そば打ちの楽しみ方
大きめのボウルへ粉を入れ、少しずつ水を加える。
最初はさらさらしていた粉が、指先で混ぜているうちに小さな粒になり、やがて一つのかたまりへまとまっていきます。
生地を押し、向きを変え、また押す。
表面が少しずつなめらかになったら、台の上で丸く広げます。麺棒を転がすたび、生地は薄く、大きくなっていきます。
折りたたんだ生地へ包丁を入れると、ようやく見慣れたそばの形になります。
幅がそろっていないところもある。
途中で切れて、短くなった麺もある。
思っていたより太い一本も混ざっている。
それでも、鍋でゆで、冷たい水で締めて器へ盛ると、自分で打ったそばが一食分として目の前に残ります。
そば打ちは、粉と水が一つの生地になり、細い麺へ変わり、最後には食事になるまでを楽しむ趣味です。
作品を作る趣味とも、料理をする趣味とも少し違います。
手を動かした結果が形に残り、そのまま食べられる。うまくいった部分も、次に直したい部分も、一口ごとに分かります。
そば打ちと聞くと、広い作業台や専用の包丁、大きな木鉢が必要な印象があります。
水の量を少し間違えるだけで失敗しそう。
細く均等に切れなければ、そばとは呼べないのではないか。
教室へ通わなければ、自宅では難しいのではないか。
けれど、最初から職人のような麺を目指す必要はありません。
手持ちの調理器具を使い、少ない量から試し、まずは一食分を最後まで作る。短い麺が混ざっていても、自分で打って、ゆでて、食べるところまで進められれば、最初のそば打ちとして十分です。
今回は、自宅で月に2回ほどそば打ちを楽しむ場合について、必要な時間と費用、工程ごとの面白さ、道具、身体への負担、安全面、そして続けることで変わっていく楽しみ方をまとめました。
※時間、費用、運動量は、自宅で家庭用の量を作る場合の目安です。作る量、そば粉の種類、つなぎの割合、使用する道具、室温や湿度によって変わります。
まず知っておきたい基本情報
一回に必要な時間
標準で約90分です。
材料を量るところから始め、生地を作り、のばし、切り、ゆでて食べられる状態にするまでを想定しています。
短時間の練習なら約30分から試せます。
たとえば、生地を少量だけ作る、水回しとこねの工程だけを確かめる、前回より切る幅をそろえる、といった一部分の練習です。
準備や片付けを含む総所要時間
約120分です。
そば打ちでは、粉が台や床へ広がりやすく、使用したボウル、麺棒、包丁、まな板、鍋などの片付けもあります。
作業時間だけでなく、調理台を空ける時間や、食後の洗い物まで含めて2時間ほど見ておくと、急がずに取り組めます。
想定する頻度
月2回、年間24回ほどです。
毎週行うほどではなく、二週間に一度くらいの頻度です。
前回の感覚を忘れ切る前にもう一度試せる一方、休日の予定をそば打ちだけで埋めずに続けられます。
主な実施場所
自宅のキッチンや、清潔で平らな作業台です。
生地をのばせる広さと、包丁を安全に使える場所があれば、自宅で取り組めます。
予約
自宅で行う場合は必要ありません。
天候や施設の営業時間に左右されず、材料があれば始められます。
運動強度の目安
今回のデータでは、立った状態での調理や生地をこねる動きを含む活動として、平均約2.5METsで整理しています。
一時間当たりの平均消費カロリー
体重60kgの人が平均2.5METsで一時間取り組んだ場合、単純計算では約158kcalです。
標準の90分を同じ条件で計算すると、約240kcalになります。
ただし、材料を量る時間、説明を見る時間、ゆで上がりを待つ時間なども含まれます。実際の消費量は、作る量、立っている時間、こねる動き、体格によって変わります。
そば打ちは運動量を増やすための趣味ではありませんが、座って過ごす休日とは違い、立った状態で手や腕を動かす時間を作れます。
初回体験費
0円から約400円ほどが目安です。
家庭にある道具を使い、材料も手元にある場合は、新しい道具を購入せずに試せます。
そば粉やつなぎに使う粉を新しく用意する場合は、今回の標準的な当日支出である約400円を見ておきます。
初期費用
標準約6,000円です。
手持ちのボウル、包丁、まな板、鍋などを活用し、不足する道具だけを用意する想定です。
当日支出
標準約400円です。
主にそば粉、つなぎに使う粉、打ち粉などの材料費を想定しています。
年間費用
約11,500円です。
月2回、年24回取り組み、初期費用を複数年使用する想定で算定しています。
楽しさの中心
粉と水が変化していく手触り、工程を最後までつなげる達成感、仕上がりを食べながら確かめられること、同じ材料でも毎回少し違うこと、家族や友人へ振る舞えることです。
そば打ちは、自宅で始めやすく、天候の影響もほとんど受けません。
雨の日でも、外出する元気がない日でも、材料と作業時間があれば取り組めます。
完成したものが食事になるため、休日に趣味の時間と食事の時間を別々に作らなくてもよいことも、この趣味の大きな魅力です。
そば打ちは、粉が麺へ変わっていく途中が面白い
店でそばを食べるとき、目の前にあるのは完成した麺です。
けれど、自分で打ってみると、そばが麺になるまでには、いくつもの変化があることが分かります。
粉へ水を加えても、すぐに生地になるわけではありません。
指先で混ぜていると、さらさらした粉の中に、小さな粒が増えていきます。
粒が大きくなり、互いにつながり始める。
手のひらでまとめると、ばらばらだった粉が一つのかたまりになります。
こねているうちに、生地の表面が少しずつ変わります。
のばすと、丸かった生地が大きな一枚になります。
折りたたみ、包丁で切ると、初めて一本ずつの麺になります。
どの工程も、次の工程とつながっています。
最初に水がうまく行き渡らなければ、こねてもまとまりにくくなります。
生地の厚さが均一でなければ、切った麺の太さや、ゆで上がる時間にも差が出ます。
切る幅が違えば、食べたときの口当たりも変わります。
一つの失敗が最後まで残ることもありますが、反対に、どこを変えればよいのかが分かりやすい趣味でもあります。
麺が短く切れたなら、水の加え方や生地の扱いを見直す。
太さがばらばらなら、のばす厚さや包丁の動かし方を確かめる。
ゆで上がりが柔らかすぎたなら、麺の太さやゆで時間を変える。
食べたときの違いが、次に試すことを教えてくれます。
そば打ちでは、完成した一皿だけでなく、途中の変化すべてが楽しみになります。
初めては「きれいなそば」より「一食分を完成させる」
初めてそばを打つと、細く長く、幅のそろった麺を作りたくなります。
けれど、最初から見た目を整えようとすると、水回し、こね、のばし、切りのすべてを同時に気にしなければなりません。
作業が遅くなり、生地が乾き、さらに扱いにくくなることもあります。
最初の目標は、一食分を最後まで完成させることです。
少し太くてもいい。
短い麺が混ざっていてもいい。
端の部分だけ形が違ってもいい。
粉だったものを生地にし、自分で切り、ゆでて、器へ盛る。
一口食べたときに、そばの香りや、自分で作った麺の歯触りを確かめられたら、最初の一回として十分です。
むしろ、少し不ぞろいな方が、次に直したいところが見つかります。
前回より麺が長くなった。
前回より太さがそろった。
生地をのばすときに破れにくくなった。
ゆで上がりが軽くなった。
完成度を一度で上げるのではなく、小さな違いを重ねていく方が、そば打ちを長く楽しめます。
そば打ちで過ごす一日の流れ
1.作業台を空け、道具を先に並べる
そば打ちを始める前に、調理台やテーブルの上を片付けます。
粉、水、計量器具、ボウル、麺棒、包丁、まな板、鍋、ざるなどを、使う順番に並べます。
途中で道具を探すと、生地を置いたまま離れることになります。
水を加えた後の生地は少しずつ状態が変わるため、最初に作業の流れを作っておくと落ち着いて進められます。
床や周囲へ粉が落ちることもあるため、掃除しやすい状態にしておきます。
2.材料をきちんと量る
そば粉、つなぎに使う粉、水を量ります。
最初は感覚だけで水を加えず、分量を記録します。
同じ分量で作っても、粉の種類、室温、湿度によって、生地のまとまり方が少し変わることがあります。
一度に水をすべて入れず、様子を見ながら加えていくと、変化を確かめやすくなります。
最初のうちは、使った粉と水の量を簡単に残しておくと、次回との比較がしやすくなります。
3.水を粉全体へ行き渡らせる
そば打ちで最初に手触りが大きく変わる工程です。
水を加えた部分だけを固めるのではなく、指先を使って粉全体へ広げます。
さらさらした粉が、小さな粒へ変わります。
粒の大きさが少しずつそろい、全体に水が回ってくると、まとめやすくなります。
この段階では、強く押して固めるよりも、粉と水を均一に出会わせることを意識します。
最初は、どの状態でまとめ始めればよいのか分からないかもしれません。
けれど、何度か作ると、粉の音や、指先へ残る感触が少しずつ変わることに気づきます。
4.一つの生地へまとめる
粒状になった粉を集め、一つのかたまりにします。
まとまり始めたら、手のひらで押し、向きを変え、また押します。
力だけで押し込むのではなく、生地の表面や割れ方を見ながら進めます。
最初は表面に細かな割れがあっても、こねるうちに少しずつなめらかになっていきます。
この工程は、手で材料の変化を直接感じられる時間です。
料理というより、粘土や生地を扱うものづくりに近い面白さがあります。
5.生地を少しずつ広げる
まとまった生地を台へ置き、手や麺棒で広げます。
最初から一方向へ強くのばすと、形や厚さが偏ることがあります。
生地の向きを変えながら、少しずつ大きくします。
丸かった形が広がり、薄い一枚になっていくと、そばらしい形へ近づいていることを感じられます。
端だけ薄くなっていないか。
中央だけ厚く残っていないか。
生地が台へ付いていないか。
すべてを完璧にそろえる必要はありませんが、厚さの違いを見つけながら進めます。
6.折りたたみ、一定の幅を意識して切る
のばした生地へ打ち粉を使い、折りたたみます。
包丁で切るときは、急いで細くしようとせず、まず一定の幅で進めることを目指します。
最初は少し太めでも構いません。
細く切ろうとして包丁が斜めになったり、幅が大きく変わったりするより、同じ動きを繰り返す方が、ゆで上がりもそろいやすくなります。
切った麺が並んでいくと、それまで一枚だった生地が、ようやく「そば」になったように見えます。
この瞬間は、そば打ちの中でも特に達成を感じやすいところです。
7.たっぷりの湯でゆでる
切った麺は、できるだけ早めにゆでます。
鍋に湯を用意し、麺が固まらないように入れます。
麺の太さに差があると、ゆで上がりにも違いが出ます。
細い麺は早く、太い麺は少し時間がかかります。
最初は見た目や時間だけに頼らず、一度確かめながら進めます。
熱湯を扱うため、鍋の周囲を片付け、湯をこぼさないようにします。
8.冷たい水で締め、器へ盛る
ゆで上がったそばをざるへ移し、冷たい水で締めます。
表面をやさしく洗い、ぬめりを落とします。
温かかった麺が冷たく締まり、手触りが変わります。
器へ盛ると、粉から始まった作業が一食分として完成します。
太さがそろっていなくても、短い麺が混ざっていても、自分で打ったそばです。
最初の一口では、味だけでなく、麺の太さ、硬さ、香り、のど越しを確かめます。
そこで感じたことが、次の一回のテーマになります。
そば打ちならではの楽しさ
粉と水だけで、変化がいくつも生まれる
そば打ちの材料は、比較的シンプルです。
けれど、水の加え方、こね方、のばす厚さ、切る幅、ゆで時間によって、仕上がりは変わります。
材料を増やさなくても、工程の工夫だけで違いが生まれます。
同じ粉を使っているのに、前回よりまとまりやすい。
前回より切れにくい。
前回より香りを感じる。
小さな違いを自分の手で作れることが、そば打ちの面白さです。
失敗が、次に試すことへ変わる
短く切れた麺も、太さの違う麺も、食べれば仕上がりの違いが分かります。
うまくいかなかったことが、曖昧なまま終わりません。
水を少し変える。
生地を乾かさない。
のばす順番を落ち着かせる。
切る幅を少し広くする。
ゆで時間を調整する。
次に試すことが見つかります。
一度の失敗が、そのまま次回の楽しみになる趣味です。
趣味の時間が、その日の食事になる
そば打ちは、完成したものを飾ったり保管したりするのではなく、その日に食べられます。
午前中に打ち、昼食にする。
午後に作り、夕食へ出す。
家族の分も打ち、一緒に食べる。
趣味へ使った時間が、生活の中へそのまま戻ってきます。
作業を楽しみ、最後に食事も楽しめるため、休日の満足が一つの流れで完結します。
一人でも、誰かとでも楽しめる
一人なら、粉の状態を見ながら、自分のペースで進められます。
誰かと一緒なら、材料を量る、こねる、のばす、切る、ゆでると工程を分けられます。
完成したそばを同じ食卓で食べれば、作った時間も含めて共有できます。
人へ振る舞うようになると、麺の長さや太さだけでなく、量、ゆで上がり、盛り付け、つゆとの組み合わせにも目が向きます。
自分の練習だったそば打ちが、誰かを迎える休日の過ごし方にも広がります。
天候に左右されず、自宅で集中できる
そば打ちは、自宅で行うため、雨や暑さ、寒さにほとんど左右されません。
出かける予定がなくなった日。
外へ出るほどの元気はない日。
家の中で手を動かしたい日。
二時間ほどあれば、材料を準備して始められます。
静かに集中する時間と、食事を作る時間を一つにできることも、そば打ちの強みです。
健康面と身体への負担
そば打ちの運動強度は、今回の想定では平均約2.5METsです。
体重60kgの人が一時間取り組んだ場合、消費カロリーの目安は約158kcalです。
標準の90分なら、単純計算で約240kcalになります。
ただし、すべての時間を同じ強度で動き続けるわけではありません。
材料を量る時間、説明を見る時間、湯が沸くのを待つ時間なども含まれます。
そば打ちは運動を目的にする趣味ではありませんが、立った状態で作業し、手、腕、肩を使います。
生地をこねるときには手のひらや腕を使い、のばすときには肩や背中も動かします。
一方で、作業台が低すぎると、前かがみの姿勢が続き、腰や肩が疲れやすくなります。
作業台の高さを確認する
長く前かがみにならずに済む高さを選びます。
低いテーブルを使う場合は、一度に長く続けず、工程の間で姿勢を戻します。
力だけでこねない
生地をまとまらせようとして強く押し続けると、手首や肩に負担がかかります。
粉の状態を見ながら、水を全体へ行き渡らせてからまとめる方が、無理な力を減らしやすくなります。
途中で手と肩を休める
のばしや切りの前に一度手を止め、肩や指を軽く動かします。
疲れて包丁の動きが不安定になった場合は、急いで最後まで切らず、一度姿勢を整えます。
月2回のそば打ちだけで日常の運動不足を補えるわけではありません。
それでも、休日に立って手を動かし、食事を一から作る時間を持てます。
身体への良さを大きく断定するより、座り続ける休日とは違う過ごし方を加えられる趣味として捉えるのが自然です。
一回にかかる費用
そば打ちは、家庭にある調理器具を使えば、低い費用から始められます。
専用道具を少しずつ加えることもできますが、最初から一式をそろえる必要はありません。
初回体験費
0円から約400円
ボウル、包丁、まな板、麺棒、鍋、ざるなどをすでに持っている場合は、主に材料費だけで試せます。
今回の標準的な当日支出は約400円です。
作る量や、選ぶそば粉によって費用は変わります。
初期費用
最小0円
標準約6,000円
上限の目安約36,000円
標準の約6,000円は、手持ちの調理器具を使いながら、不足する道具を買い足す場合の想定です。
道具・機材が約4,300円、初回の材料や教材が約600円、そのほか収納や衛生用品などを含めています。
上限の約36,000円は、専用のこね鉢、広いのし板、長い麺棒、そば包丁、こま板などを一式でそろえる場合の目安です。
初めての一回には必要ありません。
当日支出
最小0円
標準約400円
上限の目安約2,500円
主な支出は、そば粉、つなぎに使う粉、打ち粉などの材料です。
標準の約400円は、家庭用の量を作る場合の編集上の目安です。
そば粉の種類、産地、割合、作る量によって、費用は変わります。
一回の材料費は、そのまま一食分にもなります。
作品を作るだけで終わらず、食事として食べられるため、趣味費と食費の一部が重なるところも、そば打ちの特徴です。
年間費用
約11,500円
月2回、年間24回取り組む場合の目安です。
初期費用を複数年使用する分と、毎回の材料費を合わせています。
月平均では約960円です。
家庭にある道具を多く使えば初期費用を抑えられます。
一方で、粉の種類を比べたり、専用道具を少しずつそろえたりすると、費用は増えます。
そば打ちは、最初は低予算で試し、楽しみが分かってから道具や材料へこだわれる趣味です。
初めて用意するもの
最低限必要なもの
そば粉とつなぎに使う粉
水
材料を量るためのスケールや計量器具
大きめのボウル
麺をのばすための麺棒
清潔で平らな作業台
安定したまな板
包丁
大きめの鍋
ざる
清潔な布巾や衛生用品
最初は家庭にある調理器具を使います。
作る量を少なくすれば、専用の大きな道具がなくても進めやすくなります。
続けるなら用意したいもの
専用のこね鉢
広いのし板
長さのある麺棒
そば包丁
切る幅を安定させるこま板
打ち粉を広げやすい容器
麺や粉を保存する容器
作った分量や仕上がりを残すノート
専用道具は、作業を必ず上手にしてくれるものではありません。
けれど、作る量が増えたり、麺の幅をそろえたくなったりしたときに、作業を助けてくれます。
自分が難しいと感じている工程に合わせて、一つずつ追加します。
最初は買わなくてよいもの
高価なそば打ち道具一式
大きすぎるこね鉢やのし板
複数本の専用麺棒
上級者向けの重いそば包丁
大量のそば粉
石臼などの製粉用品
業務用の大型鍋や加熱器具
初めては、少量を家庭用の道具で作り、自分がどの工程を楽しいと感じるかを確かめます。
粉をまとめる手触りが好きなのか。
生地をのばす時間が好きなのか。
麺をそろえて切ることが好きなのか。
家族へ振る舞うことが好きなのか。
楽しみの中心が分かってから、必要な道具を選びます。
そば打ちで気をつけたいこと
手と作業台を清潔にする
作業前に手を洗い、ボウル、作業台、麺棒、包丁などを清潔にします。
生地は手で長く触れるため、途中でスマートフォンや別の食材を触った場合は、必要に応じて手を洗い直します。
食材の交差を避ける
生肉や魚を扱ったまな板、包丁、布巾を、そのままそば打ちへ使わないようにします。
作業台も清潔にし、ほかの食材や汚れが混ざらない状態にします。
そばを食べる人のアレルギーや食事制限も、事前に確認します。
包丁を安定した場所で使う
折りたたんだ生地を切るときは、まな板やのし板が動かないようにします。
急いで細く切ろうとせず、一定の動きを意識します。
包丁を使わないときは、刃先を安全な向きへ置きます。
熱湯を扱う場所を片付ける
そばをゆでるときは、大きな鍋と多めの湯を使います。
鍋の周囲へ道具を置きすぎず、持ち手に衣類や手が触れないようにします。
ざるへ移すときも、湯気や熱湯に注意します。
作ったそばは早めに扱う
打った麺は乾燥しやすく、状態が変わります。
ゆでるまで長く放置せず、清潔な状態で扱います。
すぐに食べない場合は、材料や作り方に合った方法で保存し、長時間室温へ置いたままにしません。
粉を床へ残さない
そば打ちでは、打ち粉や材料の粉が床へ落ちることがあります。
そのままにすると滑りやすくなったり、ほかの場所へ広がったりします。
作業後は台だけでなく、床や周囲も確認します。
続けると変わる楽しみ方
1.不ぞろいでも、一食分を完成させる
最初は、家庭にある道具を使い、少ない量を作ります。
麺が短くても、太さが違っても構いません。
粉へ水を加え、生地をまとめ、のばし、切り、ゆでる。
一連の工程を最後まで進め、自分で打ったそばを一口食べる。
それが最初の小さな到達点です。
2.水回しと太さを少しずつ安定させる
何度か作ると、前回うまくいかなかった部分を意識できるようになります。
水を一度に入れすぎない。
粉全体へ行き渡らせる。
生地の厚さをそろえる。
切る幅を急に細くしすぎない。
失敗の理由が少しずつ具体的になり、仕上がりを前回へ近づけられるようになります。
偶然できた一皿が、自分で再現できる一皿へ変わっていく段階です。
3.粉や割合、太さを自分で選ぶ
基本の工程に慣れると、自分で選べる部分が増えます。
そば粉とつなぎの割合を変える。
違うそば粉を使う。
少し太めに切る。
温かいそばに合う仕上がりを考える。
つゆや薬味を変える。
正解を一つ探すのではなく、自分が食べたいそばへ近づけていく楽しさが生まれます。
4.季節や粉の違いを記録する
さらに続けると、一回ごとの出来だけでなく、粉、湿度、室温、使った水の量などを比べたくなります。
同じ分量なのに、今日はまとまり方が違う。
前回より香りを強く感じる。
冬と夏では、生地を扱う感覚が少し違う。
簡単な記録を残すことで、偶然だった違いが、自分なりの工夫へ変わります。
一つの材料を深く知る面白さが増えていきます。
5.誰かへ振る舞い、季節の行事へ育てる
長く続けると、自分のためだけでなく、家族や友人へそばを打つようになります。
人数に合わせて量を考える。
食べる時刻から逆算する。
つゆや薬味を用意する。
ゆで上がりを待たせないようにする。
一人分を完成させる技術が、食卓全体を整える楽しみへ広がります。
年越しそばを自分で打つ。
季節のそば粉を選ぶ。
初めての人と一緒に打つ。
工程を説明しながら教える。
そば打ちが、一度きりの料理ではなく、季節や人を迎える習慣へ変わっていきます。
そば打ちが合いやすいのは、こんな日
外出せず、自宅で手を動かしたい日。
雨や暑さを気にせず、室内で集中したい日。
完成品を飾るより、その日に食べられるものを作りたい日。
料理を作るだけでなく、材料が変化する工程も楽しみたい日。
少し時間をかけて、いつもの昼食や夕食を特別にしたい日。
一人で静かに作業したい日。
家族や友人と、作るところから食卓まで共有したい日。
同じ材料を繰り返し使い、小さな改善を重ねたい日。
一方で、調理台を空ける時間がない日、急いで食事を用意したい日、片付けまで含めて余裕がない日には、少し取り組みにくいことがあります。
そば打ちは、短い料理ではありません。
粉が生地へ変わる時間を急がず、その日の一食を作ること自体へ休日を使いたい日に合いやすい趣味です。
初めてなら、短くても自分で打った一口を作る
初めてそばを打つなら、少ない量から始めたいです。
調理台を片付け、使う道具を先に並べる。
材料を量り、水を少しずつ加える。
粉が粒になり、やがて一つの生地へまとまるまで、手触りを確かめる。
生地を無理に大きくせず、家庭用の麺棒でのばす。
包丁で少し太めに切る。
短い麺が混ざっても、そのままゆでる。
器へ盛ったとき、店で見るような細く整ったそばではないかもしれません。
それでも、箸で一口持ち上げ、自分で打った麺を食べられたなら、最初のそば打ちとして十分です。
調べる前より、細い麺を作るより粉の変化をつなぐ趣味に感じました
調べる前は、そば打ちには、麺を細く均等に切る技術が一番大切な印象がありました。
職人のように包丁を動かし、長さと太さのそろった麺を作れなければ、十分に楽しめないようにも感じます。
けれど、工程を見ていくと、面白さは最後の切り方だけではありませんでした。
粉へ水が行き渡り、小さな粒になる。
粒が集まり、一つの生地になる。
丸い生地が一枚へ広がる。
折りたたんだ生地が、一本ずつの麺になる。
湯の中で麺が動き、冷たい水で締まる。
それぞれの工程が次へつながり、最後の一皿になります。
そば打ちの最初の目標は、店で出るような麺を作ることではありません。
粉だった材料を、自分の手で食べられる一口へ変えること。
次に打ったとき、その一口が前回より少し長く、少しなめらかになっていたなら。
自宅の調理台は、いつもの食事を用意する場所だけではなく、粉と水の変化を何度も確かめられる、小さなそば打ちの場所へ変わっていきそうです。
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
