ジョギングの楽しみ方
玄関を出たら、すぐには走り始めず、最初の五分ほどは歩く。
いつもの道でも、少し身体を動かすつもりで眺めると、歩道の傾きや風の向き、街路樹の変化が目に入ります。
身体が温まってきたところで、歩幅を少しだけ広げる。
速く進もうとせず、歩く動作の延長のような速度で走り始めます。
次の交差点までゆっくり走る。
息が少し上がってきたら歩く。
呼吸が落ち着いたら、また短く走る。
帰り道は無理をせず、ゆっくり歩いて戻る。
走った距離は、それほど長くないかもしれません。
それでも、外へ出る前より身体は温まり、少し遠くまで自分の足で進んだ実感が残ります。
ジョギングは、速さや記録を追いかけることを中心にした運動ではありません。
会話できる程度の余裕を残しながら、ゆっくりした速度で身体を動かし続ける活動です。
止まらず走り続ける必要もありません。
歩く。
軽く走る。
呼吸を整える。
その日の体調に合わせて繰り返せば、短い時間でも十分にジョギングとして楽しめます。
一方で、始めようとすると迷うこともあります。
ランニングとは何が違うのか。
どのくらい遅く走ればよいのか。
歩いてしまってもよいのか。
一回に何分くらい動けばよいのか。
専用のシューズは必要なのか。
毎日続けた方がよいのか。
膝や足を痛めずに続けるには、何へ気をつければよいのか。
最初から三キロや五キロを目標にする必要はありません。
五分歩く。
一分ほど軽く走る。
二分歩く。
もう一度だけ走る。
これを数回繰り返し、二十分から三十分ほどで終了する。
走っている時間が合計五分ほどでも、ジョギングを始めたことになります。
今回は、ジョギングに必要な時間と費用、ランニングとの違い、最初の速度とコースの選び方、一回の流れ、歩きを取り入れる方法、安全上の注意、続けることで変わる楽しみ方をまとめました。
※時間や費用は、自宅周辺の平坦な道を中心に、一回30〜40分、年間40回前後行う場合の目安です。体力、年齢、地域、季節、走行距離によって変わります。持病、治療中の症状、運動制限などがある場合は、開始前に医療専門職へ相談してください。
ジョギングをざっくり整理すると
最初に試したい時間 20〜30分
慣れてからの一回 約30〜40分
最初に走る時間 一回30秒〜2分程度から
始めやすい頻度 週1回程度
年間の実施回数 年40回前後
初回体験費 手持ちの運動用品なら0円
基本用品をそろえる初期費用 約15,000円
標準的な用品をそろえる場合 約22,000円
通常日の支出 ほぼ0円
年間の費用 約15,500円
一回あたりの費用換算 約400円
一人での実施 しやすい
身体的な負荷 中程度
楽しさの中心 軽く走る爽快感、景色の変化、自分のペース、継続時間の変化
ジョギングでは、走行距離より、無理なく動けた時間を見ます。
三十分のうち、十五分を歩いていても構いません。
信号で止まる。
坂道では歩く。
疲れを感じたら予定より早く帰る。
自分で速度と終了時刻を調整できることが、長く続けるための大切な部分です。
ジョギングとランニングは、目的と強度の置き方が少し違う
ジョギングとランニングには、すべての人に共通する明確な境界があるわけではありません。
同じ速度でも、運動経験によって感じる負担は異なります。
そのうえで、趣味として考えるなら、二つには少し異なる重心があります。
ジョギングは余裕を残して動く
ジョギングでは、
呼吸が大きく乱れない。
短い会話ができる。
周囲の景色を見る余裕がある。
苦しくなる前に速度を落とせる。
こうした状態を大切にします。
距離やタイムより、一定時間を気持ちよく動くことが中心です。
ランニングは目標に合わせて負荷を高めることがある
ランニングでは、
距離を伸ばす。
タイムを短くする。
大会へ向けて練習する。
速い区間を取り入れる。
目的に応じて、速度や運動強度を高めることがあります。
ジョギングから始め、体力や関心に合わせてランニングへ進むこともできます。
遅い速度でも走る動作には負荷がある
ゆっくり走っていても、歩行より着地の衝撃や身体への負担が大きくなる場合があります。
遅いから安全だと決めつけず、シューズ、路面、疲労、痛みを確認します。
名前より自分の感じ方を優先する
周囲からはジョギングに見えても、自分には苦しい場合があります。
反対に、少し速くても余裕を持って走れる人もいます。
活動名へ自分を合わせるのではなく、呼吸と身体の状態に合わせて速度を決めます。
最初のペースは、歩く人と大きく離れないくらいでよい
ジョギングを始めると、走るからには歩行よりはっきり速く進まなければならないように感じることがあります。
けれど、最初は歩く速度から少しだけ上げる程度でも構いません。
会話できる程度の余裕を残す
誰かと一緒なら、短い言葉を無理なく話せる速度を目安にします。
一人の場合は、
呼吸を止めていないか。
肩へ力が入っていないか。
周囲の音へ気づけるか。
苦しくなる前に歩けるか。
を確認します。
歩幅を大きくしすぎない
速く進もうとして、足を前へ遠く伸ばす必要はありません。
自分の身体の近くへ足を置くような、小さな歩幅から始めます。
歩幅が大きくなりすぎると、着地時の負担が増えたり、姿勢が崩れたりすることがあります。
上半身を固めない
手を強く握る。
肩をすくめる。
腕を大きく振り回す。
身体へ余計な力が入ると、ゆっくりした速度でも疲れやすくなります。
手は軽く曲げ、肩を一度上げてから力を抜きます。
周囲の人へ速度を合わせない
前を走る人に追いつこうとする。
後ろから来る人へ道を譲ろうとして急に速くなる。
誰かに抜かれて焦る。
自分の予定していたペースを崩す必要はありません。
安全に通れる場所へ寄り、自分の速度を保ちます。
歩きを入れると、楽に走れる時間を増やしやすい
ジョギング中に歩くと、運動を中断したように感じることがあります。
けれど、歩く時間は、次の軽い走りへつなげるための調整です。
最初は時間で区切る
たとえば、
五分歩く。
一分走る。
二分歩く。
一分走る。
これを五回ほど繰り返し、最後に五分歩く。
走っている合計時間は短くても、無理なく身体を動かす経験を作れます。
苦しくなる前に歩く
息が大きく乱れてから歩くのではなく、まだ少し余裕がある段階で切り替えます。
歩きながら呼吸を整え、身体に違和感がなければ再び走ります。
歩く場所を先に決める
坂道。
信号の多い区間。
人通りの多い場所。
狭い歩道。
安全に走りにくい場所では、最初から歩くと決めておきます。
その場で迷わず、速度を落とせます。
走る時間だけを少しずつ延ばす
一分走っていた人が、次回は一分三十秒にする。
または、二分歩いていた時間を一分三十秒へ短くする。
両方を同時に変えず、一つだけ調整します。
最初のコースは、距離より安全に戻れることを優先する
景色のよい河川敷や長い遊歩道は魅力的です。
ただし、初回から遠くへ進むと、疲れた後も同じ距離を戻る必要があります。
自宅の近くを周回する
公園の外周。
自宅周辺の短い周回路。
一周十分ほどの道。
途中で終了しても、自宅へ戻りやすいコースを選びます。
平坦で路面の見やすい場所を選ぶ
急な坂。
段差の多い歩道。
砂利道。
車の出入りが多い場所。
夜間に暗くなる区間。
最初は避けます。
明るい時間帯に歩いて下見しておくと安心です。
信号と交差点を確認する
ジョギング中も、交通ルールを優先します。
青信号へ間に合わせるため速度を上げたり、左右を確認せず道路へ出たりしません。
信号では止まり、再開時も急に速く走り始めないようにします。
トイレや休める場所を見る
公園。
公共施設。
コンビニエンスストア。
ベンチ。
体調や天候が変わったときに、休める場所を一つ確認します。
行き先を共有する
一人で走る場合は、必要に応じて家族などへ、
走る場所。
出発時刻。
戻る予定時刻。
を伝えます。
特に早朝、夜間、普段と異なるコースでは、連絡手段を携帯します。
初回体験費・初期費用・当日支出を分けて考える
ジョギングは、手持ちの運動用品があれば、費用をかけずに試せます。
継続する場合は、シューズを優先して整えます。
初回体験費
普段の運動靴。
動きやすい服。
スマートフォン。
帽子。
短時間なら給水できる環境。
これらを使えば、
初回体験費 0円
です。
ただし、靴底が大きくすり減っている、足が靴の中で動く、走ると痛みが出る靴は使用しません。
基本用品をそろえる初期費用
入門向けランニングシューズ 約10,000円
速乾性ウェア 約2,000円
スポーツソックス 約1,000円
反射バンド 約1,000円
ランニングポーチ 約1,000円
合計 約15,000円
最初はシューズを優先し、服やバッグは手持ち品で代用できます。
標準的な初期費用
ランニングシューズ。
速乾ウェア上下。
スポーツソックス。
ポーチ。
帽子。
反射材やライト。
給水用品。
これらを整える場合、
約22,000円
が一つの目安です。
GPSウォッチを購入する場合は、さらに費用が増えます。
当日の支出
自宅周辺を走る通常の日は、
当日の支出 ほぼ0円
です。
飲料、交通、ロッカー、補給用品などを使う日に支出が発生します。
年間の費用
シューズやウェアの交換。
飲料。
日焼け止め。
反射用品。
小さな補給用品。
これらを含め、
年間の費用 約15,500円
が目安です。
年40回ほど行う場合、
一回あたりの費用換算 約400円
です。
初めてジョギングをする一日の流れ
1.体調と天候を確認する
睡眠。
食事。
疲労。
足や関節の痛み。
気温。
雨。
風。
暗くなる時刻。
確認します。
体調がよくない日は、ジョギングをやめて散歩へ変更しても構いません。
2.靴と持ち物を整える
靴ひも。
ソックス。
スマートフォン。
鍵。
反射材。
飲料。
必要な物を確認します。
鍵やスマートフォンを手へ持ったまま走らず、揺れにくいポケットやポーチへ入れます。
3.最初の五分は歩く
腕を軽く振りながら歩きます。
足首。
膝。
腰。
呼吸。
普段と違う違和感がないかを見ます。
4.短い区間だけゆっくり走る
次の街路樹まで。
公園の半周。
一分間だけ。
目標を小さく決めます。
歩く速度から少し上げる程度で十分です。
5.歩いて呼吸を整える
苦しくなる前に歩きます。
呼吸が落ち着き、痛みや強い疲れがなければ、もう一度走ります。
6.余裕がある段階で折り返す
予定時間の半分を過ぎたら、帰る方向へ進みます。
調子がよくても、初回から予定を大きく延ばしません。
7.最後は歩いて終える
帰宅前の五分ほどは歩きます。
呼吸と身体の動きを少しずつ落ち着かせます。
8.帰宅後と翌日に状態を見る
足裏。
かかと。
すね。
膝。
腰。
痛みや強い張りがないかを確認します。
その日の夜だけでなく、翌朝の状態も次回の参考にします。
距離より、同じ時間を気持ちよく終えられたかを見る
ジョギングを記録すると、距離や速度が数字として残ります。
分かりやすい一方で、数字だけでは見えない変化もあります。
前回より呼吸に余裕があった
同じ二十分でも、歩くまでの時間が少し長くなった。
走り終えた後も、呼吸を整えやすかった。
速度が変わらなくても、身体の感じ方が変化しています。
景色を見る余裕ができた
初回は足元だけを見ていた。
次は周囲の人や自転車へ早く気づけた。
季節の花や店の変化が目に入った。
安全に周囲を見る余裕も、ジョギングへの慣れです。
翌日の疲れが軽くなった
階段。
通勤。
家事。
普段の生活へ強い疲労を残さずに済んだ。
回復まで含めて安定してきたことも、続けやすさにつながります。
自分から速度を落とせた
調子がよくない日に歩きを増やした。
暑さを感じて早めに帰った。
膝へ違和感があり、その場で中止した。
予定より短く終える判断も、長く続けるための成長です。
記録は比較材料として使う
距離。
時間。
天候。
感じた負担。
翌日の状態。
短く残します。
前回より遅かったことを失敗にせず、遅くなった理由を考える材料にします。
道具は三つの段階で考える
最低限必要なもの
足に合う運動靴またはランニングシューズ
動きやすい服
安全なコース
スマートフォンなどの連絡手段
暗い時間帯の反射材とライト
短い試行なら、普段の運動用品で始められます。
継続する場合は、シューズの状態と足への合い方を優先して見直します。
続けるなら用意したいもの
速乾性ウェア
スポーツソックス
ランニングポーチ
帽子
反射バンドや反射ベスト
前後から見えるライト
飲料水
日焼け止め
雨具や防風着
活動量計またはGPSウォッチ
GPSウォッチは、ジョギングに必要な道具ではありません。
距離を細かく記録したい、スマートフォンを取り出さず時間を見たいと感じてから検討します。
最初は買わなくてよいもの
高価なレース用シューズ
用途別の複数シューズ
高性能GPSウォッチ
心拍ベルト
ハイドレーションベスト
高級コンプレッション用品
マッサージガン
大会用の装備一式
短時間のゆっくりしたジョギングでは、道具の性能より、足に合うことと安全に走れることを優先します。
安全に続けるために気をつけたいこと
距離・速度・頻度を同時に増やさない
前回より遠く走る。
速く走る。
走る日を増やす。
三つを同時に変えると、身体への負担も大きくなります。
まずは時間を五分だけ延ばすなど、一つずつ調整します。
痛みや体調の異変があれば中止する
鋭い痛み。
胸の痛み。
めまい。
ふらつき。
冷や汗。
異常な息切れ。
普段と違う強い疲れ。
このような変化があれば、その場で走ることを止めます。
安全な場所へ移動し、必要に応じて周囲へ助けを求めます。症状が強い、続く、繰り返す場合は、医療機関へ相談してください。
暑い日は時間帯と内容を変える
日中を避ける。
日陰の多い短いコースにする。
ジョギングを散歩へ変える。
予定そのものを中止する。
暑い中で予定どおり走ることを優先しません。
水分を準備し、必要に応じて休憩と補給を行います。
夜間は自分が見えることと、見つけてもらうことを考える
前方を照らすライト。
後方や側面から見える反射材。
明るい色のウェア。
自分が路面を確認するだけでなく、車や自転車から見つけてもらえる装備を使います。
イヤホンで周囲の音を遮りすぎない
車。
自転車。
歩行者。
踏切や警報。
周囲の音へ気づける状態にします。
音楽を聞く場合も音量を抑え、交通量の多い場所では外します。
靴と路面を確認する
靴底の摩耗。
靴ひもの緩み。
濡れた路面。
落ち葉。
砂。
凍結。
出発前と走行中に確認します。
滑りやすい場所では、速度を落とすか歩きます。
続けると変わる5段階の楽しみ方
1.歩きと軽い走りを組み合わせる
最初は歩いて身体を慣らし、短い区間だけゆっくり走ります。
苦しくなる前に歩き、水分と体調を確認しながら短時間で終了します。
走ることへの抵抗を減らし、身体が温まる感覚を知る段階です。
2.一定時間をゆっくり走る
複数回行うと、自分に合う遅いペースと呼吸のリズムが分かってきます。
会話できる程度の速度を保つ。
歩幅を抑える。
平坦なコースを選ぶ。
翌日に疲労を残しすぎず、週単位の習慣を作る段階です。
3.距離・ペース・コースを調整する
さらに続けると、体力や目的に合わせて内容を変えられます。
少し長く動く日。
短い区間だけ速度を上げる日。
別のコースを使う日。
休む日。
負荷を週単位で調整し、記録の変化を確認する段階です。
4.フォーム・路面・回復を管理する
関心が深まると、走行距離だけでなく、姿勢、接地、心拍、靴、睡眠、補給にも目が向きます。
フォームを撮影する。
路面と靴の相性を見る。
痛みがある日は休む。
過負荷の兆候を見つけ、長く走り続けられる環境を作る段階です。
5.大会や目標距離へ計画的に挑戦する
長く続けると、距離、タイム、大会完走などの目標を持つことがあります。
年間の計画を作る。
長く走る日を設ける。
目標に近いペースを試す。
記録と体調を分析する。
休養期も含めて、自分の走力へ挑戦する段階です。
ジョギングが合いやすいのは、こんな日
外へ出て、軽く身体を温めたい日。
速さを競わず、自分のペースで動きたい日。
散歩より少し運動量を増やしたい日。
街や公園の景色を眺めながら走りたい日。
短い時間でも、身体を動かした達成感が欲しい日。
一人で考え事から少し離れたい日。
距離や時間の小さな変化を記録したい日。
一方で、体調がよくない日、痛みがある日、暑さや悪天候が厳しい日は行いません。
予定していた日でも、
十分だけ歩く。
短い区間を一度だけ走る。
散歩へ変更する。
自宅で休む。
その日の状態に合わせられます。
最初の目標は、走り続けることより歩く前に自分で止めること
ジョギングを始めると、途中で歩かずに走り切りたくなるかもしれません。
次の角まで。
あと五分だけ。
一度止まったら、練習にならないように感じる。
けれど、苦しくなってから動けなくなるまで続ける必要はありません。
五分歩く。
一分ゆっくり走る。
まだ少し走れそうなところで歩く。
呼吸が落ち着いたら、もう一度だけ走る。
予定した時間を迎えたら、残りは歩いて帰る。
ジョギングの最初の目標は、三十分止まらず走り続けることでも、一キロの時間を短くすることでもありません。
苦しさに追い立てられて止まる前に、自分で速度を落とし、歩くことを選べること。
帰宅したときに少し余裕が残り、「次は最初の一分をもう一度走ってみよう」と思えたなら、その日は走り切れなかった一日ではなく、自分に合う速さを見つけた最初のジョギングになっています。
ウォーキングはこちら
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
