ロックダンスの楽しみ方
はじめに
音楽に合わせて腕を大きく振り、次の瞬間、身体をぴたりと止める。
ほんの一拍前まで動いていた腕や肩が、まるで鍵をかけたように静止します。そこから指を遠くへ向け、表情まで一緒に切り替えると、短い動きの中に踊る人の存在がはっきりと浮かび上がります。
ロックダンスは、速く動き続けるだけの踊りではありません。
軽やかに弾む時間。
大きく腕を広げる時間。
音に合わせて止まる時間。
周囲へ視線を向ける時間。
動きと静止の差を使いながら、ファンクミュージックのリズムや楽しさを身体で見せていくストリートダンスです。
「ロックダンス」と聞くと、ロック音楽に合わせて踊るものだと思うかもしれません。しかし、ここでいうロックは英語の「Lock」。錠をかける、固定するという意味で、動きの途中に身体を止める代表的な動作から名付けられています。
入門クラスでは、いきなり長い振付を踊るわけではありません。膝でリズムを取り、腕を一度回し、形を作って止まる。短い動きを一つずつ覚えながら、音楽へ反応する感覚を身につけていきます。
今回は、月2回ほど教室へ通い、週1回ほど自宅や練習場所で復習する場合を中心に、費用、教室選び、基本の動き、最初のレッスン、自主練習、安全面、そして続けるほど変わる楽しみ方を紹介します。
ロックダンスの基本情報
主な楽しみ方 ファンクミュージックを中心に、リズムを取りながら、腕の動き、ステップ、ポーズ、短い振付を踊る
教室へ通う頻度 月2回前後
自主練習の頻度 週1回、20〜35分ほど
1回のレッスン時間 約60〜90分
短時間で練習する場合 約20〜35分から
移動や着替えを含む総所要時間 約120〜150分
主な場所 ダンススクール、カルチャー教室、レンタルスタジオ、自宅の安全な練習場所
最初に必要なもの 動きやすい服、室内用スニーカー、飲み物、タオル
特別な道具 基本的には不要。ヘルメットや防護用品を身につけて踊るジャンルではない
天候の影響 屋内で行うため小さいが、教室までの移動には影響する
難しく感じやすいところ リズムを取りながら腕と足を別々に動かし、決めた瞬間に身体を止めること
始めやすいところ 基本動作を小さく練習でき、広い移動や床を使う技を行わなくても楽しめる
ロックダンスは、身体のやわらかさを競う踊りではありません。肩や手首を動かすための可動域は必要ですが、開脚や高い脚上げができなければ始められないわけではありません。
一方で、腕を勢いよく振る、膝で繰り返しリズムを取る、ステップから急に止まるといった動きがあります。最初は大きさよりも、無理なく同じ形を作れることを優先します。
ロックダンスは、止まるからこそ動きが見える
ロックダンスは、「ロッキング」や「ロッキン」と呼ばれることもあります。
代表的な特徴は、音楽に乗って動いている途中で、身体へ鍵をかけるように形を作り、一瞬静止することです。この止まる動作を「ロック」と呼びます。
踊りを見ると、腕を大きく回す動きや、指を差すポーズが目立ちます。しかし、形だけを順番に並べても、ロックダンスらしい雰囲気は生まれにくいものです。
膝で音を感じる。
腕を動かす前に少し身体を沈める。
音のアクセントで形を決める。
止まったあとに力を抜き、次の動きへ戻る。
この流れがあることで、静止した瞬間がはっきりと見えます。
ずっと身体を固めていると、止まった場所が目立ちません。反対に、動きを流し続けると、ロックした形が消えてしまいます。
やわらかく動き、強く止まり、また軽く動き出す。
その対比が、ロックダンスの気持ちよさを作っています。
ファンクミュージックとともに生まれたダンス
ロックダンスの始まりは、1960年代末から1970年ごろのアメリカ・ロサンゼルスにあります。
生み出したのは、ドン・キャンベルです。彼が当時の流行していた動きを踊ろうとしたとき、途中で動きを止めてしまったことから、独特の静止する動きが生まれたと伝えられています。
その止まり方に、観客へ指を向けたり、表情を見せたりする動きが加わり、やがて「キャンベルロック」と呼ばれる独自のスタイルへ育っていきました。
ドン・キャンベルを中心に結成されたダンスグループ、ザ・ロッカーズは、テレビ番組や舞台へ出演し、ロッキングを広く知られるものにしていきます。
ロックダンスには、観客へ向けた大きな動きや、楽しさを前面へ出す表現が多くあります。これは、舞台上で自分だけの世界へ閉じこもるのではなく、周囲の人へ働きかけながら踊ってきた歴史ともつながっています。
指を差す動きも、誰かを責めるためではありません。
「あなたも一緒に楽しもう」
「今の音を聞いた?」
と、観客やほかの踊り手へ呼びかけるように使われます。
現在では、決められた振付を踊るショー、即興で音楽へ反応するソロ、複数のダンサーが順番に踊るセッション、技術や表現を見せ合うバトルなど、さまざまな形で楽しまれています。
ロックダンスにかかる費用
ロックダンスは、専用の道具をそろえなくても始められます。
体験レッスンでは、手持ちのTシャツやパンツ、室内用スニーカーを使える教室が一般的です。最初から高価なダンスウェアや、特定のブランドの靴を購入する必要はありません。
体験から入会までの費用
体験レッスン 無料〜3,000円ほど
入会金・登録料 0〜11,000円前後
月2回のレッスン料 約4,000〜8,000円
月4回のレッスン料 約7,000〜12,000円
室内用スニーカー 手持ち品を使う場合は0円、購入する場合は5,000〜15,000円ほど
練習着 手持ち品を使う場合は0円、購入する場合は3,000〜10,000円ほど
月2回の教室で始めるなら、入会金や靴を含めても、初期費用は約10,000〜30,000円ほどが一つの目安です。キャンペーンによって入会金がかからない教室や、1回ごとの都度払いで参加できるスタジオもあります。
入力データでは初期費用の標準が22,000円となっています。スニーカーや練習着を新しく購入する場合には現実的な金額ですが、手持ち品を使えば、より少ない負担で始められます。
1年間続ける場合の目安
月2回のレッスン料 年間約48,000〜96,000円
スニーカー・練習着 約5,000〜20,000円
交通費 通う距離によって異なる
レンタルスタジオ 利用する場合のみ
初年度の合計 約70,000〜130,000円
教室までの交通費が高い、ワークショップへ定期的に参加する、個人練習でスタジオを借りる場合は、年間150,000円前後になることもあります。
一方、自宅での復習を中心にし、月2回の教室だけへ通うなら、入力データにある年間約161,000円よりも少なく収まる可能性があります。
発表会やイベントは別に考える
教室によっては、年に一度ほど発表会を行います。
出演料。
衣装代。
追加練習。
会場までの交通費。
写真や映像。
チケットの負担。
これらが通常の月謝とは別にかかる場合があります。小規模な教室内イベントなら数千円で参加できることもありますが、舞台設備のある会場を使用する発表会では、数万円以上になることもあります。
入会前に、発表会への参加は任意か、どの程度の追加費用がかかるかを確認しておくと安心です。
費用を抑える方法
体験レッスンから始める。
手持ちの服と室内用スニーカーを使う。
月謝制だけでなく、都度払いと回数券も比較する。
欠席時の振替条件を確認する。
自主練習では、無料で使える自宅の範囲を活用する。
発表会やバトルへの参加は、費用を確認してから選ぶ。
ロックダンスでは、道具よりも、教室と講師が自分に合っているかの方が大切です。最初から服装へ費用をかけるより、安心して通えるクラスを見つけることを優先します。
ロックダンスをおすすめする3つの理由
1.動きと静止が音楽へ重なる気持ちよさがある
ロックダンスの魅力は、大きく動くことだけではありません。
曲の中にある強い音。
ドラムが入る場所。
歌が切り替わる瞬間。
短い間。
その一つへ身体の動きを合わせ、ぴたりと止まれたとき、音楽の形が見えるような感覚があります。
最初は、先生が止まってから自分が遅れて止まることもあります。腕の形を気にしているうちに、次の音が過ぎてしまうこともあるでしょう。
それでも、リズムを取り続けながら同じ動きを繰り返すと、音が入る少し前に身体を準備できるようになります。
動いてから止まるのではなく、音が来る場所へ向けて動き、音と同時に形を作る。
その瞬間が増えるほど、曲を聞く楽しさも深くなります。
2.指先や表情まで、踊りの一部として使える
ロックダンスには、遠くを指す「ポイント」をはじめ、観客や周囲へ意識を向ける動きが多くあります。
顔を伏せたまま指だけを出すのと、指した方向へ視線を送るのでは、同じ振付でも印象が変わります。
驚いたように目を開く。
楽しそうに笑う。
少し大げさに胸を張る。
相手の動きへ反応する。
こうした表情や視線も、ロックダンスの表現です。
最初は、手足を動かすだけで精いっぱいになります。けれど、振付を覚えて余裕が生まれると、「誰へ見せているのか」を考えられるようになります。
動きの正確さだけではなく、自分の性格や雰囲気を生かせるところに、このダンスの自由さがあります。
3.基本動作を組み合わせ、自分の踊りへ広げられる
ロックダンスには、名前の付いた基本動作が数多くあります。
ロック。
ポイント。
トゥエル。
ペイシング。
スクービードゥー。
それぞれを単独で練習し、音楽の中で組み合わせます。
最初は先生の振付どおりに踊っていても、基本を覚えると、自分で順番を変えられるようになります。
ロックからポイントへ進む。
トゥエルのあとにステップを入れる。
音が強い場所だけ大きく止める。
同じ基本動作を使っても、選ぶ順番や間によって踊りは変わります。
覚えた技が増えるほど、自分で音楽へ答えるための言葉が増えていくような感覚があります。
初めての教室では、ここを確認する
ダンススクールには、ロック、ヒップホップ、ハウス、ポップなど、複数のジャンルがあります。
名前が似ているクラスでも、内容は異なります。体験を申し込む前に、そのクラスが本当にロックダンスを中心としているかを確認します。
「入門」「超入門」と書かれたクラスを選ぶ
「初級」という名前でも、基本動作をある程度知っていることを前提に進む場合があります。
ダンスが初めてなら、
未経験者歓迎。
超入門。
リズムトレーニングから開始。
大人初心者向け。
基礎中心。
と書かれたクラスが入りやすくなります。
途中から参加できるクラスでは、すでに振付が進んでいることもあります。現在どのくらい進んでいるか、まったく初めてでも参加できるかを問い合わせます。
ロックだけか、ソウルダンスも学ぶか
教室によっては、「LOCK」「SOUL&LOCK」「FUNK」といった名前で開講されています。
ソウルダンスのリズムやステップを基礎にしながら、ロックの動きへ進むクラスもあります。ロックの形だけでなく、音楽へ乗る感覚を丁寧に学びたい人には、こうしたクラスも向いています。
年代とクラスの雰囲気を見る
ロックダンスは、子どもから大人まで学ばれています。
ただし、キッズ中心の教室と、大人が仕事帰りに通う教室では雰囲気が異なります。年齢だけで参加を諦める必要はありませんが、自分が落ち着いて練習できるクラスを選びます。
体験では、参加者の上手さよりも、初心者が間違えても練習を続けやすい空気があるかを見ます。
レッスンの進め方を確認する
基礎動作を長く練習するクラス。
毎回短い振付を踊るクラス。
一つの作品を数か月かけて仕上げるクラス。
即興やバトルも取り入れるクラス。
同じロックダンスでも、進め方はさまざまです。
月2回だけ通う場合は、欠席すると振付の進行から遅れやすいことがあります。振替制度や、復習用動画の有無も確認します。
音量と床を確かめる
ダンススタジオでは、大きな音量で音楽を流すことがあります。音に敏感な人は、体験時に無理なく過ごせる音量かを確かめます。
床が滑りすぎないか、足が引っかかりすぎないかも大切です。鏡だけでなく、踊ったときの足元の感覚を見ておきます。
最初のレッスンは、リズムを取るところから始まる
初めてのレッスンでは、開始の10〜15分前に着くと、着替えや靴の準備を落ち着いて行えます。
スタジオへ入ったら、荷物の置き場所、撮影のルール、途中で水分を取ってよいタイミングを確認します。
身体を温める
首、肩、肘、手首、腰、膝、足首をゆっくり動かします。
ロックダンスでは腕を速く動かす場面があります。身体が冷えた状態で大きく振ると、肩や肘へ負担がかかるため、最初は小さな動きから始めます。
膝でリズムを取る
両足で立ち、音楽に合わせて膝を軽く曲げ伸ばしします。
深く沈む必要はありません。足裏が床から離れない範囲で、身体の重さを上下へ動かします。
手の振付を覚える前に、このリズムが途切れないようにします。
基本動作を一つずつ練習する
先生がゆっくり見本を示し、腕の高さ、手首の向き、足の置き方を確認します。
最初は左右が分からなくなることもあります。鏡の中の先生をそのまままねるのか、先生と同じ側を動かすのか、教室の説明に合わせます。
短い振付へつなげる
基本動作を数個組み合わせ、8カウントほどの短い振付を踊ります。
手と足を同時に覚えられないときは、足だけ、次に腕だけと分けます。曲へ合わせる前に、音を止めて順番を確認しても構いません。
曲に合わせて繰り返す
最後に、習った振付を音楽へ合わせます。
一度間違えると、その後も止まってしまいがちです。しかし、すべてを正確に戻そうとせず、膝でリズムを取りながら、分かる場所から再び加わります。
ダンスの初回では、最後まで間違えずに踊ることよりも、音楽を聞き続けることが大切です。
覚えておきたい基本の動き
基本動作の呼び方や細かな形は、先生や流派によって少し異なることがあります。最初は動画だけで決めつけず、教室で教わった形を基準にします。
ロック
腕を動かしてから、肘を曲げ、身体の前や横で形を作って止まる代表的な動きです。
止める瞬間に全身へ強く力を入れすぎると、動きが重くなります。必要な形を作ったら、次の動きへ移れる程度の余裕を残します。
ポイント
腕を伸ばし、指で方向を示す動きです。
腕だけを出すのではなく、胸、顔、視線も指した方向へ向けると、動きが大きく見えます。肘を伸ばし切って勢いを止めず、関節へ負担をかけないようにします。
トゥエル
手首や前腕を回しながら、腕を顔や肩の近くへ運ぶ動きです。
手先だけで急いで回すと、形が小さくなり、手首も疲れます。肘の位置を保ち、力を抜いて回転させます。
ペイシング
こぶしを使い、前方や下方へ打ち出すように動かします。
腕だけを強く伸ばすのではなく、膝のリズムと一緒に行います。肘を勢いよく伸ばし切らないように注意します。
スクービードゥー
片足を蹴り出し、足を入れ替えながら進むステップです。
最初は大きく蹴らず、ゆっくり足の順番を確認します。着地で膝が内側へ入らないようにし、安定してから速度を上げます。
基本動作を知ると、踊りの映像を見たときにも、「今の腕はトゥエルからロックへ入った」と動きを分けて見られるようになります。
最初に用意したい服装と靴
ロックダンスでは、動きやすさに加え、腕と膝の動きが分かる服を選びます。
体験レッスンに必要なもの
Tシャツや動きやすいトップス。
ジャージ、スウェットパンツ、伸縮性のあるパンツ。
室内用スニーカー。
飲み物。
タオル。
必要なら着替え。
衣装のような服装は必要ありません。裾が床へ触れるほど長いパンツや、足元へ絡みやすい服は避けます。
スニーカーの選び方
靴は、足へ合い、脱げにくく、スタジオの床で急に滑ったり引っかかったりしないものを選びます。
かかとが浮かない。
つま先に少し余裕がある。
靴ひもで足を固定できる。
底が極端に厚くない。
左右へ体重を移しやすい。
室内専用として清潔に保てる。
これらを確認します。
ランニングシューズには、前へ走るためのクッションやグリップが強いものがあります。横方向の動きや回転で足が引っかかる場合もあるため、実際に軽くステップを踏んで確かめます。
高価なダンス専用モデルでなくても構いません。教室の先生やスタッフへ、初心者が使いやすい靴を尋ねてから購入できます。
大きなアクセサリーは外す
腕を速く動かすと、長いネックレス、大きなイヤリング、硬いブレスレットなどが身体や周囲の人へ当たることがあります。
時計やリングも、振付によっては外した方が安全です。髪が顔へかかる場合は、動きを妨げないようにまとめます。
自宅では、小さく止まる練習をする
ロックダンスの基本動作の多くは、広い場所がなくても確認できます。
鏡やスマートフォンのカメラを使い、腕の高さ、姿勢、止まる瞬間を見直します。全身を映せない場合でも、上半身だけなら練習できます。
自宅で練習しやすい内容
膝で一定のリズムを取る。
ロックの形を左右で作る。
ポイントと視線を合わせる。
トゥエルをゆっくり繰り返す。
足を大きく動かさず、振付の順番を確認する。
曲を聞き、強い音が入る場所で手をたたく。
レッスンで習った8カウントだけを繰り返す。
すべてを一度に練習する必要はありません。今日は腕、次は足というように、テーマを一つ決めます。
30分練習する場合
最初の5分 肩、手首、膝、足首を動かす
次の5分 膝でリズムを取る
次の10分 基本動作を一つ練習する
次の7分 短い振付へつなげる
最後の3分 ゆっくり身体を休ませる
短い練習でも、先生から受けた注意を一つ直せれば十分です。
集合住宅では足音へ配慮する
ロックダンスは、ブレイクダンスのように常に床へ手や身体をつけるジャンルではありません。しかし、ステップ、着地、跳ねる動きによる音や振動は残ります。
自宅ではジャンプや強い踏み込みを避け、上半身や足順の確認を中心にします。
厚くやわらかいマットは、足元が沈み、膝や足首が不安定になることがあります。床を保護する用品を使う場合も、踊ったときにずれたり、足が引っかかったりしないかを確認します。
早朝や深夜には、音楽の音量だけでなく、足音にも気を配ります。
音楽を聞くときは、止まりたい場所を探す
ロックダンスは、ファンクミュージックとの結びつきが深いダンスです。
初めは曲全体を細かく分析する必要はありません。まず、身体を動かしたくなる音を一つ探します。
低く響くベース。
一定に刻まれるドラム。
短く入るギター。
歌声の切れ目。
強い一音。
音が重なっている中でも、何か一つへ意識を向けると、身体を止める場所を選びやすくなります。
先生と同じ振付を踊るときも、順番だけを暗記するのではなく、「このロックはどの音に合っているのか」を聞きます。
曲を何度か聞くうちに、次の音を予想できるようになります。音が鳴ってから動くのではなく、鳴る直前から身体を準備できるため、動きと音がそろいやすくなります。
振付を覚えられないときは、動きを分ける
初めてダンスを習うと、腕、足、顔、方向が一度に変わり、何から覚えればよいか分からなくなることがあります。
そのときは、振付を小さな単位へ分けます。
最初に足だけ動かす。
次に腕だけ確認する。
音を止めて、身体の向きを確かめる。
4カウントずつ練習する。
右側ができたら、左側へ進む。
最後に音楽へ合わせる。
先生の動きを見ながら踊るだけでなく、一度見てから、自分だけで動いてみることも大切です。見本がなくなった途端に分からなくなる場所が、復習したい部分です。
振付を紙へ簡単に書く方法もあります。
右へポイント。
左へトゥエル。
2回ロック。
後ろへステップ。
細かな動きをすべて文章にせず、自分が思い出せる手がかりだけを残します。
上手に止まるためには、力を抜いて動く
ロックダンスでは、強く形を決める姿が印象に残ります。そのため、最初から全身へ力を入れて踊りたくなるかもしれません。
しかし、動いている間まで肩や腕を固めると、素早く形を変えられません。
肩を下げる。
肘へ少し余裕を残す。
手を強く握りすぎない。
膝を固めない。
止まったら、すぐ次へ動ける状態に戻す。
この力の切り替えが大切です。
止める瞬間だけ輪郭をはっきりさせ、その前後はやわらかく動く。踊り全体へ強さを広げるのではなく、必要な場所へ集めます。
初めは、動きを大きく見せるよりも、ゆっくりした速度で力を入れる場所と抜く場所を確かめます。
安全に楽しむために
ロックダンスでは、肩、肘、手首を大きく使います。膝でリズムを取り続け、足を入れ替えるため、膝、足首、ふくらはぎにも負担がかかります。
肩と手首を温めてから腕を振る
トゥエルやロックを急に大きく行うと、肩や手首をひねることがあります。
最初はゆっくり円を描き、痛みのない範囲を確認します。腕を速く動かすときも、関節を勢いよく伸ばし切らないようにします。
膝を内側へ入れない
リズムを取るときや着地するとき、膝がつま先より大きく内側へ入ると負担が集中します。
鏡で足元を見続ける必要はありませんが、先生から膝の向きを注意された場合は、小さな動きへ戻って直します。
滑る床と引っかかる靴に注意する
滑りやすい床では、止まる動きで足が流れます。反対に、靴底が強く引っかかると、身体だけが回って膝をひねることがあります。
床へ飲み物がこぼれていないか、靴底に砂やごみが付いていないかを確認します。
難しい床技を一人で試さない
ロックダンスの演技には、膝を床へつく動き、低い姿勢、開脚、跳躍などが取り入れられることがあります。
これらは入門者に必須の動きではありません。
動画で見た技を、硬い床でいきなり試すことは避けます。必要な筋力や受け身を先生から学び、練習場所に合った方法で行います。
痛みがある日は強度を下げる
肩、手首、腰、膝、足首へ鋭い痛みがある場合は、無理に振付を続けません。
足を動かさず音楽を聞く。
上半身だけ小さく確認する。
振付を記録する。
レッスンを見学する。
身体を休ませながら、別の方法で学ぶこともできます。痛みや腫れが続く場合は練習を休み、必要に応じて医療機関へ相談します。
バトルやセッションは、勝敗だけではない
ロックダンスを続けていると、ダンスバトルやセッションという言葉を聞くことがあります。
バトルでは、複数のダンサーが音楽に合わせて踊り、それぞれの技術や表現を見せます。競技形式では審査によって勝敗が決まりますが、相手を言葉で攻撃する場ではありません。
相手の動きへ反応する。
同じ音を別の方法で表す。
観客と空間を共有する。
自分の得意な動きを見せる。
そのやり取りが、バトルの面白さです。
初心者がすぐに出場する必要はありません。最初は観客として見に行くだけでも、振付レッスンとは異なるロックダンスの姿に触れられます。
セッションでは、円になった人の中へ順番に入り、短い時間だけ自由に踊ることがあります。できる技が少なくても、基本のロックとポイントだけで音楽へ参加できます。
大切なのは、技の数よりも、音を聞き、周囲の人を尊重することです。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 音に合わせて一度止まる
最初は、膝でリズムを取りながら、先生の合図でロックの形を作ります。
腕の位置が少し違っても、足が遅れても構いません。音楽の中で動き、決めた場所で止まれたことが最初の手応えになります。
一つのポイント。
一回のトゥエル。
短いロック。
小さな基本動作が、ロックダンスの言葉になります。
第2段階 基本動作を安定してつなげる
基本の形を覚えると、複数の動きを順番につなげられるようになります。
腕を動かしても膝のリズムを止めない。
足を入れ替えても上半身を固めない。
ロックしたあとに次の動きへ戻る。
一度できた動きを、別の日にも同じように再現できることが目標になります。
振付を覚える速度よりも、身体へ無理のない形で基本を繰り返すことが、踊りの安定につながります。
第3段階 音を選び、自分の見せ方を加える
曲を聞く余裕が生まれると、すべての音へ同じ大きさで反応しなくなります。
強い音では大きくロックする。
細かな音には手首だけを合わせる。
歌が切れた場所で長く止まる。
観客へポイントを向ける。
同じ基本動作でも、音の選び方と表情によって、自分らしい踊りへ変わります。
第4段階 振付、即興、舞台を行き来する
教室の振付だけでなく、音楽へ自由に動く即興にも取り組めるようになります。
発表会では、仲間と角度やタイミングをそろえる。バトルでは、その場で流れた曲を聞き、自分の動きを選ぶ。
必要な力は少し異なります。
決めた作品を丁寧に仕上げることと、その場の音へ反応することを行き来すると、基本動作の使い方が広がります。
第5段階 踊りの背景を知り、次の人へつなぐ
長く続けると、動きの名前だけでなく、その動きがどのように生まれ、誰が受け継いできたのかにも関心が向きます。
ファンクミュージックを聴き比べる。
ザ・ロッカーズの映像を見る。
先輩ダンサーからスタイルの違いを学ぶ。
地域のイベントを支える。
初心者へ基本を伝える。
ロックダンスは、短い流行から生まれた振付ではなく、長い時間をかけて受け継がれてきた文化です。背景を知ることで、踊る動きにも理由が見えてきます。
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ヒップホップダンス
ヒップホップダンスは、身体を上下へ揺らすリズムやステップを土台にしながら、曲に合わせてさまざまな振付を楽しむダンスです。ロックダンスとは成り立ちや基本動作が異なりますが、音楽へ乗り、身体の重さを移す感覚は共通しています。
ロックの形を覚えたあとにヒップホップのリズムへ触れると、同じ曲でも身体の使い方が変わることを感じられます。
ポップダンス
ポップダンスは、筋肉を瞬間的に収縮させ、身体が弾かれたように見せる動きを特徴とするストリートダンスです。ロックダンスの「形を作って止まる」感覚とは異なり、細かな衝撃や身体の分離を使って音を表します。
ロックとポップの違いを知ると、ストリートダンスを一つの動きとしてまとめず、それぞれの歴史や身体の使い方を分けて見られるようになります。
ワック
ワックは、腕を素早く回し、ポーズや表情を使って音楽を大きく表現するダンスです。ロックダンスと同じく腕の動きが印象に残りますが、線の見せ方や音楽への反応には異なる特徴があります。
腕を動かす表現が好きな人にとって、ロックとは別の角度から自分の見せ方を探せる趣味です。
動いて、止まり、また音楽の中へ戻っていく
ロックダンスの最初の一歩は、難しい技ではありません。
音楽へ合わせて膝を軽く曲げる。
腕を一度回す。
肘を曲げて形を作る。
そのまま、一拍だけ止まってみる。
たったそれだけでも、動き続けているときには見えなかった身体の輪郭が現れます。
初めは、止まるはずの音を通り過ぎることもあります。腕の形を考えているうちに、足のリズムが消えてしまうこともあるでしょう。
けれど、教室で一つの動きを教わり、自宅で小さく繰り返し、次のレッスンでもう一度音楽へ合わせる。その往復を続けるうちに、自分の身体が音を待てるようになります。
次の休日は、「LOCK」「ロックダンス」「SOUL&LOCK」と書かれた入門クラスを一つ探してみてください。
華やかな衣装も、特別な道具も必要ありません。
室内用のスニーカーを持ち、音楽の中で一度止まってみる。そこから、動きと静止を行き来するロックダンスの時間が始まります。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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