見出し画像

ラグビーの楽しみ方

はじめに

胸の前で受け取った楕円形のボールを、横に走る味方へ放る。

丸いボールとは違い、少し角度がずれるだけで回転や軌道が変わります。それでも、受け手の少し前へボールが届き、走る速さを落とさずにつながった瞬間には、二人の動きがぴたりと重なったような心地よさがあります。

ラグビーというと、大きな選手同士が激しくぶつかる場面を思い浮かべる人も多いでしょう。確かに身体接触のある競技ですが、趣味として始める初日から、いきなり全力のタックルやスクラムを行うわけではありません。

近い距離でパスを回す。ボールを持った人の後ろへ回り、次の受け手になる。相手へ触れたところでプレーを止めるタッチ形式を使い、攻撃と守備の位置を覚える。こうした接触の少ない練習から始め、身体の使い方を段階的に学んでいきます。

体格が大きくなければ難しいのではないか、経験者の中へ入るのは怖い、運動から離れていた身体で続けられるだろうか。ラグビーにはさまざまな役割があり、走ること、パスをつなぐこと、周囲を見て支えることなど、それぞれの得意を生かせます。

一方で、接触プレーを自己流で試すのは避けたい競技でもあります。初心者を受け入れ、安全管理を行っている地域クラブを選び、指導者のもとで少しずつ練習することが大切です。

今回は、社会人や一般向けのサークル、クラブへ参加し、週1回ほどラグビーを続ける場合を中心に、基本的なルール、費用、活動先の選び方、道具、初回の練習、安全に楽しむための注意点を紹介します。


ラグビーの基本情報

主な楽しみ方 地域のクラブやサークルへ所属し、パス、ラン、キック、連係、接触技術を段階的に学ぶ

おすすめの頻度 週1回前後

1回の活動時間 約2時間〜2時間30分

短時間で体験する場合 約60分〜90分から

移動や着替えを含む総所要時間 約3時間〜4時間

主な活動場所 天然芝や人工芝のグラウンド、運動公園、学校やクラブの練習場

主な競技形式 15人制、7人制、タッチラグビー、タグラグビー、初心者向けの変則ゲーム

始めやすさ 個人の道具は比較的少ないが、会場、仲間、指導者が必要

天候の影響 屋外活動が中心で、暑さ、寒さ、雨、雷、グラウンド状態の影響を受ける

一般的な15人制ラグビーでは、二つのチームが相手側のインゴールを目指してボールを運びます。ボールを持って走ることや前方へ蹴ることはできますが、手で前へ投げることはできません。パスは横か後方へ送り、ボールを持っていない選手が後ろから支える形を作ります。

相手側のインゴールへボールを押さえるトライは5点です。トライ後のコンバージョンキックは2点、ペナルティーゴールとドロップゴールは3点になります。地域クラブの体験練習では得点を競わず、一定時間ボールをつなげたら攻守を交代することもあります。

正式な15人制では、フォワード8人とバックス7人がコートに入ります。フォワードはスクラムやラインアウト、ボール周辺の攻防へ関わる機会が多く、バックスは広い場所でパスやキックを使いながら前進します。

ただし、役割は身体の大きさだけで決まるものではありません。低い姿勢を保てる人、短い距離を繰り返し動ける人、正確にパスを出せる人、周囲の位置を見ながら声をかけられる人など、異なる特徴が組み合わさってチームができます。

ラグビーには7人制や10人制のほか、タックルを使わないタッチラグビーや、腰につけたタグを取ってプレーを止めるタグラグビーもあります。初めから15人制の試合出場を目標にせず、接触の少ない形式からラグビーらしいパスと支え方を覚えるのも自然な入口です。

ラグビーにかかる費用

初回の体験では、ボールや練習用具をクラブから借りられることが多く、すべてを自分で用意する必要はありません。手持ちの運動着と、会場に合った靴で参加できるかを申し込み時に確認します。

見学や体験参加の費用 無料〜2,000円前後

継続を決めた場合の初期費用 約15,000円〜35,000円

ヘッドギアなども購入する場合 約25,000円〜45,000円

1回ごとの参加費 約500円〜2,000円

月会費で支払う場合 約1,000円〜6,000円

年間40回ほど続ける場合 約50,000円〜100,000円

初期費用の中心は、練習場所に合ったシューズです。大人向けのラグビースパイクは1万3,000円〜2万円前後から探せますが、芝の種類やポジション、クラブの方針によって適した靴底が変わります。最初に高価なモデルを購入せず、固定式スタッドと取り替え式スタッドのどちらを使えるか確認してから選びます。

人工芝や硬い土のグラウンドでは、突起の短い固定式の靴が選ばれることもあります。天然芝で地面がやわらかい日は長めのスタッドが必要になる場合もありますが、初心者が自己判断で選ぶより、普段その会場を使っている指導者へ相談するほうが安心です。

ウェアは、伸縮性があり、引っ張られても簡単に破れにくい運動着を使います。体験練習では手持ちのシャツや短パンで参加できても、接触練習へ進むと、身体に沿う練習着やラグビーパンツ、長いソックスが必要になることがあります。新しくそろえる場合は、5,000円〜1万円ほどを見ておきます。

マウスガードは、歯や口の中を守るために用いられます。市販品を自分の歯に合わせるものは比較的手頃ですが、うまく合わないと呼吸や会話を妨げたり、練習中に外れたりします。活動先の決まりを確認し、必要であれば歯科医院で相談する方法もあります。

ヘッドギアは、耳や頭部の切り傷、擦り傷などを減らすために使われる用具です。公式戦で使う場合は、競技規則に適合した製品を選びます。一般的な認証製品は1万円前後からありますが、所属先によって着用方針が異なるため、初回前に購入する必要はありません。

自分用のボールも後回しにできます。大人の練習では主に5号球を使いますが、初めのうちはクラブの共有球で十分です。ひとりでもパスやキックを練習したくなってから、普段使っているボールの大きさと感触を確認して購入します。

クラブの会費には、グラウンド代、用具代、協会や大会への登録、保険料などが含まれることがあります。一方で、公式戦へ出場する人だけ登録費やユニフォーム代を別に支払う団体もあります。

団体活動では、スポーツ保険へ加入する場合があります。2026年度のスポーツ安全保険では、64歳以下の大人が団体でスポーツ活動を行う区分の年間掛金は2,000円です。ただし、クラブ独自の保険や競技者登録に伴う制度を利用していることもあるため、個人で申し込む前に補償内容を確認します。

試合へ出るようになると、ユニフォーム、登録費、大会参加費、交通費、遠征費が加わります。普段の練習だけを楽しむ期間と、大会へ参加する期間では必要な費用が変わるため、最初から年間の遠征費まで用意する必要はありません。

費用を抑えるなら、まず体験参加で練習場所と活動内容を確かめます。継続を決めてからシューズを選び、マウスガードやヘッドギア、ユニフォームはクラブの決まりに合わせて一つずつそろえます。

ラグビーをおすすめする3つの理由

1.後ろへつなぐことで、チーム全体が前へ進む

ラグビーでは、手で前方へパスを出せません。

ボールを持った人が前へ走り、その後ろを味方が追います。相手が近づいたら、横や後方へボールを渡し、受け取った人が再び前へ向かいます。

一度後ろへ送ったのに、攻撃全体は少しずつ前へ進んでいく。

この独特な構造が、ラグビーの大きな魅力です。前方だけを見て走るのではなく、後ろから来る味方の声を聞き、どこへパスを出せば次の前進につながるかを考えます。

ボールを受け取らない人にも役割があります。持っている人のすぐ後ろへ入り、倒れたあとにボールを守れる位置を取る。少し離れた場所で次のパスを待ち、守備を横へ広げる。声を出して、自分が受けられることを伝える。

一人が長い距離を走り切る場面もありますが、その前には相手を引きつけた味方や、後ろから支えた人の動きがあります。個人の前進が、周囲の支えによって生まれることを実感できる競技です。

2.体格や速さだけでは決まらない、十五の役割がある

ラグビーには、異なる特徴を持つ選手が同じ場所に立てる面白さがあります。

力強く押すことが得意な人、空中のボールを取るのが得意な人、素早くパスを運ぶ人、広い場所を走る人、キックで相手の背後を狙う人。それぞれの特徴が別の役割として生かされます。

身体が大きい人だけが必要なのではありません。低い位置のボールへ素早く入れること、状況を見て短いパスを正確に出すこと、相手の動きを予測して守備位置を整えることも、チームに欠かせない力です。

初心者の段階では、すぐにポジションを固定しないこともあります。パス、ラン、キック、守備を一通り経験し、無理なく動ける場所や楽しいと感じる役割を探します。

同じ人でも、年齢や体力の変化によって関わり方を変えられます。試合への出場回数を減らしながら練習へ参加する、接触の少ない形式へ移る、コーチや運営として活動を支えるなど、競技との付き合い方を広げられます。

3.走る、蹴る、押す、拾うが、一つの流れの中にある

ラグビーの試合では、同じ動きだけを繰り返しません。

広い場所ではパスを回して走り、相手の背後に空間があればキックを使います。ボールを持った人が倒されると、その周囲へ味方と相手が集まり、次のボールを確保する攻防が始まります。

ボールが外へ出ればラインアウト、前へ落とすなどの反則があればスクラムで再開することがあります。止まった状態から力を合わせる場面と、広いフィールドを走る場面が交互に訪れます。

楕円形のボールは、地面へ落ちたあとも素直には弾みません。右へ跳ねると思ったものが左へ転がり、その一球を先に拾った側が攻撃へ移ります。完全には予測できない動きが、試合の流れを変えることもあります。

身体を使うだけでなく、どこへ立つか、誰を支えるか、蹴るべきか持って進むべきかを短時間で選びます。力、速さ、技術、判断が一つのプレーへ重なることが、ラグビーならではの奥行きです。

初心者を受け入れているクラブを探す

ラグビーを始めるときは、練習場所より先に、安全に教えてくれるクラブを探します。

日本ラグビーフットボール協会のチーム検索、都道府県協会、地域の運動施設、社会人クラブの案内などを確認します。「地域名 社会人ラグビー 初心者」「地域名 女子ラグビー 体験」「タッチラグビー 体験」など、地域と希望する形式を組み合わせて探すと見つけやすくなります。

申し込み前には、次の内容を確認します。

未経験者や長いブランクのある人を受け入れているか

最初は接触のない練習から参加できるか

15人制、7人制、タッチ形式のどれを中心にしているか

参加者の年齢層と、男女の参加条件

指導者がいるか、経験者同士の自主練習が中心か

タックルやスクラムをどのような段階で教えているか

練習場所の地面と、使用できるシューズ

体験料、会費、登録費、保険料に含まれるもの

試合出場や遠征への参加が必須か

けがや脳振盪が疑われた場合の対応方法

初心者歓迎と書かれていても、パス練習から丁寧に教えるクラブと、経験者の練習へ入りながら覚えるクラブでは負担が違います。問い合わせるときは、学校の授業を含めた経験の有無、運動から離れていた期間、接触プレーへの不安を率直に伝えます。

初回は、見学だけでも構いません。指導者の説明が聞き取りやすいか、接触練習の前に段階を踏んでいるか、選手同士が危険な動きを指摘できているかを見ます。

体格や経験が大きく違う人同士を、いきなり強い接触練習へ組ませる団体は避けたいところです。安全なクラブでは、技術、体力、体格、経験を考えながら組み合わせを決め、練習の目的と中止の合図を共有します。

勝敗を重視する競技志向のクラブと、週末の運動や交流を大切にするクラブでは、求められる参加頻度も異なります。週1回を無理なく続けたいなら、試合への出場、遠征、平日の自主練習がどの程度必要かも確かめておきます。

最初に用意したいもの

体験内容がパスやラン中心であれば、初回の持ち物はそれほど多くありません。

運動しやすいウェア 腕を動かしやすく、引っかかる装飾の少ないもの

練習場所に合うシューズ グラウンドとクラブの指定を確認する

飲み物 屋外で長く動くことを考え、十分な量を用意する

タオルと着替え 汗や雨、泥で濡れたあとに身体を冷やさないためのもの

日差しや寒さへの用品 帽子、日焼け止め、防寒着などを季節に合わせる

ビニール袋 泥の付いた靴や濡れたウェアを分けて持ち帰る

必要と案内された保護用品 マウスガードやヘッドギアなど、クラブの指示に従う

アクセサリー、腕時計、硬い髪飾りなどは、接触時に自分や相手を傷つける可能性があります。練習前に外し、爪も短く整えます。眼鏡を使う場合は、そのまま参加できる練習内容か、競技用ゴーグルが必要かを事前に相談します。

シューズは、芝や土の上で走り、急に止まり、相手との接触を受けても足元が大きくずれないものを選びます。スタッドが削れて鋭くなっていないか、緩んでいないかも、使用前に確認します。

マウスガードは、口へ入れたときに簡単に外れず、呼吸や短い会話を妨げにくいものが基本です。変形したものや、歯に合わなくなったものを使い続けません。

ヘッドギアは、競技規則に適合する認証製品を選びます。ただし、ヘッドギアを着ければ脳振盪を防げるわけではありません。耳や皮膚の擦り傷を減らす役割と考え、危険な姿勢での接触を許してくれる道具だと思わないことが大切です。

最初から買わなくてよいものは、個人用ボール、交換式スタッドのセット、複数枚のユニフォーム、大型のスポーツバッグです。クラブの共有用品と必要な服装が分かってから、不足するものだけを加えます。

初めての練習は、接触しない動きから

週1回のクラブ活動では、準備や片付けを含めて2時間から2時間30分ほど練習することがあります。初回はすべての内容へ参加せず、体力や経験に合わせて途中で見学へ戻れるか確認しておきます。

練習の一例は、次のような流れです。

グラウンドと体調の確認 10分前後

身体を温めるランニングや動的ストレッチ 20〜30分

二人組や三人組のパス 15〜20分

走りながら後方へつなぐ練習 20〜30分

タッチ形式の攻守練習 20〜30分

経験に応じた接触技術やユニット練習 20〜40分

短いゲームやチーム練習 20〜40分

片付けと身体を整える時間 15〜20分

最初のパス練習では、ボールを強く投げるより、受け手の胸の前へ回転をつけて送ることを意識します。手だけで投げず、肩と腰を相手へ向け、両手で最後までボールを導きます。

走りながらのパスでは、受け手が今いる場所ではなく、少し先へボールを送ります。ボールを受けた人が止まらずに進めれば、攻撃の速さを保てます。

パスを出した人も、その場で止まりません。再び後ろへ回って受け手になる、ボールを持った人の近くを支える、別の場所へ動いて相手の守備を広げるなど、次の役割へ移ります。

守備では、すぐにボールを奪おうとせず、相手と味方の間隔を保ちます。タッチ形式なら、決められた場所へ両手または片手で触れ、合図に従って後ろへ下がります。

接触練習へ進む場合も、初めは低い姿勢、足の運び、肩を当てる位置、腕の使い方をゆっくり確かめます。立った相手へ全力でぶつかるのではなく、静止した姿勢や専用パッドを使い、指導者の合図で段階的に強度を上げます。

スクラムやラインアウトも、見た目だけをまねて初心者同士で組みません。姿勢や組み方を誤ると首、背中、肩へ大きな負担がかかるため、経験と役割に応じた指導を受けます。

最初に覚えたい四つの動き

ボールを持った人の後ろへ回る

手で前へパスを出せないラグビーでは、ボールを受ける人が後ろから現れることが大切です。前へ出すぎるとパスを受けられず、攻撃にもすぐ参加できません。

ボールを持った人の肩より少し後ろへ位置し、名前や短い声で受けられることを伝えます。速く走ることより、渡せる角度と距離へ入ることを意識します。

両手で受け、両手で持つ

初心者のうちは、片手でボールを持ち続けず、身体の前で両手を添えます。楕円形のボールは角度が変わりやすいため、次にパス、キック、持って走るという複数の選択を残しておきます。

受けるときは、身体へ当たるのを待たず、両手を前へ出して迎えます。捕ったあとに胸の近くへ引き寄せると、落としにくくなります。

前へ走りながら、後ろへ渡す

パスを後方へ出そうとして、身体まで後ろへ向いてしまうと前進が止まります。走る方向は前に保ち、肩と腕の動きで横や後ろへ送ります。

短い距離から始め、受け手との速さが合ってから距離を広げます。強いパスより、走る人が取りやすい位置へ届く一本のほうが、次の攻撃につながります。

接触の前後で声を出す

ラグビーでは、視界の外から味方が近づく場面があります。ボールを受けたいとき、支えに入るとき、相手へタックルへ入るときには、短い声で位置を知らせます。

声は気持ちを盛り上げるだけでなく、衝突を避け、役割を重ねないための安全確認でもあります。大きな掛け声が苦手でも、名前や「右」「左」「後ろ」といった短い言葉から始められます。

基本ルールは、前進とボールの再開方法から覚える

初回前に競技規則をすべて覚える必要はありません。まずは、手のパスを前へ出さないこと、ボールを持って前へ走れること、前方へはキックを使えることを覚えます。

ボールを前方へ落とすとノックフォワードとなり、一般には相手側のボールによるスクラムで再開します。ボールが横のタッチラインを越えれば、ラインアウトから再開する場面があります。

ボールを持った選手がタックルされて地面へ倒れたら、ボールを抱えたまま動き続けることはできません。ボールを離し、タックルした側も相手とボールを解放して、次の攻防へ移ります。

倒れた選手の近くで、両チームの立っている選手が組み合ってボールを争う状態がラックです。初心者は横から無理に入らず、自分たちの側から参加することを覚えます。

立ったままボールを持つ選手と周囲の選手が組み合い、前進する状態はモールです。ラックやモールでは、身体の位置、参加する角度、手を使える場面に細かな決まりがあるため、実際の練習で指導者の説明を受けます。

オフサイドも、初めは複雑に感じるルールです。大まかには、ボールより前にいる味方が、そのままプレーへ参加できない場面があると覚えます。ボールを持つ人の後ろへ戻る習慣がつくと、位置関係を理解しやすくなります。

危険なタックル、頭や首への接触、ボールを持っていない相手への接触は認められません。趣味の練習でも、試合より弱いから大丈夫と考えず、頭部を避けた姿勢と安全な強度を優先します。

接触プレーは、自己流で練習しない

ラグビーを安全に続けるために最も大切なのは、接触の強さよりも技術を先に身につけることです。

タックルでは、相手の頭や首へ接触せず、自分の頭を危険な位置へ入れない姿勢を学びます。視線を落としすぎず、足を動かして相手との距離を調整し、指導された位置へ肩を当てます。

初心者だけで集まり、動画を見ながら全力のタックルを試すことは避けます。受ける側にも倒れ方やボールの守り方が必要であり、強さを上げる前に双方が動作を理解していなければなりません。

スクラムも、単に八人で押し合う動きではありません。首や背中を安定させる姿勢、隣の選手との組み方、相手との距離、レフリーの合図に合わせた動作が必要です。専門的な指導を受け、経験やポジションに合わない形で組まないようにします。

痛みを我慢することを、競技への慣れと考えないことも大切です。首、背中、肩、膝などに強い痛みやしびれが出た場合は、その場で練習を中止し、運営者へ伝えます。

脳振盪を疑ったら、その日は戻らない

ラグビーでは、頭同士の接触だけでなく、身体へ強い衝撃を受けた力が頭部へ伝わることで、脳振盪が起こることがあります。意識を失っていなくても、脳振盪ではないとは言い切れません。

頭痛、めまい、吐き気、ふらつき、反応の遅れ、記憶の混乱、見え方の異常、普段と違う受け答えなどがあれば、すぐにプレーから外れます。本人が「大丈夫」と話していても、その日の練習や試合へ戻しません。

疑いがある人を一人にしたり、自分で車を運転して帰らせたりせず、医療機関への相談とクラブの手順を優先します。症状が一度消えても、自己判断で翌日から接触練習へ復帰せず、医療者の確認を受けながら段階的に運動へ戻します。

ヘッドギアを着けていたかどうかで、脳振盪の有無を判断することもできません。用具だけに頼らず、危険な高さの接触を避ける技術、無理な練習を止められる環境、受傷後の適切な対応をそろえることが重要です。

天候とグラウンドにも気を配る

屋外で行うラグビーは、天候と地面の状態によって動きやすさが変わります。

夏のグラウンドでは、日差しだけでなく、湿度や風の弱さにも注意します。練習前から水分を取り、休憩を増やし、頭痛、吐き気、めまい、強いだるさがあれば日陰や涼しい場所へ移ります。

ヘッドギアや身体に沿うウェアを着けていると、熱がこもりやすく感じることもあります。暑い日に予定どおりの強度を続けず、練習時間や接触本数を調整します。

雷の音が聞こえたり、空が急に暗くなったりしたときは、広いグラウンドに残らず、運営者の指示で安全な建物へ移動します。雨が弱くても、地面が滑りやすくなり、足を取られる場合があります。

冬は、待ち時間に汗が冷えます。薄手の防寒着を用意し、長く休んだあとに再び練習へ入るときは、軽く走って身体を温め直します。

練習前には、穴、石、ガラス片、ぬかるみ、人工芝のめくれなどがないかを確認します。シューズのスタッドがグラウンドに合っていても、地面そのものが危険なら練習方法を変更します。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

第1段階 楕円のボールを、味方へつなぐ

最初は、近い距離でボールを受け、横や後ろへ返します。思わぬ方向へ回転したり、胸の前で取り損ねたりしながら、楕円の形に少しずつ慣れていきます。

走る人の前へ一本のパスが届き、相手に触れられる前に次の味方へつながれば、ラグビーの基本となる前進を体験できます。

第2段階 ボールを持っていない時間に動く

パスを受けることだけでなく、持っている味方の後ろへ回る、倒れたあとを支える、守備の人数が少ない場所へ移るといった動きが見えてきます。

自分にボールが来なかったとしても、立つ場所によって相手が動き、別の味方へパスが通ることがあります。ボールのない時間も、プレーの一部に変わります。

第3段階 接触の前後まで含めて、攻撃を続ける

安全なタックルや倒れ方を学び、接触のあとにどのようにボールを残すかを考えます。ボールを持つ人だけでなく、後ろから支える人の速さと位置も重要になります。

一人が倒されても攻撃が終わらず、味方がボールを確保して次のパスへ移れたとき、チームで前進を積み重ねる感覚がはっきりします。

第4段階 相手の配置を見て、前進方法を選ぶ

守備が中央へ集まっていれば外側へパスを回し、後方に空間があればキックを使います。相手が広がっていれば、近い場所で短くボールをつなぐ選択もできます。

力で押す、速さで外へ運ぶ、キックで背後を狙うという異なる方法を、同じ試合の中で選び分けます。自分の得意な技術だけでなく、チーム全体が進みやすい方法を考える段階です。

第5段階 プレーする人を支え、クラブを続ける

経験を重ねると、初心者へパスを教える、練習用具を準備する、グラウンドを確保する、試合運営やレフリーを手伝うといった役割も見えてきます。

試合へ出続けることだけが、ラグビーを続ける形ではありません。接触の少ない形式へ移ったり、観戦や指導を楽しんだりしながら、年齢や生活に合う距離でクラブへ関われます。

五つの段階は、順番に達成しなければならない階級ではありません。パス練習へ戻る日もあれば、試合より運営に力を入れる時期もあります。それぞれの場所で、仲間とボールをつなぐ時間を育てていけます。

あわせて楽しみたい関連する趣味

タッチラグビー

タッチラグビーは、タックルの代わりに相手へ触れることでプレーを区切る競技です。後方へのパス、支える位置、攻守の切り替えといったラグビーらしい動きを使いながら、強い身体接触を避けて楽しめます。

ラグビーを始める前の入口としても、接触競技から少し距離を置きながら続けたいときの選択肢としても相性があります。

フラッグフットボール

フラッグフットボールは、ボールを持つ人の腰についたフラッグを取ることでプレーを止めます。前方へパスを出せる点などルールは異なりますが、仲間と短い作戦を考え、空いた場所へ走る楽しさにつながります。

接触を抑えながら、楕円形のボールとチーム戦術に親しみたい人へ向いています。


ラグビー観戦

実際にプレーを始めると、試合を見るときの景色も変わります。ボールを持った選手だけでなく、その後ろを支える人、相手の進路を狭める守備、キックに備えて下がる選手の動きまで目に入るようになります。

自分のポジションに近い選手を追ったり、練習したばかりのプレーを試合で探したりすると、観戦が技術やルールを学ぶ時間にもなります。

後ろへ渡した一本が、チームを前へ運んでいく

最初の一日は、タックルを成功させたり、遠くへ正確なキックを蹴ったりしなくても構いません。

胸の前でボールを受け、走る味方へ一本渡す。ボールを持つ人の後ろへ回り、自分が受けられることを声で知らせる。攻守が変わったら、仲間と並んで守備位置へ戻る。

そのどれか一つができれば、すでにチームの前進へ加わっています。

ラグビーでは、前へ進みたいときほど、ボールを後ろへつなぎます。自分より後ろにいる味方を信じ、受け取った人はまた前を向く。その繰り返しによって、一本のボールが広いグラウンドを少しずつ進んでいきます。

次の休日には、通いやすい地域で未経験者を受け入れているクラブを探し、見学や接触の少ない体験練習があるか尋ねてみてください。最初のパスが思った場所へ届かなくても、拾ってくれる仲間がいれば、そこからもう一度つなぎ直せます。


休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。

ほかの趣味やレジャーも探してみたい方は、こちらの一覧から気になるものを覗いてみてください。

記事作成に使用している元情報や、データの整理方針についてはこちらで紹介しています。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集