テキーラの楽しみ方
はじめに
小さなグラスへ透明なテキーラを少しだけ注ぎ、すぐには口をつけずに香りを確かめる。
青々とした植物、黒こしょう、柑橘、焼いた野菜、土、ほのかな甘さ。ひとつの香りに見えたものが、時間を置くと少しずつ別の表情を見せ始めます。
テキーラというと、塩とライムを添え、ショットグラスで一気に飲む姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。けれど、それは数ある飲み方の一つにすぎません。
本来のテキーラは、メキシコの指定地域で育てられたブルーアガベを原料とし、蒸煮、搾汁、発酵、蒸留、熟成を経て造られるお酒です。透明なブランコ、樽で休ませたレポサド、長く熟成させたアニェホでは、香りも口当たりも大きく異なります。
趣味として楽しむなら、何杯も飲む必要はありません。1回に15〜20mlほどを計り、香りを見て、少量の水や炭酸水を加え、料理と合わせて変化を確かめる。それだけで、一本のボトルを数か月かけて学べます。
この記事では、自宅で市販のテキーラを少量ずつ味わいながら、ラベルの見方、種類の違い、初めての飲み方、料理との組み合わせを知っていく楽しみ方を紹介します。
※テキーラは酒類です。日本では20歳未満の飲酒が禁止されています。
※この記事では市販品を味わう趣味を扱います。自宅での発酵や蒸留による酒造りは扱いません。
テキーラの基本情報
主な楽しみ方 市販のテキーラを少量ずつ味わい、原料、熟成、香り、飲み方、料理との相性を比べる
おすすめの頻度 月1回前後
1回の時間 約70分
短時間で楽しむ場合 約25分から
買い物や準備を含む総所要時間 約90分
主な場所 自宅の食卓や静かな部屋
最初に必要なもの テキーラ1本、小さなグラス、計量できるもの、水、軽い食事、記録するもの
始めやすさ 一般的な酒販店や通販で購入でき、手持ちのグラスがあれば特別な設備は必要ない
難しく感じやすいところ ラベルにある原料区分、熟成区分、蒸留所番号などを、一度に理解しようとしてしまうこと
楽しさの中心 同じブルーアガベから造られていても、製法、土地、熟成によって香りと味が変わることを知る
テキーラの原料となるのは、アガベ・テキラナ・ウェベル・バリエダ・アスル、一般にブルーアガベと呼ばれる植物です。テキーラを名乗るには、メキシコの原産地呼称で認められた地域で、定められた基準に従って造られなければなりません。
収穫したアガベは、葉を落として中心部の「ピニャ」を取り出します。これを加熱して糖分を引き出し、搾った液を発酵させ、蒸留することで透明な原酒が生まれます。
この原酒をそのままに近い状態で瓶詰めするか、木製容器で休ませるか、何年も樽熟成させるかによって、味の方向が変わります。アガベそのものの香りを感じやすいものもあれば、木、バニラ、香辛料、カラメルを思わせる香りが重なるものもあります。
テキーラにかかる費用
テキーラを味わう趣味に、包丁、まな板、温度計、発酵容器などは必要ありません。手持ちのグラスと計量カップを使うなら、最初にかかる費用の中心はボトル代です。
初めにかかる費用
手持ち品を使う場合 約2,000〜4,000円
比較的購入しやすいテキーラを1本選び、自宅の小さなグラスと計量用品を使う形です。最初から専用グラスやカクテル用品をそろえる必要はありません。
標準的な構成 約3,500〜7,000円
「100%アガベ」と表示されたブランコまたはレポサドを1本、小さなテイスティンググラス、15〜30mlを量れるメジャーカップやジガーなどを用意する場合の目安です。
熟成品や道具にもこだわる場合 約8,000〜20,000円以上
アニェホやエクストラ・アニェホ、少量生産品、特別な樽を使った商品を選ぶと、1本で1万円を超えることがあります。ただし、価格が高ければ初めての人にも分かりやすいとは限りません。
最初の基準として選ぶなら、商品情報が確認しやすく、もう一度購入できる価格帯のものが向いています。
ボトル1本の費用
一般的な750ml前後の商品には、2,000円ほどから購入できるものがあります。100%アガベのブランコやレポサドでは、2,500〜5,000円前後が一つの目安です。
熟成期間の長いアニェホ、著名なブランド、小規模生産品などは、5,000〜10,000円以上になることがあります。限定品やエクストラ・アニェホでは、さらに高額になる場合もあります。
通販を利用するときは、商品代だけでなく送料を含めて比べます。店舗でラベルを見ながら選べるなら、最初の1本は店頭で購入する方法も分かりやすいでしょう。
1回にかかる費用
700〜750mlのボトルから20mlを使う場合、1本で35回前後に分けられます。
テキーラ20ml分 約60〜300円ほど
炭酸水やジュース 約50〜200円ほど
氷、ライム、軽食 手持ち品なら0円、購入する場合は約100〜800円
記録用品 手持ち品なら0円
1回の趣味費は、テキーラだけなら100〜300円ほどに収まることがあります。カクテル用の果物や料理を新しく用意する場合は、500〜1,000円ほどを見ておくと無理がありません。
年間費用の目安
同じ1本を月1回、15〜20mlずつ味わうなら、年間4,000〜8,000円ほどでも続けられます。横持ちデータにある年間約6,000円は、手頃なボトルを1本購入し、手持ちの道具と食材を活用する場合には現実的です。
ブランコ、レポサド、アニェホを1本ずつ購入して比べる場合は、年間10,000〜25,000円ほどが目安になります。専門店での試飲、講座、イベント、メキシコ料理店での飲み比べなどは、日常のボトル代とは別の任意費用として考えます。
費用を抑える方法
最初から複数のボトルを買わず、まず1本をストレート、少量加水、ソーダ割りの三つで試します。条件を変えれば、同じテキーラから複数の表情を見つけられます。
複数を比較したいときは、テキーラを扱う店の少量試飲や、20歳以上を対象とした公式イベントを利用する方法もあります。フルボトルを何本も購入するより、自分の好みを確認しやすくなります。
見た目の華やかなボトルや限定箱へ予算を使う前に、原料区分、熟成区分、容量を確認します。趣味の初期段階では、瓶の装飾より、中身の違いを比べられることのほうが大切です。
テキーラをおすすめする3つの理由
1.一つの植物が、複雑な蒸留酒へ変わる
テキーラの原料は、穀物や果実ではなくブルーアガベです。畑で長い時間をかけて育ったアガベの中心部を加熱すると、硬かった植物から甘い香りが生まれます。
その糖分を発酵させ、蒸留すると、青い植物、焼いたアガベ、こしょう、柑橘、土、草、ほのかな甘さなどが重なるお酒になります。ラベルに書かれた原料は同じでも、香りは一つではありません。
透明なテキーラを前にして、なぜ焼いた野菜や香辛料のような香りがするのかを考える。その疑問から、栽培、加熱方法、発酵、蒸留へ関心がつながっていきます。
2.熟成期間を変えるだけで、輪郭が大きく変わる
ブランコでは、アガベの香りや蒸留による輪郭を比較的直接感じられます。レポサドになると、木製容器で休ませることで色が付き、樽由来の香りや丸みが加わります。
アニェホやエクストラ・アニェホでは、熟成によって木、バニラ、カラメル、カカオ、香辛料などを思わせる香りが重なりやすくなります。一方で、長く熟成させれば必ず好みに合うとは限りません。
アガベらしい青さや軽快さを好む人もいれば、樽の甘い香りや滑らかさを好む人もいます。熟成年数を優劣として見るのではなく、自分がどの部分を心地よく感じるかを探せます。
3.一杯の中から、メキシコの土地と食文化へ広がる
テキーラのラベルには、ブランド名だけでなく、原料区分、熟成区分、蒸留所を示す番号などが記されています。少し調べると、どの地域で、どの生産者が、どのような考えで造ったのかが見えてきます。
味わいは、ライムや塩だけでなく、とうもろこし、豆、トマト、唐辛子、香草、豚肉、鶏肉、魚介などを使った料理ともつながります。料理の辛さだけに注目するのではなく、酸味、香ばしさ、脂、塩味との関係を見ると、組み合わせの幅が広がります。
一杯を飲んで終わるのではなく、アガベ畑、蒸留所、地域料理、歴史、言葉へ関心が伸びていくことが、テキーラを学ぶ大きな魅力です。
最初の1本は、ラベルのどこを見るか
売り場には、シルバー、ゴールド、ブランコ、レポサド、アニェホなど、似ているようで異なる言葉が並んでいます。初回は、次の順番でラベルを見ると選びやすくなります。
「100% de Agave」の表示
テキーラには、原料となる発酵可能な糖分をすべてブルーアガベから得る「テキーラ100%アガベ」と、少なくとも51%をブルーアガベ由来とし、規格で認められた範囲でほかの糖分も使える「テキーラ」があります。
初めてアガベそのものの香りを知りたいなら、「100% de Agave」「100% Agave」などと表示された商品が分かりやすい入口です。ただし、100%アガベでなければテキーラではない、という意味ではありません。
どちらも規格に沿って造られたテキーラです。原料区分を知ったうえで比べると、ラベルの意味が味へつながります。
熟成区分
ブランコ/プラタ
蒸留後の個性を感じやすい、透明またはほぼ透明なタイプです。ブルーアガベ、こしょう、柑橘、草、土などを思わせる香りを探しやすく、最初の基準に向いています。
ホベン/オロ
ブランコと熟成したテキーラを組み合わせたものなどが含まれます。英語ではゴールドと表示されることもありますが、色だけで熟成期間を判断しないようにします。
レポサド
オークや樫の容器と接触させ、2か月以上休ませたタイプです。アガベの香りに木やバニラを思わせる香りが重なり、ブランコとの違いを比べやすくなります。
アニェホ
規定された大きさの木樽で、1年以上熟成させたタイプです。色が濃くなり、樽由来の香りや滑らかさを感じやすくなります。
エクストラ・アニェホ
3年以上熟成させたタイプです。長い熟成による複雑さを楽しめますが、価格も高くなりやすいため、最初から購入する必要はありません。
アルコール分
国内で販売されるテキーラには、アルコール分38〜40%前後の商品が多く見られます。見た目が透明で軽く感じられても、ビールやワインより度数の高い蒸留酒です。
購入前と飲む前に、必ずラベルの度数を確認します。同じ20mlでも、アルコール分によって含まれる純アルコール量は変わります。
NOM番号
テキーラのラベルには、「NOM」に続く番号が表示されています。これはブランドの順位や品質点数ではなく、認定された製造者を確認する手掛かりです。
異なるブランドでも同じNOM番号が書かれていれば、同じ製造施設で造られている場合があります。味に慣れてきたら、ブランド名だけでなく製造者のつながりを見る楽しみも生まれます。
容量と販売者
初回は、飲み切りやすさよりも、保管しながら少量ずつ試せるかを考えます。小瓶やミニボトルが見つかれば便利ですが、種類が限られることもあります。
輸入者、販売者、日本語の酒類表示が確認できる正規の販売店から購入します。栓や封印が破損しているもの、表示が不明確なもの、保管状態が分からないものは避けます。
初めての一日は、1本を三つの形で味わう
飲む量と予定を先に決める
始める前に、その後の運転、入浴、運動、外出の予定がないことを確認します。飲む量はボトルを開けてから決めるのではなく、15〜20mlほどを先に計ります。
空腹を避け、食事と水を用意します。趣味の目的は酔うことではなく、少量から香りと変化を知ることです。
ラベルを読む
商品名、100%アガベかどうか、熟成区分、アルコール分、NOM番号を確認します。すべてを覚えようとせず、初回は「100%アガベのブランコ、40%」という程度で十分です。
ボトルとラベルを撮影しておくと、後から価格や製造者を振り返れます。
5〜10mlをそのまま確かめる
小さなグラスへ5〜10mlほど注ぎ、すぐには飲まずに香りを見ます。アルコールの刺激を避けるため、グラスへ鼻を深く入れず、少し離れた位置から短く確かめます。
青い植物、焼いた野菜、こしょう、レモン、土、はちみつ、バニラなど、思い浮かんだ言葉を一つ残します。正解を当てるのではなく、自分が何を感じたかを記録します。
口に含むときも、ごく少量を舌へ置くようにします。一気に飲み干す必要はありません。
少量の水を加える
次に、同じグラスへ水を数滴から小さじ1杯ほど加えます。アルコールの刺激が和らぎ、それまで奥にあった香りを感じやすくなることがあります。
加水前より香りが開いたか、味が薄くなりすぎたか、口当たりが柔らかくなったかを見ます。変化が好みに合わなくても、それが一つの発見です。
ソーダで長くする
残りの10ml前後は、氷を入れたグラスへ移し、炭酸水を80〜120mlほど加えます。家庭で試す軽いテキーラソーダなら、度数を抑えながら食事と合わせられます。
好みでライムを少量搾りますが、初回は果汁を入れすぎないほうが、テキーラの香りを追いやすくなります。
3行だけ記録する
そのまま こしょうと青い植物のような香り。刺激は強め
加水後 甘い香りが少し見え、口当たりが柔らかくなった
ソーダ割り 柑橘と合わせやすく、食事中に飲みやすい
専門的な点数表を作らなくても、この3行があれば次回の比較に使えます。飲み終えたら水を取り、その日は別のテキーラを開けずに終えます。
一気飲みではなく、香りを見る
テキーラと聞いて思い浮かべやすい飲み方に、ショットグラス、塩、ライムがあります。けれど、ショットという言葉は一定量を表すこともあり、必ず一気に飲むという意味ではありません。
短時間に強い酒を飲み干すと、味や香りを確かめられないだけでなく、急性アルコール中毒や転倒などの危険も高まります。周囲から勧められても、速く飲む必要はありません。
ストレートで味わう場合も、15〜20mlほどを小さなグラスへ注ぎ、数回に分けます。刺激が強ければ、水を加える、氷を入れる、炭酸水で割る、飲まないという選択ができます。
三つの熟成区分を比べてみる
テキーラの違いを最も分かりやすく知る方法の一つが、ブランコ、レポサド、アニェホの比較です。ただし、3本を一度に購入する必要はありません。
ブランコで、アガベの輪郭を見る
最初の基準には、100%アガベのブランコが向いています。植物らしい青さ、こしょう、柑橘、土、加熱したアガベの甘さなどを探します。
カクテルにしたときも香りを残しやすいため、テキーラソーダ、パローマ、マルガリータなどへ広げられます。
レポサドで、木との重なりを見る
次にレポサドを選ぶと、ブランコとの違いが見えやすくなります。色、香り、口当たり、飲み終えたあとの長さを比べます。
アガベの輪郭を残しながら、木やバニラのような柔らかな香りが加わるものもあります。ストレートとソーダ割りの両方を試しやすい区分です。
アニェホで、熟成の奥行きを見る
アニェホでは、樽由来の香りや口当たりがさらに前へ出ることがあります。ウイスキーやブランデーを飲み慣れている人には、入りやすく感じられる場合もあります。
まず少量をそのまま味わい、水を数滴加えて変化を見ます。高価な商品を購入する前に、店やイベントで少量を試す方法もあります。
自宅で試しやすい飲み方
テキーラソーダ
テキーラ15〜20mlへ、冷たい炭酸水を100ml前後加えます。氷を使う場合は大きめのものを入れ、静かに混ぜます。
ブランコの青い香りや柑橘のような爽やかさを感じやすく、普段の食事にも合わせやすい飲み方です。
軽いパローマ風
テキーラ15〜20ml、グレープフルーツジュースまたはグレープフルーツ風味の炭酸飲料、炭酸水を合わせます。家庭では甘さと濃さを抑え、食事と水を取りながら楽しみます。
塩を使う場合は、グラスの縁全体へ多く付けるのではなく、少量だけ添えると味の変化を確かめやすくなります。
マルガリータ
テキーラ、オレンジ系のリキュール、ライム果汁を合わせる代表的なカクテルです。ただし、複数の酒類を使うため、見た目の量より純アルコール量が多くなりやすくなります。
初回からシェーカーを購入する必要はありません。まずは専門店で適切に作られた一杯を試すか、自宅ではテキーラソーダから始めます。
オン・ザ・ロック
レポサドやアニェホを大きめの氷へ少量注ぎます。氷が溶けるにつれて、香り、甘さ、刺激がどのように変わるかを追えます。
氷を入れたからアルコール量が減るわけではありません。注ぐ前に量を計ることが大切です。
料理との組み合わせを楽しむ
柑橘や香草を使った料理
ブランコの柑橘、こしょう、植物を思わせる香りは、ライム、レモン、香草を使った料理とつながりやすくなります。白身魚、えび、鶏肉、豆、トマトなどを使った軽い料理から試せます。
辛さを強くしすぎるとアルコールの刺激も強く感じることがあるため、初回は唐辛子を控えめにします。
焼いた肉や野菜
レポサドは、香ばしく焼いた豚肉、鶏肉、とうもろこし、きのこ、玉ねぎなどと合わせられます。料理の焼き目と、樽由来の木や香辛料を思わせる香りを比べます。
濃いソースを多く使うより、塩、柑橘、香辛料を少しずつ加えた料理のほうが、テキーラ側の変化を追いやすくなります。
チョコレートやナッツ
アニェホには、カカオ、バニラ、カラメル、木などを思わせる香りを持つものがあります。甘さを抑えたチョコレートや、無塩のナッツを少量合わせると、熟成香を確かめやすくなります。
デザートと一緒でも飲酒量は増やさず、小さな一杯をゆっくり味わいます。
メキシコ料理と合わせる
タコスやサルサだけをメキシコ料理のすべてと考えず、地域、家庭、使われるとうもろこし、豆、唐辛子、肉、魚介、香草の違いへ目を向けます。
料理とテキーラの産地が必ず同じとは限りませんが、どの味がアガベの香りを引き立てるかを考えると、食文化を立体的に知るきっかけになります。
最初に必要なもの
市販のテキーラ1本
初回は、100%アガベと表示されたブランコまたはレポサドが分かりやすい入口です。価格、度数、ラベルの読みやすさ、再購入しやすさを見て選びます。
小さく安定したグラス
専用のカバジートグラスやテイスティンググラスがなくても、小ぶりなワイングラス、リキュールグラス、安定した小さなタンブラーを使えます。
香りを確かめるため、洗剤、収納棚、布巾などのにおいが付いていないグラスを選びます。
計量できるもの
15ml、20ml、30mlなどを量れるジガー、小型の計量カップ、目盛り付きグラスが役立ちます。ボトルから目分量で注ぐと、回数を重ねるうちに量が増えやすくなります。
水と食事
テキーラと一緒に、同量以上の水を用意します。空腹時を避け、軽い食事とともにゆっくり味わいます。
記録するもの
商品名、区分、度数、香り、飲み方、料理との相性を残します。最初は写真と3行の感想だけでも十分です。
続けるなら用意したいもの
形の同じ小さなグラスが二つあると、同じテキーラの加水前後や、ブランコとレポサドを比べやすくなります。
大きめの氷を作れる製氷器、炭酸水、長いスプーン、柑橘を搾る小さな器具なども、普段の飲み方が決まってから用意すると無駄がありません。
開栓日を書いた小さなラベルも便利です。ボトルごとの変化や、どの程度の期間で飲んでいるかを確認できます。
最初は買わなくてよいもの
ショットグラスのセット、シェーカー、ミキシンググラス、何種類ものリキュール、専用の塩、飾り切り用の道具、大型の酒棚は、初回には必要ありません。
複数のボトルを並べるディスプレイ用品も後回しにできます。まずは1本を安全に保管し、自分がストレート、ソーダ割り、料理との組み合わせのどれを好むかを確かめます。
家庭用の蒸留器や発酵設備も、この趣味の道具には含めません。テキーラは原産地と製法が定められた酒類であり、自宅で似た蒸留酒を造ってもテキーラにはなりません。
安全に楽しむために
20歳未満は飲まない
日本では、20歳未満の飲酒が法律で禁止されています。成年年齢が18歳へ変わったあとも、飲酒できる年齢は20歳以上のままです。
透明なテキーラを水やジュースと間違えないよう、家庭内でも酒類だと分かる場所へ保管します。
一気に飲まない
テキーラはアルコール分40%前後の商品が多い蒸留酒です。短時間に続けて飲むと、急激に酔いが進む可能性があります。
ショットグラスを使う場合も、量を計る器として使い、飲み干す速さを競いません。飲酒を人へ強要したり、断った人へ繰り返し勧めたりしないことも大切です。
純アルコール量を把握する
飲酒量は、飲み物の容量だけでなく、含まれる純アルコール量で考えます。おおよその量は、次の式で求められます。
飲んだ量(ml)×アルコール分÷100×0.8
アルコール分40%のテキーラを20ml飲む場合、純アルコール量は約6.4gです。30mlなら約9.6gになります。
この数字は、誰にとっても安全な量を示すものではありません。体質、年齢、体調、服薬などによって影響は異なるため、自分が飲んだ量を把握するために使います。
運転する日は飲まない
飲酒後は、自動車、オートバイ、自転車などを運転しません。少量だから、時間を置いたからと自己判断せず、運転する予定がある日は飲酒しない選択をします。
飲酒を伴うイベントや飲食店へ出かける場合は、公共交通機関、徒歩、タクシーなど、帰りの方法を先に決めます。
飲酒を避ける状態を知る
妊娠中や授乳期、療養中、服薬中、体調が悪いときは飲酒を避けます。判断に迷う場合は、医師や薬剤師へ確認します。
少量でも顔が強く赤くなる、動悸、吐き気、強い眠気などが出る場合は、その日の飲酒を中止します。もともとお酒を飲まない人が、趣味のために飲み始める必要もありません。
飲酒後の入浴や運動を避ける
飲酒後すぐに熱い風呂へ入ること、運動すること、階段や高所で作業することは避けます。判断力や身体の動きが普段と変わり、転倒や事故につながることがあります。
味わい終えたら水を取り、片付けを済ませ、静かに過ごします。
火気から離す
アルコール度数の高い酒類は、火気の近くへ置きません。コンロ、ろうそく、たばこ、暖房器具などから離れた場所で扱います。
フランベのように酒へ火をつける行為は、家庭でテキーラを味わうためには必要ありません。
ボトルを立てて保管する
テキーラは直射日光と高温を避け、栓をしっかり閉めて立てた状態で保管します。長期間、液体が栓へ触れ続ける置き方は避けます。
開栓日を残し、香りや味に不自然な変化がないかを確認します。子どもやペットが触れない場所を選びます。
自宅で発酵・蒸留しない
日本では、アルコール分1度以上の飲料を製造する場合、原則として酒類製造免許が必要です。自分で飲むためであっても、自由に酒類を造れるわけではありません。
蒸留には火気、可燃性の蒸気、設備管理などの危険もあります。テキーラの製造を学びたい場合は、公式資料、認定された蒸留所の見学、専門講座などを利用します。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 1本を三つの飲み方で味わう
最初は、100%アガベのブランコかレポサドを1本選びます。そのまま、少量加水、ソーダ割りの三つで比べ、変化を3行だけ記録します。
多く飲むことではなく、一本の中に複数の表情があると知る段階です。
第2段階 ブランコとレポサドを比べる
次のボトルでは熟成区分を変えます。色、アガベの香り、木の香り、口当たり、余韻を比べます。
「透明なほうが好き」「樽の甘い香りがあるほうが落ち着く」など、自分の好みが少しずつ言葉になります。
第3段階 自分の比較軸を作る
アガベらしさ、こしょう、柑橘、植物、土、樽、甘さ、刺激、余韻などから、自分が重視する項目を3つほど選びます。
ラベルを見たときに、価格や知名度だけでなく、「今回はアガベの青さを比べたい」「次は樽の香りを見たい」と目的を持って選べるようになります。
第4段階 製造者、地域、製法、料理をつなげる
NOM番号から製造者を調べ、同じ蒸留所で造られる別ブランドを比べます。加熱方法、発酵、蒸留器、熟成樽などへ関心を広げると、香りの背景が少しずつ見えてきます。
料理との組み合わせも、辛いかどうかだけではなく、酸味、脂、香ばしさ、塩味、香草との関係で考えます。
第5段階 少量の発見を人と共有する
20歳以上の家族や友人と、ブランコとレポサドを10mlずつ比べる小さな会を開くこともできます。水、食事、計量用品を用意し、飲まない人の選択も尊重します。
産地や蒸留所の背景を調べ、専門店の試飲会や文化イベントへ出かける楽しみも生まれます。知識を競うのではなく、「この香りが分かりやすかった」「この料理で印象が変わった」と、相手の発見を助ける段階です。
あわせて楽しみたい関連する趣味
ジン
ジンも、香りを少量ずつ確かめ、ストレート、加水、ソーダ割りで変化を比べられる蒸留酒です。植物素材の香りを組み立てるジンと、ブルーアガベを中心に味が生まれるテキーラを比べると、原料と製法の違いが見えやすくなります。
メキシコ料理
メキシコ料理を学ぶと、テキーラをライムと塩だけで飲むイメージから一歩先へ進めます。とうもろこし、豆、トマト、唐辛子、香草、肉、魚介などの組み合わせを知り、地域や家庭による違いにも目を向けられます。
テキーラを料理へ機械的に合わせるのではなく、酸味、香ばしさ、脂、塩味との関係を一皿ずつ試せます。
酒蔵・ワイナリー見学
酒蔵やワイナリーの見学では、原料が発酵し、貯蔵や熟成を経て商品になるまでの流れを実際の設備から学べます。テキーラとは原料も産地も異なりますが、発酵、蒸留、熟成、品質管理という視点を持つきっかけになります。
小さなグラスの中から、アガベ畑をたどる
テキーラを楽しむために、勢いよくグラスを空にする必要はありません。
小さなグラスへ5mlほど注ぎ、少し離れた場所から香りを確かめる。水を数滴加え、青い植物、こしょう、柑橘、焼いたアガベ、木の香りの中から、気づいた言葉を一つだけ残す。
その小さな一杯を繰り返すうちに、ブランコとレポサドの違い、100%アガベという表示の意味、蒸留所や土地の背景が少しずつつながっていきます。
次の休日には、正規の販売店でラベルを一枚ずつ見ながら、100%アガベのブランコかレポサドを1本選んでみてください。ボトルの向こうに、長い時間をかけて育ったアガベと、それを一杯へ変える人々の仕事が見えてきます。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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