シフォンケーキ作りの楽しみ方
ボウルの中で、卵白が白い泡へ変わっていく。
はじめは大きく頼りなかった泡が、ハンドミキサーを動かすうちに細かくなり、やがて持ち上げた羽根の先に、つやのある角が立ちます。そのメレンゲを卵黄の生地へ重ね、泡を残すように混ぜて型へ流すと、まだ焼いていないのに、ふんわりした仕上がりが少し想像できるようになります。
「焼いている途中でしぼんでしまわないかな」
「メレンゲは、どのくらいまで泡立てればよいのだろう」
「専用の型やハンドミキサーを、最初からそろえる必要があるのかな」
シフォンケーキは、卵の泡を生かして軽やかに焼き上げるケーキです。材料は薄力粉、卵、砂糖、油、水分など身近なものが中心ですが、泡立て方、混ぜ方、焼いたあとの冷まし方によって、膨らみや断面が変わります。
最初からきめの細かい理想の一台を目指すより、まずはプレーンなシフォンケーキを一つ焼き、型から外して切り分けるところまで進める。その一回だけでも、液体に近かった生地が、空気を含んだやわらかなケーキへ変わる面白さを味わえます。
シフォンケーキ作りの基本情報
一回の標準実施時間 約90分
短く取り組む場合 約30分
準備と片付けを含む総所要時間 約120分
想定頻度 月2回程度
主な場所 自宅の台所や、オーブンを使える作業環境
30分ほどの日は、レシピと型の確認、材料の計量、前回の焼き上がりの記録など、次の一台へ向けた準備に使えます。生地作りから焼成、逆さにして冷ますところまで行う日は、少なくとも2時間ほど空けておくと慌てません。
焼き時間そのものは40分前後でも、卵を分け、メレンゲを作り、生地を合わせ、焼き上がった型を完全に冷ます工程が続きます。代表的な17cm型の公式レシピでも、170℃で40〜45分ほど焼き、その後は型を逆さにして完全に冷ます流れが示されています。オーブンの機種やレシピによって条件は異なるため、最初は一つのレシピを基準にします。
シフォンケーキ作りの費用
初期費用 0円〜約36,000円
標準的な初期費用 約6,000円
一回の費用 0円〜約2,500円
標準的な一回の費用 約400円
年間費用 約11,500円
今回の想定は、自宅で月2回、年間24回ほど作る場合です。オーブン、ボウル、キッチンスケール、ハンドミキサーをすでに持っていれば、最初に買うものはシフォン型と材料だけで済みます。
標準的な初期費用では、17cm前後のシフォン型、ゴムべら、必要に応じてハンドミキサーや型外し用の道具をそろえる形を考えています。オーブンや電動ミキサーを一から購入する場合は、記事上の標準額や上限を超えることがあります。
一回約400円は、卵、薄力粉、砂糖、植物油などを使ってプレーンな一台を焼く編集上の目安です。生クリーム、果物、ナッツ、抹茶、上質な紅茶などを加えれば、材料費は高くなります。
節約するなら、最初から複数の型や香料をそろえず、同じ大きさの型と同じレシピを数回使います。材料が少し余っても、薄力粉や砂糖、油は普段の料理や別の菓子に使えるため、一台だけのために珍しい材料を増やさないことも続けやすさにつながります。
3つのおすすめ
1.卵白の泡が、そのままケーキの高さへ変わる
シフォンケーキ作りで最初に印象へ残るのは、メレンゲの変化です。
透明に近かった卵白へ空気が入り、大きな泡が細かくなり、白くつやのある状態へ変わっていきます。ミキサーの羽根を持ち上げたとき、先端がゆるく曲がるのか、しっかり角が立つのかによっても、生地へ混ぜたときの感触が違います。
その泡を卵黄の生地へ加えるときは、せっかく入った空気を消さず、それでも白い筋が残らないところまで混ぜます。初回は「泡をつぶしてはいけない」と慎重になりすぎ、生地が混ざり切らないこともあります。反対に、長く混ぜ続けると生地のかさが減り、焼き上がりにも影響します。
適切な状態は文章だけではつかみにくいものですが、同じレシピを繰り返すと、前回より生地が軽い、型へ流したときの高さが違う、と少しずつ分かるようになります。公式レシピでも、メレンゲのきめを整え、数回に分けて生地へ加え、つやが出て流れ落ちる状態まで合わせる工程が示されています。
2.逆さにした型の中で、焼き上がりを待てる
オーブンから出したシフォンケーキは、表面が大きく膨らみ、香ばしい色が付いています。けれど、その時点ではまだ完成ではありません。
焼き上がった生地はやわらかく、通常のケーキのようにそのまま置くと、重みで縮みやすくなります。そこで型ごと逆さにし、形を支えながら完全に冷まします。台所に逆さまの型が置かれている光景は、シフォンケーキ作りならではです。
すぐに切って確かめたくなりますが、冷えるまで型を外さず待ちます。触れられる温度になったと思っても、中心には熱が残っていることがあるため、レシピどおりに十分冷ますことが大切です。
型から外すときは、外側、中央の筒、底面へ沿うように道具を進めます。少しくぼみができたり、側面がきれいに外れなかったりしても、切り分けた断面に細かな気泡が広がっていれば、焼いている間には見えなかった成果を確かめられます。
3.同じ一台から、香りと食べ方を広げられる
プレーンなシフォンケーキを何度か焼くと、次は香りを一つ加えたくなります。
紅茶の茶葉、レモンやオレンジの皮、ココア、抹茶、きなこなど、加える材料によって、生地の色と香りが変わります。ただし、水分や粉類を増やすと生地の重さも変わるため、自己流で大量に足すのではなく、その材料に合わせて調整されたレシピを使います。
焼き上がった一台は、そのままでも、生クリームや果物を添えても味わえます。厚めに切ればふんわりした弾力が分かり、薄く切れば軽い口当たりが前へ出ます。翌日に少し落ち着いた生地と、焼いた日の香りを比べるのも楽しみ方の一つです。
一台を家族と切り分ける、季節の果物を添える、紅茶と一緒に休日のおやつにする。同じ基本の作り方から、香りだけでなく、食卓の場面まで少しずつ変えられます。
最初の作業場所では、泡立てと冷却の場所を空ける
シフォンケーキでは、メレンゲを作ってから型へ流すまでを、長く中断せず進めたいところです。作業を始める前に、材料をすべて量り、ボウル、ミキサー、ゴムべら、型を手の届くところへ並べます。
卵白を入れるボウルとミキサーの羽根には、水分や油分が残らないようにします。作業台には、焼き上がった型を逆さにして置ける、安定した場所も用意します。高さのある型を不安定な瓶へ載せると倒れるおそれがあるため、型の形に合う冷まし方を事前に確認します。
オーブンはレシピの指定に合わせて予熱し、型が天井やヒーターへ近づきすぎないかも見ておきます。焼いてから冷却場所を探すのではなく、熱い型を取り出す動線まで空けておくと落ち着いて進められます。
最初の型は、大きさと材質をレシピに合わせる
初めての型では、装飾や容量の大きさより、使うレシピと同じサイズであることを優先します。17cm型のレシピを15cmや20cmの型へそのまま流すと、生地の深さや焼き時間が変わります。
繰り返し作るなら、熱が伝わりやすく、生地が側面へつかまりやすいアルミ製のシフォン型が候補になります。アルミ型はシフォンケーキとの相性がよく、焼いたあと逆さにしても生地が滑り落ちにくいと製菓用品メーカーから案内されています。型に油を塗らず使う製品もあるため、購入した型とレシピの説明を確認してください。
底が外れる型は、冷めたあとに底面を外しやすい一方、洗う部品が増えます。オーブンの内寸、収納場所、作りたい人数も考え、最初は一台を繰り返し使える大きさにします。
初めての一日は、プレーンな一台を焼く
初回の目標は、きれいな飾り付けではなく、プレーンなシフォンケーキを焼き、完全に冷まして型から外すことです。
最初にレシピを最後まで読み、型の大きさ、卵の個数、予熱温度、焼き時間、冷却方法を確認します。材料は作業前にすべて量り、卵黄と卵白を分けます。
卵黄側の生地を作ったら、別のボウルでメレンゲを泡立てます。メレンゲを数回に分けて加え、底から返すように合わせ、白い筋が見えなくなったら型へ流します。大きな空洞を減らすための整え方も、使用するレシピに従います。
焼き上がったら、型を傾けたまま持ち歩かず、両手で安定させて冷却場所へ移します。逆さにして十分に冷まし、急いで外そうとせず、最後に断面を一切れだけ確認します。
「前回より膨らんだ」ではなく、初回は「上まで焼けた」「逆さにして冷ませた」「型から一台取り出せた」のどれか一つが残れば十分です。
最初に必要なもの
最低限必要なもの
オーブン、レシピに合うシフォン型、ボウル二つ、キッチンスケール、ハンドミキサー、泡立て器、ゴムべら、耐熱ミトンが基本です。材料は、卵、薄力粉、砂糖、植物油、水や牛乳など、選んだレシピに書かれたものだけを用意します。
あると便利なもの
粉ふるい、卵黄と卵白を分ける小さな器、タイマー、ケーキクーラー、型外し用のシフォンナイフがあると作業が整います。オーブン付属の表示と実際の温度に差を感じるようになったら、オーブン用温度計も検討できます。
続けるなら用意したいもの
よく使う型に合う保存容器、切り分けやすいケーキナイフ、同じ条件を残す記録帳が役立ちます。卵の個数、焼成時間、焼き色、断面を記録すると、次回に変える点を一つ選びやすくなります。
後回しにできるもの
複数サイズの型、上位のハンドミキサー、デコレーション用の回転台や口金、専用の撮影用品は、最初の一台には必要ありません。まずは一つの型で、プレーンな生地を安定して焼けるか確かめます。
安全に楽しむために
卵を割ったあとは手を洗い、作業台や器具を清潔に保ちます。生の生地を味見せず、中心まで焼き上がったことを、レシピで指定された方法で確認します。農林水産省も、生の卵へ触れたあとの手洗い、清潔な器具の使用、食品の十分な加熱、調理後の適切な保存を案内しています。
焼き上がった型、天板、オーブンの扉は高温です。乾いた耐熱ミトンを使い、熱い型を子どもやペットが触れられる場所へ置きません。やけどをした場合は、衣服を無理に脱がさず、速やかに10分以上冷やすことが消費者庁から案内されています。範囲が広い、痛みが強いなど心配な状態では医療機関へ相談します。
完成品は、使用した材料とトッピングに合う方法で保存します。生クリームや果物を添えたものは冷蔵し、プレーンなものでも高温の部屋へ長く置きません。食べ切れない分は清潔な容器やラップで包み、においや状態に異変があれば食べないようにします。
シフォンケーキには卵と小麦が使われ、レシピによって乳、ナッツ、大豆などが加わります。誰かへ渡す場合は、材料を省略せず伝えます。現在の食品表示制度では、卵、小麦、乳などが特定原材料として定められていますが、家庭で作ったものにも同じような配慮が必要です。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
1.プレーンな一台を完成させる
最初は一つのレシピに沿い、焼成、逆さ冷却、型外しまで進めます。表面に割れ目があっても、切り分けて味わえれば最初の完成です。
2.同じ膨らみをもう一度目指す
卵の量、メレンゲの状態、混ぜた回数、焼き時間を記録します。同じレシピを繰り返すと、前回と違った工程が少しずつ見つかります。
3.香りや食感を一つ選ぶ
紅茶、柑橘、ココアなど、調整されたレシピから一種類を選びます。ふんわり軽くしたいのか、香りをしっかり残したいのか、自分の好みも見え始めます。
4.季節の一台へ育てる
春は苺、夏はレモン、秋は栗やさつまいも、冬はチョコレートというように、添えるものや香りを季節へつなげます。同じ型が、一年の中で違うケーキに見えてきます。
5.焼いた日の記録を残す
家族と切り分ける、写真と断面を残す、気に入ったレシピを一冊にまとめるなど、自分に合う形で続けます。贈り物や販売へ進まなくても、同じ一台を落ち着いて再現できることが、長く続けた先の楽しみになります。
この五つは、正式な進級の順番ではありません。プレーンへ何度も戻ること、夏はオーブンを休むこと、形より味を優先する時期があることも、自然な続け方です。
あわせて楽しみたい関連する趣味
菓子作り
菓子作りでは、クッキー、プリン、パウンドケーキなど、異なる材料と工程を楽しめます。シフォンケーキで身に付いた計量、泡立て、焼き上がりを待つ感覚を、別のおやつへ広げたいときに向いています。
クッキー作り
クッキー作りは、メレンゲを保つシフォンケーキとは違い、生地の厚み、形、焼き色をそろえる面白さがあります。泡立ての繊細さから少し離れ、短い工程で焼き菓子を完成させたい休日にも選べます。
紅茶
紅茶は、焼き上がったシフォンケーキへ合わせるだけでなく、茶葉を生地へ加えて香りを作る楽しみにもつながります。軽やかなプレーン生地と、花や柑橘を思わせる茶葉の香りを組み合わせると、おやつの時間をもう一段ゆっくり味わえます。
最初の一台は、逆さまのまま待っている
次の休日にできる最初の一歩は、たくさんの味を調べることではありません。自宅のオーブンへ入る型の大きさを確認し、その型に合うプレーンなレシピを一つ選びます。
卵白を泡立て、白いつやが生まれたら、生地へ静かに重ねる。オーブンの中で少しずつ高さが出て、甘い香りが台所へ広がっていく。
焼き上がった型は、すぐには外さず、逆さまのまま冷めるのを待ちます。
完全に冷えたあと、型からそっと取り出し、最初の一切れを持ち上げる。指先へ返ってくる、ふわりとした弾力をもう一度確かめたくなったなら、次の一台につながる感覚は、もう手元に残っています。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも、思わず試してみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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