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将棋の楽しみ方

盤の上に駒を並べ、向かい側に座る人と一手ずつ動かしていく。

最初は、どの駒がどこへ進めるのかを確認するだけで精いっぱいかもしれません。それでも、歩を一枚進めると、その後ろにいた角や飛車の通り道が少しずつ開いていきます。

相手が一枚の駒を動かす。
なぜ、その場所を選んだのかを考える。
こちらも一手返す。
数手後、何気なく動かした駒が攻めや守りへつながっていたことに気づく。

将棋は、盤上の駒を取り合うだけの遊びではありません。

自分の王を守りながら、相手の王へ少しずつ近づいていく。相手が何を狙っているのかを想像し、自分の次の一手を決める。取った駒を自分の駒として盤上へ戻せるため、一度盤からなくなった駒も、別の役割を持って再び現れます。

同じ初期配置から始まっても、二局としてまったく同じ形にはなりにくいところが、将棋の大きな面白さです。

一方で、初めて指すときには、分からないことも多くあります。

駒の動きをすべて覚えなければ始められないのか。
王手と詰みは、何が違うのか。
一局にはどのくらい時間がかかるのか。
盤と駒を買わなくても練習できるのか。
負けた対局でも楽しめるのか。
経験者と指したら、すぐに終わってしまわないか。

最初から定跡や難しい詰将棋を覚える必要はありません。

無料の将棋アプリや入門用の盤駒を使い、駒の動きを確認しながら、一局を最後まで指してみる。途中で間違えても、王手を見落としても、まずは勝敗までたどり着く。

それだけでも、将棋の一局がどのように始まり、盤面が変わり、終わるのかを体験できます。

今回は、将棋に必要な時間と費用、基本的な楽しみ方、一局の流れ、初心者が最初に覚えたいこと、必要な道具、対局時の実用的な注意、続けることで変わる楽しみ方をまとめました。

※時間と費用は、家庭の将棋アプリや入門用の盤駒を使い、月に一〜二回程度の対局と短い学習を続ける場合の目安です。道場、教室、オンラインサービス、大会などを利用する場合は変わります。



将棋をざっくり整理すると

一局にかかる時間 約30〜60分

初めての対局時間 20〜40分程度から

対局後の振り返り 約10〜20分

始めやすい頻度 月1〜2回程度

初回体験費 無料アプリなら0円

対面施設で試す場合 一回500円前後から

初期費用 アプリなら0円、入門用の盤駒なら約3,000〜5,000円

当日の支出 自宅なら0円、道場や施設利用なら約500円から

年間の費用 約9,100円

一緒に楽しむ人数 二人

一人での練習 可能

楽しさの中心 読み、駒の連携、攻守の切り替え、勝敗、対局後の振り返り、少しずつ上達する蓄積

将棋は二人で対局するゲームですが、一人でも練習できます。

アプリの相手と指す。

詰将棋を一問解く。

過去の対局を盤へ並べ直す。

基本的な駒の動きを確認する。

相手がいない日にも、短い時間で盤へ向かえます。

一局の長さは、考える時間や経験によって大きく変わります。初心者同士なら、駒の動きを確認しながら一時間ほどかかることもあります。

最初は時間を急がず、分からないときにルールを確認できる対局から始めます。


将棋ならではの面白さは、取った駒をもう一度使えること

将棋では、相手から取った駒を自分の持ち駒として使えます。

盤上の空いている場所へ打ち、攻めや守りへ加えられることが、ほかの多くの盤上ゲームとは異なる特徴です。

取られた駒が、相手の味方として戻ってくる

自分の銀を取られると、その銀は相手の持ち駒になります。

しばらく盤上に現れないこともあれば、次の一手ですぐに自分の王の近くへ打たれることもあります。

駒を失うことは、数が減るだけではありません。

相手へ新しい選択肢を渡すことでもあります。

盤上にいない駒も考える

相手が歩や金を持っていれば、空いている場所へいつでも打てる可能性があります。

現在盤上に並んでいる駒だけでなく、双方の持ち駒を見ることが大切です。

少し慣れてくると、「この場所は空いているから安全」ではなく、「ここへ相手の駒を打たれたらどうなるか」と考えるようになります。

一手で攻めと守りの両方が変わる

将棋の一手には、複数の意味が含まれることがあります。

王を守る。

飛車の通り道を作る。

相手の駒へ当てる。

次に別の駒を動かす準備をする。

一見静かな一手が、数手後の攻めにつながることもあります。

駒が成ると役割が変わる

多くの駒は、相手側の一定の範囲へ進むと「成る」ことができます。

歩がと金になる。

角や飛車の動ける範囲が広がる。

駒が進んだことで、新しい役割を持ち始めます。

どこで成るか、あえて成らないかという判断も、将棋ならではの選択です。


初回体験費・初期費用・当日支出を分けて考える

将棋は、手持ちのスマートフォンを使えば、費用をかけずに始められます。

盤と駒を買う場合も、入門用品から選べます。

初回体験費

無料の将棋アプリを使う場合、

初回体験費 0円

です。

将棋道場、交流施設、教室などで対面の一局を試す場合は、

一回500円前後から

が目安です。

施設によっては、席料、指導料、会員登録などが別に必要です。

初期費用

アプリだけを利用する場合、

初期費用 0円

です。

家庭用の折りたたみ盤や薄型盤と、読みやすいプラスチック駒をそろえる場合は、

約3,000〜5,000円

が目安です。

最初から厚い木製盤や高級な駒を購入する必要はありません。

当日の支出

自宅でアプリや手持ちの盤を使うなら、

当日の支出 0円

です。

道場などを利用する日は、席料として500円前後からかかる場合があります。

年間の費用

盤駒、学習書、施設利用、アプリの有料機能などを含め、月に一〜二回程度続ける場合、

年間の費用 約9,100円

が目安です。

無料のアプリと図書館の本を中心にすれば、より少ない費用でも楽しめます。

反対に、教室、道場、大会、有料サービスを継続して利用すると、年間費用は増えます。


最初に覚えたいのは、駒の動きと対局の終わり方

将棋には八種類の駒があります。

王将または玉将。

飛車。

角行。

金将。

銀将。

桂馬。

香車。

歩兵。

最初から、それぞれを使った攻め方まで覚える必要はありません。

まずは、どの方向へ動けるかを確認します。

王は一マスずつ動く

王は、周囲の多くの方向へ一マスずつ動けます。

相手に取られる場所へ、自分から動かすことはできません。

将棋では、自分の王を守りながら相手の王を追い詰めます。

金は守りへ使いやすい

金は、前後左右と斜め前へ一マス動けます。

王の近くへ置き、守りに使われることが多い駒です。

初心者のうちは、金を王の近くから遠くへ動かしすぎないことを意識すると、守りを作りやすくなります。

飛車と角は遠くまで動ける

飛車は縦と横。

角は斜め。

途中に駒がなければ、遠くまで動けます。

強い駒ですが、相手に取られると、そのまま相手の持ち駒になります。

目の前の駒を取れるからといって、すぐに動かさず、その後に相手から取られないかを見ます。

桂馬はほかの駒を飛び越える

桂馬は、前へ二マス、左右へ一マス進む独特の動きをします。

途中に駒があっても飛び越えられます。

ほかの駒とは動きが違うため、最初は盤を見ながら確認して構いません。

王手と詰みを区別する

次の手で王を取れる状態が王手です。

王手を受けた側は、

王を逃がす。

攻めている駒を取る。

間へ別の駒を入れる。

などの方法で対応します。

どの方法でも王を守れない状態が詰みです。

最初は、王手をかけることより、自分の王へ王手がかかっていることに気づく練習から始めます。


将棋を楽しむ日の流れ

1.盤と駒、またはアプリを用意する

対面で指す場合は、駒が40枚そろっているかを確認します。

初期配置に並べ、どちらが先に指すかを決めます。

アプリなら、初心者向けの難易度や駒の動きを表示する機能を選びます。

2.最初は王の周りを少し守る

序盤から相手の駒を取りに行くだけでなく、自分の王の近くへ金や銀を動かします。

難しい囲いを完成させなくても、王の隣に守りの駒があるだけで違います。

3.飛車と角の通り道を見る

歩を動かすと、その後ろにいる飛車や角が働けるようになります。

自分の駒で進路をふさいでいないか。

相手の飛車や角が、こちらの駒を狙っていないか。

長く動ける駒の線を確認します。

4.相手の一手の理由を一つ考える

相手が駒を動かしたら、すぐに自分の手を決めません。

こちらの駒を取りたいのか。

王へ近づきたいのか。

守りを作っているのか。

正解が分からなくても、「何を狙っていそうか」を一つ考えます。

5.取った駒を持ち駒として使う

相手の駒を取ったら、手元へ置きます。

盤上へ戻せることを忘れず、攻めだけでなく守りにも使います。

王手されたときに、持ち駒を間へ打って守れる場合もあります。

6.勝敗まで一局を続ける

大きな駒を取られたり、形勢が悪くなったりしても、最初はすぐに終わらせず、可能な範囲で最後まで指します。

終盤になると、持ち駒を使った攻めや王の逃げ方など、序盤とは違う局面を経験できます。

7.終わった後に一手だけ振り返る

対局後には、すべての手を反省しなくても構いません。

飛車を取られた場面。

王手に気づかなかった場面。

うまくスペースを守れた一手。

一つだけ戻り、「別の手はあったか」と考えます。


負けた一局にも、次につながる発見がある

将棋は、勝敗がはっきりするゲームです。

負けると、自分の考えがすべて間違っていたように感じることがあります。

けれど、一局の中には、勝敗とは別の小さな変化があります。

前回より王手へ早く気づいた。

駒の動きを間違えずに指せた。

一枚の駒をただで取られなかった。

持ち駒を使えた。

相手の狙いを一度止められた。

最初は、勝った回数だけで上達を測る必要はありません。

自分が困った場面を一つ覚え、次の対局で同じ形が出たときに気づければ、それも確かな変化です。

感想戦は、責める時間ではない

対局後に、互いの手を振り返ることを感想戦と呼びます。

「ここで何を考えていたか」

「この手を指されたときに困った」

「別の手ならどうなったか」

を一緒に確認します。

経験者と指す場合も、すべての悪手を細かく指摘してもらうより、一番大きかった場面を一つ教えてもらう方が、次に試しやすくなります。


一人でもできる短い練習

対局相手がいない日にも、将棋を楽しむ方法があります。

駒の動きを確認する

盤上へ駒を一枚置き、動ける場所を確認します。

特に、銀、桂馬、成った駒は混乱しやすいため、実際に動かすと覚えやすくなります。

一手詰めを解く

あと一手で相手の王を詰ませる問題です。

使える駒。

相手の逃げ道。

守りの駒。

盤面を少しずつ確認します。

短い時間で終わるため、毎日の練習へ取り入れやすくなります。

過去の対局を並べ直す

自分の対局を記録していれば、気になった局面まで並べます。

記録がなくても、最後に大きな駒を失った場面だけ覚えておき、簡単に再現する方法があります。

入門者向けの解説を見る

最初は、戦法を多く覚えるより、

王の守り方。

駒をただで取られない方法。

一手詰め。

基本的な内容を一つずつ見ます。

学んだ内容を、次の一局で一度試します。


道具は三つの段階で考える

最低限必要なもの

無料の将棋アプリ。

または、薄型の将棋盤と駒一式。

基本ルールを確認できる説明書。

対面で指すなら、家庭のテーブルと椅子や座布団も使えます。

アプリなら、盤と駒を置く場所がなくても始められます。

盤駒を購入する場合は、駒に文字がはっきり書かれ、持ちやすい入門用品を選びます。

続けるなら用意したいもの

木製の卓上盤

木製駒

駒台

棋譜用紙と鉛筆

詰将棋や入門定跡の本

対局時計

駒箱や盤のカバー

棋譜を記録できるアプリ

木製の卓上盤、駒台、学習書などをそろえる場合、

初期費用 約18,000円

が一つの目安です。

ただし、盤や駒の材質によって強さが変わるわけではありません。

最初は買わなくてよいもの

脚付きの厚い将棋盤

高級な彫駒や盛上駒

高品質な駒台

高額な対局時計

大型の将棋用品棚

専用の研究用パソコン

多数の定跡書や棋譜集

最初は無料アプリか入門用の盤駒で十分です。

高価な盤や駒は、木の質感、文字の美しさ、道具として長く使う楽しみへ関心が生まれてから検討します。


気持ちよく対局するために

「待った」を使うか最初に決める

初心者同士の練習では、明らかな操作間違いや駒の動かし方の間違いを戻すことがあります。

正式な対局では、一度指した手を戻せないのが基本です。

始める前に、練習としてどこまで戻してよいかを決めます。

道場や大会のルールを確認する

持ち時間。

対局時計。

先後の決め方。

棋譜。

投了。

施設や大会によってルールが決められています。

分からない場合は、対局開始前にスタッフへ確認します。

オンライン対局でも相手へ配慮する

不利になったから接続を切る。

必要以上に時間を使って放置する。

相手を傷つける言葉を送る。

こうした行為は避けます。

勝敗にかかわらず、一局を終えるところまで含めて対局です。

長時間同じ姿勢を続けない

対局や学習が長くなる場合は、局と局の間に立ち上がります。

目を盤や画面から離し、飲み物を取ります。

手首や肩に力が入り続けないよう、姿勢も調整します。

盤駒を飲食物から離す

木製の盤や駒は、水分や急激な湿度変化の影響を受けます。

濡れた手で扱わず、飲み物を盤の近くへ置きません。

駒をすべて確認して片付ける

将棋の駒は、合計40枚です。

対局後に枚数を確認し、駒箱や袋へ戻します。

小さな部品になるため、幼い子どもやペットが口へ入れない場所で保管します。


続けると変わる5段階の楽しみ方

1.駒を動かし、一局を最後まで指す

最初は駒の動きと初期配置を確認します。

交互に一手ずつ指し、王手と詰みを経験します。

勝敗にかかわらず、一局を完了する段階です。

2.王を守りながら攻める

複数回対局すると、駒の価値や連携が少しずつ分かってきます。

金や銀で王を守り、取った駒を使いながら、相手陣へ進みます。

簡単な詰みや、自分が指しやすい形を覚える段階です。

3.戦法・読み・形勢判断を使う

さらに続けると、定跡、手筋、詰将棋を学ぶようになります。

一手だけでなく、その後の相手の返しと自分の次の手を考えます。

駒を得することと、王の安全を比べながら方針を決める段階です。

4.棋譜・理論・対局文化へ目を向ける

関心が深まると、過去の名局、戦法の変化、持ち時間、大会制度にも目が向きます。

棋譜を並べ、なぜその手が選ばれたのかを考えます。

自分の対局だけでなく、将棋の長い文化と理論を知る段階です。

5.自分の棋力へ継続的に挑戦する

長く続けると、段級位、平均成績、大会など、具体的な目標を持てます。

苦手な戦法を研究する。

自分の棋譜を分析する。

強い相手との対局から学ぶ。

知識、読み、判断、集中を総合し、自分の棋力を少しずつ高める段階です。


将棋が合いやすいのは、こんな日

自宅で静かに頭を使いたい日。

短い時間でも、考える趣味へ触れたい日。

一人で練習し、後から対人戦を楽しみたい日。

運に任せるだけではなく、自分の選択を積み重ねたい日。

年齢や体力を問わず、長く続けられるゲームを探したい日。

家族や友人と、同じ盤を挟んで過ごしたい日。

対局後に、自分の判断を振り返りたい日。

一方で、疲れていて数手先を考えることが負担になる日は、無理に一局を始める必要はありません。

一手詰めを一問だけ解く。

好きな対局の解説を見る。

駒を並べるだけにする。

将棋には、短く触れる楽しみ方もあります。


最初の目標は、勝つことより一局を自分の手で終えること

将棋を始めると、相手の駒を取ることや、勝敗が気になります。

経験者を相手にすると、何をすればよいか分からないまま負けることもあります。

けれど、最初の一局で大切なのは、よい戦法を使うことではありません。

駒を正しく並べる。

動かせる場所を確認する。

自分の王を少し守る。

相手の一手を見てから考える。

王手へ気づく。

勝敗まで盤の前にいる。

途中で迷っても、ルールを確認しながら進めれば構いません。

将棋の最初の目標は、経験者に勝つことでも、難しい詰みを見つけることでもありません。

自分で選んだ一手を積み重ね、一局がどのように終わったのかを見届けること。

終局後に盤を少し戻し、「ここで王手に気づけていたら、もう一手続いたかもしれない」と思える場面が一つ見つかったなら、その負けも次の対局へつながる、自分だけの最初の棋譜になっています。


休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。



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