画面の中だけで眺めず、A4用紙へ印刷して壁へ置きます。数歩離れたところから題名が見え、近づいたときに必要な情報が読めたなら、その一枚にはもう、見る人を迎える順番がつくられています。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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