キャンプの楽しみ方
キャンプには、普段の生活をいったん外へ持ち出すような面白さがあります。
テントを張り、外で食事を作り、暗くなったらランタンを灯す。夜には風や虫の音を聞きながら眠り、朝になったら外の空気の中で温かい飲み物を飲む。
ホテルや旅館のように、到着した時点で部屋が整っているわけではありません。
寝る場所も、食事をする場所も、自分たちで作ります。
その手間が大変そうに見える一方で、何もなかった場所が少しずつ一日の生活空間になっていくことが、キャンプならではの楽しさなのだと思います。
ただ、初めて行くとなると気になることもたくさんあります。
道具はどこまで必要なのか。
一式そろえると、いくらくらいかかるのか。
テントを自分で張れなくても大丈夫なのか。
食事はどこまで準備していけばよいのか。
雨が降った場合はどうするのか。
一泊するだけで、どのくらい疲れるのか。
そこで今回は、キャンプに必要な時間や費用、準備、道具、当日の流れ、身体への負担、続けることで変わっていく楽しみ方まで整理してみました。
調べてみると、キャンプは最初から高価な道具をそろえて始める必要はありませんでした。
レンタル品や設備の整ったキャンプ場を選び、まずは一晩を無理なく過ごしてみる。
そこから、自分は料理を楽しみたいのか、焚き火をしたいのか、静かな自然の中で休みたいのかを見つけていく方が、道具選びでも失敗しにくそうです。
※時間や費用は、二〜三人で設備のあるキャンプ場を利用し、一泊二日のキャンプを行う場合を想定した目安です。人数、季節、交通手段、レンタルの有無、食事内容、キャンプ場の設備によって変わります。
キャンプをざっくり整理すると
今回想定したのは、日帰りのデイキャンプではなく、テントを設営して一泊する一般的なキャンプです。
一泊二日の予定になるため、短い空き時間で楽しむ趣味ではありません。
出発前の荷造りから、帰宅後に道具を乾かして収納するところまで含めると、実際には週末の大部分を使います。
その代わり、キャンプ場へ滞在している約28時間の中には、設営、料理、焚き火、食事、星空、睡眠、朝の時間、撤収まで、いくつもの体験が詰まっています。
短時間で刺激を得るというより、一日を通して少しずつ環境が変わっていくことを楽しむ活動です。
1回の費用は約13,740円
今回の目安では、キャンプ一回にかかる費用は約13,740円です。
この金額には、その日に使う費用だけでなく、道具の購入費やメンテナンス費を年間の回数で分けた分も含めています。
まず、一回ごとに発生しやすい費用は次のとおりです。
費用の内訳目安
交通費2,500円
食材・飲み物3,000円
キャンプ場・宿泊利用料2,500円
駐車場代500円
燃料・消耗品・その他約440円
一回ごとの費用約8,940円
ここに、道具の買い替えや手入れにかかる費用を加えると、一回あたり約13,740円になります。
食事を簡単にしたり、近くのキャンプ場を選んだり、道具を複数人で共有したりすれば、費用は抑えられます。
反対に、遠方のキャンプ場へ行き、食事や焚き火にこだわり、有料のレンタル品を追加すると、一回の金額は上がります。
キャンプは、施設へ支払う料金だけを見ると、それほど高くない場合があります。
しかし、交通費、食材、燃料、道具の維持まで考えると、少しまとまった予算が必要な趣味です。
道具をそろえると、4万5,000円から8万円ほど
キャンプを始めにくく感じる理由の一つが、道具の多さです。
宿泊するためには、少なくとも次のようなものが必要です。
テントまたは宿泊用のシェルター
寝袋
スリーピングマット
ランタンなどの照明
飲料水
食事と調理手段
防寒着と雨具
キャンプ場の予約・利用情報
最低限の道具だけでも、八種類ほどあります。
さらに、テーブル、チェア、クーラーボックス、バーナー、調理器具、食器、収納用品などを加えると、必要なものはすぐに増えていきます。
基本的な道具を購入する場合、最低限の装備で4万5,000円前後、一通り新品でそろえるなら8万円前後が目安です。
テント、タープ、寝具、テーブル、チェア、ランタン、調理器具などを標準的な内容でそろえると、10万円ほどになる場合もあります。
さらに高性能なテント、季節対応の寝袋、コット、ポータブル電源、車載冷蔵庫などまでそろえると、30万円を超えることもあります。
ただし、初めての段階で、すべてを購入する必要はありません。
最初はレンタルを使う方が分かりやすい
初めてキャンプへ行くなら、テントや寝袋をレンタルできるキャンプ場を選ぶ方法があります。
今回の想定では、キャンプ用品の約75%をレンタルで代用できます。
施設によっては、
テント
寝袋
マット
テーブル
チェア
ランタン
バーベキュー用品
調理器具
などを借りられます。
設営済みのテントや、家具・寝具が用意されたプランを選べる施設もあります。
最初にレンタルを使う良さは、費用を抑えられることだけではありません。
実際に使ってみることで、自分に必要な大きさや使いやすさが分かります。
二人用と書かれたテントでも、荷物を入れると狭く感じるかもしれません。
寝袋だけでは地面の硬さや冷たさが気になり、マットの方が大切だと感じることもあります。
使う前に想像していた便利な道具が、実際にはほとんど必要なかったということもあります。
一度体験してから購入する方が、自分のキャンプに合わない道具を増やしにくくなります。
最初に優先したいのは、寝袋とマット
キャンプ用品というと、まずテントを思い浮かべます。
もちろん、雨や風を避けるためにテントは重要です。
ただ、実際に一晩を快適に過ごすためには、寝袋とスリーピングマットも欠かせません。
地面は、思っている以上に硬く、冷たく感じます。
暖かい時期でも、夜になると地面から冷えが伝わることがあります。薄い寝袋だけでは、寒さよりも地面の硬さで眠れない可能性があります。
寝袋を選ぶときは、キャンプする時期の最低気温に合っているかを確認します。
昼間の最高気温ではなく、夜から早朝にかけてどこまで冷えるかを見ることが大切です。
マットは、地面の凹凸と冷気をやわらげます。
最初に道具を買うなら、見た目のよいテーブルやチェアよりも、眠るための寝袋とマットを優先した方が、翌朝の疲れを減らしやすそうです。
キャンプは、出発する前から始まっている
キャンプの準備には、約3時間かかる想定です。
さらに、キャンプ場や天気、道具について調べる時間も約3時間あります。
当日になって荷物を集めるだけではなく、数日前から少しずつ準備を進める必要があります。
まず決めるのは、どこへ行くかです。
キャンプ場を選ぶときは、景色だけでなく、次のような点を確認します。
テントを張る場所の種類
車を横付けできるか
トイレや炊事場の場所
入浴施設やシャワーの有無
ごみを捨てられるか
レンタル用品の内容
火気や焚き火の規則
消灯時間
チェックインとチェックアウト
食料品店までの距離
携帯電話の電波状況
悪天候時のキャンセル規定
予約は、一週間ほど前までに済ませる想定です。
人気の季節や連休は早く埋まることがあるため、余裕を持って探します。
天気だけでなく、最低気温と風を見る
キャンプは、天候の影響を非常に受けやすい活動です。
今回の想定では、天候への依存度はかなり高くなっています。
晴れているか、雨が降るかだけでなく、気温、風、湿度、雷なども確認します。
特に見落としやすいのが、最低気温です。
昼間は暖かくても、山や高原では夜から朝にかけて急に冷えることがあります。
春や秋は、街中の服装だけでは寒さに対応できない場合があります。
風も重要です。
強い風の中では、テントやタープの設営が難しくなります。火の粉が飛びやすくなり、焚き火や調理を安全に行えないこともあります。
乾燥して風が強い日は、キャンプ場が焚き火を禁止する場合もあります。
「せっかく予約したから」と無理に実施せず、危険な天候が予想される場合は、日程変更や中止も含めて判断します。
キャンセルすることも、自然の中で遊ぶために必要な選択の一つです。
一泊二日のキャンプは、こんな流れになる
標準的なキャンプは、約32時間の活動です。
たとえば、土曜日の朝に出発し、日曜日の夕方に帰宅するなら、次のような流れになります。
前日 道具と食材を確認する
予約内容、天気、最低気温、交通状況を確認します。
食材は必要な分だけに分け、肉や魚などはクーラーボックスで保冷できるようにします。
テントや寝袋に破損がないか、ランタンが点灯するか、燃料や電池が残っているかも確認します。
忘れ物を防ぐために、持ち物を種類ごとに分けます。
宿泊用品
調理用品
食材
衣類
雨具
衛生用品
安全用品
貴重品
9時00分 自宅を出る
交通費や荷物量を考えると、車で行く人が多くなります。
公共交通機関でも行けますが、その場合は軽量な道具へ絞り、キャンプ場までの移動方法を細かく確認します。
途中で食材を購入する場合は、買い物時間も予定に入れます。
12時00分 キャンプ場へ到着する
受付を済ませ、利用するサイト、炊事場、トイレ、ごみ置き場、避難場所などを確認します。
最初に施設の規則を聞き、火を使える場所と時間も確認します。
12時30分 テントを設営する
まずテントを張り、寝袋やマットを中へ入れます。
暗くなってから寝る場所を作るのは大変なので、到着後の明るいうちに宿泊環境を整えます。
テーブル、チェア、調理場所、荷物置き場も決めます。
今回の想定では、設営や準備だけで約2時間かかります。
最初から早く終わらせようとせず、説明書を確認しながら進めます。
14時30分 休憩する
設営が終わったら、いったん座って水分を取ります。
キャンプでは、到着してすぐに作業が続くため、気づかないうちに疲れることがあります。
設営後に休憩を入れておくと、夕食作りまで体力を残せます。
15時00分 周辺を歩く
キャンプ場の周辺を散策したり、景色を見たりして過ごします。
自然の中で活動を詰め込みすぎず、椅子に座って何もしない時間を作るのも、キャンプの楽しみ方です。
17時00分 夕食を作る
暗くなる前に、調理を始めます。
最初は、複雑な料理より、工程の少ないものが向いています。
焼く、煮る、温めるだけの料理なら、慣れない屋外でも進めやすくなります。
食材は必要な分だけ取り出し、使わないものは保冷したままにします。
19時00分 焚き火や夜の時間を楽しむ
キャンプ場の規則と天候が許せば、焚き火を楽しみます。
火を眺めながら話したり、温かい飲み物を飲んだりする時間は、キャンプらしさを感じやすい場面です。
ただし、焚き火をしなければキャンプを楽しめないわけではありません。
火を扱うことに不安がある場合や、風が強い日は、ランタンの明かりだけで過ごしても十分です。
22時00分 就寝準備をする
食べ物やごみを片付け、火が完全に消えていることを確認します。
夜は冷えるため、寒くなる前に寝袋へ入ります。
キャンプ場には消灯時間があることも多いため、周囲へ響く声や音を抑えます。
翌朝7時00分 起床する
外の明るさや鳥の声で目が覚めることがあります。
朝食は、パン、スープ、飲み物など、片付けやすいものにすると撤収が楽です。
9時00分 撤収を始める
寝袋やテントを片付け、調理器具を洗い、ごみをまとめます。
テントに朝露がついている場合は、可能な範囲で乾かしてから収納します。
忘れ物やごみがないか、最後にサイト全体を確認します。
11時00分 チェックアウトする
帰宅前に、周辺の温浴施設や飲食店へ立ち寄ることもあります。
ただし、設営と睡眠不足で疲れている場合は、予定を増やさず早めに帰ります。
14時00分 帰宅する
キャンプは、家に着いたところでは終わりません。
濡れたテントや寝袋を乾かし、調理器具を洗い、使った道具を元の場所へ戻します。
帰宅後の片付けには、約2時間かかる想定です。
一番大変なのは、設営より撤収かもしれない
キャンプを想像すると、テントを張る作業が大変そうに見えます。
確かに、初めての設営には時間がかかります。
しかし、実際には撤収もかなり大きな作業です。
朝露で濡れたテントをたたむ。
寝袋の空気を抜く。
食器や調理器具を洗う。
残った食材を整理する。
ごみを分別する。
車へ荷物を積み直す。
帰宅後にもう一度広げて乾かす。
楽しかった時間のあとに、これだけの片付けが残ります。
翌日のチェックアウト時刻から逆算し、朝は早めに撤収を始めた方が慌てずに済みます。
前日の夜に、使わない道具を少しずつ片付けておく方法もあります。
食事を簡単にすることも、撤収を楽にします。
たくさんの調理器具を使う料理は楽しそうですが、翌朝の洗い物と収納まで増えます。
初めてなら、設営だけでなく撤収の負担も考えて、一日の内容を決めたいところです。
自然の中にいるだけで、場面が次々に変わる
キャンプでは、同じ場所に長く滞在します。
それでも、一日を通して景色や雰囲気は大きく変わります。
到着した昼。
設営を終えた午後。
夕食を作る夕方。
ランタンを灯す夜。
静かになった深夜。
空が明るくなる早朝。
今回の想定では、一回のキャンプに十二ほどの大きな体験段階があり、細かな出来事は二十回以上あります。
高揚する場面も、十四回ほど想定しています。
テントが立った瞬間。
火がついた瞬間。
料理が完成したとき。
星が見えたとき。
寝袋へ入ったとき。
朝の空気を吸ったとき。
遊具や映像がなくても、時間と環境の変化そのものが体験になります。
自分で関わる時間も長く、能動的に過ごす割合は約85%です。
何もしないで自然を眺める時間もありますが、その時間を作るために、設営や準備を自分で行います。
手間とくつろぎが、同じ一日の中にある趣味です。
複数人なら、役割を分けると楽になる
今回想定した人数は、平均2.5人です。
キャンプは一人でもできますが、初めてなら複数人で行う方が負担を分けやすくなります。
テントを張る人。
寝具を準備する人。
食材を整理する人。
調理をする人。
火や照明を確認する人。
子どもや周囲の安全を見る人。
一人がすべてを抱えず、役割を分けます。
ただし、経験者一人がすべての準備をしてしまうと、ほかの人は何をすればよいか分からなくなります。
到着前に、
「テントは一緒に張る」
「食事は二人で作る」
「片付けは全員で行う」
と簡単に決めておくと、参加しやすくなります。
一緒に作業したあとに、同じ食事を囲むことも、複数人キャンプの楽しさです。
一人のキャンプは、慣れてからでも遅くない
一人で静かに自然を楽しむソロキャンプにも魅力があります。
自分の好きな時間に食事をし、好きな場所に座り、誰にも合わせずに過ごせます。
ただし、一人の場合は、設営、調理、安全確認、撤収のすべてを自分で行います。
体調を崩したときや、道具が壊れたときにも、自分で対応しなければなりません。
最初から一人で宿泊するより、
設備の整った場所で複数人キャンプを経験する
デイキャンプを一人で試す
管理人が常駐するキャンプ場を選ぶ
電波が入り、周囲に利用者がいる場所を選ぶ
という順番の方が安心です。
一人で行くことを目標にせず、自分で設営から撤収まで無理なく行えるようになってから考えても遅くありません。
身体への負担は、思っているより大きい
キャンプはスポーツではありませんが、長時間屋外で過ごし、荷物を運び、設営や調理を行います。
今回の想定では、一泊二日で約6,500歩、歩行距離は約4.6kmです。
身体的な目安1回あたり平均歩数約6,500歩歩行距離約4.6km立っている時間約7時間座っている時間約5時間屋外にいる時間約20時間日光を浴びる時間約5時間推定消費カロリー約3,000kcal水分補給の目安約2,500ml
※消費カロリーは体重60kgを基準に、一泊二日の滞在全体から算出した目安です。実際の活動量や気温によって変わります。
長く歩き続けるというより、荷物を運ぶ、しゃがむ、立つ、物を持つといった動作が何度も発生します。
慣れないテント設営では、普段使わない筋肉を使うこともあります。
また、屋外で眠るため、家と同じように熟睡できるとは限りません。
地面の硬さ、気温、風、周囲の音などが気になり、翌日に疲れが残る場合があります。
今回の想定では、疲れが残る時間は約10時間、回復まで約14時間。翌日まで疲れが残る可能性もあります。
帰宅した夜や、その次の朝に重要な予定を入れない方が安心です。
水分と暑さへの対策は、季節を問わず必要
キャンプでは、屋外に長く滞在します。
夏はもちろん、春や秋でも、設営や撤収中に汗をかくことがあります。
一回の水分補給の目安は約2,500mlですが、気温や活動量によって必要量は変わります。
飲料水は、料理に使う水とは別に考えます。
水道設備のあるキャンプ場でも、サイトから炊事場まで距離があることがあります。
飲みたいときにすぐ補給できるよう、手元にも水を用意します。
夏は、帽子、日陰、休憩、虫よけなども必要です。
気温が高い時間帯に設営を続けず、途中で休みます。
反対に、春や秋の夜は冷えます。
汗で濡れた服のまま過ごすと、気温が下がったときに身体が冷えやすくなります。
着替えや防寒着を用意し、濡れた衣類は早めに替えます。
火を使うなら、完全に消すところまでが一つの作業
キャンプの楽しみとして、焚き火や屋外調理を思い浮かべる人も多いと思います。
火の明かりや音は、夜のキャンプを特別な時間にしてくれます。
ただし、火を使えるのは、キャンプ場が指定した場所と方法に限られます。
直火が禁止されている場合は、焚き火台を使います。
火を使う前に、
風が強くないか
周囲に燃えやすいものがないか
消火用の水があるか
キャンプ場の規則に合っているか
火の粉がテントへ飛ばない位置か
を確認します。
火をつけたら、その場を離れません。
使用後は水をかけ、燃えている部分や熱が残っている部分がないか確認します。
見た目では消えていても、炭の内部に熱が残っていることがあります。
灰や炭の処分方法は、キャンプ場の案内に従います。
焚き火を始めるところから、完全に消して処理するところまでが、一つの体験です。
テントの中で燃焼器具を使わない
寒い時期や雨の日には、テントの中で暖まりたくなることがあります。
しかし、テントや密閉された空間で、炭火、ストーブ、バーナーなどの燃焼器具を使うのは危険です。
火災だけでなく、一酸化炭素が発生する可能性があります。
テントの素材は火に強いとは限らず、火の粉や高温の器具で損傷することもあります。
調理や火気の使用は、キャンプ場が指定する場所で行います。
寒さへの対策は、燃焼器具に頼る前に、
最低気温に対応した寝袋
断熱性のあるマット
重ね着できる防寒着
帽子や手袋
湿った衣類を替える
温かい飲み物
などを基本にします。
冬キャンプや寒冷地での宿泊は、最初のキャンプとしては難易度が高めです。
まずは気候が穏やかな時期に経験を積む方が安心です。
食べ物とごみを外へ置いたままにしない
自然の中では、食べ物の匂いが野生動物を引き寄せることがあります。
調理後の食材、食べ残し、ごみをテーブルの上へ置いたまま眠らないようにします。
食材は密閉し、キャンプ場の案内に従って車内や指定の保管場所へ移します。
ごみも袋を閉じ、動物が触れられない場所に置きます。
「少しくらいなら大丈夫」と食べ物を放置すると、自分たちだけでなく、次に利用する人や動物にも影響します。
野生動物へ食べ物を与えないことも大切です。
動物が人の食べ物を覚えると、キャンプ場や住宅地へ近づく原因になります。
自然の中へ泊まるからこそ、食べ物とごみの管理まで含めて準備します。
最初の料理は、簡単な方が楽しみやすい
キャンプ料理にこだわり始めると、作れるものはたくさんあります。
炭火料理、煮込み料理、パン、燻製、アウトドアオーブンを使った料理など、道具と経験によって楽しみ方は広がります。
ただ、初めてのキャンプでは、設営だけでかなり時間を使います。
そのあとに複雑な料理を作ろうとすると、暗くなるまで調理が終わらないことがあります。
最初は、
焼くだけの肉や野菜
温めるだけのスープ
お湯を注ぐ料理
事前に切ってきた食材
朝はパンと温かい飲み物
など、工程の少ないものが向いています。
自宅で下ごしらえを済ませておけば、現地で出るごみや洗い物も減ります。
キャンプだから特別な料理を作らなければならないわけではありません。
外で温かいものを食べるだけでも、普段とは違う食事になります。
道具は「使う場面」が分かってから増やす
キャンプ用品には、見ているだけで欲しくなるものがたくさんあります。
大きなタープ。
焚き火台。
コット。
高性能ランタン。
ポータブル電源。
車載冷蔵庫。
おしゃれなテーブルやチェア。
どれも便利ですが、自分のキャンプで本当に使うかは、実際に行ってみなければ分かりません。
焚き火より料理が楽しい人もいます。
食事より、椅子に座って景色を見る時間が好きな人もいます。
長く滞在するより、設営を簡単にして早く帰りたい人もいます。
最初から理想の道具を全部そろえるのではなく、不便だったところを一つずつ改善する方が現実的です。
地面が硬くて眠れなかったなら、マットを見直す。
暗くて作業しにくかったなら、照明を追加する。
荷物が散らかったなら、収納方法を変える。
必要性が分かってから買った道具は、使う場面も想像しやすくなります。
保管場所と運ぶ重さも考えておきたい
キャンプ用品は、使っているときだけでなく、自宅で保管している時間の方が長くなります。
今回の想定では、道具を保管するために約250リットルほどのスペースが必要です。
テント、寝袋、マット、チェア、テーブル、クーラーボックス、調理器具、収納箱などをまとめると、かなりの量になります。
一回に持ち運ぶ道具の重さも、約25kgを想定しています。
複数人分や家族用の道具になると、さらに増えます。
購入前には、
自宅でどこに置くか
車へ積めるか
一人で持ち運べるか
使用後に広げて乾かせるか
収納したまま湿気がこもらないか
を確認します。
安く購入できても、収納場所がなく、毎回取り出すのが大変では、キャンプへ行くこと自体が負担になります。
コンパクトに収納できるかどうかも、道具選びの大切な基準です。
使用後は、乾かしてから収納する
キャンプ用品は、土、草、雨、朝露などで汚れたり濡れたりします。
見た目が乾いているようでも、テントの折り目や寝袋の内側に湿気が残っていることがあります。
湿ったまま収納すると、においやカビ、素材の劣化につながります。
帰宅後は、
テントやタープを広げて乾かす
寝袋を陰干しする
調理器具を洗う
バーナーやランタンの汚れを確認する
マットの水分や土を落とす
電池や燃料を確認する
次回補充する消耗品をメモする
といった手入れを行います。
年間のメンテナンス時間は、合計で約6時間を想定しています。
キャンプの回数が増えるほど、設営だけでなく、手入れと収納も趣味の一部になっていきます。
キャンプは、続けると過ごし方が変わっていく
キャンプは、最初から自然の中で自由に過ごせるわけではありません。
最初は設営や食事の準備だけで一日が終わることもあります。
それでも回数を重ねると、少しずつ作業が減り、自由に使える時間が増えていきます。
第1段階 初めてキャンプを体験する
最初は、設備の整ったキャンプ場を選びます。
レンタル品を使い、テントを設営し、簡単な食事を作り、一晩を過ごします。
この段階では、道具を上手に使うことより、屋外に自分たちの生活空間を作ることが目的です。
テントの中で眠り、自然の音を聞きながら朝を迎えられたことが、一番の達成になります。
第2段階 道具と過ごし方を選ぶ
複数回経験すると、自分に必要な道具が少しずつ分かってきます。
テントの広さ。
寝袋の暖かさ。
椅子の座りやすさ。
料理に必要な器具。
収納のしやすさ。
同行者と役割を分担し、設営から撤収まで自分たちで進められるようになります。
作業に追われる時間が減り、屋外でくつろぐ余裕が生まれる段階です。
第3段階 季節と目的に合わせて計画する
さらに続けると、天候、最低気温、人数、滞在日数を考えて、装備を選べるようになります。
春のキャンプ。
夏の高原。
紅葉の時期。
連泊。
遠方のキャンプ場。
周辺のハイキングや温泉を組み合わせた滞在。
季節と目的に合わせて、食事、活動、道具、時間配分を組み立てます。
ただ行くだけでなく、自分で一泊二日の体験全体を設計する段階です。
第4段階 自然対応・安全・環境への配慮を深める
慣れてくると、快適さだけでなく、安全と自然への負担にも目が向きます。
風向きや地形を確認する。
火や刃物を安全に扱う。
食料とごみを管理する。
応急用品を準備する。
植物を傷つけず、使った場所を元に戻す。
自分が楽しむだけでなく、周囲の人や自然環境へ配慮しながら活動できるようになります。
第5段階 自分なりのキャンプスタイルを作る
長く続けると、理想とする過ごし方がはっきりしてきます。
道具を少なくして身軽に移動する。
料理や焚き火を中心にする。
家族が快適に過ごせる装備を整える。
一人で静かな場所へ行く。
季節ごとに異なる道具を使い分ける。
各地のキャンプ場を巡る。
人と同じ道具をそろえるのではなく、自分が楽しみたい時間に合わせて装備と場所を選ぶ段階です。
キャンプが、特別な一泊から、継続的な生活技術と自然体験へ変わっていきます。
キャンプには、いくつもの楽しみ方がある
一口にキャンプといっても、目的によって必要な道具や負担は変わります。
デイキャンプ
宿泊せず、昼間だけ自然の中で食事や休憩を楽しみます。
寝袋や夜の照明が不要になるため、初めてでも始めやすい形です。
まずは屋外で過ごすことや、簡単な設営を試したい人に向いています。
オートキャンプ
車をテントの近くへ停められるキャンプです。
重い道具を運びやすく、クーラーボックスや大きなテントも使えます。
初心者や家族でのキャンプにも向いています。
徒歩・公共交通でのキャンプ
荷物を自分で運ぶため、軽量なテント、寝袋、マット、調理器具が必要です。
道具選びと荷物の絞り込みが重要になる、少し難易度の高い形です。
家族キャンプ
人数分の寝具、食事、着替え、防寒着などが必要です。
荷物は増えますが、役割を分けて設営し、屋外で一緒に過ごす時間を作れます。
冬や長期滞在のキャンプ
低温に対応した寝袋、断熱マット、防寒着などが必要です。
寒さ、天候、火気への知識も必要になるため、初心者向けとは言いにくい形です。
最初は季節と設備に恵まれたキャンプ場で経験を積み、少しずつ広げる方が安心です。
キャンプが合いやすいのは、こんな休日
キャンプは、次のような休日に選びやすそうです。
自然の中で一日を過ごしたい日。
普段の生活から少し離れたい日。
家族や友人と一緒に作業を楽しみたい日。
外で食事を作りたい日。
夕方から朝まで、景色の変化をゆっくり見たい日。
道具を使い、自分で生活空間を作ってみたい日。
次の日まで予定を空けられる週末。
反対に、準備する時間がない日、体調がよくない日、帰宅後すぐに忙しい予定がある日には向いていません。
天候が不安定なときや、最低気温に対応できる装備がないときも、無理に行わない方が安心です。
キャンプは自由な趣味に見えますが、安全に楽しむためには、事前の計画が欠かせません。
初めてなら、設備の整った場所で一泊する
初めてのキャンプで、自然の深い場所や設備の少ない場所を選ぶ必要はありません。
管理人がいて、トイレと炊事場が近く、レンタル品があり、車で移動できるキャンプ場の方が安心です。
テントも、最初は借りて構いません。
料理は簡単なものにし、焚き火も必須にしない。
まずは、
明るいうちに設営を終える
食事を作る
夜を安全に過ごす
寝袋で眠る
朝に撤収する
という一連の流れを経験します。
一回目からおしゃれな空間や豪華な料理を完成させる必要はありません。
テントが少し曲がっていても、食事が簡単でも、夜に寒さを感じても、その一つひとつが次回の道具や場所を選ぶ材料になります。
調べる前より、準備まで含めて楽しむ趣味に感じました
調べる前は、キャンプの魅力は、自然の中で焚き火を眺めたり、星空の下で眠ったりすることだと思っていました。
もちろん、そうした時間は大きな楽しみです。
けれど、実際のキャンプには、その前後にたくさんの作業があります。
場所を探す。
天気を確認する。
道具を選ぶ。
荷物を積む。
テントを張る。
食事を作る。
火とごみを管理する。
寝床を整える。
撤収する。
帰宅後に道具を乾かす。
こうして見ると、キャンプは自然の中で休むだけの活動ではありません。
一晩を過ごすための環境を、自分たちで準備し、最後に片付けるところまでを楽しむ趣味です。
手間は多く、費用も安くはありません。天気に予定を変えられ、家と同じように眠れないこともあります。
それでも、何もなかった場所へテントを立て、食事を作り、暗くなったら明かりを灯す。
自分たちの手で一日の生活を組み立てたことは、ほかの宿泊では得にくい達成感につながります。
私なら、最初はレンタル品のあるオートキャンプ場を選びます。
天気の安定した時期に、経験のある人と二人か三人で行き、料理は簡単なものにする。焚き火は天候と施設の規則を見て、難しければ行わない。
テントを張り、外で夕食を食べ、一晩眠り、朝に無事撤収できたなら、最初のキャンプとしては十分です。
帰宅後に道具を片付けながら、「次はもう少し座りやすい椅子が欲しい」「寝袋はもう少し暖かい方がよかった」と思えたところから、自分なりのキャンプが始まっていくのだと思います。
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
