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「クレーム対応に追われていたあの頃、“叱る”という意味がわからなかった」

「またクレームか…」

スマホに届いた通知を見て、ため息をついたのを今でも覚えている。
当時は多店舗マネージャーとして複数の現場を見ていたが、なぜか特定の店舗からだけ、頻繁にクレームが届いた。
「すみません」「以後、気をつけます」その場しのぎの対応を繰り返していた。もちろん、謝ることは必要だ。だが、それだけでは何も変わらないという現実に、気づかないふりをしていた。
現場では、よくあるミスが起きていた。

・オーダーの聞き間違い
・料理の提供ミス
・不愛想な接客

スタッフは未熟だった。でも、皆がやる気がないわけじゃない。むしろ、「申し訳なさそうな顔」を見れば、本当は反省しているのも伝わってきた。
それでも、同じクレームが繰り返される。僕はどこかで、「スタッフに問題がある」と決めつけていた。でも本当は、自分が“叱る”ということを理解できていなかっただけかもしれない。
怒るのは簡単だ。
声を荒げて、感情をぶつければ済む。だが、怒られた相手が「次どうすればいいか」を理解できるかといえば、そうじゃない。
ある日、スタッフにこんなことを言われた。

「どうせ怒られるんでしょ。だから報告するのも嫌なんです」

その一言が、胸に刺さった。
そんなとき、ある上司から言われた言葉が転機になった。
「責めるように見えた時点で、もう“伝える”になってないよ」
その言葉で、自分が“伝えるつもり”で実は“突き放していた”ことに気づいた。

叱るとは、責めることではない。
叱るとは、「未来を預ける」ことだ。

それからは、クレームが起きたときほど、相手に問いかけるようにした。
「今回のミス、どうすれば防げたと思う?」
自分の言葉ではなく、スタッフ自身の言葉で振り返ってもらうようにした。すると徐々に、同じミスが減り、報告も早くなった。
今でも、現場にミスは起こる。でも、チームとして“前を向く力”は強くなったと感じている。
叱るのが上手な人なんて、たぶんいない。
それでも、「叱ってでも一緒に進みたい」と思える関係があれば、現場は強くなる。
あの頃の自分に言いたい。
「クレーム対応は、“現場”を変えるチャンスだったんだよ」と。

👤 自己紹介
飲食業界で30店舗以上のマネジメントを経験。
現場育ちで、全国転勤や新店立ち上げ、スタッフ育成など、現場の泥臭さを誰よりも味わってきました。
一度は不動産業界に転職しましたが、「やっぱり人と向き合う仕事がしたい」と飲食業界へ戻り、現在は独立を目指して奮闘中。
片親家庭に生まれ、祖父母や叔母家族に支えられながら育ったこともあり、人生で一番大事なのは“環境を変える力”だと感じています。
このnoteでは、現場で悩む人、頑張りたいけど報われない人に向けて、自分の経験を通して“ふっと心と行動が動く”きっかけを届けていきます。

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