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タイ料理の楽しみ方

はじめに

熱したフライパンへ、刻んだにんにくと唐辛子を入れる。香りが立ったところへひき肉を加え、ナンプラーを回しかけると、いつもの台所に少し甘く、少し刺激のある香りが広がります。

仕上げにバジルの葉を加え、ご飯と目玉焼きを添える。材料は身近でも、塩味、甘味、辛味、香草の香りが重なることで、一皿の中にタイ料理らしい輪郭が現れます。

タイ料理というと、舌が痛くなるほど辛い料理や、ココナッツミルクを使ったカレーを思い浮かべるかもしれません。けれど、タイの食卓には、辛味を使わない炒め物、やさしい味のスープ、蒸し魚、麺料理、甘い菓子まで、さまざまな料理があります。

本格的に作るには、珍しい香草や何種類もの調味料が必要だと思うこともありますが、最初からすべてをそろえる必要はありません。ナンプラーを一本用意し、しょうゆ、砂糖、酢、にんにくなど、家庭にある物と組み合わせれば、身近な材料から始められます。


タイ料理とは

タイ料理は、タイ各地で育まれてきた米、麺、野菜、肉、魚介、香草、発酵調味料を使う食文化です。炒める、煮る、焼く、蒸す、揚げる、和えるといった多様な調理法があり、一つの料理の中でも味と香りが幾重にも重なります。

よく知られている特徴は、甘味、酸味、塩味、辛味の組み合わせです。ただし、すべての料理へ四つの味を同じ強さで入れるわけではありません。甘酸っぱい麺料理、塩味と香草を生かした炒め物、ココナッツのまろやかさを持つカレーなど、料理ごとに中心となる味が異なります。

香りも、タイ料理を形づくる大切な要素です。レモングラス、こぶみかんの葉、ガランガル、パクチー、バジルなどが使われ、唐辛子を控えても、香草によってタイ料理らしい印象を作れます。

タイは地域によって気候や食材が異なり、料理にも違いがあります。北部ではカオソーイなどの麺料理、東北部ではソムタムやラープ、中央部では炒め物やココナッツを使ったカレー、南部では魚介や香辛料を生かした料理が見られます。

一つの料理名にも、地域や家庭、店によって味の違いがあります。日本で手に入る材料に置き換えた家庭向けの作り方と、現地で親しまれている形を分けて知ると、単なる再現にとどまらず、料理の背景も楽しめます。

タイ料理の基本情報

主な楽しみ方 ナンプラーや香草を使い、ご飯に合う炒め物、麺、スープ、カレーを作る

おすすめの頻度 月2回前後から、普段の食事へ少しずつ取り入れる

1回の調理時間 約60〜100分

短時間で楽しむ場合 約35分から

買い物と片づけを含む時間 約130分

主な場所 自宅のキッチン

最初に作りやすい料理 鶏ひき肉のバジル炒めご飯、タイ風焼きそば、鶏肉のココナッツカレー

100分ほどあれば、主菜一品と簡単なスープやサラダを作れます。料理を何品も並べるより、一品の味を整え、ご飯や生野菜を添えるところから始めるほうが、調味料の役割を理解しやすくなります。

35分ほどの日には、ひき肉の炒め物、タイ風チャーハン、卵と野菜のスープなどが向いています。カレーペーストや市販の合わせ調味料を使う場合も、表示どおりの量を一度に入れず、辛さを見ながら調整します。

タイ料理にかかる費用

タイ料理は、家庭にあるフライパンや鍋を使えば、専用器具を買わずに始められます。普段の食事に使う肉、野菜、米の費用と、タイ料理らしい味を作るために追加する調味料の費用を分けて考えます。

手持ちの調理器具を使う場合 初期費用はほぼ0円

基本調味料をそろえる費用 約1,000円〜3,000円

2〜3人分の一回の食材費 約800円〜2,500円

月2回続ける年間追加費用 約10,000円〜30,000円

初回に追加するなら、小瓶のナンプラーと、作る料理に応じてカレーペーストやココナッツミルクを一つ選ぶ程度で十分です。しょうゆ、砂糖、酢、油、にんにくは、普段使っている物を活用できます。

ナンプラーは魚を塩漬けして発酵させた魚醤で、少量でも料理へ塩味とうま味を加えます。大きな瓶を買うと使い切れないことがあるため、初めは小容量を選び、炒め物、スープ、チャーハンなどへ少しずつ使います。

タイカレーを作る場合は、カレーペーストとココナッツミルクの費用が加わります。一袋や一缶で複数人分になる商品もあるため、完成量を確認し、残った材料の保存方法まで考えて購入します。

生のレモングラスやこぶみかんの葉、ホーリーバジルなどは、販売店や季節によって入手しにくいことがあります。最初からすべて探し回るのではなく、乾燥品や冷凍品、家庭で手に入る代替材料を使ったレシピから始めると、費用と手間を抑えられます。

タイ料理をおすすめする3つの理由

1.一皿の中で、味を少しずつ調整できる

タイ料理の味は、辛さだけで決まるものではありません。ナンプラーの塩味と発酵のうま味、砂糖の甘味、ライムや酢の酸味、唐辛子の辛味を少しずつ重ねます。

炒め物が塩辛ければ、砂糖を大量に入れて隠すのではなく、具材や水分を加えて全体を整えます。甘味が強ければ酸味を少し足し、味がぼんやりしていればナンプラーを数滴加えるなど、一つずつ確かめられます。

完成した一皿へ、ライム、唐辛子、ナンプラーなどを食べる人が足す料理もあります。鍋全体を強い味にせず、それぞれの好みに合わせられることも特徴です。

2.香草を加えた瞬間に、料理の印象が変わる

炒めた肉と野菜へバジルを加えると、火を通した材料の香りに、青く爽やかな香りが重なります。スープへレモングラスやこぶみかんの葉を加えれば、酸味を入れる前から柑橘を思わせる香りが立ちます。

香草は多く入れればよいわけではありません。長く煮て香りを移す物、仕上げに加える物、生で添える物があり、加える時期によって表情が変わります。

パクチーが苦手なら、すべてのタイ料理を諦める必要はありません。料理によっては入れずに作れますし、ねぎ、バジル、みつばなど、別の香りを使った家庭向けの楽しみ方もあります。

3.炒め物から麺、カレー、スープへ広げられる

最初にナンプラーの使い方を覚えると、ひき肉の炒め物だけでなく、チャーハン、春雨サラダ、焼きそば、スープなどへ応用できます。一本の調味料が、複数の料理をつなぐ入口になります。

次にカレーペーストを使えば、ココナッツカレーや炒め物へ広げられます。レモングラスやライムの扱いを覚えると、スープやサラダにも香りを加えられます。

毎回新しい調味料を買うのではなく、一つを使いながら料理の種類を増やせるため、自宅でも段階を踏んで深められます。

最初は鶏ひき肉のバジル炒めご飯から

初めての一皿には、鶏ひき肉をバジルや調味料と炒め、ご飯へ添える料理が作りやすいでしょう。タイのパッガパオではガパオと呼ばれるホーリーバジルが使われますが、日本では入手しやすいバジルを使った家庭向けのレシピもあります。

スイートバジルで作る場合は、現地の料理とまったく同じ香りになるわけではありません。まず調理の流れと味の組み立てを知り、興味が深まったらホーリーバジルを探して違いを比べます。

用意するのは、鶏ひき肉、玉ねぎまたは長ねぎ、ピーマン、にんにく、バジルです。味付けには、ナンプラー、オイスターソース、しょうゆ、砂糖を使い、唐辛子は食べられる量だけ加えます。

ご飯と目玉焼きを添えれば、一皿で食べやすくまとまります。初回からサラダやスープを何品も作らず、炒め物の香り、塩味、甘味を確かめることへ集中します。

鶏ひき肉のバジル炒めを作る流れ

1.調味料を先に合わせる

ナンプラー、オイスターソース、しょうゆ、砂糖を小さな器へ入れ、よく混ぜます。加熱が始まると短時間で進むため、調理中に瓶を一つずつ開けるより、先に準備しておくほうが慌てません。

調味料の塩気や甘さは製品によって異なります。初回はレシピの少なめの量から始め、仕上げ前に味を確かめます。

2.材料を切って分ける

にんにくは細かく刻み、玉ねぎやピーマンは食べやすい大きさに切ります。唐辛子を使う場合は、素手で目や顔へ触れないようにし、ほかの材料と分けておきます。

バジルは洗ったあと水気を拭き、葉を茎から外します。長く加熱すると香りが弱くなるため、炒め物の最後に加えます。

3.香りを出して肉を炒める

フライパンへ油を入れ、にんにくと唐辛子を弱めの火で加熱します。焦げると苦味が出るため、香りが立ったところでひき肉を加えます。

肉をへらでほぐし、色が変わるまで炒めます。生肉に触れた器具を、洗わずに完成後の盛りつけへ使わないようにします。

4.野菜とたれを加える

玉ねぎやピーマンを加え、好みの歯ごたえまで炒めます。合わせておいた調味料を回し入れ、汁気が全体へ絡むよう混ぜます。

水分が多ければ少し煮詰めますが、強火のまま放置すると調味料が焦げます。肉へ十分に火が通っていることも確認します。

5.バジルを仕上げに加える

火を弱めてバジルを加え、葉が少ししんなりしたところで火を止めます。長く炒め続けず、香りが残るうちに仕上げます。

ご飯へ盛り、好みで目玉焼きを添えます。味が足りなければナンプラー、爽やかさがほしければライムやレモンを、食べる直前に少量加えます。

基本の味は四つに分けて考える

タイ料理を初めて作るときは、すべての調味料を一度に増減するのではなく、甘味、酸味、塩味、辛味を分けて考えます。

塩味とうま味

塩味の中心にはナンプラーが使われます。魚の発酵による香りとうま味があるため、塩やしょうゆと同じ量をそのまま置き換えるものではありません。

加熱すると香りがやわらぐため、初めは炒め物やスープへ少量使うと取り入れやすくなります。仕上げに加える場合は、数滴ずつ味を見ます。

甘味

タイ料理では、砂糖が辛味や酸味を消すためだけでなく、全体をまとめる役割を持つことがあります。パッタイや甘辛い炒め物では、塩味と酸味の間をつなぎます。

甘くしたいからと一度に多く加えず、小さじ単位で調整します。ココナッツミルクにも自然な甘さがあるため、カレーでは味を見てから砂糖を加えます。

酸味

ライム、タマリンド、酢などが酸味を作ります。ライムは仕上げに搾ると香りが残り、酢は家庭で扱いやすく、タマリンドはパッタイや酸味のあるたれに独特の深さを加えます。

ライムが手に入らない場合は、レモンや酢で作れる家庭向けのレシピもあります。ただし、香りや酸味の丸みは異なるため、同じ料理として完全に再現できるとは考えず、代用として楽しみます。

辛味

辛味には生唐辛子、乾燥唐辛子、カレーペーストなどが使われます。辛さは加えたあとに取り除きにくいため、初めは入れないか、少量だけ使います。

食べる人によって好みが違う場合は、鍋全体を辛くせず、刻んだ唐辛子や唐辛子入りの調味料を別添えにします。香りを楽しむことと、強い辛さを我慢することは別です。

最初にそろえたい調味料

タイ料理の調味料売り場には、多くの瓶や袋が並んでいます。最初はナンプラーを中心に、作りたい料理に必要な物だけを加えます。

ナンプラー

魚を塩とともに発酵させた魚醤で、炒め物、スープ、和え物、つけだれなどへ使われます。開封後の保存方法は商品によって異なるため、ラベルの表示に従います。

独特の香りが気になる人は、小瓶を選び、加熱する料理から試します。しょうゆだけで作る場合とは異なるうま味が加わります。

オイスターソースとシーユー類

オイスターソースは、炒め物へ甘味とうま味を加えます。タイ料理では、薄口や濃口のしょうゆにあたる複数のシーユー類も使われますが、最初は家庭のしょうゆを併用したレシピから始められます。

本格的な味へ近づけたいと感じた段階で、料理に合うタイのしょうゆを一つずつ試します。似た色でも甘さや濃さが異なるため、用途を確認します。

カレーペースト

グリーン、レッド、イエローなどのカレーペーストには、唐辛子、香味野菜、香辛料、塩などが混ぜられています。色だけで辛さを判断せず、商品の表示と使用量を確認します。

ペーストを油やココナッツミルクで加熱すると香りが立ちますが、唐辛子の刺激が広がることがあります。換気を行い、顔を近づけすぎません。

ココナッツミルク

ココナッツの果肉から作られる液体で、カレー、スープ、菓子などへ使われます。辛味や香辛料を包みながら、まろやかな甘味と香りを加えます。

開封した物を缶のまま長く保存せず、商品表示に従って清潔な容器へ移します。使い切れない場合は、一度に大量のカレーを作るのではなく、残りを別の料理へ使える予定を立てます。

香草と香味野菜は役割で覚える

タイ料理の香草を一度にそろえると、使い切る前に傷ませることがあります。まず一つの料理へ必要な物だけを購入し、香りの役割を確かめます。

バジル類は、炒め物の仕上げやカレーに使われます。ホーリーバジル、タイバジル、一般的なスイートバジルでは香りが異なるため、料理名だけを見て同じ物として扱わないようにします。

パクチーは、葉だけでなく茎や根を使う料理があります。葉は仕上げ、茎や根はスープやたれの香りづけに使われることがあり、部位によって役割が変わります。

レモングラスは、硬い茎をたたいたり切ったりして香りを出し、スープやカレーへ使います。繊維が硬い部分は、そのまま食べるためではなく、煮出して香りを移す場合があります。

こぶみかんの葉は、柑橘を思わせる強い香りを持ち、カレーやスープへ加えられます。乾燥品や冷凍品もありますが、生と同じ香り方ではないため、使用量は商品の説明やレシピを参考にします。

タイカレーは色だけで選ばない

グリーンカレー、レッドカレー、イエローカレーは、使う唐辛子や香辛料、香味野菜の組み合わせが異なります。緑だから穏やか、赤だから最も辛いと、見た目だけで決めることはできません。

初めてなら、使用量が明確に示された市販のカレーペーストを選びます。袋に書かれた全量を一度に入れず、作る人数と辛さの目安を確認します。

鍋へココナッツミルクの一部を入れ、カレーペーストを加えて香りを出します。鶏肉や野菜を加え、残りのココナッツミルクや水で濃さを調整し、ナンプラーと砂糖で味を整えます。

なす、たけのこ、ピーマンなど、日本で手に入りやすい野菜を使った家庭向けの作り方もあります。現地で使われる野菜と異なる場合は、同じ食感や火の通りを完全に再現するのではなく、自宅で続けやすい一皿として楽しみます。

カレーを鍋のまま室温へ長く置くと、ゆっくり冷える間に食中毒菌が増えるおそれがあります。保存する分は浅い容器へ小分けして早く冷まし、食べるときは全体を混ぜながら十分に再加熱します。

麺料理では、麺とたれを先に準備する

タイ料理には、パッタイ、パッシーユー、汁麺など多くの麺料理があります。米から作られた麺にも、太さや戻し方の違う種類があります。

乾燥麺は、商品に書かれた方法で戻します。長く水へ浸しすぎると炒めたときに切れやすくなり、硬いままではたれを吸いにくくなります。

パッタイを作る場合は、タマリンド、ナンプラー、砂糖などを使ったたれを先に合わせます。麺、具、たれを順番に入れ、短時間で全体へ絡めます。

もやし、にら、卵、えびや豆腐などが使われますが、最初から具材を増やしすぎるとフライパンの温度が下がります。二人分ほどから試し、麺の食感とたれの濃さを確かめます。

食卓でライム、砕いたピーナッツ、唐辛子などを添える方法もあります。ナッツや魚介を使う料理では、食べる人のアレルギーと商品の原材料を確認します。

スープは香りを重ねる順番が大切

トムヤムのようなスープでは、レモングラス、こぶみかんの葉、ガランガルなどを煮出し、魚介や肉、きのこを加え、酸味と塩味を仕上げに整えます。

香草をすべて細かく刻んで食べるのではなく、大きく切って香りだけを移し、食べるときに避ける場合があります。初めて作るときは、どの材料が具で、どれが香りづけなのかをレシピで確認します。

トムヤムは辛く酸っぱい味で知られていますが、唐辛子を控えることもできます。辛味を減らしても、レモングラスやライム、ナンプラーのバランスによって香りのあるスープになります。

ココナッツミルクを使うトムカーのようなスープでは、まろやかさと酸味が重なります。沸騰させ続けず、使う材料に合った火加減で仕上げます。

地域ごとの料理を知る

タイ料理を続けるほど、人気の数品だけでは捉えられない地域の違いが見えてきます。

北部では、ココナッツを使ったカレー麺のカオソーイなどが知られています。山地や周辺地域との交流を背景に、ハーブや肉を使った料理にも特徴があります。

東北部のイサーン料理では、青いパパイヤを使うソムタム、ひき肉や香草を和えるラープ、もち米などが親しまれています。酸味、辛味、香ばしい米の粉、香草が重なる料理が見られます。

中央部には、ご飯や麺と合わせる炒め物、カレー、トムヤム、パッタイなど、日本でも知られる料理が多くあります。都市部や川沿いの食文化を背景に、甘味やココナッツを使う料理も見られます。

南部では、海に囲まれた地域らしい魚介料理や、香辛料をしっかり使うカレーがあります。隣接地域の食文化やイスラム文化とのつながりを持つ料理もあります。

地域区分だけですべての味を説明することはできませんが、料理が生まれた土地を知ると、なぜその食材や香りが使われるのかを考えられるようになります。

最初にそろえたい道具

タイ料理の多くは、一般的な家庭用の道具で作れます。強い火力や大きな中華鍋を最初から用意する必要はありません。

最初に必要なもの

包丁、まな板、深さのあるフライパン、小鍋、菜箸またはへら、計量スプーンがあれば十分です。調味料を合わせる小皿と、野菜や春雨を和えるボウルも役立ちます。

炒め物は短時間で進むため、材料を入れる順番に並べておきます。香草、肉、野菜、合わせ調味料を別々に準備すると、火を止めずに進められます。

続けるなら用意したいもの

米麺を扱うトング、カレーやスープを保存する浅い容器、香草をつぶす小さなすり鉢などが候補になります。ホールの香辛料や香味野菜からペーストを作りたい段階では、クロックと呼ばれるタイの石臼を使う方法もあります。

ただし、家庭のすり鉢やフードプロセッサーで作れるレシピもあります。特定の道具を持つことより、材料の量と安全な使い方を優先します。

最初は後回しにできるもの

大型の中華鍋、専用の炊飯器、石臼、多くのタイ食器は、初回には必要ありません。家庭の火力と人数に合うフライパンで作り、何度も作りたい料理が見つかってから追加します。

安全に調理するために

調理前、生の肉や魚介、卵へ触れた後、食事の前には手を洗います。生で添える野菜や香草は先に洗って切り、肉や魚介に使った包丁、まな板、菜箸をそのまま使いません。

ひき肉や鶏肉は、小さく見えても内部まで十分な加熱が必要です。濃い色の調味料を使うと肉の色を判断しにくいため、大きなかたまりが残っていないか確認します。

生のえびや貝を使う場合も、中心まで加熱します。生肉や魚介を入れていた器へ、完成した料理を戻さないようにします。

唐辛子を切った手で目、鼻、顔へ触れないようにします。刺激を受けやすい人は食品調理用の手袋を使い、包丁、まな板、作業台に残った唐辛子もよく洗います。

カレーペーストや唐辛子を油で炒めると、刺激のある蒸気が立つことがあります。換気扇を使い、鍋へ顔を近づけず、むせたり目に刺激を感じたりした場合は火を止めて換気します。

カレーやスープを保存する場合は、鍋のまま常温へ長く置きません。浅い清潔な容器へ小分けして早く冷まし、再び食べるときは底から混ぜながら中心まで温めます。

ナンプラー、オイスターソース、カレーペーストには、魚介、大豆、小麦などが含まれることがあります。ココナッツミルク、ピーナッツ、えびを使う料理も多いため、アレルギーがある場合は調味料まで原材料を確認します。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

第1段階 ナンプラーを使った炒め物を一品作る

最初は、鶏ひき肉や豚肉と野菜を炒め、ナンプラー、砂糖、しょうゆで味を整えます。唐辛子は控えめにし、ご飯と一緒に食べられる一皿を完成させます。

ナンプラーを加熱したときの香りと、料理へ加わる塩味を覚えることが最初の入口です。

第2段階 甘味、酸味、塩味、辛味を分けて調整する

同じ炒め物をもう一度作り、前回から一つだけ変えます。甘味を少し控える、ライムを添える、辛さを別添えにするなど、味の違いを比べます。

何となく調味料を足すのではなく、今足りないのはどの味かを考えるようになります。

第3段階 香草とカレーペーストを使う

バジル、パクチー、レモングラスなどを一種類ずつ試します。香りづけとして煮出すのか、仕上げに加えるのかを知り、料理に合う扱い方を覚えます。

カレーペーストを使う場合も、一種類から始め、ココナッツミルクとの濃さや辛さを自分の食べやすい範囲へ整えます。

第4段階 地域や料理の背景から献立を選ぶ

北部のカオソーイ、東北部のラープやソムタム、中央部の炒め物、南部の魚介料理など、地域ごとの料理へ興味を広げます。

料理名だけでなく、主食、気候、宗教、周辺地域とのつながりを知ると、使われる食材の理由も見えてきます。

第5段階 自分の食卓に合うタイ料理を育てる

忙しい日に作る炒め物、暑い日に食べる酸味のあるサラダ、休日にゆっくり作るカレーなど、暮らしの場面ごとに定番を持ちます。

料理教室で香草やペースト作りを学んだり、タイ語の料理名やレシピを調べたりする方法もあります。現地の食文化を尊重しながら、自宅で手に入る材料との違いも理解し、自分が繰り返し作れる形へ整えていきます。

あわせて楽しみたい関連する趣味

スパイスカレー

スパイスカレーは、クミン、コリアンダー、ターメリックなどの香辛料を使い、香りの組み立てを楽しむ料理です。タイカレーとは材料や作り方が異なりますが、香辛料を加える順番や、辛味と香りを分けて考える感覚につながります。


スパイスブレンド

スパイスブレンドは、複数の香辛料を少量ずつ組み合わせ、自分の使いやすい香りを作る趣味です。タイ料理でカレーペーストや乾燥香辛料に興味を持ち、香りの違いを一つずつ確かめたくなった人に向いています。


スープ作り

スープ作りでは、肉や魚介、野菜、香味材料から味と香りを引き出します。レモングラスやこぶみかんの葉を使うタイのスープと、和風や洋風のスープを比べると、同じ汁物でも香りの作り方が大きく違うことを楽しめます。


香りが立つ瞬間から、タイの一皿が始まる

にんにくと唐辛子を油へ入れ、ナンプラーを加え、最後にバジルの葉を混ぜる。短い炒め物の中にも、どの香りを最初に立て、どの味を最後に残すかという小さな選択があります。

初めての休日は、多くの香草や調味料をそろえなくても大丈夫です。小さなナンプラーを一本用意し、鶏ひき肉と玉ねぎ、ピーマン、手に入るバジルを使って、ご飯に合う炒め物を作ってみてください。

次はライムを添える。ココナッツカレーを作る。米麺へたれを絡める。身近な一皿を重ねるほど、タイ料理は辛い料理という一つの印象を越え、甘味、酸味、塩味、香りが行き来する広い食文化として見えてきます。


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